◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「さとさせてくれた」って?

2011-05-29 09:09:45 | ディクテーションについて
                                すりすりさせてぇ

 聞こえない、言葉そのものが難しい、日本語としてちゃんと成立していない、これでどうしてすんなり文章になるでしょうか、なるわけがない! 30分も作業すると投げ出したくなります。そして、ハムやんを「んまいもんあげるからおいで~」と誘い出し、すりすり、ふがふが、気分転換~(~_~;)へへ。
 聞こえてはいるけれど何を言っているのかよく分からない、大多数の人がそうなのですが、足りない言葉を適当に補い、てきと~じゃありませんよ、適当に補って文章を作る、そうしないと「読める文章」にはならないのです。つまり、いかに聞き手に甘えて話しているか、ディクテーションをやるとよーく分かるのですよ。
 正確に文章化するにはちゃんと聞き取れることが最低条件になりますが、どうにも聞き取れないことが多い。どう頑張っても聞き取れない、つなぎようがないときは、しかたない、削りますよ。「その*は、我々は果たして*るのかどうか」というように、9割聞こえても肝心な1割が聞こえないというとき、話を勝手に作るわけにはいかないので、やはり削るしかありません。
 録音の状態が悪ければ、「うみうられるのはね」と聞こえたら、5回聞いても「うみうられるのはね」と聞こえます。とりあえずそう書いておいて、話をもう少し先まで聞いたら「○、△、□、ということがいわれるんですよね」と言いました。ということは、「うみうられるのはね」は「よくいわれるのはね」です。そうですよ、「うみうられるのはね」と聞こえるんですってば。
 「よくいわれるのはね、○、△、□、ということがいわれるんですよね」です。これはよくあるパターンで、無駄な繰り返し、最初と最後がちゃんとつながっていない、一つの文になっていないわけで、最初の「よくいわれるのはね」を削り、「よく」を後半に挿入して「○、△、□、ということがよくいわれるんですよね」とします。
 録音の状態はそう悪くない、でも、聞き取れない、聞き取れないくらい早口で言葉がぐだぐだに崩れている、そんな人もいます。もはや何語か分からない、宇宙人かよっ(ーー;)って感じぃ~。先日、ある委員会の議事録作成のためにディクテーションをやったのですが、委員の中に宇宙人が交じっていました。言葉として聞き取れるのは3割程度ですから、文章化なんて無理!
 要約というより、ほとんどカット。趣旨を大まかにつかんで短い文章にしました。その場にいてその人と会話している人は、当然、内容をよく分かったうえで話し合いをしているわけで、互いの顔を見ているし、身振り手振りも見ていますから、早口でぐだぐだでも何となく分かる、分かった気になっているかもしれませんが、音声を聞くだけだと、何度聞いても「○*が□※△◇◎から▽@д○жと思います」ですからね。
 録音状態が悪いせいで聞き取れないという以外に、話し手本人が言葉としてちゃんと発していないから聞き取れない、本人がちゃんと言っていないのだから分かるわけがないということもあります。よく「かむ」と表現しますが、かんでも言い直さないから分かりません。こんなものはいっそ削ってしまったほうが、間違った内容の文章にするよりいいでしょ?
 5回ぐらい聞いてようやく「私をさとさせてくれた」と聞こえたらどうしますか。「悟る」なら「悟らせてくれた」であり、「さとさせてくれた」ではない。「諭す」は「諭してくれた」であり、これも「さとさせてくれた」ではない。でも、何度聞いても「私をさとさせてくれた」と聞こえるのですよぉ~。
 ん~~~困った ┐( ̄д ̄)г。よし、削ろう。削っても支障はなさそうだし(~_~;)。いや、正確に言うと、支障のないように、前後の言葉を入れ替え、流れを少し変えて、されども趣旨は決して変えず、巧みに( ← 自分で言うのも変だけど)文章を作って自然な感じに整えました。めでたし、めでたし。(⌒・⌒)v
 ところで、皆さんお気づきですか? 5月1日の記事で大物俳優の「並び替える」について書いたのですが、テレビを見ていてびっくりしました。「並べ替える」とはっきりくっきり聞こえたのです。おお~、渡辺謙さん、かっこいい。だれかに指摘されて直したのかなぁ、それとも、前から疑問を感じていて、自ら調べて直したのかなぁ( ̄・ ̄)、だとしたら、こんな素晴らしいことはないですよね(⌒・⌒)。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由主義とギリシャ神話。

2011-05-25 20:55:19 | ディクテーションについて
                                 おいしいかい?

