◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

場所という言葉の意味は。

2007-05-31 09:56:59 | 言葉についてあれこれ
                東、でぶの海、西、ころころ山
 「陽性という結果が出たのは、いつも出していない場所で、このように、場所によって結果が違っていて」と聞いて、「場所」というのが何を指しているのか分かりますか。最初に「陽性」と言っていますから、何かの検査結果ですね。ちょっと考えてみてください。また、前者と後者は同じものを指していると思いますか、それとも、違うと思いますか。
 じーっと集中してテレビを見ているわけではないので、こうした言い方をされると何だか分からなくなります。それで、画面を見て話をちゃんと聞くのですが、この「場所」というのは検査機関のことでした。いつも○○という検査機関に検体を出していて、毎回、陰性という結果が出て、その検査結果に疑いを持った人が△△という検査機関に検体を出して検査してもらったところ、陽性という結果が出た、という話です。どうですか、想像と合っていましたか。ひょっとして、2番めの「場所」って、検体を採取した場所のことだと思いませんでしたか?
 正確に表現すると「陽性という結果が出たのは△△で、このように、検査機関によって結果が違っていて」なのですが、この場合、△△というところにはあまり意味がないわけで、「陽性という結果が出たのは、いつも出している検査機関とは違うところで、このように、検査機関によって結果が違っていて」と言うのがいいと思います。
 あるいは、○○に対して、検査結果を改ざんしていたかもしれないという疑いを持ち、そこまで表現するなら、「陽性という結果が出たのは、いつも出している○○とは違う検査機関で、このように、検査機関によって結果が違っていて」となります。まぁ、この辺の表現は自由ですが、幾ら何でも「場所」はね、事実がうまく伝わりません。
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「振り落とされたヌンチャクが」って?

2007-05-30 09:37:59 | 言葉についてあれこれ
                   寝てるだけだってば
 振り落としたらだめでしょう、振り落としたらぁ~。もちろん、正解は「振り下ろされたヌンチャクが」です。大事な武器を落としてしまったら戦えませんからね。では、これはどうでしょうか、「金属がすれ違うような音がして」。すれ違うだけなら音はしないので、「金属がこすれるような音がして」と言わなければいけませんね。では、次、「最後は麻酔銃で取り押さえられ、あえなく御用」って、せっかくの麻酔銃を撃たず、棒のように直接取り押さえるのに使ったのでしょうか。いいえ、そうではありません。麻酔銃を撃って、麻酔薬でおとなしくさせてから取り押さえたのですから、「最後は麻酔銃を使い、おとなしくなったところを取り押さえ、あえなく御用」ですかね。ちょっと長いけど。
 これらは、慌ててひょいっと言い間違えただけでしょうか。間違えた本人は、果たして、間違えたことに気づいているでしょうか。人間だれだって言い間違えることはありますが、これらは単純な言い間違いとはちょっと違うような、つまり、表現力が不足しているせいなのではないかという感じがするのですが、どうでしょうか。では、おまけ、「じょうくみいんたち」って何だと思いますか? ん、何だろう、と思ってテレビを見たら、大きな客船の映像ですから、「乗組員(のりくみいん)たち」です。これはローカルのアナウンサーなり~。
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状況を正確に表現できない日本人。

