◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「朝ドラ、ヒロインが交代に」って?

2012-02-29 20:25:34 | 気になる言葉、具体例
                                  どっちも主役

 ポータルサイトで気になる見出しを見付けて記事を読むと、内容に関係なくがっかりします。サイトのスタッフが書いたらしい文章はもちろん、新聞や雑誌の記者が書いたものでも、どうも分からないということがよくあります。変な略語やアルファベットの組み合わせなどは分からなくて当然ですし、気にもしていませんが、普通に・・・私から見ればとても普通ではありませんが、少なくとも書いている本人は普通に書いている、そういう文章でも非常に理解しにくいわけです。
 「○銀破綻、△社長謝罪、原因は『業容拡大の結果』」とか、「立ち入り調査は、法律に基づくもので、病院が、最初に感染に気づいたのはいつか、○理事長は精神科の入院患者は半数以上が60歳以上で」とか、「○さんが表立って動くと、経産省は“天下りがいるから東電に甘い”と批判されかねない。そこで、○さんは経産省の上層部に電話し、東電の首脳に経産省の意向を伝える連絡役に徹している」とか・・・(ーー;)。
 「朝ドラ、ヒロインが交代に」はYAHOO!のトップページにあった見出しです。「ヒロインが交代に」の後に言葉を続けるとしたら・・・考えてみてください。その見出しをクリックしてみたら、ヒロインの晩年を演じる役者が別の人に、つまり、それ相応の年齢の人に交代するということでした。あの「おしん」も3人が演じましたよね。
 前回、「死刑確定へ」というテロップで死刑が確定したのかしていないのか分からなくてもどかしい思いをしたと書きました。「へ」があると、確定に向けて動いている最中だと感じるわけで、確定したのなら「死刑確定」「死刑が確定」でいいのです。やはり確定したようですから、「へ」が余計ですね。
 「ヒロインが交代に」に続けるとしたら「なる」? 「交代になる」ですか? 通常、「ヒロインが交代する」と言いますから、「交代になる」は変ですね。「ヒロイン交代という予想外の事態になる」なら「ヒロイン交代という事態に」もしくは「ヒロイン交代へ」でもいいかと思うのですが、これは予定されていたことですから「に」も「へ」も要りません。正しくは「朝ドラ、ヒロイン交代」です。
 えーっ?! 「及川光博が『相棒』を卒業」ですって、残念。すごくいいコンビなのですが、尊(たける)さんは一応キャリアだから、異動して出世コースに戻るのかなぁ? でも、「覚悟ができた」とか言ってたしぃ、どういう意味かなぁ? 次はだれだろ、それはそれで楽しみですけど(~_~;)。
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「死刑確定へ」って?

2012-02-26 09:41:45 | 言葉についてあれこれ
                             やたらなへは困りますよ

 判決が下された日の夜、報ステ、23クロス、ほかにもあっちこっちで目にした「当時18歳被告、死刑確定へ」というテロップ、これを見てもやもやしたかた、いらっしゃいますか? 私は、テレビをじっと見ているだけということがなく、何かしながらときどき画面を見るというふうなので、肝心のところは見逃してしまい、テロップを見て死刑が確定したのかしていないのか分からなくてもどかしい思いをしました。
 「へ」ですからね、確定に向けて動いている最中だとしか受け取れないわけです。裁判というものに関して私が無知だからということもありますが、「確定へ」だから、引っ繰り返される可能性が残っているのかなぁと感じました。その後も気になって注意していたのですが、「確定することになった」といった曖昧な表現ばかりで、「確定」と言えない何かがあるのでしょうか( ̄_ ̄)?
 「日本人の名字ベスト30」、選ぶ基準は何なのかと思ったら、ただ単に多い順に並べてあるだけ。「オオトカゲを手放した」という「世界まる見え!」のナレーション、オオトカゲなんか飼っていたのかと思ったら、子どもにオオトカゲを捕まえる練習をさせるため、大人が事前に捕まえておいたオオトカゲを子どもの目の前に置いて手を離しただけ。「日本で初めて撮影できた映像です」と言った「世界・ふしぎ発見!」のリポーター、撮影した場所は、日本ではなく、トルコの神殿遺跡。どうやら日本のテレビ局がそこを撮影したのは初めてだということのようです。
 そして、「抗議文を手渡すといった前代未聞の出来事」という報道番組のナレーション、結局、「前代未聞の出来事」って、何? 「△△といった○○」だと、△△は一例であって、○○そのものズバリであるとは受け取りません。「△△というような○○」と同じ意味だけど、「△△といった○○」のほうがちょっと硬いかな。また、もうとっくに過去のことになっている、不確かな記憶、風のうわさにそう聞いただけだから断言できない、そうした印象も受けます。
 でも、画面には抗議文らしきものを手渡す場面が映っていましたし、それが抗議文であることは、報道した時点ではすでに分かっていたようですから、「抗議文を手渡すといった前代未聞の出来事」は誤りで、「抗議文を手渡すという前代未聞の出来事」でないといけないわけです。表現力・・・というほどのレベルでもない話ですが、もうちょっと何とかなりませんかねぇ~┐( ̄д ̄)г。
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「痛みを改善させる効果」って?

