◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「数段と落ちています」って?

2016-03-27 10:10:15 | 気になる言葉、具体例
                                  2日目に撮影

 以前、「コンピューターの操作が格段と使いやすくなるんです」という例を紹介したことがあります。それを言うなら「コンピューターの操作が格段に楽になるんです」もしくは「コンピューターが一段と使いやすくなるんです」ですが、小倉智昭も「格段と激しい」なんて言いますし、小倉智昭の影響をもろに受けている笠井アナも「格段とレベルが違う」と言いますからね( ̄д ̄)!
 そういえば、「~だけしか」がやけに広まっているなぁと思ったら、やはり小倉智昭がスプレッダーだったようですね、「これ、やれるのは○○ちゃんだけしかいない」なんて言っていましたから。小倉智昭の変な日本語は、確実に周囲の人たちに、さらに一般の人たちにも広がって、どんどん感染が拡大していきます。
 一般の人が「数段と落ちています」と言うのをテレビで見ました。「格段と」の次は「数段と」ですか。成果が出ていますね、小倉智昭の「日本語ぐだぐだ計画」の成果が。「格段に落ちています」でも「一段と落ちています」でもない、「数段」ですか、それなら「と」は要りません。「数段落ちています」と言えばいいのです。
 「に」と「と」の区別もできない人が放送業界には、特に「とくダネ!」スタッフには大勢います。「仲のいい家族にしか映っていなかった」というテロップ、周囲の人たちは、その家族を、仲のいい家族だとしか思っていなかった、という意味ですから、「(周囲の人たちの目には)仲のいい家族としか映っていなかった」もしくは「仲のいい家族にしか見えなかった」と書かないといけません。
 「奇跡体験!アンビリバボー」で「衝撃の真実が明らかとなります」と言ったのはビートたけしですが、この番組のスタッフには「明らかと」が標準だと思っている人しかいないようですから、ビートたけしもそうなのでしょう。「報ステ」のナレーションも「明らかとなった」ですが、2月16日に「音声データが明らかにされた」というナレーションを聞きました。さすがに「明らかとされた」は違うと感じたようですが、「明らかとなった」もおかしいのですよ( ̄д ̄)!
 気象予報士やお天気キャスターの人たちはみんな「大気の状態が不安定となり」と言いますが、「大気の状態が不安定になり」と言うのが自然です。普通は「不安定になる」で、「不安定となる」なんて言わないでしょう? 「大気の状態が不安定」と書いてあるのを棒読みしたら「と」が出てくるのでしょう。走り書きでも「大気の状態が不安定に」と書けばいいのですよ。「王様のブランチ」の天気予報では「穏やかとなります」ですからね、一段とおかしさが増しています┐( ̄д ̄)г。
 そして、「マツコ&有吉の怒り新党」では「汚れた空気で病気となってしまった」というナレーションを聞きました。普通は「病気になる」でしょう? 「病気となる」なんて言わないでしょう? 「に」と「と」、逆もあります。「理路整然に説明して」と言ったのは元プロ野球選手ですが、「理路整然と」ですよ。
 それにしても、日本人なのに「に」と「と」の区別もできないなんて不思議でたまらないのですが、皆さんの周りにそんな人はいますか? クイズのネタになるような同音異義語だとか難読漢字だとか、漢字の厳密な使い分けだとか、難しいことではなく、日常会話のレベルなんですけどぉ~( ̄д ̄)!
 昨年12月、東京に行ったときにオー・デリス・ドゥ・ケンジのタルトタタンを食べることができたのですが、タルトタタンを食べるのは30年ぶりで、とてもおいしくて感激しました。そのとき食べたのは1ピース(piece)ですが、今度は、なんとなんと1ホール(whole)! めいが手配してくれて、届いた日は撮影するのを忘れてがっつき、3日かけて堪能しました(⌒・⌒)。
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「安全・安心してご使用いただくために」って?

