◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「大工さんに手を借りて」って?

2014-05-25 09:15:32 | 言葉についてあれこれ
                               手の平もふさふさ

 「大工さんに手を借りて」は「劇的ビフォーアフター」のナレーション。これは「に」ではなく「の」、「大工さんの手を借りて」です。「○○から△△を借りる」という基本を忘れてしまっているので「大工さんに手を借りて」なんてさらっと言ってしまうのでしょうけれど、トンカチ借りるのとは違うから! 手助けをしてもらったんだから!
 ちなみに、「大工さんに」なら、その後どのように続けますか? 「大工さんに手を貸してもらって」ですね。「デザイナーに指導を受けたのです」は「FNN SPEAK」で聞いたナレーションですが、これも「デザイナーの指導を受けたのです」ですよ。「デザイナーに」に続けるなら「指導してもらった」です。
 ついでに言えば、「○○にもらった」も「○○から△△をもらった」ですよね。そういえば、「石川テレビスーパーニュース」で「監督に与えられた試練は1000本ノック」というナレーションを聞いたことがあります。原稿を読んだのはアナウンサーですが、これはおかしいでしょ、おかしいと気づかないのかな?
 1000本ノックという試練を与えられたのは監督ではなく選手です。さすがに「監督に与えられた試練は」と聞いて「監督から」とすぐに理解するのは無理です。ここはやはり「監督から与えられた試練は1000本ノック」と言わなければいけません。書いた人も書いた人ですが、そのまま読んだアナウンサーもおかしいぞ( ̄д ̄)!
 「貧困を救えるのではないか」というナレーションも聞いたことがあるのですが、救うのは「貧困にあえぐ人々」ですよね、ということは「貧困にあえぐ人々を救えるのではないか」ですが、もう少し短くする必要があったのでしょうか。それなら「貧困から救えるのではないか」です。「○○から△△を救う」でしょ┐( ̄д ̄)г。
 「玄関に置いて、いらしたかたに目に留まってもらうようにしようかしら」と言ったのは羽野晶紀です。前から感じていたのですが、この人、そんなに若くないのに、今時の若者のような変な話し方をしますよね。これも「いらしたかたの目に留まるように」で、「いらしたかたに」なら、「見てもらえるように」と続けましょう。
 「先輩に受け継いでもらった方法」と言ったのは高校生。NHKの深夜の番組で聞いたのですが、そのとき、テロップは「先輩から受け継いだ方法」でした。これはテロップが正しいわけですが、あまりにもおかしいときはさすがに修正するようですね、あ、いや、中にはおかしいと気づいて修正する人もいるようですね。
 「先輩から教えてもらった方法」では何だか足りない、先輩はそのまた先輩から、というふうに受け継がれている方法だということを言いたかったのでしょう。テレビですから、ふだんよりは丁寧に話している、それでも「先輩から」とは言えない、そういう言葉は出てこない、いつものように「先輩に」と言ってしまいましたね。
 そして、やはり「~ていただく」症候群も発症しています。それでも、高校生ですからかしこまった言い方ではなく「~てもらった」で、しかも、だれが主体なのか理解しないで「~ていただく」と言っているアナウンサーの影響をもろに受け、受け継いだのは自分なのに「受け継いだ」に「~てもらった」と続けてしまい、訳の分からない言い方になりました。何ともはや、日本語の未来は・・・( ̄_ ̄)?
 「世界に注目を浴びた○○」は「とくダネ!」のナレーションですが、それはおかしいでしょ、「世界から注目された○○」か「世界の注目を集めた○○」ですよ。「先輩に付きっ切りで勉強している」は「あしたをつかめ」のナレーションです。「付きっ切り」は、少しも離れないで付き添うこと、「先生が生徒に付きっ切りで教える」ですから、「先輩に付きっ切りで教えてもらって勉強している」と言うべきですよ。原稿を書いたのは・・・大人ですよね?
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「見ないで流しちゃう一番ダメ」って?