2012-02-22 20:01:18 | 気になる言葉、具体例
                              世界に通じるカイゼン

 「(壁面に取り付けられたガラスの装飾品が)窓から差し込む光を反射させ室内を明るくした」というのは「日曜美術館」のナレーションですが、「光を反射させ」ではなく「光を反射し」です。皆さんも「光を反射する」と言うでしょう? 「反射させ」と言ったナレーターはベテランの森田アナですけどね。
 「がっちりマンデー!!」では、研究者が「ストレスを緩和するような作用がある」と言っているのにテロップが「ストレスを緩和させる作用がある」となっていました。司会者も「ストレスを緩和させる」と言ったのですが、「緩和する」でいいのですよ。でも、先日たまたま医学博士のM先生が「緩和させる」と言うのを聞きましたからね、やはりいましたよ、スーパースプレッダーが。
 それから、何の番組だったか忘れましたが、ナレーションが「痛みを改善する効果」なのにやはりテロップが「痛みを改善させる効果」だったことがあります。でも、これも「改善する」でいいのです。テロップ入力作業者はなぜわざわざ「~させる」に変えるのでしょうか、「~する」のほうが簡単なのに( ̄_ ̄)。
 「反射」「緩和」「改善」は、自動詞・他動詞、両方の意味がありますから、「反射する」「緩和する」「改善する」をわざわざ「~させる」にする必要はないわけです。どっちの意味でも大差ない、偏りもない、ですから、「~が」に続けるか「~を」に続けるか、そこで区別すれば十分で、特に誤解を生じない、「光が反射する」でも「光を反射する」でもいいということです。
 比べてみてください。「窓から差し込む光を反射し室内を明るくした」と「窓から差し込む光が反射し室内を明るくした」、「ストレスを緩和するような作用がある」と「ストレスが緩和するような作用がある」、「痛みを改善する効果」と「痛みが改善する効果」。ね、言っていることは同じでしょう?
 自動詞として使う頻度と他動詞として使う頻度が同じなら、「○○が~する」でも「○○を~する」でもいいと思いますが、偏りがある場合はちょっと違ってきます。ほとんど自動詞として使われ、それで聞き慣れている場合、「○○を~する」と聞くと違和感を覚え、「○○を~させる」、あるいは、別の言い方をしているのではないでしょうか。
 例えば「実現」は、自動詞・他動詞、両方の意味がありますが、「夢が実現する」「夢を実現させる」のように、「○○を」のときは「実現させる」と言う人が多いような気がします。「夢を実現する」でもいいのですが、「夢をかなえる」とも言いますしね、いや、むしろこっちかな。まぁ、どれもありですね(~_~;)。
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「気を引かせるため」って?