2016-03-20 09:48:48 | 言葉についてあれこれ
                                  安全カバーなんだからかじるなよ

 SONYのサイトで総合サポートの目的別メニュー「製品を安全にご使用いただくための情報」を見たら、クリックして中に入る青い文字が「製品を安全・安心してご使用いただくために」でした( ̄д ̄)! クリックして入ったページには「製品を安全に、安心してご使用いただくために」と書いてありました。うむぅ~、「安全・安心して」と書いたのはだれだっ( ̄д ̄)!
 記者会見で「皆様に、感謝と、ご心配をおかけしますこと、お詫び申し上げます」と言ったのは一般の人で、自ら用意した原稿を広げ、読んでいました。なのに、「感謝」はどうしたのでしょうか。感謝とお詫び、どちらも言いたいのなら「皆様に感謝申し上げ、また、ご心配をおかけしますことをお詫び申し上げます」ですかね。
 ネット上で見掛ける一般人が書いた文章にも、「掃除や晩ご飯を作っていました」「恐怖心や、面倒に巻き込まれたくないと従った」「今回ほど驚きと嫌な思いをしたことはない」「車が、停止も徐行すらせず、すぐ前を横切りました」「いいプレーとホームランを打ってください」など、中途半端な表現がたくさんあります。
 「掃除をしたり晩ご飯を作ったりしていました」「恐怖心や、面倒に巻き込まれたくないという気持ちから従った」「今回ほど、驚き、嫌な思いをしたことはない」「車が、停止するどころか徐行すらせず、すぐ前を横切りました」「いいプレーをして、ホームランも打ってください」といったところでしょうか。
 「保存は、冷蔵庫や冷凍してもらって」はEテレの短い番組で聞きました。「歩行障害や骨折しやすくなるだけでなく」は「団塊スタイル」で、「けがや網に絡まったアザラシを保護」は「開運!なんでも鑑定団」で聞いたナレーションですが、ナレーターはそんなことを言って(言わされて)気持ち悪くないのでしょうか。「保存は、冷蔵したり冷凍したりして」「歩行障害になったり骨折しやすくなったりするだけでなく」「けがをしたり網に絡まったりしたアザラシを保護」ですよ。
 「もしそのまま食事や治療を受けないでいたら」はアニメのセリフですが、「もし、そのまま何も食べないでいたり、治療を受けないでいたりしたら」という意味です。「もしそのまま食事や治療をしないでいたら」ならもっと簡単ですけど。NHKでもそれ以外でも、天気予報で「雨が強く降ったり雷を伴いそうです」という言い方をするのは珍しくない、むしろ、そういう言い方をする人がほとんどで、「~たり」の本来の使い方なんて分かっている人はいませんよね。
 「チョイス@注意!昼間の眠気」で聞いた睡眠時無呼吸症候群の話。寝ると、扁桃腺や舌の根元が下がって気道をふさいで酸欠になる、そのため、睡眠が妨げられて昼間の眠気や寝起きの頭痛が生じる、さらに、心筋梗塞、高血圧、脳血管障害など、様々な症状を併発する、ということですが、「酸欠になったり、睡眠が妨げられるため」というナレーションを聞いてもやもや・・・。
 「酸欠」と「質の悪い睡眠」が「様々な症状を併発する」ことにつながる、というふうに聞こえますが、よく分かりません。調べてみたら、血液中の酸素濃度低下が「様々な症状」の原因になるようなので「酸欠になったり、睡眠が妨げられるため」は不適当ということになりますが、もうちょっと何とかなりませんかね。
 ところで、「相棒14」が終わりましたね、最終回は想像どおりの展開だったのであまり楽しめませんでしたが、それより気になるのが右京さんの「恐縮です」ですよ。だいぶ前から「すみません」と言うべきところで「恐縮です」と言っていますが、ばかみたい! それに、ノックの回数も。ロンドンで暮らした経験もあるのにトントンというトイレノックって・・・、だめだよぉ( ̄д ̄)!
 「フラジャイル」(脚本 橋部敦子)も終わりました。火箱直美役の松井玲奈、演技力がどうだとかいう話があるようですが、私が気になったのは#8で聞いた「お話、聞いていただけますか」というセリフです。病理の権威に向かって真剣な顔で「お話」って気持ち悪い! あれは「話を」でないといけなかったのです。あ、そうだ、だいぶ前の回で「とんでもないことでございます」と言った佐田先生(津田寛治)、このセリフはいいですね、久しぶりに聞きました(⌒・⌒)。
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「ご存じそうなかた」って?

