◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「蔑まされたり」って?

2015-09-27 09:53:41 | 言葉についてあれこれ
                                  行かんといてぇ

 「左遷させられた」と言ったのは本社から地方の営業所に飛ばされた人、まさに左遷された本人ですから明らかに誤りです。セリフでもナレーションでも、ただのおしゃべりでも、なぜかちょいちょい聞こえてくるのですが、左遷された本人が「左遷させられた」なんて、日本人なのに「される」と「させられる」の区別すらできないなんて、情けない、ひどすぎます。状況が正反対になってしまうような誤りを誤りだと気づいていない人が大勢いるという現実に寒気がしますよ。
 石川テレビの竹内彩華アナなんて、「とろみをつけます」と言うべきところで「とろみをつけさせます」と言い、「(打ち上げ花火は)自分で着火して逃げるというイメージ」と言うべきところで「自分で着火させて逃げるというイメージ」と言いますからね、いつもいつも余計な「させ」を入れる、完全な「させ」症候群患者です。
 「100分de名著 斜陽」で、講師が「人間にさせようとしてくれるんだけども」と言ったのですが、へぇ~、作家で、しかも大学教授、それでも「させ」症候群を発症するのですね。話の流れは「お母さんの引力から脱出して一人の“かず子”という人間になっていく、かず子の人間宣言、蝮(まむし)は予感、自分をどこかに連れていこうとしている、人間にさせようとしてくれるんだけどもそれが何なのか」です。
 「それが何なのか」の答えは「恋」で、かず子は恋によって一人の人間になっていくというわけです。ということは、かず子を人間にしようとしてくれるのは恋なのですね、なぁ~んだ┐( ̄д ̄)г。かず子は「人間になる」で、かず子を「人間にする」のは恋、いいですか、「人間にさせようと」ではなく「人間にしようと」です。
 さらに、戦争で大黒柱を失った女性たちがやがて人間として自立していくという話をしていて「もしかしたら哀れまれたりとか蔑まされたりしてる中で」と言った伊集院光、このブログには、「ドラマに出してもらった」「出てこなそうですけど」と、ちゃんと話しているほうの例として登場する伊集院光なのに、ちょっと残念。
 「哀れむ」の受身表現としては「哀れみを受ける」が多く、「哀れまれる」は滅多に聞きませんが、「蔑まれる(さげすまれる)」はたまに聞きますよね。なのに「蔑まれたり」と言えないなんて「させ」症候群の兆候か? でも、これは「され」で受身だし、ちょっと違うような、それに、サ入れの定義からも外れるし・・・。
 と、ここで、小倉智昭が言った「度肝を抜かされたんですが」について2009年4月に書いたことを思い出しました。もうお分かりだと思いますが、正しくは「度肝を抜かれたんですが」ですね、びっくりしたのは自分ですから。余計な「さ」が入っているのですが、サ入れの定義とは違う、もっとレベルの低い誤りです。やはりこれも感染源は小倉智昭だったのかなぁ( ̄_ ̄)。
 6月14日の記事で「やらなそうな」と言った渡辺真理を褒めたのに、7月26日放送の「そこまで言って委員会NP」では「うまくやっていけなさそうな」なんて言うのですから、「やらなそうな」はまぐれだったのかな、がっかり( ̄д ̄)。今は、余計な「さ」を入れる人のほうが多いのですから、どうしたものでしょうか。打つ手なしで、これも変化だと思って見ているほかないのでしょうか。
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「幼稚園にエイダを出迎え」って?