2012-02-19 09:29:29 | 気になる言葉、具体例
                                気を引くアイテム

 「盛り塩は女が男の気を引かせるためという説がある」と言ったのはいわゆる文化人枠で出演している人ですが、「気を引くため」が正しい言い方です。「引く」と言えばいいものをわざわざ「引かせる」と言う人、明確な他動詞なのに「せる・させる」を付けてしまう人が増えているようです。
 YAHOO!映画のスタッフが書いたらしい短い文章の中にも「仲間に裏切られ、ついに投獄させられてしまう」というのがありましたが、正しくは「ついに投獄されてしまう」です。捕まって投獄されたのに、「投獄させられる」なんて書いたら捕まえる側の人間になってしまいますよ。あ、そうそう、「盛り塩」と「気を引く」の関係については、ウィキペディアの塩のページに書いてあります(^ー^)。
 「引く」は、引き潮になる、退く、なくなる、という意味の場合は自動詞ですが、自分のほうへ近づけるという意味なら他動詞です。「気を引く」は、引き付ける、誘う、という意味になります。ちなみに、「兵を引け」の「引く」は他動詞、指揮官が兵士に「引けっ!」と言ったら、逃げる、撤退する、自動詞です。「引くぅ~~~」は? さぶいギャグやKYなことを言った人から遠ざかるのだから、自動詞ですかねぇ(~_~;)。
 「水を引く」と「水が引く」は正反対の意味になるのですから面白いですね。「水を引く」の「引く」は他動詞で、水を誘い入れるという意味。「田んぼに水を引く」なら、近くの池や川、用水などから田んぼに水を入れるわけです。そして、「水が引く」の「引く」は自動詞で、水がなくなるという意味です。「を」と「が」で区別するのですから、「水、引いた」では分かりません。
 「立てる」は他動詞、「立つ」は自動詞、このように自動詞と他動詞で形が違う動詞は幾らでも頭に浮かんできます。そして、「移動」という名詞に「する」が付くと「移動する」という複合動詞になるわけですが、多くは自動詞と他動詞、両方の意味を持ちます。では、複合動詞以外で自動詞と他動詞が同じ形の動詞はほかに思いつきますか?
 辞書で探せば、当たる、言う、偽る、こぼす、ささやく、差す・・・けっこうあるのですが、自動詞か他動詞かを意識したことはないかも。「寄せる」は、他動詞では、近づける、送る、集める、自動詞では、近づく、攻め寄せる、という意味です。「返す」は、他動詞では、もとあったところ(状態)に戻す、自動詞なら、遠ざかる、返る、引き返すという意味です。引く、寄せる、返す、三つとも、波に関係するときは自動詞ですね。だからどうだって? 別にぃ~<( ̄・ ̄)>。
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「話合いましたが」って?

2012-02-15 20:29:18 | 気になる言葉、具体例
                             ソロモンの指環はどこ?

 「延々と話しをして」は「カンブリア宮殿」のテロップですが、ほかにも、あっちこっちで「ぜひお話したい」だの、「木に話かける」だの、「私に話かけないで」だの、本当にもぉ~~~分かってないなぁ。Eテレのテロップまでが「昔ながらのお話しをしながら」ですからね、もうだめかな。
 正しくは「延々と話をして」「ぜひお話ししたい」「木に話しかける」「私に話しかけないで」「昔ながらのお話をしながら」です。名詞の「はなし」は「話」、動詞の「はなし」は「話し」で、話さない、話して、話したい、話し、話しかける、話し始める、話し続ける、話し終える、話す、話せば、話せ、ですよね?!
 話さない、話す、話せば、「さ」「す」「せ」のときはちゃんと書けるのに、いや、そもそもパソコンを使えば「話ない、話、話ば」になんてなりませんからね、なぁ~んにも考えていなくても、ちゃんと「話さない、話す、話せば」になります。でも、「はなし」だけは「話」か「話し」か選ばないといけません。それをちゃんと選んでいないから「話しをして」や「話かける」なんてことになるのです。
 でも、本当に不思議で全く理解できないことなのですが、「はなしかける」と入力して変換すると「話しかける」「話し掛ける」が変換候補として出てくるでしょ、なのに、なぜ「話かける」「話かけないで」と書いてあるのか。わざわざ「し」を削除したの? それとも、「はなし」で変換、「話」にして、「かける」を追加したの( ̄_ ̄)?
 以前にも「話」と「話し」について書きましたが、今回また書いたのは、「よく話合いましたが」と書かれたものを見たからです。一瞬、「よく話が合いましたが」の「が」が省略されているのかと思いましたが、これも「よく話し合いましたが」の「し」が抜けていたのです。「はなしあいました」を変換すると「話し合いました」になるのに、なぜ? 「話し合いました」と「話合いました」とでは意味が違います。よく話が合うのなら話し合う必要なんかありませんよ。
 「しんじつをおはなしにならないなんておはなしにならない」を正しく変換すると「真実をお話しにならないなんてお話にならない」ですが、「お話しにならない」は尊敬の表現で、「お話にならない」は、だめだ、問題にならない、論外だ、という意味の慣用句です。「し」のあるなしで意味が違ってくるのですから、「し」があるかないかなんてどうでもいいなどと思わないでくださいよ~( ̄ ̄)。
 ところで、このごろ何を見ても「気を使う」と書いてありますが、「気を遣う」が正しいのですよ。「使う」と「遣う」は意味が違います。「気を遣う」は心をわずらわすという意味で、単純に使うということではないのです。試しに「きづかう」と入力して変換してみてください、「気遣う」ですよ(⌒・⌒)。
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みんな「へ」が大好き。