2007-05-29 10:03:11 | 言葉についてあれこれ
                     走らないのかって?
 健康とレクリエーションのための山歩き、山麓周遊、いわゆるトレッキングですが、あるとき、十数キロずつ3日間にわたって、つまり、2泊3日でゴールを目指して山道を歩くというのを「50キロ走破」と表現しているのを目にしました。「走破」とは長距離を走り通すことで、3日に分けて50キロなら走破とは言わないし、100メートルや200メートルでも走破とは言わないのです。ましてや、山歩きですから、あくまでも歩いて50キロです。ということは、「走破」という言葉は使えません。では、どういう表現が適当でしょうか。「踏破」は、困難な道や長距離を歩き抜くこと。アップダウンのある山道ですから、「3日間で50キロ踏破」というところでしょうか。
 増えすぎた鹿の食害というリポートの中で、歩きながらあちらこちらを指さし、この程度の囲いだと効果がない、網を設けてもだめだ、破られる、そういう話が続き、電気柵とトタン板で二重に囲んだ畑のところへ来たとき、「電気柵とトタン板の間に幅があることが原因」というテロップが出ました。さて、ここで問題です。電気柵とトタン板の間に幅があることにより、プラスの結果になったのでしょうか、マイナスの結果になったのでしょうか。実は、これ、電気柵とトタン板の間に幅があることによって鹿が飛び越えにくくなり、効果があるということで、プラスの話でした。どうですか、想像とは逆の結果だったでしょう?
 このように、状況を正確に表現できない日本人がどんどん増えています。ここのところ、黄砂が偏西風に乗って日本へ流れてきて、向こうに見える山が黄色くかすんでいる、ただの砂だと思ったら大間違い、中国上空を漂うさまざまな有害物質が付着し、砂と一緒に降り注いでいる、だから、何も気にしないで吸っていると呼吸器系の病気を引き起こすこともあるという話を聞きましたが、何だか似たような話ではありませんか。変な日本語を、これも時代の流れ、そういうものだと思って放置し続けたらこの先一体どうなるのでしょうか。放置してはいけない部分、目に見えない危険性というものもやはりあるのではないでしょうか。
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もう「なので」は接続詞に昇格した?

2007-05-28 09:43:07 | 気になる言葉、具体例
                   行かないでくれーっ
 このごろ多くの人が使うようになった言葉、「なので」についてちょっと考えてみましょう。「このように成長しますので」と言うところを「このように成長します。なので」と言う、この「なので」です。「今は梅雨だ」+「ので」→「今は梅雨なので」、「な」は助動詞です。「健康だ」+「ので」→「健康なので」、「な」は形容動詞の連体形です。こういう「な」に接続助詞「ので」が続いて初めて「なので」なのですが、「なので」という形で独立して用いられ、接続詞のようになっているというわけです。ちなみに、「なのに」はすでに接続詞ですから、「♪なのにあなたは京都へ行くの~♪(ふるっ)」という使い方でいいのです。
 先日、NHKのテロップで「なので、私も・・・」というのを見ましたから、ほぼ完全に定着したと見ていいでしょう・・・かね。テロップがかなりいいかげんなものだというのは前にも書いたことがありますが、ほぼ毎日聞こえてきますし、文字にして見せられても、以前ほど大きな抵抗感はなくなってきています。「なので」と言われて何か誤解するということはなく、日常会話では問題ないだろうと思います。でも、改まった席での会話や文書では「ですから」のほうがいいでしょう。実際、若い女性が「なので」と言うのはそんなに違和感がありませんが、男性が「なので」はちょっと・・・(^^;)。
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書き写すという単純作業にも思い込みの壁。