2015-09-20 10:10:46 | 気になる言葉、具体例
                                  こんにちは

 アナウンサーの多くが「お迎えしていただいて」だの「お迎えしてくれるんです」だの、「お迎え」を「していただいて」、「お迎え」を「してくれるんです」だと思っているようですが、それなら、自分が誰かを迎えるときはどのように言うのでしょうかね。「いただいて」を外して「お迎えして」ですか、それは「お迎え」を「して」ですか?
 テロップ入力作業者に至っては、話し手が「子どもを迎えに行く」と言っているにもかかわらず「お迎えに行く」と書くのですからあきれます。話し手が言っているとおりに書くのが基本、必要なら要約する、テロップはそういうものだと思うのですが、せっかくちゃんと「子どもを迎えに行く」と言っているのですから「子どもを迎えに行く」と書けばいいじゃないですか。なんだかすごく腹が立ちますo(`д´)o!
 橋本アナ(北陸朝日放送)は「○○がお出迎えしてくれましたよ」なんて言うし、柴美穂(アナウンサー、石川テレビを3月に退社)も、リポーターとして訪れた店の主人が奥から出てきたとき「お出迎えしてくれた」でしたし、森結有花アナ(石川テレビ)は「○○が出迎えしてくれるんですね」と言いましたよ。全くもぉ、三人とも、アナウンサーなのに「出迎えてくれました」と言えないなんて恥ずかしいぞ( ̄~ ̄)。
 しかも、柴美穂ときたら、店の入り口にある水槽の中の魚についても「出迎えてくれますね」なんて言うのですからo(`д´)o! 店主は店の奥から入り口近くまで出てきたので「出迎えてくれた」でいいですが、魚は水槽から出ないし。そして、このごろは、もっとおかしい「出迎え」「お出迎え」が聞こえてきます。
 「世界法廷ミステリー第4弾」(フジテレビ)は、ちらっと見ただけですが、「幼稚園にエイダを出迎え」というナレーションはしっかり聞こえました( ̄д ̄)ダラケ! 親が、幼稚園に、エイダ(自分の子ども)を迎えに行く、これを「出迎え」と言ったのですよ。誰がこんなの書いたの? 幾ら何でもおかしいでしょ! それをそのまま読んじゃうナレーターもナレーターですよ( ̄д ̄)!
 「こんな格好でお出迎えするゲストのかたは△△さん」と言ったのはウエンツ瑛士です。ウエンツ瑛士は進行役で、ちょっと変わった格好をして画面中央に立っていて、そこへ△△さんが入ってくるわけで、ウエンツ瑛士がどこかから出ていってゲストを招き入れるわけではありませんし、△△さんのいる場所まで行くわけでもありません。
 「出迎える」とは、出ていって迎えること、例えば、お客様を自宅にお招きした、到着したお客様を玄関に出てお迎えし、家の中へ案内する、こういうことですよね。「渡辺篤史の建もの探訪」では、いつも訪問先の家族が外に出てきて、まずは外観の説明をして、それから家の中へと渡辺さんを案内しています。つまり、お客様(渡辺さん)を出迎えているわけですよ。あ、そうそう、渡辺篤史は「2階へご案内していただきます」なんて言っていましたけれどね┐( ̄д ̄)г。
 「迎えていただいて」「迎えてくれるんです」「子どもを迎えに行く」「○○が出迎えてくれましたよ」「(店の主人が)出迎えてくれました」「○○が出迎えてくれるんですね」「(水槽の魚が)迎えてくれますね」「幼稚園にエイダを迎えに行き」「こんな格好でお迎えするゲストのかたは△△さん」「2階へご案内いただきます」もしくは「2階へ案内していただきます」でしょ!
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「お入りできません」って?