2012-02-12 09:15:52 | 気になる言葉、具体例
                            ハムやん、ご機嫌いかが?

 放送業界の人たちは何事も大げさなのが好きですから、「明らかになる」を「明らかとなる」に変えてしまいました。とはいえ、さすがに書くのは抵抗があると見え、テロップは「明らかに!」ですけどね。それから、「子どもへ投資」と書いてあるフリップ、そのまま「子どもへ投資」と言うアナウンサー、皆さんはどう思いますか? 本来、「へ」ではなく「に」で、「子どもに投資」なのですよ。
 「終わるとすぐマンションへ帰宅」というナレーション、別に変じゃないよという人のほうが多いでしょうけれど、私は大げさだなぁと感じます。ある感慨を持って「うちへ帰ろう」と言うなら話は別ですけどね。あるいは、「帰宅」を省略して「終わるとすぐマンションへ」ならいいのですが、「帰宅」まで言うのなら「終わるとすぐマンションに帰宅」で十分です。「へ」の大安売りはやめましょうよ。
 「飽きられ?○○金髪へ」というYahoo!トピックスの見出しをクリックしたら「結成10年でイメチェン、金髪へ」と書いてありました。後者は、ありっちゃありかなぁと思わないでもないですが、前者はやはり「金髪に」です。だって、普通は「金髪にする」「金髪にしてイメチェン」で、「金髪へ」なんて言わないでしょ( ̄н ̄)!
 芸人が言った「○○へご宿泊ありがとうございます」も、例えば「ようこそ○○へ」なら「へ」でいいのですが、後に言葉を続けるのなら「○○にご宿泊(いただきまして)ありがとうございます」です。「ご飯をレンゲへ載せ」というナレーション、これも「ご飯をレンゲへ」か「ご飯をレンゲに載せ」か、どちらかです。
 「○○さんへ相談することに」は「ニュースJAPAN」のナレーションですが、正しくは「○○さんに相談することに」です。「○○さんへ相談」なんてありえない、明らかな誤りです。「中国へ対抗」「布団へくるまって」はgooのトップページで見た文ですが、「へ」は誤りで、「中国に対抗」「布団にくるまって」です。「布団へくるまって」と書いた人、ひょっとして「長い物へは巻かれろ」とか言うんですかね( ̄ー ̄)。
 それから、あるアンケートで、②に「①で『はい』と答えた方へ質問します」と書いてあって、こんなものまで「へ」なのかとあきれました。書いた人は「へ」のほうが「に」より丁寧な表現だと思っているようなのですが、それは違います。丁寧とかいうことではなく、「に」と「へ」は意味合いが違うのですよ。
 「に」より「へ」のほうが、大きい、高い、遠い、広い感じがしますから、大げさ大好きの放送業界が飛びつくわけで、実際、積極的に「に」を「へ」に置き換えてきましたが、一般人の文章を見てもかなりその影響を受けてしまっていると感じます。大げさに表現したいという意図はない、ないけれど、「へ」と書いてしまう、つまり、「に」が正しいのだと知らない、忘れている、「へ」に慣らされ、それが当たり前になっているのです。私は慣れませんよっ( ̄_ ̄)!
 ところで、この時期ですから「バレンタインなので、チョコ、もらってください」というのを何度も聞きましたが、大人は「受け取ってください」と言いましょうね。へ? 余計なお世話ですか(~_~;)?
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「執筆に息詰まったら」って?