2014-05-18 09:45:32 | 言葉についてあれこれ
                               見てぇ~ウンチョまでかわいい~

 「世界遺産への招待状」は、腹筋というナレーターの発音が不快で見なくなりました。「秘密のケンミンSHOW」は次長課長が出るので見るのをやめました。「ナニコレ珍百景」は、腹が立つほどくだらないものが出てくるようになり、見るのをやめました。「たかじんのそこまで言って委員会」は、辛坊治郎が出なくなり、山口もえがやたらしゃべるから、もう見るのをやめようかなぁ。お笑い番組はほとんど見なくなりました。理由は至ってシンプル、面白くないから。
 4月29日の「徹子の部屋」に出ていた “ますだおかだ”、増田(向かって右の人)が「(徹子の部屋に)過去2回出していただいて」と言ったのには驚きました。珍しいですねぇ、いやぁ、感心、感心! なのに、その直後、岡田(向かって左の人)が「出さしていただいて」と言いましたよ( ̄д ̄)ダラケッ! しかも、この人、「閉店ガラガラ」以外、全く面白くない( ̄ ” ̄)!
 このごろは医師がよくテレビに出演していますよね、そうした番組は、気がつけばほとんど見ています(^^;。医師は、昔は神様でしたが、いや、今でも、ごく一部の医師は神様(ゴッドハンド)と呼ばれますが、多くの医師は神様ではありません。ディクテーションを仕事としてやっていたとき、医療関係のもの(カンファレンス、学会、セミナー、研究会など)が多く、医師の話をたくさん聞きました。医師の誤診率は5割という話も聞きましたよ、今はどうか知りませんけど。
 さて、ある医師が「マスクをすると症状が軽減すると訴えられる患者さんが多いので」と言うのを聞きました。もちろん「訴えられる」は受身ではありません。昔なら「~と訴える患者が」と言うところですが、今は「~と訴えられる患者さんが」なのですね。え~っとぉ、問題はそこではなくて「症状が軽減すると訴える」です。
 「訴える」は、不平、恨み、痛みなどを告げ知らせるという意味なのですから、「マスクしたら何だか楽ぅ~」と言うのは「訴える」とは違います。「訴えられる」ではないとすると「おっしゃる」か「言われる」ですが、「マスクをすると症状が軽減すると言う患者さんが多いので」でいいでしょ、ねっ。
 「主治医が見つかる診療所」のテロップはちょっと変わっています。例えば、話し手が「それを見ないで流しちゃうというのはもぉ一番だめですから」と言ったときは「見ないで流しちゃう一番ダメ」で、まるで片言の外国人。「ある程度の塊になってくると食べ物が通りにくくなってきますのでね」と言ったときは「ある程度の固まり 食べ物が通りにくくなってきます」です。もう少し何とかなりませんか?
 「小さいうちに見付けておくということが大事だと思うんですね、まさに早期発見ですよね」と言ったときは「小さいうちに見つけておく 大事 早期発見」ですよ、省略しすぎ~。「自覚症状が出る前に、より早く癌を発見する方法をお教えします」というナレーションのときは「自覚症状の前に発見する方法」って、変でしょ。
 「人間ドックにプラスですね、例えばいろんな、腫瘍マーカーっていう、マーカーを加えたり」と言ったときは「人間ドックにプラスですね 腫瘍マーカー」と、逆に書かなくていい「ですね」を書いたりなんかして、変なのっ( ̄д ̄)! 私もちょっと前に体調を崩してあれこれ検査したのですが、CEAが0.5以下、CA19-9が6以下で安堵しました。ハムやんのおかげでオキシトシンが出ているから~(⌒・⌒)。
 ちなみに、CEAはシーイーエー、CA19-9はシーエー、ナインティーン、ナイン。医療関係者が使う言葉は、人によって、ドイツ語読み、英語読み、その他いろいろありますからね、ひどいときには5人の医師がそれぞれ違う言い方をして、5個の単語が全部同じ一つの薬剤を指していた、なんてことがありましたよ┐( ̄д ̄)г。
 そういえば、宮根誠司を嫌いになったからもう見ていませんが、ずっと前に「ミヤネ屋」で、ナレーションが「気管支肺炎」なのにテロップは「気管支炎」ということがありました。1文字の違いですが大きな違いです。「主治医が見つかる診療所」でも、ナレーターが「こうとうがん」と言ったとき、テロップは「咽頭ガン」でした。こういうのはこちらで判断できませんから困ります。
 あ、そうそう、一つだけ、話し手が「免疫学的にも的を得ている」と言ったときのテロップが「免疫学的にも的を射ている」だったのはいいですね。この入力作業者は、ひょっとしたら外国人なのかと思いましたが、日本人なのかなぁ( ̄・ ̄)?
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「原因は業容拡大の結果」って?