2015-09-13 09:55:32 | めちゃくちゃな敬語
                                  入ってていいよ

 きちんとした文章なのに助詞が抜けているなんてもはや珍しくもないですが、「話始めました」はさすがに変ですよ、「話を始めました」でないといけません。「冷やし中華始めました」と同じではいけないのです。いや、むしろこれは「話し始めました」でしょ! 逆に、名詞の「話」なのに「話し」と書いてあるものまであるのですから実にいい加減ですが、これぐらいはちゃんと区別しないといけないのですよ。
 北陸放送「絶好調W」で須田健太郎アナが「予約必至の幻のパン発見」と言うのが聞こえて( ̄д ̄)! と思っていたら、その後に「○さんからご紹介いただいたお店」と言ったのですが、これは(⌒・⌒)good! で、その後に見たテロップが「それでどうなるかって話しやし」って、それは「話」やしっ! 「話し」と入力したテロップ入力作業者! ほんなテキトーな仕事しとったらだめやがいね( ̄д ̄)ダラケッ!
 「相棒」season10#5「消えた女」(脚本 戸田山雅司)で聞いた「杉下さんに聞いてもらいたいお話があって」というセリフ、守村やよいという登場人物が自分のちょっと奇妙な体験について右京に話すわけですが、話したいのは自分の体験談ですから「お話」は誤りで、「話」でないといけません。自分の「お仕事」も誤りですよ。他の人の「お話」と自分の「話」ぐらい、日本人なら区別してください。
 本来は「結婚なさる」「結婚される」ですが、「ご結婚なさる」「ご結婚される」は、「ご結婚」を「なさる」、「ご結婚」を「される」だと考えられなくもない、というより、多くの人はそういう感覚で言っているのではないでしょうか。この場合、結婚するのは目上の人、だから「ご結婚」、そういう気持ちは分かります。でも、自分の話を「お話」と言うのはやめてくださいよ、幼稚ですから。
 そもそも勘違いしていますよ。「おはなししたいこと」は「お話ししたいこと」であって「お話、したいこと」ではありません。羽鳥慎一は「お話しする」という謙譲の基本の形を認識しておらず、「お話しになる」と言うべき場面でも「おはなしする」などと言います。「話す」でも「話をする」でもなく「お話、する」で、何でもかんでも「お話」という変な感覚がここからまん延していったのではないでしょうか。人気者は簡単にスーパースプレッダーになるから恐ろしい~。
 「警務課とおはなししてください」は「刑事7人」#9で聞いたセリフですが、「お会いになっていないのですね」と言うべき場面で「お会いしていないのですね」と言うのと似たような誤りで、「警務課と話をなさってください」と言うべき場面でした。「おはなしして」は謙譲語です。なのに、多くの人は「話を」と言わずに、かっこつけて「お話」と言うので、「おはなしして」が誤りだとは気づきません。全く、ばかげた話です。
 「スーパーJチャンネル」で中継先からリポートしていた人も「おはなししてくれました」ですし、三雲孝江ですら「おはなししてくださっていて」などと言うのですから世も末です。それでも、三雲孝江は、羽鳥慎一なんかとは違って「お話しする」という謙譲の形は認識しているでしょうからね、「お話、してくださっていて」なのでしょう。それほどに、「お話」がすっかり広まって定着したということでしょうか。
 「ご用意していただきました」と言ったのは石川テレビの竹内彩華アナ。直後に「クイズ にほんごいろは」なんていうコーナーをやるのですから、ほんっと、やだ! 「ぜひ、メモをご用意していただいて」と言ったのは草野仁。草野仁ですら「ご用意」+「していただきました」って?! もうだめだ <( ̄д ̄)>。「話して(はなして)くださいました」「ご用意いただきました」と言えないならテレビに出るな!
 少し前にテレビ朝日の大下容子アナが「ご利用できません」と言うのを聞き、ベテランなのに残念、と思っていたら、北陸朝日放送の恩田琴江アナが「お求めできます」って、言ったね、恩田さん、「お求めできます」って。「お求めやすい」はしょっちゅう聞こえてきますし、テレビ金沢の塚田アナだって「お求めやすい価格で」なんて平気で言うのですからね、今更驚きはしませんが、さすがに「お求めできます」にはあきれました。「お求めになれます」も言えないでアナウンサーなんかやるなo(`д´)o!
 「この期間はお入りできません」と言ったのはあるセミナーの講師。講師というくらいですからあっちこっちで大勢の人を前にして話をするのが仕事ですが、そういう人ですら「お入りできません」ですよ。例えば「ご入場できません」なら、そのように言っている人は何人もいそうですが、さすがに「お入りできません」はないですよね、初めて聞きました。「お入りになれません」も言えないで講師なんかやるな!!!
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「3種類のパスポート」ではなかった。

2015-09-06 09:56:54 | 言葉についてあれこれ
                                  スパイ?