2012-02-08 19:37:38 | 気になる言葉、具体例
                                   敷布団やん

 西尾アナは、羽鳥慎一同様、「ご登場していただきました」「ご用意していただきました」で、いつも「ご~していただく」ですね。「おはなししてくださいますのは」と言ったのは「日曜美術館」の森田アナ(部長級のアナウンサーらしい)です。皆さん「して」が余計ですね。平仮名で「おはなしして」と書いてあるのが気になるかたは2011年10月19日の「家族とお話しして」って? をご覧ください。
 それにしても、市川アナ(以前、報ステに出ていた)までが「ご用意してください」と言うのを聞いたときはさすがに もうだめだ! と思いました。市川アナは、若いに似合わず、割と日本語をきちんと話しているので好ましく思っているのですが、ついに羽鳥ウイルスに感染してしまいましたね( ̄_ ̄)ムゥ。
 「きめ細かな」は数年ですっかり「きめ細やかな」になってしまい、いまだに抵抗を感じるのですが、そんなに困らないからあきらめています。でも、これは本当に困りますよ、「煮詰まる」と「行き詰まる」をごっちゃにしている、というより、「行き詰まる」を知らなくて「行き詰まる」の意味で「煮詰まる」と言う人、大勢いますよね。
 先日もテレビでそういう人を見ましたし、そのときのテロップも同じでしたが、そうなると、本来の「煮詰まる」の状態だと言いたいときはどうするのでしょうか。「これをさらに煮詰めていって」はどういう意味だと理解するのでしょうか。そして、もっと強烈な、なんとも奇妙なテロップを見たのですが・・・「執筆に息詰まったら」ですよ。
 芸人が自作の歌を、ギターを演奏しながら歌っていたのですが、確かに「しっぴつにいきつまったら」と聞こえました。そのテロップが「執筆に息詰まったら」で、この芸人が書いたものを見てそのまま書いたのか、テロップ入力作業者が「いきつまったら」と聞こえたからそう書いたのか、それは分かりません。
 「行き詰まる」の意味で「煮詰まる」と言ってしまっているから「行き詰まる」を知らないのか、そうでも考えないと「執筆に息詰まったら」はありえないですよね。でも、「煮詰まる」でないことは喜ぶべきなのか、なんとも複雑です。「いきづまる」ではなく「いきつまる」なのだとしても、「執筆」に「息詰まる」なんて言いません。
 「息が詰まる」は、「偉い人ばかりの会合で息が詰まったよ」というように、緊張して息苦しいということを表現する言葉です。自宅で小説を書いていて息が詰まるなんてないでしょ。アイデアが浮かばない、筆が進まない、そういう状態を言うならやはり「行き詰まる」ですよね。ちなみに、私は、ネタが豊富なので記事を書くのに行き詰まることはありません(⌒・⌒)。
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「沈金・蒔絵」がデンジャラス!