 ディクテーションはつらい! 聞き取りにくい音声は言うまでもありませんが、ちゃんと録音できていても、話し手の滑舌が悪いとそれはただの音になり、言葉としては聞こえません。言葉としてちゃんと捉えようとするとやはりとても苦労します。ただ聞いているだけなら、100のうち50しか聞こえなくても何となく分かる、分かった気になる、だからいいのですが、文章化するとなると100を聞かなければいけない、なのに50しか聞こえない、だから非常につらい作業になるのです。
 東京電力の武藤さんってば、何をしゃべっているのかよく分からないですよね。最近は意識しているのか、だいぶましになってきましたが、最初にテレビに登場してしゃべったとき、何語でしゃべってるの? 日本人でしょ、ということは・・・日本語? 日本語には聞こえないけど・・・と、本当に不思議でした。これで国民に向かって一体何を説明するというのでしょうかねぇ。
 やはりだれもちゃんと聞き取れなかったらしく、報道番組のキャスターが「何と言ったか正確には分からないのですが、○○ということのようで・・・」と言いました。しばらくして動画投稿サイトに東電副社長のフランス語会見という動画が登場し、なるほど、フランス語だったのかと妙に納得(~o~)。高性能のマイクでも、滑舌の悪さはどうにもならないのだ(ーー;)。
 素人が講演を録音、ライン入力ではないので反響してワンワンワンワン、何を言っているのかよく分からない。「アメリカの大人たちが自由主義を知っているかというと」と聞こえたので、とりあえずそう書く。でも、ちょっと変だと思うでしょ? アメリカ人が自由主義を知らない?
 それで、直前に子どもの話をしていたこと、ギリシャ神話を持ち出していたことを考え、「アメリカの子どもたちがギリシャ神話を知っているかというと」と書き直しました。こう書いてから聞くと、なんと、「アメリカの子どもたちがギリシャ神話を知っているかというと」と聞こえるのです。
 いいかげんな録音だと、最初に聞こえたとおりに書くとこのくらい違うのです。何回聞いても結果は同じ、やはり「アメリカの大人たちが自由主義を知っているかというと」と聞こえますから、疑問を感じたら、話の流れからいって多分こうではなかろうかと、違う言葉を想像して書いてみる、想像力が鍵です。
 言っときますけど、ここで「なんか不自然だな、ひょっとして違うんじゃないか?」と思わない作業者は「アメリカの大人たちが自由主義を知っているかというと」と書いて終わりですよ。スマートで上品な女性の話の中に脈絡なく「便所」という言葉が出てきて、そのせいで話がめちゃくちゃになっているのにそのまんま、それで納品という作業者だっているのです。
 アナウンサーがみんな正しい日本語を話していると思ったら大間違い、ディクテーションを職業としてやっている人がみんな正確に言葉を聞き取って正しい日本語で読みやすい文章に整えることができると思ったら大間違い、真面目な人、そうでもない人、いいかげんな人、いろいろですよぉ~~~(~_~;)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王莽も酵母もこうむ。