2007-05-27 10:29:16 | いろいろあれこれ
                   同じだけど同じじゃない
 人の勝手な思い込みというのは恐ろしいもので、私はそれを嫌というほど実感したことがあります。もう何年も前の話ですが、○△□◇(私の父)という名前で伯母が準備してくれた墓地区画の使用許可を役所に求めたところ、そういう名前は台帳にないから許可証は出せないと言われたのです。台帳はこうなっていると聞かされた、その名前は、○△□◇の兄(夭折した)の名前でした。伯母も亡くなり、確かめようもなく、さらに、墓石業者を介しての話だったので、そんなはずはない、私たちは伯母から○△□◇で申し込んで取得したと聞いている、何かの間違いだと思いつつ、遠方の役所に出向く時間もなく、お墓の話は立ち消えになってしまいました。
 だいぶたってから、やはりちゃんと確認しておかないといけないだろうということになり、墓地のある町の役所へ行きました。○△□◇という名前で所有しているはずだと言って、台帳のそれらしきページを見ると、○△□*と書いてあります。最後の1字が違うのです。それが、偶然、字は違いますが、○△□◇の兄(夭折した)の名前と読み方が同じだったのです。これは役所のミスだと直感した私は俄然強気になり、伯母がこんなミスをするはずがない、絶対に役所のミスだ、調べてくれと言いました。すると、この台帳の前に古い台帳があって、そこから転記したという経緯があるから調べると言って奥へ消えました。
 しばらく待っていると、職員が古い台帳を抱えて戻ってきました。見ると、やはりちゃんと○△□◇と書いてあります。その古い台帳から新しい台帳に転記した際、職員が間違えたのです。□◇という名前は珍しく、□*が一般的だったので、その人の頭の中では、□と書いたらもう次は*と決まっていたのです。これは完全な思い込みです。1文字1文字ちゃんと見て、確認して転記作業をやっていればありえないことですが、思い込みでさっさかさっさか作業していたのでこういうことになったのです。というわけで、役所のミスがはっきりしたので即座に訂正してもらい、改めて許可証を出してもらうことになりました。
 もし古い台帳が処分されてしまった後だったら、役所のミスを証明することもできず、私たちは泣く泣くそれを失うことになったでしょう(´д`)ノ。許可証は、後日、郵送で受け取ったのですが、いまだにお墓は建っていません。え、なぜって? お金がないから(^^;)。ご先祖様、ごめんなさい。
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消えた年金納付記録、あなたは大丈夫?

2007-05-26 10:11:06 | いろいろあれこれ
               ハムと言われればそうですが
 2月9日に「消えた年金の納付記録」ということについて書きましたが、皆さんはどうですか、確認なさいましたか。私は、先日、納付月数を確認しましたが、自分の想像と大差はなかったので問題なかろうと思っています。
 基礎年金番号が付与されていない、すなわち、だれが保険料を払ったのか分からない納付記録が約5095万件ですか、アンビリバボーです。その原因として、例えば、厚生年金から国民年金へ、あるいはその逆に切り替える、結婚で姓名が変わるなどして年金手帳が複数になり、これを統合するときに何かが抜け落ちた、ということがあるようです。統合の際、個々に通知はされているので、本人の手続きが抜けたということもありうるそうですが、ちょっと許せないのは職員の入力ミスですね。それも、ただの入力ミスとは言えないもの、ミスというより、いいかげんな態度、むちゃくちゃです。
 個人の名前、「中田」さんを「なかた」と読むのか「なかだ」と読むのか、職員の勝手な思い込みで別人になったのです。さらに、男性の名前か女性の名前か一見して分からない場合、女性なのに男性で入力されるとか、「裕子」なら、「ひろこ」なのに「ゆうこ」と入力するとか、えーっ、そんないいかげんなことってありー? と思いますが、あったのですね。私の本名も、10人中9人は違う読み方をしますから、違う読み方をされても一応「はい」と返事をして立ち上がり、はっきり姓名を名乗って間違いがないか確認します。病院とか、違っていたら大変ですからね。
 このごろは大抵ふりがなを書かされるのでそういうことは減りましたが、たとえふりがなを書く欄がなくても書いたほうがよさそうです。中田さん、中島さん、河野さん、東さん、柏原さん、白崎さん、石坂さん、中沢さん・・・読みが定まらない名前のかた、一度確認なさっては?
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こども、子供、子ども。

