『横尾忠則 原郷の森』 横尾忠則現代美術館

横尾忠則現代美術館
『横尾忠則 原郷の森』 
2023/5/27~8/27



美術家の横尾忠則が出版した小説『原郷の森』にあわせて、小説の世界観を視覚的に体感できる展覧会が、横尾忠則現代美術館にて開かれています。



それが『横尾忠則 原郷の森』で、森を模した空間には横尾の絵や版画などの作品が、小説から抽出された言葉とともに展示されていました。



まず目に飛び込んでくるのが、暗がりの中、木漏れ日のような照明によって映された大型の絵画で、四方の壁だけでなく、展示室の中に設置された造形物にも並んでいました。



それらは時に行手を阻むように立っていて、まさに森を彷徨うかのようにして作品を見て歩くように作られていました。



小説『原郷の森』とは、主人公のYが三島由紀夫と宇宙霊人に導かれ、美術、小説、映画などさまざまな分野で名を残した人々と芸術や人生について語り合うもので、2022年に文藝春秋より発表されました。


そこにはピカソやキリコといった横尾が私淑する芸術家をはじめ、黒澤明らといった交流のあった文化人、または親鸞にブッダといった280名もの人物が登場して、彼らが入れ替わり立ち替わり現れては思い思いの言葉を残す内容となっていました。



そして彼らの存在は横尾の人生に何らかの影響を及ぼしたと言われていて、芸術観の形成にも関わってきました。



ともかく作品は「首吊り縄」の登場するモチーフから有名な「Y字路」シリーズに「ピンクガール」、さらに近年集中して描いている「寒山拾得」などと多岐にわたっていて、横尾の集大成ともいうべく作品世界を見ることができました。



このほかには建築家の武松幸治の監修で作られた、キュミラズム・トゥ・アオタニも面白いのではないでしょうか。



窓外に広がる摩耶山麓の風景が不定形なミラーに反射し、万華鏡のような空間を築いていて、しばらく滞在しているといつしか横尾のコラージュの中に入り込んでいるような錯覚を覚えました。



横尾忠則現代美術館は、兵庫県西脇市に生まれた横尾忠則からの寄贈、および寄託作品を保管し、広く公開するために開設された美術館で、兵庫県立美術館王子分館の西館をリニューアルし、2012年11月にオープンしました。


一部作品を除いて撮影も可能でした。



8月27日まで開催されています。

『横尾忠則 原郷の森』 横尾忠則現代美術館@YTmocaStaff
会期:2023年5月27日(土) ~8月27日(日)
休館:月曜日。ただし7月17日(月・祝)は開館し、7月18日(火)は休館。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般700(550)円、大学生550(400)円、70歳以上350(250)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:神戸市灘区原田通3-8-30
交通:阪急電車王子公園駅より徒歩約6分。JR線灘駅より徒歩約10分。
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