2014-05-11 09:03:34 | 言葉についてあれこれ
                               うらやましいぞぉぉぉぉぉ

 「○銀破綻、△社長謝罪、原因は『業容拡大の結果』 △社長は破綻原因について『ある時点からネットワーク企業を利用してメガバンクを目指すという大きな目標を立て、業容拡大に走った結果』と総括した」は「msn産経ニュース」でだいぶ前に見たのですが、読み返して、よ~く考えてみてください。
 「△社長は」以下の本文は、「破綻原因について」と前置きして『ある時点から~~~業容拡大に走った結果』が△社長の語った内容で、「と総括した」ですからこれでいいのですが、見出し部分の「原因は『業容拡大の結果』」はおかしいですよ。破綻は、業容拡大に走った結果ですよね。破綻の原因は、業容拡大に走ったことでしょ!?
 「原因」でもう一つ、「○○が沈没した1次原因は経歴1年の航海士の操縦未熟だったことが分かった」は「中央日報日本語版 4月19日(土)配信」の記事ですが、原因は「航海士の未熟な操船」で、「操縦未熟」は日本語として成立していません。「1次原因」も、「第一の原因」とか「最大の原因」とか、ほかに言いようがあるでしょ。その後いろいろなことが明るみに出て、それも一因に過ぎないということが分かりましたが。
 「単身女子の3分の2が手取り125万以下という『貧困女子』が増加」は、だいぶ前に「goo注目ワードコラム」で見たのですが、何度か読み返し、その言わんとしているところを考えてみてください。どうですか? 貧困女子が増加しているのですか、では、前半の「3分の2」は何なのでしょうか。こんな短い文の中で始めと終わりがちゃんとつながっていないなんて( ̄д ̄)!
 念のため、この話題について書いてあるほかの記事も検索してみたのですが、なんと、「今や単身女性の3分の1は手取り125万円以下・・・あなたの隣にもいる『貧困女子』の実態」というのがたくさん出てきました。へ? 3分の2ではなく、3分の1なの? 後者の文は割とちゃんとしているから、3分の1なのかなぁ。それに、3分の2は幾ら何でもひどすぎるでしょ!?
 これは確認しないといけませんよね、もうちょっと検索してみたら、2014年1月27日放送の「クローズアップ現代」、「あしたが見えない ~深刻化する“若年女性”の貧困~」というのが出てきました。「今、働く世代の単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも深刻化しているといわれるのが、10代、20代の貧困です」ということで、やはり3分の1が正しいようです。
 また、4月27日放送のNHKスペシャル「調査報告 女性たちの貧困」では「1人当たり可処分所得114万円未満で暮らす貧困状態」という表現が出てきました。すると、「125万円」はどこから出た数字? 「3分の1」がどうしたら「3分の2」になるの? 貧困女子が増加している、今は3分の1ほどに達していて、今後も減らないだろうということを言うのなら、「単身女性の3分の1が年収114万円未満、“貧困女子”が増加」とでも書いてください。
 これもだいぶ前ですけど、「賞与が支給されたら退職しようという考えは、退職を考える社員にとって誰もが考えるものです」というのを「gooコラム 教えて!ウォッチャー」で見ました。これは「賞与が支給されてからというのは、退職を考えている社員なら誰もが思うことでしょう」ですよね。「~コラム」の例は、書いたのがどういう立場の人なのか分かりませんが、あくまでも変な日本語の例としてたまたま私のアンテナに引っ掛かっただけですから、悪しからずm(_ _)m。
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「顰蹙かってる」って?