 「所さん!大変ですよ」で「3種類のパスポート」と言った徳永圭一アナ。3種類? そういえば、5年のとか10年のとかあったっけ、あと一つは何だろ・・・、ん? そのパスポートを使って3人分の銀行口座を開設したって? 振り込め詐欺に使う? ハムやんのご飯を用意したり保冷剤を取り換えたり、あちこち動き回ってテレビ画面は見ていなかったのですが、いよいよ訳が分からなくなってついにはテレビの前に仁王立ち。
 どうやらパスポートは1冊だけで、消せるボールペンを悪用し、名前を、“読みは同じだけど別の漢字”に書き変えて別人の物のように見せる、つまり、1冊のパスポートを3人分のパスポートに見せ掛け、それを使って3人分の銀行口座を開設したという話のようです。あのね、それを「3種類のパスポート」と言うのは違うでしょう? 話の冒頭でズバリ言いたくないとしても「3種類」はだめでしょ、「3種類」は。
 アイドルの握手会が開かれている会場でリポーターが「次から次へと握手会が行われています」と言ったのですが、どういうことか想像してみてください。普通に考えれば、例えば午前は池袋、午後は新宿、夜は渋谷というように、各地で握手会を開いているといった状況になりますが、一つの会場で集まったファン全員と握手するのに7時間ほどかかった、それほど大勢のファンとどんどん握手していった、ということでした。
 「世界に嫁いだ日本人妻」という番組で見た「カースト制度の家に嫁いだ女性」というテロップ。ナレーションは「厳しいカースト制度の家に嫁いだ女性」と何度も繰り返しました。「カースト制度」という言葉は知っていますが、「カースト制度の家」とはどういうことか? 夫の職業は観光ガイドだそうですが、どういう位置になるのか、具体的に何がどう問題なのかよく分からない~。
 日本人らしいセンスの日本語を操れる人が減り、どうにも伝わらない日本語だらけになっています。しかも、ヴィッツのリコールのとき(2013年7月)もそうでしたが、分かっているはずの人(ネッツトヨタ石川の販売店の人たち)に尋ねてもちゃんと分かるように説明してはもらえなかったのですからね。テキトーに書いた文章でも誰かがフォローしてくれるなんて甘い考えでいたらだめなのですよ。
 結局、辞任しましたね、トヨタの広報担当役員。車の会社なのに免停タレントを使ったCM、日本語すらおぼつかない広報、そこへアメリカ人の役員、そして、あの麻薬事件、何とも情けないことで┐( ̄д ̄)г。最近は、嫌なニュースをかき消そうとするかのようにCMがやたら流れて本当にうざい!
 おまけに、またもやネッツトヨタ石川の販売店でありえないような出来事があり、接客の基本すら心得ていない人たちが営業マンって、世の中一体どうなってるの? トヨタ本体のみならず、販売店もどうかしてるよ、と思っていました。そして、昨日これを書いているとき、来た来た、来ましたよ、『ちゃんとしゃべれ!』の神様降臨m(_ _)m。
 「痛快TV スカッとジャパン」の再放送。非常に態度の悪い店員に対して客が「領収証を頼んだりして店員さんの手を煩わせ、機嫌を損ねた私たちが悪いんです。この店員さん、きっと疲れているんです」と大きな声で言ってそこにいた客たち全員を味方にして、慌てて出てきた店長に事情を悟らせ、店員に反省を促しました。また、新人を連れて外回りに出ることになった営業マンは「営業の基本は、営業先のかたの話をよく聞くことです」と言いましたが、そのとおりですよね。
 ネッツトヨタ石川の販売店の人、自分の担当でもない客の話なんか聞きたくない、それくらい疲れていたのかな? それとも、朝からものすご~く嫌なことがあって、頭の回転が極端に悪くなっていたのかな? そんなこんなで、“伝わらない日本語”について考える中で改めて2年前のことを思い出しました。販売店の人たちはなぜ説明できなかったのか。なぜ、ちゃんと説明しようとしなかったのか。
 しかも、店長の態度は、私の話を聞く気なんか全然ないんだなぁと分かるようなものでしたからね。それで思い当たったのですが、販売店の人にしてみれば、「電動式パワーステアリングコンピュータにおいて、モータ駆動用リレーの不具合により、コンピュータが回路異常を検出し、ハンドルの操作力が増大するおそれがあります」のどこがおかしいの? 何が分からないの? という感覚だったのでしょう。
 人の脳は、入ってきた情報の足りない部分を適宜補っている、そういう機能があるわけで、私だって、“伝わらない日本語”を、知識や経験で補って何とか聞き取り、何とか理解しているのです。でも、車がどういう仕組みで動いているかなんてさっぱり分かりませんからね、そういうところは補えないのです。いや、車に限らず、知らないこと、初めて見聞きすることは、どう頑張っても補えないのです。
 念のため言いますが、運転技術はありますよ。駐車場の出入り口を工事でふさがれ、ブロック塀と数台の車によってクランクのような形になった狭いスペースから出るしかなくなって、バックでそのクランクをするするっと抜け、「めんどくせぇなぁ~、大丈夫かよぉ~」という表情で見ていた工事のおっさんを驚かせたことだってあります。でも、「ハンドルの操作力が増大するおそれ」にはびびりました。
 その日本語の意味は「ハンドルにかけた力が過大になるおそれ」ということなので非常に不安を感じるのですが、知識と経験(またリコールかよぉ~、こんなのどうってことないのになぁ~、めんどくせぇなぁ~)がある販売店の人たちは、文章の前半を読んだ時点でハンドルが重くなることを想像し、その後の「ハンドルの操作力が増大するおそれ」が意味することがそれとは正反対だと気づくことはないのでしょう。
 それでも、幾らか日本語のセンスがある人なら、「操作力」ってちょっと変だなと瞬間的に感じるかもしれませんが、要はパワステが利かないってことだろ!? と思いますよね、そして、そう思った瞬間、この書き方はおかしいのではないかと考えることをやめてしまいます。これはとても分かりやすい例ですから私の言いたいことをご理解いただけたと思いますが、こういうパターンばかりになったらその先は一体どうなるのでしょうか。
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