2016-03-13 11:43:03 | 気になる言葉、具体例
                                  知らなそうだ

 「ご存じ」は名詞で、「知っていること」の尊敬語。「知ること」ではなく「知っていること」というのがポイントです。動詞は、事物の動作・行為や存在を表すわけで、「知る」はそうですが、「知っている」は少し違いますね。もし、「ご存じ」が動詞だとしたら活用は? 終止形はウ段だから、「ご存じ」は連用形? では、終止形は??? というわけで、「ご存じ」はやはり名詞ということで。
 ちなみに、現在、一般の文章では「ご存じ/御存じ」、公用文では「御存じ」と表記し、「ご存知」とは書きません。「存知」は「ぞんち」と読み、「存在を知っていること」という意味で、サ変動詞にもなりますが、今は使われていませんし、「ご存じ」とはまた違う話になります。あっ、「存じる」は動詞ですよ、念のため。
 6年前、「ご存じいただいております」について、「存じる」を「ご(お)~いただく」に当てはめた形であろうと、「ご存じ」に「いただいております」と続けた形であろうと、どちらも誤りだと書きました。「知っていらっしゃる・いただいております」はおかしいですよね。そのとき、「ご覧」=「見て」だから名詞ではないと書いたのですが、それについて補足説明をします。
 その前に、最近の「おはなし」の混乱ぶりについて。名詞の「話」と動詞の「話し」を区別している人は果たしてどれほどいるでしょうか。「おはなしいただく」は「お話しいただく」が正しいのですが、「お話いただく」も見掛けますね、縁談でも来たか? 「お話しする」なのに「お話する」では、相手は幼児。そのうえ、「お話して(おはなしして)いただく」なんていうのも( ̄д ̄)!
 「お話しです」「仕事の話しした」「直接話ことにしました」「退社したいと話たところ」「それは話済みで」「話掛けても」「お話した」「お話しましょう」「○さんとお話していると」「話しないと分からない」「○さんに話に行く」など、理解に苦しむ変な表記は例を挙げれば切りがありません。
 実は、「ご覧」は名詞、「見ること」の尊敬語なのですが、「ご覧いただく」というときは「ご覧」=「見て」で、動詞と捉えてください。「お話しいただく」のように、「ご(お)~くださる」「ご(お)~いただく」の「~」に入るのは動詞の連用形、「話」ではなく「話し」なのですよ、ということで、実際「あれをご覧」は「あれを見て!」という意味で、見事にはまりましたね。
 じゃぁ、「ご存じいただいております」も同じじゃないか? という声が聞こえてきそうですが、「ご覧」=「見て!」のように「ご存じ」を「知っていて!」という意味で聞いたことがあるでしょうか。何でもかんでも「~いただいております」に無理にはめ込まなくてもいいですよね。
 それにしても、「ご存じ」はいま一つ正しく使われていないように思います。「ご存じですか」と聞かれて「ご存じじゃないです」と答えた羽鳥慎一。一般の人ならよくあることですが、元アナウンサーだからアウトo(`д´)o! 「ご存じないですか」と聞かれて「いやぁ、ご存じないですね」と答えた詐欺集団の一員┐( ̄д ̄)г。皆さん、さっと「いえ、存じません」と答えられますか?
 「ご存じそうなかた」は「ザ!鉄腕!DASH!!」で聞いたナレーションですが、無理しないで「知ってそうなかた」と言えばいいじゃないですか。「知ってそうな」を分解すると、「知る」という動詞の連用形「知って」に様態の助動詞「そうだ」の連体形「そうな」が続いています。「ご存じ」に「そうな」は続けられません。こうした構造を理解することも大切ですよ。
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「転落におとしめた覚醒剤」って?

2016-03-06 09:09:29 | 気になる言葉、具体例
                                  落ちる落ちる

 「スーパースターを転落におとしめた覚醒剤」は「ウェークアップ!ぷらす」で聞いたナレーションですが、ひょっとして・・・、いや、まさかとは思いますが・・・、このナレーション原稿を書いた人は「貶めた(おとしめた)」を「陥れた(おとしいれた)」と同じ意味の言葉だと思っているのでしょうか。
 「おとしめる」は、劣ったもの・つまらないものとして扱う、見下す、見下げる、蔑む(さげすむ)という意味ですから、「転落におとしめた」はおかしいですよ、そんな言い方は成立しません。もちろん「転落に陥れた」も成立しませんよ。一体、何を思ってわざわざ「おとしめた」なんて言うのでしょうか。「スーパースターを転落させた覚醒剤」と言えばいいだけですが、それだとインパクトが足りませんかね。
 これはほんの思い付きにすぎないのですが、文語で、使役の助動詞「しむ」というのがあって、それが下一段動詞に変化して「しめる」になり、「神の如くならしめる」といった表現を今でもしますよね、それが関係ある? 「落とす」なら、接続は未然形なので「落とさしめた」ですが、音が近いですね、「おとしめた」と言った気持ちが何となく分かるような・・・( ̄~ ̄)フゥム。
 でも、「落とさしめた」は、簡単に言うと「落とさせた」であって、「転落させた」は「落とした」ですからね、やはり違います。どっちにしろ、「スーパースターを転落に」だと、そこへ「落とさせた」と続けることも「落とした」と続けることもできません。「転落させた」「落とした」と続けるなら「奈落の底に」「地獄に」「どん底に」「闇に」ですし、「落とした」より「突き落とした」ですよね、怖いですねぇ。
 「家族を辱めた(はずかしめた)」は「ダウンタウンタイムズ」で聞いたナレーション。お父さんがホットパンツ姿でレストランへ行き、一緒にいた妻と娘が恥ずかしい思いをしたという話ですが、それは「家族に恥をかかせた」で、「辱めた」は言い過ぎです。お父さんは、娘がいつも露出の多い服装で、注意しても聞かないから、自分がホットパンツで外出してみんなで恥をかく、それで娘に分からせたかったわけです。
 「はずかしめた」を変換すると「辱めた」になります。恥をかかせる、名誉などを傷つける、さらに、もっと非道な意味もあります。これはTPOによりますよ、例えば「○○の名を辱めぬよう尽力してまいります」のようにさらっと聞き流せる言い方もありますが、「家族を辱めた」なんてギョッとします。まさかねぇ、原稿を書いた人の頭にあったのは「恥ずかしめた」だった、な~んてことはないですかね。
 これもただの思い付きですよ、たまたま「スーパースターを転落におとしめた覚醒剤」を聞いて間無しだったので、「はずかしめた」も、ひょっとして・・・と思ったのですが、それだってあり得ない言い方ですから自由すぎます。まさか、そんなのを狙っているわけではないですよね!? ナレーションやテロップの原稿を書いている人たち、本当に自由ですね、遊んでいるのですか?
 「どんな商品が売っているか」は「おじゃMAP!!」で見たテロップ。「○○が売っている」は明らかな誤りなのに放送業界ではすっかり定着したようで、それって、わざとでしょ!? 「明らかとなる」「明るみになる」「古来より」も「いいじゃん、それで」と思ってる? 「情報7daysニュースキャスター」は「満面の笑顔」で押し通していますしね、これも定着させようと狙ってる?
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