『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』 東京国立博物館・平成館

東京国立博物館・平成館 特別展示室
『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』
2023/6/16~9/3



北アメリカ南部のメキシコでは、前15世紀から後16世紀の約3千年以上にわたって独自の文明を築き、人々は神を信仰し時に畏怖しながら、大神殿やピラミッドなどの壮大なモニュメントを築きました。

そうした諸文明のうちマヤ、アステカ、テオティワカンに着目したのが今回の展覧会で、会場では近年の発掘調査の成果を交えながら、メキシコ国内の主要博物館から選ばれた約140件の品々を公開していました。


『チコメコアトル神の火鉢(複製)』 原品:アステカ文明 1325〜1521年 メキシコ国立人類学博物館

まず3つの文明に入る前に取り上げられていたのが、前1500年頃にメキシコ湾岸部に興ったオルメカ文明でした。これはメソアメリカで展開する多彩な文明のルーツともいわれていて、マヤ、アステカ、テオティワカンに通底するキーワードとして「トウモロコシ」、「天体と暦」、「球技」、そして「人身供犠」を紹介していました。


『死のディスク石彫』 テオティワカン文明 300〜550年 メキシコ国立人類学博物館

これに続くのが、紀元前100年頃、メキシコ中央高原の海抜2300メートルほどの盆地におこり、550年頃まで栄えたのがテオティワカンでした。


『シパクトリ神の頭飾り石彫』、『羽毛の蛇神石彫』 ともにテオティワカン文明、200〜250年 テオティワカン考古学ゾーン

テオティワカンは死者の大通りと呼ばれる巨大空間を中心に、ピラミッドや儀礼の場、官僚の施設、居住域などが建ち並ぶ計画都市を築いていて、約25㎢の面積の中に最大10万人が暮らしました。


『香炉台』 マヤ文明 680〜800年 アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館

3つの文明で最も古いのは紀元前1200年頃におこり、後1世紀頃に王朝が成立したマヤでした。マヤでは250年から950年にかけて、ピラミッドをはじめとする公共建築や集団祭祀などを特徴とした都市文化を築き上げていて、14世紀頃には独自色が薄れたとされるものの、スペインの侵攻を受けるまで文明が続きました。


『96文字の石板』 マヤ文明 783年 アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館

このマヤで興味深いのは、表語文字と音節文字から構成されたマヤ文字で、とりわけ古典期マヤを代表する都市国家パレンケの王宮の遺跡より発見された『96文字の石板』に目を引かれました。


『チャクモール像』 マヤ文明 900〜1100年 ユカタン地方人類学博物館 カントン宮殿

またマヤではパレンケのパカル王(在位:615〜683年)の妃と考えられる人物の出土品のほか、神への捧げ物を置いたという石像の『チャクモール像』も目立っていたかもしれません。3つの文明の展示におけるいわばハイライトを築いていました。


『鷲の戦士像』 アステカ文明 1469〜86年 テンプロ・マヨール博物館

このほか、ラストのアステカでは『鷲の戦士像』や古代メキシコでは珍しい金の製品なども見どころだったかもしれません。会場内の撮影も可能でした。


「パカル王と赤の女王 パレンケの黄金時代」より「赤の女王」出土品展示風景

一部内容が重複しますが、イロハニアートへも展示について寄稿しました。

マヤ、アステカ、テオティワカン─古代メキシコ文明の壮大な遺産とは?『古代メキシコ』展見どころ紹介 | イロハニアート


9月3日まで開催されています。なお東京での展示を終えると、九州国立博物館(2023年10月3日~12月10日)、国立国際美術館(2024年2月6日~5月6日)へと巡回します。

『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』@mexico2023_24) 東京国立博物館・平成館 特別展示室(@TNM_PR
会期:2023年6月16日(金) ~9月3日(日)
休館:月曜日。ただし7月17日(月・祝)、8月14日(月)は開館し、7月18日(火)は休館。
時間:9:30~17:00
 *土曜日は19:00まで開館。
 *6月30日(金)~7月2日(日)、7月7日(金)~9日(日)は20:00まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2200円、大学生1400円、高校生1000円、中学生以下無料。
 *当日に限り総合文化展も観覧可。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR線上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分。
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