2007-05-25 09:50:37 | 気になる言葉、具体例
                   子どもも同じ模様だぁ
 こども、皆さんはこれを漢字で書くとき、どうしますか。5月5日は「こどもの日」、役所の資料では「こども」を多く見かけますが、「子供」もまだまだ一般的に使われています。手元の表記辞典も「子供」ですが、私は「子ども」です。20年ほど前に「子どもは『お供』ではないから『子供』ではなく『子ども』なんだ」というのを聞いて、「ども」が複数を表す接尾語ならお供というわけでもないのでしょうが、文字は「共(ども)」ではなく「供」なので妙に納得して、以来ずっと「子ども」と書いてきたので、今も何となく「子ども」です。別に、これでなければならないということではないので、好きな表記を選んでください。
 それで、ふと思ったのですが、「お供」という言葉は、時代劇でたまに出てくるぐらいでしょうか、「へい、お供いたしやす」なんてね、ふだんはなかなか聞く機会がありませんね。とはいえ、まるっきりないわけではありません。5月12日の写真のキャプション、「ご一緒させてください」は、明確な上下関係がある場合、「お供させてください」のほうが適切です。迎えの車が来て、秘書が「社長、では、参りましょう」と言う場面、これは、「社長、どうぞお乗りください。お供いたします」のほうがいいように思います。
 ところで、21日に「無期懲役」のアクセントについて書いたのですが、民放でも「懲」を高く発音する人が出てきましたね。ある事件の裁判についての報道で、スタジオのアナウンサーが「懲」を高く発音し、裁判所前の記者は「無」を高く発音していました。その後、画面は再びスタジオに戻り、やけに大きくはっきり「懲」を高く発音しました。あり~? 何だか「無」と「懲」で戦っているように聞こえたのですが、気のせいかなぁ~?
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「最後にお会いされたのはいつですか」って?

2007-05-24 09:42:03 | めちゃくちゃな敬語
                  また会える?
 5月17日に、「何でも名詞化」について例を挙げて少し説明しました。その中の一つ、「お会いをさせていただきたい」ですが、「会う」の敬語表現には皆さん苦労していらっしゃるようなので改めて取り上げました。「ご相談をさせていただきたい」なら、「相談」は名詞なので別におかしくありませんが、「会い」は名詞ではありませんから、「お会いを」はおかしいですね。「会う」の名詞としては「面会」、会って話をしたいなら「面談」などがあります。ま、ちょっと硬いですけれどね。
 また、これには、敬語表現が「~させていただく」に偏っていることも関係がありそうです。「座らせていただく」なのに「座らさせていただく」、「レギュラーにならせていただく」もしくは「レギュラーにしていただく」なのに「レギュラーにさせていただく」、「会わせていただく」なのに「お会いをさせていただく」ですから、「さ入れ」とか自動詞・他動詞の区別がつかないとかいろいろありますが、どうも「させていただく」で硬直しているような印象です。
 「お会いをさせていただきたいと思いまして」を正しい形にすると「会わせていただきたいと思いまして」ですが、これだと、確かにちょっときつい感じもしますね。会いたいという気持ちを込めて「ぜひともお会いしたいと思いまして」、許可を求めているという気持ちをもっと込めたいなら、「会わせていただけないかと思いまして」「会うことをお許し願いたいと思いまして」など、言い方はほかに幾らでもあります。
 さて、「最後にお会いされたのはいつですか」をどのように直しますか? 「お会いする」は謙譲語ですから、幾ら「する」の部分を「される」にしても尊敬語にはなりません。質問の相手に対する尊敬語ですから「ご(お)~なる」が基本、ということは、「最後にお会いになったのはいつですか」ですね。どうですか、合っていましたか? 「お会いになる」って何だかすてきな響きですよね。
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「それがやられていない」って?

2007-05-23 09:53:33 | 気になる言葉、具体例
               ぐあっ、やられた~
 4月29日と30日の記事で、尊敬語というと何でも「れる・られる」だと、受身の表現と同じ形になり区別しにくい、「映画のほうをやられたり」のように、尊敬語に向いていないのに尊敬語のつもりで言うのはよろしくないということを書きましたが、今日のタイトルの「それがやられていない」は、本来の手続きがきちんと行われていないという意味で言ったもので、「やる」の受身表現です。行う→行われる、やる→やられる、確かにそうですが、「やられていない」というのはどうも違和感があります。語感が悪すぎます。やはり「行われていない」「実施されていない」と言うべきでしょう。
 もちろん、「やる」と言ってはいけないというわけではありませんよ。「する」ではなく「やる」でなければならないときだってあるのです。やる気、やりがい、やればできる、やるぞ、やったね、やってる? やってますよ、幾らでも「やる」と言う場面はあります。でも、「行われる」もしくは「実施される」と言えばいいのに「やられる」はないだろう、と思うのです。「やる」より「する」、なぜ「されていない」と言わないのでしょうか。少々物足りない感じはしますが、「やられていない」よりずっとましです。ピンと来ませんか? では、「する」より「なす(為す)」、「なせば成る」の「なす」、「それがなされていない」という言い方もありますが、どうですか。「やられていない」と文字数は同じですよ。
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はやっているからって、何でも「○○力」?