2011-05-22 09:18:53 | ディクテーションについて
                                 なんか、すごい

 知人から頼まれたディクテーション(いわゆるテープ起こし、テープじゃないけど)を休日にずっとやっているのですが、も~~~いやっ、二度とやりたくない。まだまだ終わらないけれど、引き受けた分をやり終えたら次はもうやらないと言わねば(-_-;)。
 何がいやって、声がワンワン反響していて聞き取れないのです。そもそもライン入力の音源なんてめったにありませんけどね。これは会社の仕事ではなく、ただのアルバイトですから、静かな自宅でやっています。でも、聞こえない。例えば、「ていふおー」と聞こえる単語、「だいちばいじんぐ」と聞こえる単語、何度聞いても「ていふおー」「だいちばいじんぐ」です。そんな単語、知らないよ、っていうか、ないでしょ!
 何度も何度も聞きます。「ていふおー」「ていふぉー」「ていほー」、後に続くのは「のバラ」、薔薇です。「ていふおーのバラ」、これで分かった人はすごい! 分かる人がいるかもしれませんよ、ニュースになりましたからね。見たことない? 「レインボー」ですよ、「レインボーのバラ」。だいぶ前ですけど私はたまたまニュースで見ましたから、5回ぐらい聞いたところでハッと思い出し、「レインボー」だと分かりました。
 「だいちばいじんぐ」「まんいちばいじん」「まいにちだいじ」「ばいちだんじ」・・・10回ぐらい聞いて、最初の「だ」もしくは「ば」は「え~ま~」の「ま~」だとすると、そこを無視して「ちばいじん」か・・・「ちあいじん」「ちあいじ」・・・「ちあえんじ」・・・「ちあれんじ」かな・・・、お、「チャレンジ」なら意味が通じるぞ、「チャレンジ」だっ、とまぁ、こんな感じ~(-_-;)ヤレヤレ。
 しかも、内容が、天文学や生命科学、哲学など、専門用語が多く、非常に難しい。たとえクリアに聞こえていたって正確に聞き取るのは難しい、その言葉を知らないと聞き取れないものなのに、断片的にしか聞こえない。よくもまぁ、こんなものを寄越してくれたわねぇ・・・、録音する人って、みんなこんなもん( ̄_ ̄)。
 研究者って、論文を書いたり発表したりするから日本語が一般人よりちゃんとしていると思うでしょ? ところがどっこい、だめ、全然だめ! ちゃんとしゃべれる研究者なんてめったにいません。言葉が足りない、日本語の組み立てが全くなっていない、いいかげん、てきと~~~で、語尾も聞こえない、何を言っているのか分からない。
 資料があればそれを頼りに何とか言葉を追いかけ、日本語になるようにつなぎます。資料に出てこないものなら、先のほうまで聞いて何について話しているか内容を理解してから想像する、一つの言葉をいろいろな前後の関係の中で何度も聞いてから、さっきの**は○○と言っていたんだなぁというふうに判断します。
 「王莽も酵母もこうむ」というのは、「王莽(おうもう)」も「酵母(こうぼ)」も「こうむ」と聞こえるということです。録音状態が悪いので、音としてはどちらも「こうむ」と聞こえるのです。でも、その話の中で「こうむ」という言葉はありえないわけで、こうむ、こ~む、くぉ~む、そんなふうに聞こえる言葉を、その周辺に聞こえる言葉をヒントにして探さないといけないわけです。
 それで探し当てた言葉が「王莽(おうもう)」、おうもう、おうも、おうむ、こ~む、「酵母(こうぼ)」、こうぼ、こうも、こうむ、という具合です。ディクテーションには、浅くてもいいから、とにかく広い知識と想像力が必要です。ちょいと引っ掛かったところから調べて掘り下げていくわけで、否応なしに調べさせられますよ、結局自分で調べないと文章にはできないのですから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「元気を与える」って?