2014-05-04 09:31:00 | 言葉についてあれこれ
                               分からぁん

 日本で生まれたピクトグラムが世界に広がったという話はすでに皆さんご存じのことと思いますが、日本の顔文字・顔アイコンも人気があるそうですね。肝心の用事を言葉でうまく伝えられなくても、気持ちだけは通じる? だったら、いっそのこと、敬語も顔文字で表現する? できる?
 ところで、漢字とハングルで書かれた文章を若いときに読んだことがあるのですが、何となく意味は分かったのですよ。でも、今の韓国語はハングルばかりですから、母音と子音の組み合わせを見てどういう音になるか想像するだけで、意味は分かりません。勉強しようとは思うのですが、どうにも続かなくてぇ(^^;ゞ。それで、ちょっと疑問がわいてきたのですが、同音異義語をどうやって区別するのかな?
 韓国の大型旅客船セウォル号の「セウォル」も、ある番組では「世界を超越する」という意味だと言い、別の番組では「歳月」という意味だと言っていました。調べてみたら、「セウォル」は「世越」で、やはり「世界を超越する」ですね。「chosun Online」によれば、「俗世を越えて救われる」という宗教的な意味も含まれるようで、何だか背筋が寒くなるんですけど・・・。
 日本語でも、「はなをかきました」は「花を描きました」か「鼻を掻きました」か、ヒントがないと分かりませんよね。あ、「そんなの、話の流れで分かるだろ?」と思いました? あるのですよ、話を最初から聞いていても分からないことが。ディクテーション(音声おこし)をすると、「花を描きました」か「鼻を掻きました」か、というくらい分からないことが本当にあります。
 また、桝太一アナ(日テレ)の「賞品」がどうしても「商品」と聞こえたり、真下貴アナ(NHK)の「収斂してきた」が「修練してきた」と聞こえたり、アナウンサーやナレーターのイントネーションがおかしくて同音異義の別の単語に聞こえることが増えていて困りますが、正しく漢字を使い分けて書いてある文章なら、誤解は生まれません。
 しかし、最近ネット上でやたら難しい漢字を見掛けますよね。手書きならありえませんが、入力して変換すればいいだけですから、等閑、惚気、掻っ攫われた、蔑ろにする、庇う、顰蹙、縋った、唆される、躊躇う・・・、格好いいと思って使っているのでしょうか。その前に、もう少しちゃんとした日本語を書いてぇ~。ちゃんとした文章の中で使われてこその格好よさなんですよぉ~。
 さらに、漢字の使い分けどころか、漢字でないといけないところで平仮名が使われ、そのせいで読みにくい、何だかよく分からない、そんな文章を見掛けることもあります。ちなみに、「顰蹙」は、実際の文章では「顰蹙かってる」と書かれていました。「顰蹙を買っている」なら、「顰蹙」を読めなくても、「~を買っている」から「ひんしゅくを買う」かなぁと想像できるのですが・・・。
 「損害賠償を請求しないときが済まない」「彼のものさしではかられ」「必死に働いて女でひとつで子どもを育て」「振りかえっていました」「想いでの修学旅行」「意志をつらのこうとして」「かちかんが合う」「禅文化を海外に広くしらしめた」「そういう場合、費用は取らないか、とっても少額です」といった具合です。
 「損害賠償を請求しないと気が済まない」「彼の物差しで計られ」「必死に働いて女手一つで子どもを育て」「振り返っていました」「思い出の修学旅行」「意志を貫こうとして」「価値観が合う」「禅文化を海外に広く知らしめた」「そういう場合、費用は取らないか、取っても少額です」と書いてくださいよ。
 「貫こうとして」は、当たり前ですが、「つらぬこうとして」で変換しないと「貫こうとして」にはなりません。「つらのこうとして」で変換したら「面の公として」になりましたよ(^^;、もしかして、「面の公として」になって、なんか変だなぁと思って平仮名に戻したのか? ということは、あくまでも「つらのこうとして」だと思っている? 「とっても少額」も微妙だし~~~(・ω・)。
 漢字の読み方もけっこう怪しくなってきていませんか? 「男女一対の人形」をフジの加藤綾子アナは「いったいの」と読みましたし、テレビに映った一般の人が「おれいんさんのふくゆうりつ」と言い、「ふくゆうりつ?」と思ったら「オレイン酸の含有率」だった、ということもありましたし・・・。韓国の若い人はすでに漢字を読み書きできなくなっていると聞いたことがありますが、日本人はどうですかね。
 若者は新しい言葉をどんどん生み出している、豊かな感性がある、言葉は変化していくものだ、そういうふうにいわれることもありますが、肝心の、あらゆる世代の人が日常生活の中で使っている日本語を理解していない、変化というより崩壊、つまり、プラスよりマイナスのほうが大きいのでは?
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