2007-05-22 09:49:50 | 気になる言葉、具体例
                目力あるっしょ?
 ちょっと前にはやった(?)「鈍感力」、これは皆さんお聞きになったことがあると思いますが、言葉を「○○力」という形にするのがはやっていますね。以前からある「説得力」「発言力」「生活力」「忍耐力」「破壊力」といったものとは違い、例えば、「恋愛」に「力」を付けて「恋愛力」、まぁ、ロマンチックな感じがちょっと薄れはしますけれど、けっこう面白いですよね。あ、そうそう、変わったところでは、「目力(めぢから)」なんていうのもあります。
 問題なのは、それと関係あるかどうか分かりませんが、本来の「○○力」という言い方とは違う、まるで脳の言語野が誤作動を起こしているような、変な「○○力」という言い方です。「影響を及ぼす」のつもりで「影響力を与える」、「競争を煽らない」のつもりで「競争力を煽らない」、こうなると、意味が変わってしまったり、全く意味を成さなくなったりするわけです。後者などは、はやりのキーワードをいつもいつも気にしていると、ついうっかりこういうことになるという例でしょう。キーワードの前に、「日本語力」の不足をもっと気にしたほうがいいようです。
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変なアクセントの人が増えている。

2007-05-21 09:47:44 | 言葉についてあれこれ
               デーモン増殖中
 4月15日に変なアクセントについて書きましたが、「デーモン」みたいな「入門」も、あれからさらに増えています。ついに、民放でも聞くようになりました。さらに、「頓挫」を「パンダ」のようなイントネーションで、身柄拘束の「拘束」や公的活動の「活動」を「中国」のようなイントネーションで発音するのも聞きました。「無期懲役」もそうです。今、これの発音は2種類に分かれていますね。あくまでもたまたま耳にした範囲での印象ですが、NHKは、「懲」を高く発音するアナウンサーが何人かいます。民放にはまだそういう人はおらず、「無」を高く発音します。私はもちろん後者ですが、皆さんはどうですか? NHKも、ちょっと前までは後者だったような気がするのですが・・・。
 とんざ、こーそく、かつどー、ちょーえき、これらを、単語の頭、本来はアクセントのない部分、とん、こー、かつ、ちょーを高く強く発音する、こういう人がものすごく増えています。注意して聞いていると、たまたま1回そういう発音をしたということではなく、何回もそういう発音を繰り返します。つまり、そのときだけのミスではなく、アクセントがおかしくなっているのです。部活動、ぶかつどー、ロビー活動、ろびーかつどー、どこをいちばん高く発音しますか。前者は「か」、後者は「びー」と「か」が同じ高さですね。公的活動、こうてきかつどー、この場合、「か」はむしろ下がります。ちゃんと区別できますか。
 そういえば、先日、「たたき瓜」と聞こえたので、「瓜? きゅうり? 何だろう?」と思ってテレビ画面を見たら、バナナのたたき売りでした。何だ、瓜じゃないのか、たたき瓜・・・絶句。もはやアナウンサーとて日本語の手本にはならないようです。どうしたらいいのぉ~?
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キャンプに行くならテレホンカード。

2007-05-20 09:47:45 | いろいろあれこれ
               テレカ持ってる?
 十数年前は、まだまだみんなが携帯電話を持っているという状態ではありませんでした。あるとき、母に見送られて2泊3日のキャンプに出掛けたのですが、3日めの夕方に帰宅すると、電話があって、いきなりがんがん怒られました。「あんたは行ったら行ったっきり、連絡もしないで。とにかく、すぐに喪服に着替えて○○においで」と言われ、喪服とは一体何事かと聞くと、私が出掛けた直後にいとこが亡くなったとの知らせがあり、今、お寺にいるからすぐに来いということでした。
 そう、いとこの通夜と葬式をやっている間、私は何も知らずキャンプで楽しくやっていたというわけです。もちろん、私から電話をしなければ連絡などつくはずもなく、1日めと2日めの夜に電話がかかってこないかと待っていたそうです。慌てて喪服を引っ張り出して着替え、お寺に駆けつけたのですが、時すでに遅し、すべて終わって後片付けを始めていました。当然、待ち構えていた母からは説教の嵐です。
 それからしばらくして、また4泊5日のキャンプに行くと言うと、テレホンカードを差し出し、毎晩、どこでキャンプをしている、無事だという連絡をせよという命令です。今では携帯電話を持っていて当たり前ですから考えられないようなことですが、ちょっと前までそんなことをやっていたのですよ。でも、携帯電話だって万全ではありませんよね、電池切れとか、圏外とか、過信していると思わぬことになりますから、やっぱりテレカも持っていこう。
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サイエンスZEROは学芸会になったね。

2007-05-19 09:16:09 | 言葉についてあれこれ
            今日は、科学ゼロ、発表会です
 NHK教育の「サイエンスZERO」の女性司会者が交代しましたが、その妙な話し方にどうにもなじめず、ちょっと困っています。どのようにおかしいかというと、まず、「・・・が・・・、・・・を・・・に・・・」、助詞を高く強く発音するのです。これが許されるのは小学生までだと私は思います。「地球」も、「ちきゅぅ」ではなく「ちっ・きゅー」、「違っていて」ではなく「違くて」、「やがて」の「が」は鼻濁音ではなく、「蛾」の「が」です。「考えられないのだそうです」の「だ」を、「~mまで潜れます」の「で」を、高く強く発音します。
 一言でいうと学芸会、小学生が気合を入れて大勢の人の前で話しているときのような感じです。前の人は知性のかをりが幾らか漂っていてよかったのですが・・・。毎回興味深い内容なのでぜひとも見たい、見たいけれども、運悪く変な日本語アレルギーになってしまった私は・・・うーん、かなりつらい~。もちろん、話し方も個性であり、ゆー○りんの子どもっぽい話し方だって個性、やま○○もえが汚い声でとろくさーく話すのだって個性、ひ○のれみが汚い声でまくしたてるのも個性、それはそうかもしれませんが、「サイエンスZERO」の場合、番組の性格に合うか合わないかぐらいは考慮して人選してもよかったのではないでしょうか。
 だって、この人がバラエティ番組でほかのゲストの皆さんとわいわいおしゃべりしているのを何度も見ていますが、別に何とも思わなかったのですよ。「サイエンスZERO」のVTRのナレーションをやっているのを聞いて初めて「あれ? う~っ、何か変!」と感じたのです。つまり、話の内容と話し方が合わないのです。こういう人選でいいのですか? NHKさん。たま~に、意外な人物を登場させて成功ということがありますが、今回は・・・? もっとも、NHKといえども昨今はいろいろな点で手本にはならないので、この人の話し方のおかしさに気づく人がいなかったのかも。
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そろそろ大丈夫・・・かなぁ。

2007-05-18 09:34:55 | 気になる言葉、具体例
               う゛・・・大丈夫です
 4月22日に「五つに分類された敬語」と題して記事を書き、もう少し詳しく書かないといけないかなと思ったので、5月7日から昨日まで連続して敬語について書いてきました。ちょっと読むのが大変だったかもしれませんが、どうですか、敬語はもう大丈夫ですか。うーん、大丈夫っていうほどでもぉ・・・(^^;)、そりゃそうですね、やはりどんどん使わないとね、使って慣れていかないと、「大丈夫!」とはなかなか言えないですね(^-^)。
 で、なぜ今日のタイトルが「そろそろ大丈夫・・・かなぁ」なのかというと、今、「大丈夫」がかなりいろいろな意味で使われるようになっていて、そんなことまで「大丈夫」なのか、ほかに言い方があるだろ! と思う場面がとても多くなってきているからです。NHKのそう若くないアナウンサーが言った「そろそろ大丈夫です」、これは、あるものの出来上がりを待っていて、そろそろできているでしょうという意味で言ったものです。アナウンサーたる者がそんな安直なことをやっていていいものでしょうか、どんどん表現力が衰えていきますよ。
 道でちょっと困った様子の人に声をかけたら、「あ、いえ、大丈夫です、どうぞおかまいなく」と答える、つまり、心配する → 大丈夫だから心配しないで、こういうことを想像するのですが、今は、単に何かを勧めたときに断る言葉として「大丈夫です」と言うのを聞きます。何が大丈夫なんだか~と思いますが、「おかまいなく」の意味も含めて便利に使っているのでしょう。ですが、何でもかんでも一言で済ませていると、ボキャブラリーがますます貧しくなりますよ。
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自分の「お仕事」って?

2007-05-17 09:48:54 | めちゃくちゃな敬語
                今日は休みます
 真面目な顔で「お仕事はキャンセルさせていただいたのですけれど」って言う人、成人男性なのに。うんと謙遜して「これはご質問ですが」って言う人、国会議員なのに。きれいな声で「本日参加のご団体から」って言う人、プロの司会者なのに。子どもっぽい話し方で「お勉強しながら、戻ってきてからまたお店でお仕事するので」って言う人、頑張っているキャリアウーマンのはず、なのに。テレビCMで「ご利用できません」って、敬語がめちゃくちゃ、そっちの都合で利用客に迷惑をかけているのに。何でも「ご」や「お」を付ければそれでいいと思っている人は大勢います。これが日本語の現状です。
 自分の仕事は「仕事」、「仕事はキャンセルさせていただいたのですけれど」です。自分が質問するのだから「質問」、「これは質問ですが」で、「ご~する」という謙譲表現にするなら「ご質問いたしますが」です。「5団体」かと思ったら違いました。誤解を避け、丁寧に言いたいなら、「本日ご参加の団体から」です。「勉強しながら、戻ってきてからまたお店で仕事をするので」、お店だけはそのままでいいでしょう。「利用できません」は単なる丁寧語であり、客に対して失礼です。「ご~なる」という尊敬表現を可能表現にしたい場合は「ご~なれる」ですから、その否定形、「ご利用になれません」です。どうですか、間違いを正しく修正できましたか?
 さて、「ご案内していただきますのは」「お迎えしていただいて」「ご確認していただこうと」「ご紹介してくださいますのは」について、敬意を込める対象、へりくだる主語、ということで前に説明しましたが、これを美化語で説明することもできます。つまり、「ご案内をしていただきますのは」「お迎えをしていただいて」「ご確認をしていただこうと」「ご紹介をしてくださいますのは」の「を」を省いただけ、というふうに考えることもできるのです。これには、ベースになる妙な現象があります。『ちゃんとしゃべれ!』で書いている「何でも名詞化」ですが、例えば、「ご相談をいたしております」「お答えをさせていただきます」「お会いをさせていただきたい」というような表現が増えているのです。
 動詞で言えばいいものをわざわざ名詞化し、さらに、頭に「ご」「お」を付けて美化語にする、「ご相談を」「お答えを」「お会いを(おいおい、無理やりだよぉ。`д´)」、こういう「ご(お)○○をする」という言い方をよく聞くので、ついつい何でも頭に「ご」「お」を付けてしまうというわけです。それで、とりあえず「ご」「お」を付けたけれども、やはりくどいので「を」を省いてしまう、こういう流れはありうることです。会議や講演で一般の人が話すときは比較的ゆっくりなので「を」を省きませんが、アナウンサーは、それとは比べ物にならないほど早口ですから、「を」を省くのはむしろ自然な成り行きです。それで変な表現になったとしても、それについて振り返る時間はないのでしょう。
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