2011-05-18 20:58:47 | 気になる言葉、具体例
                             みんなを元気付けてくれ

 北陸放送の夕方の番組で、金沢の市祭である百万石まつりの珠姫(たまひめ)役と利常(としつね)公役が決まったというニュースを見ました。「どんな珠姫になりたいですか」と質問された珠姫役の子(5歳)が「みんなに元気をあげられる珠姫です」と答えたのに、テロップは「みんなに元気を与えられる珠姫です」となっていました。え~っ、なぜわざわざ書き変えるの~っ? <(`^´)>
 「勇気をもらう」のような「元気をもらう」という言い方が「元気付けられる」「元気になる」よりも多く聞こえてきますが、「元気」と「勇気」は似て非なるものです。「勇気」は「ある」か「ない」かですが、「元気」は、「元気になる」「元気な子ども」「あの人はいつも元気だね」というように、「ある」「ない」だけではなく、いろいろ言い方があります。また、「勇気を出して敵に立ち向かう」とは言うけれど「元気に敵に立ち向かう」とは言わないように、重みも違います。
 「元気」はもっと身近な感じで、本来だれもが当たり前に持っているものではないでしょうか。たまになくなることもありますが、ご飯を食べたり、休息したり、だれかに励まされたり、ちょっとしたことで回復する・・・、そう、もともと持っているから減っても回復するものですよね。元気な人は周りに大勢いるでしょ? じゃぁ、勇者は? いる? 勇気のある人はたま~~~に見掛けますけどね。
 要するに、「元気」と「勇気」を全く同じに扱ってしまうのは誤りなのだと言いたいわけです。「勇気を与える」「勇気をもらう」はいいのですが、「元気を与える」「元気をもらう」はどうもいけません。絶対にだめだとは言いませんが、安直すぎやしませんか? 言いやすいから、というのは分からなくもないのですが、やはり「元気付ける」「元気になる」と言ってもらいたいものです。
 大体、「元気を与える」って何なんでしょうねぇ。「勇気」ほど特別なものでもないのに、まぁ~~~御大層な言い方ですね。「与える」は何にでも使われて、しまいには「混乱を与える」「貢献を与える」「攻撃を与える」「暴行を与える」なんてとんでもない言い方まで聞こえてくるのですからあきれます。H・Y氏に至っては、「ご迷惑をお与えする」なんて言いましたからねぇ~~~( ̄д ̄)!
 「元気を与える」「元気をもらう」と大人が言うのをさんざん聞かされ、子どもは子どもなりの言葉で「元気をあげられる」と言った、それをまた大人が「元気を与えられる」と書き変えた・・・、いいかげんにしてくれっ、テロップ入力作業者よ。o(`д´)o
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ご使用できません」の続き。

2011-05-15 09:19:31 | めちゃくちゃな敬語
                              癒やしを求めています

 CMで「お求めやすい」をよく聞きますが、正しくは「お求めになりやすい」です。CMの制作者は本当に罪が重いですよ。わざと日本語を崩壊させようとしているとしか思えません。考えすぎですか? そんな大それたことは考えてない? ただ単にばかなだけかぁ(ーー;)( ← 最近はっきり言うね)。買う側は「求めやすい(買いやすい)」、売る側はこれに「お」を付けただけ? これで敬意を表しているつもり?
 じゃぁ聞くけど、「お買いやすい」とは言わないの? 変だから? でも、「お求めやすい」は平気で言えるの? 誤りでも、みんなそう言ってるんならいいじゃないかという考え方は、日本語に関することだけでなく、何事においてもよくありませんね。そもそも最初は「みんな」ではなく少数のはずですが、これを放置して徐々に増え、やがてメディアが堂々と繰り返して爆発的に増え、だれも誤りだと認識できなくなって定着する、このパターンで次々と日本語が崩れていくわけで、それは時代に合った変化とは違います。
 例えば、「お教えできません」とAさんがBさんに向かって言ったら、AさんはBさんに対して謙譲表現をしていることになります。Bさんは、Aさんより立場が上、あるいは年上の人で、Bさんから何かを教えてほしいと求められたけれど、言いたくない、言えない、教えることができないわけです。言ってもいいなら「お教えします」と言えばいいのですが、それができないのですから、「~します」ではなく「~できません」、「お教えできません」ですね。
 「ご使用できません」は「ご使用」に「できません」と続けただけ、「お買い上げした」は「お買い上げ」に「した」と続けただけ、同じです。尊敬でも謙譲でもない、それどころか、日本語としてありえない形です。敬語の基本の形を日本人が知らない、知ろうとしない、でも、日本語を学ぶ外国人は知っている、だから外国人の敬語のほうがちゃんとしています。
 「求める(買う)」という行為について、いろいろな場面を想像してみてください。買う側は客、「お客様は神様です、三波春夫でございます」、知らない? はい、先に進みますよ。客は売る側より立場が上、だとすると、客が「求める(買う)」を謙譲表現にする必要はないということになります。
 売る側が客の「求める(買う)」という行為について敬意を込めて言うなら、「お求めになる(お買いになる)」が基本です。「大変お買い得ですよ、今日お求めになれば半額です」とかね。そして、「お求めになる(お買いになる)」の「なる」を変えて「お求めになりやすい(お買いになりやすい)」とするわけです。
 店の人が客の「ポイントカードを使用する」という行為を言うなら「ご使用になる」であり、「ご使用になる」の「なる」を「なれません」にして「ご使用になれません」が正しい形です。「ご使用」に「できません」を続けてもだめですよ。「使用できません」の頭に「ご」を付けるのでもありませんから!
 「ご(お)~になる」が基本の形ですから、この形の中で「なる」を変化させてさまざまに表現するわけです。「なる」「なれる」「なりやすい」、否定なら「ならない」「なれない」「なりにくい」ですね。だから「お求めになりやすい」「ご使用になれません」なのです。基本の形さえ分かっていたら、あとは、日本人なら想像できるでしょう?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ご使用できません」って?