2012-02-05 09:34:45 | 言葉についてあれこれ
                              金彩(きんさい)だね

 このごろは「2355」を見るために11時半を過ぎるとチャンネルをEテレにするのですが、その時間にやっているのは、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語などの講座です。日本語を話せる外国人って、やはり尊敬します。ですが、日本人と同じように発音できるかというと・・・いまいちだったりして。
 それで思ったのですが、何でもかんでも単語の頭を高く発音する傾向、関係ないですかね? 外国人の日本語はどうしても単語の頭にアクセントが来るようなのですが、それを毎日聞いているうちに、昨今のアナウンサーも同じだなぁ・・・そういえば・・・帰国子女のアナウンサーってやたらいるよねぇ・・・と思ったわけですよ。
 いったんそういう流れになると、たとえ日本生まれの日本育ちであっても若い人はいとも簡単に影響を受けてしまいますし、放送業界というのは何とも不思議で、誤りであってもすぐに右へ倣えになります。ほかと違っていたら不安なのでしょうか。そして、困ったことに、修正するのは苦手です。
 さて、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に・・・といっても、今日は爆笑ネタを一つ披露するだけです(⌒・⌒)。北陸朝日放送が毎週土曜日に放送している「土曜はドキドキ」の安藤リポーター(12月18日の記事に書いた、どうしようもない人)、「皆さん食べられたことありますか」「ぎゅっとしみ込まれていますね」「伝統工芸がふれられるお店」と相変わらずですが、やってくれちゃいましたよ。
 石川県には、皆さんご存じの輪島塗、加賀友禅、九谷焼をはじめとして、織物、象嵌、仏壇、水引、金箔など、実にさまざまな伝統工芸があるのですが、昨日の放送で「沈金・蒔絵(ちんきん・まきえ)」を( ̄_・_――)と発音したのです。何と聞こえたか、もうお分かりですね、あっぶなぁ~~~(~_~;)。
 「皆さん召し上がったことはありますか」「ぎゅっとしみ込んでいますね」「伝統工芸にふれられるお店」「沈金・蒔絵(――・_――)」ですよ。安藤リポーターは「召し上がる」を知らない! 助詞の使い方を知らない! 「沿線」も( ̄_)と言っていました。こういう人を教育もせずに平気で出してくるテレビ局ってどうなの? しょせんローカルだし、これで精一杯?
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「多額の損失を出した情報を入手」って?

2012-02-01 21:31:37 | 気になる言葉、具体例
                                  1番、優勝!

 「Jesus、Jesus」と言っているのに「神様、神様」と書いてあるテロップ、「Jesus」は「イエス(イエス・キリスト)」ですから「神様」とは違います。本人が確実に三位一体という前提で言っているのならしかたありませんが、日本人の多くはイエス・キリスト=神様だとは思っていないでしょうし、私も、イエスはイエスであって神様ではないと思っています。「神様」と書くのは安易すぎませんかねぇ?
 「1番きれいに見える」の「1番」は、1番、2番、3番の1番ではなく「最も」という意味なのですから「一番」と書くのが正しいのですが、テロップ入力作業者の間ではもうすっかり「1番」と書くのが定着しています。誤りだということはおぼろげに分かっている・・・と思うのですが・・・どうかなぁ?
 「女性が先物取引で多額の損失を出した情報を入手」は「情報7daysニュースキャスター」で見たテロップですが、「という」が抜けています。でも、抜けているのではなく抜いているのです。そう言わざるをえません。文字数を少なくしたいというより、「という」なんか書かなくていいんだよっ! という気持ちが見えます。だって、「この図はですね」などと、「え~」や「あ~」と同じ、書けば理解の妨げになるだけの「ですね」をわざわざ書くくらいですから文字数の問題ではないですよね。
 「女性が先物取引で多額の損失を出したという情報」なら、女性が先物取引で多額の損失を出したこと、それ自体が「情報」であり、そういう事実があるということがストレートに伝わりますが、「女性が先物取引で多額の損失を出した情報」だと、女性が先物取引で多額の損失を出した、「その原因となった情報」という意味になります。
 確かに「女性が先物取引で多額の損失を出した情報を入手」のほうが「女性が先物取引で多額の損失を出したという情報を入手」よりインパクトがあり、強く訴える感じがします。しますが、だめでしょ、実際は「女性が先物取引で多額の損失を出した」という情報を入手しただけなのですから。
 こういう違いを分かっていないのか、分かっているけれど、その影響を考えずに安易に抜いてしまっているのか、それとも、日本語を混乱させようという意思を持って故意に抜いているのか。それはない? でも、特に若い人、すでに混乱しちゃってますけど。それに、日本の「教育」と「放送」がやってきたことを考えればありえます。いずれにしろ、正しい日本語を意識しないのはまずいですよ(ーー;)。
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