2011-05-11 19:56:52 | めちゃくちゃな敬語
                                 どしたらいい?

 米や野菜、その加工品などを扱うお店の○○店がオープンしたので先日行ってみました。餅と惣菜を買ってレジに行くとA4の紙に何か書いてあったのですが、読んでがっかりしました。「本店のポイントカードは○○店ではご使用できません」ですって。ポイントカードはそもそも持っていないからいいですよ、でもねぇ、「ご使用できません」って・・・えっらそぉ~にぃ~o(`д´)o
 本来「ご使用になれません」と書くべきなのですが、さて、困った、指摘したらどうなるだろうか、想像してみました。これまで、誤りを直接指摘して、その結果、誤りが訂正されたということはただの一度もありません。えーっ、そんなことないだろ~? という声が聞こえますが、本当です!
 もちろん、教えてくれと言われて指摘した場合は訂正されるのですが、それは本人が求めているからであって、教えてくれと言われていない対象について指摘すると必ず無視されます。「どうでもいい」「ほっとけ」という態度は論外ですが、「知らなかった、勉強になった、ありがとう」という態度の人でも、なぜか、直らないのです。つまり、前者は「直さない」、後者は「直らない」のです。
 4日の記事に書いたように、反射的に竹冠を書く人は、草冠だと指摘してもすぐに忘れて竹冠を書きます。漢字の使い分けにしても、もう何十年とそう書いてきたものは、誤りだと指摘されても直りません。本人が、誤りがあればすぐに修正したいと思っているか、あるいは、何らかのきっかけがあってふと疑問を持ち、自分で確かめるか、そうでないと直らないのです。
 というわけで、この店の担当者が直す人か、直さない人か、直らない人か、それは全く分からないので、指摘した結果、直さない人もしくは直らない人だったらがっかりしますよね。そうなる確率が極めて高いのですから、店に買いたいものはある、けれど、その張り紙がそこにずっとあったらと思うと・・・いっそのこと黙っているほうがいいか、はてさて、どうしたものか(ーー;)う~む。
 ところで、この前の日曜日、ちょっと珍しいことがあったのですよ。「新 報道2001」で須田アナが「~訂正します。正しくはこちらです、ご覧ください」と言うので見たら、テロップが、これは人の名前ですね、出ていました。なんとまぁ珍しい、素晴らしい。どの番組でもそうですが、「間違っていました」と言うだけで、正しい表記はどうなのか結局分からない。そんなの意味がない、けれど、ほとんどそうです。
 ぱっと手書きしたフリップを見せて訂正したのを見たことは1~2度ありますが、ちゃんとテロップにしてあるのを見たのは初めてかも。でもね、テロップがそもそも人の名前を間違えること自体、あってはいけないのですよ。せめて名前ぐらい、画面に出す前にちゃんと調べて、きっちりチェックしてよね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「○○さんがお買い上げしたもの」って?

2011-05-08 08:41:47 | めちゃくちゃな敬語
                              ハッピーになれるもの

 「ZIP!」のナレーションなのですが、「○○さんがお買い上げしたハッピーになれるものとは?」って・・・( ̄д ̄)! 芸能人が1000円で好きなものを買うのですよ、それだけ。そういうコーナーなのですが、毎回「○○さんがお買い上げしたハッピーになれるものとは?」と言うのですよ、あほなナレーターが( ̄д ̄)!
 「お買い上げ」は相手が買うことの尊敬語ですが、これに「した」を続けるって一体どういうセンスなんでしょうね。「お買い上げした」なんて、そんな言い方はありえません! 「お買い上げ」というと「○○さん、お買い上げぇ~~~」と商売人が声を張り上げるイメージですが、ナレーションなら「○○さんお買い上げのハッピーになれるものとは?」と言いましょうよ。
 ゲストに対して「お試しになった」とは言えても「お試しした」はだめ、そんなふうには言いません。これぐらいは何となく分かりますよね。「お薦めになった」は尊敬表現ですが、「オススメ(お薦め)した」は謙譲表現になります。もちろん、受身の「オススメ(お薦め)された」なんてありえません!! 「お問い合わせしてみてください」なんて、アナウンサーのくせに言うなよぉo(`д´)o!!!
 じゃぁ何て言えばいいんだ、って? 「問い合わせてみてください」と言えばいいじゃないですか。何でもかんでも無理やり尊敬表現っぽくしようとするからおかしくなるんでしょうが <(`^´)>。詳しいことは自分で聞けよって言ってるんでしょ、「問い合わせてみてください」で十分です。電話番号を教えてくれるのなら、「お問い合わせは×××-××××へどうぞ」ですね。
 大体、「した」って何なの、「した」って。幾ら「お買い上げ」に続けたからって、結局「した」ですからね、とてもじゃないけど尊敬表現には聞こえません。そもそも「ご説明した」「お伺いした」「ご(お)~する(した)」は謙譲表現の基本の形なのですから、それと同じ「お~した」で尊敬表現のつもりって、どうかしてますよ(-_-;)。
 ちなみに、「する」の尊敬語は「なさる」ですから、「した」は「なさった」です。「○○した」ではなく「○○なさった」、時代劇で「おいでなすったね」とか、ドラマで「どうなさったの?」とか、聞いたことありませんか。「○○したんですか」と聞けない場合は「○○されたんですか」と聞くのでしょうけれど、「○○なさったんですか」が上等な表現ですから、一度ぐらい言ってみたら?
 あ、出た、「夏の気配を感じられそうです」だって。季節の変わり目になると必ず聞こえてきますが、「夏の気配が感じられそうです」ですよ、天気予報のお姉さん、気をつけてくださいね~( ̄ ̄)。詳しいことは、2009年10月14日の「あまり意味を感じられない」って? でご確認ください。(^^ゞ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

草冠やっちゅうの!

2011-05-04 19:59:03 | 言葉についてあれこれ
                               ハムやん、ハムやん

 「○田」さんは「○だ」と「○た」、「○崎」さんは「○ざき」と「○さき」、さらに、「さき」は「崎」と「」というように、似ているけれど違う読み方や違う漢字ということがある、人の名前、この扱い方について皆さんはどのように考えますか?
 あるとき、雑談の中で「○田(○だ)」さんが出てきて、私の知らない話だったので黙って聞いていたら途中から分からなくなってきました。話の中にどうやら2人の「○田」さんが登場していたようで、どちらも「○だ」と言うので私には区別がつかなかったのです。ちなみに、話をしていたのは前回の「そんなことどうでもいい」の人です。
 昔、「佐藤」さんが同じ部屋に3人いて、「赤砂糖」さん、「白砂糖」さん、「黒砂糖」さんと区別していたという話を聞いたことがあります。「○田」さんもよくある名前で、職場に一時は3人もいたのですが、今は2人です。で、私は、一方を「○だ」、他方を「○た」と呼んでいます。だって、「○た」さん自身がはっきり「○た」だと言っていますし、アルファベットでは「○TA」と書いているのですから、当然ですよね。
 どちらも「○だ」だと話をどうにも理解できないので、「○だ」は「○だ」、「○た」は「○た」と言ってほしいとお願いしたら、なんと、「そんなことどうでもいい」と言い放ったのですよ。あのね、そっちはどうでもよくてもこっちは困るのよぉ~。ちょっと腹が立ちましたが、説教するような場でもなく、また、説教しても無駄であることは分かっていますから・・・(-_-;)。
 名前、アイデンティティ・・・これってどうでもいいことですか? ちなみに、私の本名はほとんどの人が違う読み方をします。珍しい名前ではありませんが、読み方は少数派です。そして、漢字ですが、一つは草冠の漢字です。でも、これを竹冠で書かれることがちょいちょいあります。
 分からないのが、テレビでも草冠のほうはちょくちょく見掛け、竹冠のほうは見たことがない、なのに竹冠を書くということです。竹冠が多数派ということではない、それでなぜ竹冠なのか。○冠というと竹冠を反射的に書いてしまう人がいるのです。でも、竹冠にすると私の名前のような読み方はできないのですよ。
 私が「草冠にぃ」と言っているのを聞きながら竹冠を書く人もいますし、草冠で書いてあるのしか見たことがないはずなのに竹冠を書く人もいます。後者は、「並び替え」とはっきり自信を持って言っている○田(○た)さんです。どうせ言っても無駄なので、竹冠ではないと指摘したことはありません。放置します(~_~;)。
 ある店で買い物をして領収書をもらいました。私が書いた草冠の漢字を見ながら店の人が領収書に名前を書いたのですが、竹冠でした。その店は初めてだったので、「竹冠じゃなくて草冠だよ」と言ったら、「あら、ほんと、ごめんなさい」と言って書き直してくれました。先日、またその店で買い物をして領収書をもらったのですが、竹冠でした。もう「草冠だよ」と言う気も起きません。決してどうでもいいわけではありませんよ、もう二度とその店には行きませんから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大物俳優も「並び替える」かぁ。

2011-05-01 09:16:11 | 電子書籍(でじたる書房)
                                 ABC、はいっ

 邦画はもちろん、ハリウッド映画にも出るような俳優がCMで「肩書きで人を並び替えるなんて」と言っているのを聞いてがっかり。CMですから毎日繰り返されるわけで、聞くたびにため息が出ます。渡辺謙さん、英語力が上がっても、日本語力が落ちたら何にもならないじゃないのっ<(`^´)> これでまた誤りを誤りだと思わなくなる人がどっか~んと増えるな。あほな芸人が言うよりずっとインパクトがありますからねぇ。
 あるとき、職場で雑談をしていてたまたま「並び替え」に触れたら、それを聞いていた人が「そんなの意識したことない」と言いました。ま、いいですよ、分かったら直せばいいだけのこと。でも、その人は、その後もずっと「並び替え」と言っています。また、後日、人名の読み方について話したら、「そんなことどうでもいい」だって。これはちょっとねぇ・・・、「並び替え」とは訳が違いますから・・・(-_-;)。
 多くの日本人がこの人と同じ、だから日本語は崩れる一方なのだと、それは分かっているのですが・・・。私は変な日本語アレルギーです。何それ?とお思いになったかたは2007年4月17日投稿、「ストレスと闘いながら」カテゴリーの「変な日本語アレルギーとは何ぞや」という記事をご覧ください。先日もやはりアレルギーなんだということを実感しました。ネット上の文章中に「○○ゎ△△」と書いてあるのを見た瞬間、ワッと叫んでそのページを反射的に閉じました。「は」ではなく「ゎ」・・・残念です。
 変な日本語アレルギーになって、ちょっとでも何とかしたいなぁと思って電子書籍を作ったのですが、こんなものはないも同然です( ← 相当落ち込んでる (-_-; )。自分が知っている範囲の日本語で十分だ、正しいかどうかなんて関係ない、そういう人が圧倒的に多いのです。このブログを読んでらっしゃるかたも、日ごろそうお感じになっているのではありませんか。
 今、リーマンショックからの長い長い不況や震災の影響で放送業界も大変なようです。予算がないから番組作りもコスト削減、過去に放送したネタで何とかやり繰り、VTRの使い回し、だから、見たことがあるものばっかり。ニュースだって同じものを何度も何度も見るでしょう? それは当然だって? そう、当然なんですが・・・。
 夜のニュースで「会社を再建させるのに必要なもの」というナレーションとテロップがあって、翌朝の「モーニングバード」で全く同じ繰り返し、やはり「会社を再建させるのに必要なもの」です。自分の会社をだれに「再建させる」のでしょうかねぇ( ̄д ̄)! 正しくは「会社を再建するのに必要なもの」です。
 だれも誤りに気づかず、たとえ気づいても直さない(直らない)。そんな手間はかけられないという事情もあるとは思いますが、「どうでもいい」という人がほとんどなら直す必要はないし、大企業でも日本語の正誤なんて考えないのですから、ディレクターが正しい日本語で原稿を書くよう心掛けるなんてことはありません。「雰囲気伝わりゃいんじゃね?」とか言ってそう(ーー;)。一体どうしたらいいんだぁ~o( ̄д ̄)o
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする