◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「家族のほうとお話をしまして」って?

2012-05-30 18:44:38 | 言葉についてあれこれ
                             守ってあげる

 芸能人の多くは、自分の話している日本語が正しいかどうかなんて気にしておらず、一般の人に悪影響を及ぼしている、これは間違いないことです。また、その言動が社会に及ぼす影響の大きさからすると、言葉だけではなく、いろいろなことに一般の人より何倍も気をつけないといけないわけで、そこを分かっていない芸能人が多すぎます。
 長年、国民年金保険料を払っていないのに払っているように確定申告していた女優がいましたね。それだけでも問題なのに、年金加入促進の広報をやっていたために大問題になりました。交通違反を繰り返して免停になったタレントも車のCMに出ていましたが、職業運転手でもないのに免停なんてよっぽどですよ、自覚が足りません。芸人Koは推定年収5000万円で母親が生活保護、芸人Kaは、母親にマンションを買ってあげても、母親の生活費は生活保護ですか。資産があってももらえるものなの?
 二人とも、不安定だの保証がないだの言い訳をしていますが、保証がないのはみんな同じ、あるのは役人ぐらいでしょ。なにしろ、役人は、民間の企業なら一発で解雇になりそうな事件を起こしてもクビになりませんから。結局、不正受給だとは認めていませんね。でも、十分な生活費を出せる高収入の息子がいるのに生活保護費をもらい続ける、それを「不正受給」と言うのでは?
 はい、前置きはここまで。NHKのニュース番組で見たのですが、芸人Koが「家族のほうとお話をしまして」と言ったのでゾクッとしました。「家族のほう」ってだれ? 話を聞いていて、芸人Koの言う「家族」に母親は入っていないようだと思いましたけどね。私はこの「~のほう」が大嫌い。なぜかというと、口先だけの人の特徴的な話し方だから。さらに、「お話」って? 考え方も言葉も幼稚です( ̄ ̄)。
 識者がコメントしている場面で出た「支給されるはずの人が」というテロップ、このとき、話し手は「受給されるはずの人が」と言ったのですが、微妙ですね。この「受給される」はお手軽敬語ですが、入力作業者は受身の「される」だと理解し、「受給」を「支給」に変えたようです。さらに、「尻すぼみになる可能性」というテロップ、このとき、話し手は「尻込みする可能性」と言ったのですよ。
 以前から不正受給が問題視されてはいたけれど、まだまだ緩いところがあった。でも、今回発覚したのが売れっ子芸人であったために騒ぎになった。それで、生活保護で救われるべき状況なのにどうせ駄目だろうと思って申請をあきらめる人が増えたらそれはそれで問題だという話です。つまり、「尻込みする可能性」があるということであり、「尻すぼみになる可能性」ではないのですが、なぜこんなテロップが出るの?
 話し手が話した言葉を文章化するという作業には、言葉を聞き取る力、内容を理解する力、言葉を組み立てる力、最低限これらが必要です。言葉を聞き取るには言葉をたくさん知らないといけませんし、内容を理解するには基礎知識がないといけません。さらに、素早く入力する力、正しい表記を選択する力も必要です。決して簡単なことではありませんから、そういう人材を探すか育成するかしないと~。NHKには他局の何倍も気をつけてほしいなぁ~( ̄_ ̄)。
 必要なのか、必要ないのか、適正か、不正か、それを明らかにするために必要な調査を実施する、こんなの当たり前のことだと思ったら、これが当たり前ではない。調査したくてもできないので本人や家族の申告で判断するしかないようです。でも、世の中、正直者ばかりではありませんからね( ̄ ̄)。放送業界は、必要なチェックをしているのか? 誤りをなくそうと努力しているのか? 世の中、誤りを誤りだと認識できる人ばかりではありませんからね( ̄~ ̄)ウンムゥ。
コメント (2)
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「634メートルに達したと見られています」って?

2012-05-27 09:19:12 | 気になる言葉、具体例
                                ・・・と思われる

 スタジオでしゃべっているのは、大抵はアナウンサーですが、現場でしゃべっているのはアナウンサーだったりディレクターだったり、画面に出る小さな文字を見逃さなければ分かりますが、私はずっと画面を見ているわけではないので分かりません。ディレクターは、しゃべるプロではありませんが、原稿を書くという仕事がありますから、日本語の力が必要であることは言うまでもありません。
 ついにスカイツリーがオープンしましたね。「モーニングバード」を見ていたとき、工事の過程を振り返る映像が出て、ヘリコプターからスカイツリーのてっぺんを見下ろしてリポートしているアナウンサーもしくはディレクターが「作業員が拍手しています。○時○分に高さ634メートルに達したと見られています」と言いましたが、これは「作業員が拍手しています。○時○分に高さ634メートルに達したと見られます」ですね。「見られています」ではなく、「見られます」です。
 でも、これが、やはりこの人だけではないのです。「20分ほどかかる距離と思われています」というのを聞いたことがあるのですが、これも「思われています」ではなく「思われます」です。このほかにも、アナウンサーが「思われます」と言うべきところで「思われています」と言うのを見たことがあります。
 例えば、受身表現「周りの人から見られる」「怖い人だと思われる」、それが現在のことなら「周りの人から見られている」「怖い人だと思われている」となりますが、「高さ634メートルに達したと見られます」「20分ほどかかる距離と思われます」は、受身ではなく自発です。思われる、感じられる、見られる、そうしようと思わなくても自然にそうなるという意味で、自分がそう見るということではなく、この状況を見たら分かるよね、ということです。
 文法を持ち出して説明すれば受身と自発の区別ができていないということですが、こんなものは、何がどうだと説明するまでもない、日本語をしゃべる日本人がなぜここで「見られています」「思われています」なのか理解できない、それほどおかしいですよ。そんな人が放送でしゃべるって、どうなの( ̄ ̄)?
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「原因を突き止めている最中でして」って?

2012-05-23 19:10:42 | 言葉についてあれこれ
                               美ハムコンテスト?

 先日、千葉県で広範囲に断水という大変なことがありましたが、市民からの問い合わせに対応している人(役所の人)が「原因を突き止めている最中でして」と言いました。どうですか、変だと感じますか? 何も感じないとしたら要注意ですよ。こういうのもじわじわ増えているような気がします。
 「突き止める」は、確かに知るという意味。原因を突き止めるべく調査し、突き止めた、つまり、始めと終わり、「突き止める」と「突き止めた」であり、過程をこの言葉で表すことはありません。「突き止めている最中」なんてありえないのです。「~ている最中」と言いたいなら、「原因を突き止めるべく調査している最中でして」「原因を突き止めようとしている最中でして」「原因を調べている最中でして」です。
 それにしても、ホルムアルデヒド? ヘキサメチレンテトラミン? 結局、原因は何なのかよく分かりませんね。しかも、やはり初動がまずかったのだとか、宴席がどうだとか、よくある話も出たりなんかして。日本人にとってきれいな水がある生活は当たり前、なのに、よく分からないことで突然断水するというのは非常に不安です。ペットボトルの水を幾らか常備しておくぐらいしか対策はありませんからね。
 さて、言葉の話に戻りますが、「○○を目指し、ライセンスを取得中」というEテレのテロップ、これも同じですね、始めと終わり、「取得する」と「取得した」、その過程は「勉強している」や「練習している」であって、「取得中」なんてありえません。「○○を目指し、ライセンスを取得すべく勉強中」です。
 「見当たっていません」と言ったのは「報道STATION SUNDAY」の矢島アナですが、これは「見当たらない」もしくは「見当たらなかった」としか言わないものです。「見当たっていません」なんて初めて聞きました。アナウンサーがそんなおかしな言い方をしてはいけませんよっo(`д´)o!
 「朝日に輝いた富士山、きれいですねぇ」と言ったのは「やじうまテレビ!」の天気予報のお姉さんですが、日本人なのにこういう言い方しかできないのかと、とても情けなく思います。「きれいですねぇ」ですから、富士山の映像を見ながら言っているわけで、それは「朝日に輝く富士山」です。
 「いまだ行方が分からなくなっている△△医師の妻」は「情報7daysニュースキャスター」のナレーションですが、「いまだ」が余計ですね、「行方が分からなくなっている△△医師の妻」と言えばそれで十分です。どうしても「いまだ」と言いたいのなら「いまだ行方が分からない△△医師の妻」です。
 「まさにこれから再建を図っている」と言ったのは「とくダネ!」のリポーター。「まさにこれから再建を図ろうとしている」ではないのか? 「そろそろおなかがすいてきた時間になりました」と言ったのは「王様のブランチ」の谷原さん。「そろそろおなかがすく時間ですね」と言ってくださいよ。
 この番組も、若い子たちのあまりにも変な日本語に耐えられなくなり、もうずっと見ていませんが、なにしろ人数が多いですからね、レベルも低すぎますし、チェックなんかできないでしょう。チェックしようと思ってもいないでしょうから、谷原さんの日本語もどんどん崩れていくのかな <( ̄・ ̄)>。
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「いさぎわるい」って?

2012-05-20 08:58:01 | 言葉についてあれこれ
                               己を知る修行ですか

 街頭インタビューで、ある芸能人のことをどう思うかと聞かれ、「いさぎわるい」と言った人がいました。まぁ、ね、面白い言い方じゃないかと聞き流せばいいのかもしれませんが、「面白くない」を「面黒い」と言うのとは違い、「いさぎよい」を漢字で書くと「潔い」ですからね、「善し悪し」ではないのですよ。それに、「往生際が悪い」という表現がちゃんとあるのですから( ̄ ̄)。
 「前倒す」「足らすことはできる」と言ったのは「モーニングバード」のナレーションですが、「前倒しする」「足りるようにすることはできる」と言うのが本当ですよ。「たらす」でパッと浮かぶ言葉は「垂らす」と「たらす(誑す)」ですが、「たらす(誑す)」なんて、「言」に「狂」ですよ、自分の欲を満足させるためにうまく相手をだますという意味の言葉なのですよ、そんな言い方、やめてくれい( ̄д ̄)!
 「どんどん進み上げて」と言ったのは小倉智昭です。この人は、まともな日本語をしゃべれないのに「我々はしゃべりのプロだからきちんとした日本語をしゃべれるけれど」なんて言うのですから、己を知らぬにも程があります。「いさぎわるい」で記事を書くに当たって自由すぎる言い方の例を変な日本語メモから探したのですが、小倉智昭の発言にそういう例がきっとあると思ったのですよ、そうしたら、やはりありましたね。
 なにしろ、「格段と激しい」だの「押しも押されぬ」だの、正誤なんて全く気にしておらず、てきとーにしゃべっているでたらめな日本語を周囲に広めているスーパースプレッダーですからね。話の内容からして、進級させる、教えて引き上げる、伸ばす、引っ張り上げる、こういった意味で言ったようなのですが、もちろん、「進み上げて」なんて日本語として成立していません。自由すぎます。
 「とくダネ!」の出演者も、「飛び散らかっている」だの「散歩を行っていた」だの、「さんぽをいっていた」ですよ、本当に自由です。「めざましテレビ」も変な日本語の宝庫(?)ですが、「○円の赤字が見通されている」だの「電化製品の中に○○が売ってるんです」だの、変ですよ。あまりにも気持ち悪くて「とくダネ!」と「めざましテレビ」はここ3年ほど見ていません。だから、最近はどうなんだか知りませんけど(~_~;)。
 そうそう、「とくダネ!」といえば、中野アナが司会を降りるようですね。中野アナのしゃべりは素人以下ですし、力不足であることは明らかで、ただの飾りにしか見えませんでした。そのうえ小倉智昭の横にいたのだからますます日本語がおかしくなったのではないかと想像しますが・・・。あれ? 「サイエンスZERO」も、安めぐみじゃなくなってる・・・いいぞ~(^-^)。
 「飛び散っている、散らかっている、とっちらかっている」「散歩に行っていた、散歩をしていた」「○円の赤字という見通しになっている」「電化製品に交じって○○が売られているんです」、普通はこうですよね。それから、「親しみさ」と言ったのはいわゆる文化人ですが、う~ん、「親しみ」以上「親しみやすさ」以下、でしょうか。どっちかにしてほしいなぁ。みんな自由すぎるよ~( ̄ ̄)。
 ところで、先日、ある番組の中で、俳優の的場浩司が「この番組にださせ・・だしていただくときは」と、言い直しました。以前、「ださせていただいて」ではなく、「でさせていただいて」か「出演させていただいて」、そうでなければ、いっそのこと「だしていただいて」と言えばいいのではないかと書いたことがありますが、「ださせて」をおかしいと思う人が増えたらいいですね(⌒・⌒)。
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「お会いしたことはあるんですか」って?

2012-05-16 19:01:01 | めちゃくちゃな敬語
                                  王様のおやつ

 「お求めやすい価格です」「お申し込みできます」「ご利用できます」などは、放送、特にCMではすっかり定着しているように感じます。もう何を言っても無駄なのでしょうけれど、CM制作会社の人たちに聞いてみたい。それが誤った言い方であることを知っているのか知らないのか。どっちにしろ、何度も繰り返すCMですから、誤りを広め続けていることに気づかないこと自体が罪ですが。
 違法薬物や恐喝などの犯罪で複数回逮捕され、アルコールともすっぱり縁を切ったらいいのではないかと思うのに、ウイスキーのCMに出る俳優、息子が酒に酔って暴力事件を起こしているのにビールのCMに出ていた俳優、車のCMに出ているのに交通違反を繰り返して免停になったタレント、そして、それを問題ないと言う制作会社や企業の人たち。芸能界、放送業界というのは何ともいいかげんな世界です。
 羽鳥慎一をはじめとして多くのアナウンサーが、いや、もう一般の人もそうですが、「ご用意していただいて」という言い方を誤りだと認識せずに平気でしています。NHKだって同じですよ。「今日、お話ししてくださいますのは」と言ったのは「日曜美術館」の司会者である森田アナ(部長級のアナウンサー)ですからね。
 「本日はこのかたにお越しいただきました」のように、「お越し」だけ取り出すと何か足りない感じがするときは「お越しいただく」でひとまとまりになり、「お越し」と「いただく」の間に余計な「して」は入らないのですが、これが「ご用意~」「ご紹介~」「ご案内~」のときは「いただく」の前に「して」が入ってしまうわけです。もちろん「ご用意いただく」であって、「して」は入らないものなのですが、アナウンサーなのに敬語の基本を知らないってどういうこと?
 しかも、この「お越しいただく」すら、羽鳥慎一は「○さん、△さん、お二人がお越しいただきました」だし、「やじうまテレビ!」のアナウンサーは「すてきなゲストがお越しいただいております」だし、「王様のブランチ」の谷原さんも「スタジオにすてきなゲストがお越しいただきました」だし、「今日にふさわしいゲストをお越しいただきました」なんて言った( ̄д ̄)ダラケ!までいます。
 本来は「お求めになりやすい価格です」「お申し込みになれます」「ご利用になれます」「ご用意いただいて」「お話しくださいますのは」「○さんにお越しいただきました」ですが、最近はめったに聞きません。先日、石川テレビの情報番組「リフレッシュ」で司会の女性が「ご応募いただいて」「○さんにお越しいただいております」と言うのを聞いて驚きました。合ってる! 合っていることにびっくりするくらい、ちゃんと「ご(お)~いただく」と言える人が少ないということです。ちなみに、この人は、アナウンサーではなく、ローカルタレントです。
 ところで、欽ちゃんにはがっかりしました。それで今日のこの記事を書こうと思ったのですが、あの人気番組で、受賞者に向かって「頂いてください」と何度も言いましたね。幾らあのキャラクターでも、「頂いてください」はないでしょ、せめて「受け取ってください」と言ってほしい。
 それから、「ケータイ大喜利」に出てきた、NHK福岡放送局、入局5年目の女子アナさん、敬語をちゃんと勉強してください。「◇さんに、○さんと△さんはお会いしたことないと思うんですけど」だなんて、そんなことでは後輩の指導なんかできませんよ。◇さんは新人芸人、○さんと△さんはすでに芸人として成功している人ですからね。
 羽鳥慎一は敬語の基本を知らないようで、やはりゲストの○さんに向かって「◇さんにお会いしたことはあるんですか」と聞いたりなんかするのですから本当に( ̄д ̄)ダラケ!ですが、この人、人気だけはありますからね、影響を受けている人は大勢いると思います。そんな( ̄д ̄)ダラケ!の影響なんか受けないで、ゲストへの質問なら「お会いになったこと」ですよ。
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「ミイラ化された遺体が」って?

2012-05-13 09:45:04 | 気になる言葉、具体例
                                    ふかふか

 前回、「カテゴライズ化されている」という例を挙げ、接尾辞「ize(~化する、~になる)」について書きましたが、「ウェークアップ!ぷらす」で五十嵐アナが「再び液状化になるおそれ」と言い、コメンテーターも「液状化になる」と言っていたことを思い出しました。「~化」についてきちんと理解していない人は案外多いのかなぁ。
 「液状化」とは液状になること。「地盤の液状化」は、地盤が液状になること。「地盤が液状になった」は「地盤が液状化した」と言いますよね、「地盤が液状化になった」とは言いません。よって、「再び液状化するおそれ」「液状化する」です。
 ほかにも例がないか、変な日本語メモを探したらやはりいろいろありました。「競争が過熱化し」「この手作り絵本は製本化されました」「孤立化してしまって」「ミイラ化された遺体が」「○年に健康を悪化させてから」「○○した後、気分悪化し、重体に」「激化する日中関係」ですよ、これって変でしょ!?
 例えば「一部の用法が一般化する」「テロが過激化する」「組織が弱体化する」、これらは、「化」を抜いて「一般する」「過激する」「弱体する」とは言えません。でも、「過熱化する」「製本化する」「孤立化する」は、「化」を抜いて「過熱する」「製本する」「孤立する」と言えます。というよりも、「競争が過熱し」「この手作り絵本は製本されました」「孤立してしまって」と言うのが普通です。
 「一般的になる」「過激になる」「弱体になる」という意味で「一般する」「過激する」「弱体する」とは言いませんが、そこに「化」を付けて、そういうふうになるということを表しているわけです。一方、「過熱する」「製本する」「孤立する」は、それで十分、熱過ぎる(激し過ぎる)状態になる、本の形にする、ただ一人でいるような状態になる、ということを表しますから、「化」は要りません。
 「ミイラ化された遺体が」は面白い例ですね。これが古代エジプトの話なら「ミイラ化された遺体が」でもいいのですが、即身成仏、あるいは現代の殺人・死体遺棄事件や孤独死といった話なら「ミイラ化した遺体が」です。もちろん、これはニュースで聞いた話なのですから「ミイラ化した遺体が」ですよ。つまり、この「ミイラ化」は、「ミイラにする」ではなく、「ミイラになる」です。
 「○年に健康を悪化させてから」はテレビ金沢の番組で聞いたナレーションですが、残念ながらテレビ金沢の日本語力は低いので、面白い例が出るわ出るわ、とほほです。「悪化」は、悪くなるということで、「悪化」というからにはすでに何らかの病気を発症していると考えられ、「○年に病気を悪化させてから」と言うのが普通です。病気というほどでないなら「○年に体調を悪化させてから」ですね。
 「悪化」でもう一つ、テロップというものはどこの局もいいかげんですが、「○○した後、気分が悪くなり、重体に」と言っているのに「○○した後、気分悪化し、重体に」と書いてあるのを見たことがあります。「気分が悪化する」なんて誰も言いませんよね。なぜ素直に「気分が悪くなり」と書かなかったのかなぁ?
 それから、「報道STATION SUNDAY」で「激化する日中関係」というナレーションを聞いたとき、テロップも「激化する日中関係」でした。はて? 何が激化したのかな? 「激化」には、激しくなる(する)こと、という意味しかありませんけど( ̄・ ̄)。
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「中のインナーを」って?

2012-05-09 19:18:10 | 言葉についてあれこれ
                                    きぃーっ

 役に立たぬカタカナ語辞典を壁に投げつけたのは・・・そう、あれは10年以上前だったと思いますが、ある経済学者の講演を録音から文章化していたときです。なじみのない英単語が次から次へと出てきて、カタカナ語辞典を見ても載っておらず、全く意味が分からない。しかし、意味を理解しないと文章化できないので、発音からつづりを想像して英和辞典で該当する単語を探し、四苦八苦して文章化しました。
 話し手が話したとおりに書くというのが原則ですが、そのまま書いたらちゃんとした文章にはなりませんから、実際にはかなり手を入れます。それでも、話し手がカタカナで言っているものをわざわざ日本語に置き換えることまではしませんから、当然、カタカナだらけの文章になりました。それを読んで果たしてどれくらいの人が理解できるのか疑問でしたけどね(ーー;)。
 「ラッシュアワー時間」「理想と現実のギャップの差」「パワフルな感じで力強さがあったので」「力がどんどんパワーアップする」「なぜ変わったネーミングを付けているのか」って、このように言った人は、「ラッシュアワー」「ギャップ」「パワフル」「パワーアップ」「ネーミング」の意味をちゃんと分かっているのでしょうか。
 「中のインナーをビビッドな色に」と言ったのは一般の(服飾関係の仕事をしているらしい)人です。インナー、アウター、ですか、私自身は使ったことがない言葉ですが、意味ぐらいは知っていますよ。「中の」が余計ですね、この人は「インナー」の意味を「上着ではない」という程度に理解しているのでしょうか。
 「マイナス4ミリも足が細くなった」は、「4ミリも足が細くなった」と言えばいいわけですが、とにかく「マイナス」と言いたかったのでしょう。「全品オール390円」や「アバウト1年ぐらい」も同じ、本当は言わなくてもいいのだけど言っちゃうんですよね。でも、やっぱり変ですから。
 「カテゴライズ化されている」は、聞いてすぐおかしいと感じるかどうかちょっと微妙ですが、どうですか。「カテゴライズ」は分類することを意味しますから、「~されて」と続けるなら、「カテゴライズされている」と言えばそれで「分類されている」という意味になります。よって、「化」は要りませんね。
 接尾辞「ize」は、~化する、~とする、~になるという意味で、「アメリカナイズ」なんてのは、昔、よく使われましたが、アメリカ化する、アメリカ風にするという意味です。「グローバル」に「ize」が付いてさらに「tion」が付いて名詞になったのが「グローバリゼーション」、世界化、「グローバル化」とも言いますね。単語の構造や意味を理解していれば変な重複にはならないでしょ!?
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「ご利用いただけます」について。

2012-05-06 08:58:47 | めちゃくちゃな敬語
                                   柏ハムやん

 金融機関などは、本来「ご利用になれます」「ご利用になれません」と言うところを「ご利用できます」「ご利用できません」ですからね。わずかに、ゆうちょ銀行は以前から「ご利用可能です」「ご利用いただけます」で、「ご利用できます」よりは随分ましだと思っていたのですが、そういえば、連休前に地元の地銀から配達地域指定ゆうメールが来ていたなぁと思い出し、見てみました。
 「ATMなど一時休止のお知らせ」というもので、5月3日から5日まで「ご利用いただけません」ですって。へぇ~、「ご利用できません」じゃないんだぁ~。「ご利用になれます」が、「利用できる」を尊敬の表現にしているだけなのに対し、「ご利用いただけます」には利用してほしいという気持ちが幾らか入っているように感じますから、そういう立場の人がそういう気持ちで言う分にはかまいませんが、そればっかりになったら・・・やっぱりやだ( ̄_ ̄)。
 若い女優が「初めての役で、監督さんが丁寧に教えていただいて」と言った、これを聞いて変だと感じますか? 今ではもうありふれた言い方ですが、こういう言い方をする人は、とにかく「~ていただく」と言いさえすればそれで済むと思っているから間違いに気づきません。これは、「監督さんが」ではなく「監督さんに」と言わなければ日本語として成立しないのです。
 「監督さんが」と言ったのなら、監督の行為を尊敬の表現にしなければいけないわけで、「丁寧に教えてくださって」となります。では、「教えていただいて」はだれの行為でしょうか。「教えていただいて」は「教えてもらって」を丁寧に表現しているだけで、教えてもらうのはこの女優であり、「初めての役ですから監督さんにいろいろ教えていただいて」となります。
 では、「教えてくださって」と「教えていただいて」の、どちらがより敬意の度合いが高いと感じますか。どういう立場の人がどういう気持ちで言っているか、そういうことを考えると単純に答えは出せないのですが、そもそも「教えていただいて」は自分のことを丁寧に言っているだけなのです。それでも、世の中の多くの人は単純に「~ていただく」が最上だと思っていますからね。
 例えば、人に何かを依頼するときは、「~いただけませんか」「~いただけますか」「~くださいませんか」「~くださいますか」「~ください」という順番になります。また、随分前ですが、NHKのアナウンサーが、「依頼」が入ると敬意の度合いが高いように感じる、「~ていただく」には「依頼」が入っていると言いました。
 それを否定はしませんが、そうしたイメージがむちゃくちゃに拡大し、芸能人を中心に文法も何も関係なく乱用され、とうとう「~ていただく」症候群が蔓延するに至った、私はこう思っています。それと同じように、「ご利用になれます」「ご利用になれません」は知らない、「ご利用できます」「ご利用できません」はあまり丁寧な感じがしない、そうなると、「ご利用いただけます」「ご利用いただけません」に流れていくでしょうね。
 でも、いついかなる場合も「ご利用いただけます」「ご利用いただけません」でいいというわけではありません。大切なお得意様に面と向かって言うのなら「ご利用になれます」「ご利用になれません」がふさわしいと思います。要は、その時々に最もふさわしい表現を、ということですね(⌒・⌒)。
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「午前中のうちに」って?

2012-05-02 19:01:27 | 気になる言葉、具体例
                                  一日中寝てる

 はい、またまた重複です・・・(~_~;)ゞ・・・が、「中」ばかり集めてみました。例えば、「午前中のうちに」というナレーション、「午前中じゅうに」「年内中に」と言った一般人、「国内の中で」と言った政治家、「炎天下の中で」は「朝ズバッ!」のナレーションですが、ほかでもちょいちょい聞きますね。そして、「食卓中がさまざまなガラス食器で彩られる」はNHK Eテレの番組で聞いたナレーションです。
 それから、5年ほど前に「全米中の学校や病院を訪問」という例を挙げたことがありますが、「相棒」でも、「全米中が熱狂」と小道具のポスターに書いてありましたし、「とくダネ!」のナレーションでも「全米中が騒然」というのを聞いたことがあります。短いので聞き流してしまいそうですが、けっこう聞こえてくるのですよ。
 「全米中に」を聞いた同じ日に別の人が「全米各地に」と言うのを聞きましたが、さすがに「全米中各地に」とは言いませんね。でも、「各地に」がなかったら「全米中に」なのですから、なんともはや( ̄д ̄)! 「古来から」同様、すっかり定着したような感じがします。「全米中」は「全米」と「アメリカ中」のミックスですね。全米、オールアメリカ、アメリカ中、全日本、オールジャパン、日本中、だれも「全日本中(ぜんにほんじゅう)」とは言わないでしょう?
 「午前中じゅうに」は、まずテレビで聞いて、しばらく後に職場でも聞いて、言葉というのは、おかしいと思わなければ、聞いたまま、そのまんま、すぐにうつってしまうのだと実感しました。そうやって広がっていくのです。ちなみに、職場で「午前中じゅうに」と言ったのは、以前書いたことがある、「並べ替え」と「並び替え」、「○だ」と「○た」の区別なんかどうでもいいと言い放った人です。
 「○○の連中たちも」「係争中の中において」などという面白い例もあります。「連中」ですでに複数になっていますから、「たち」が余計ですね。「係争中の中において」はやや複雑ですが、「係争中」は「争いとなっている」ということですから、「争いとなっている状況において」、つまり、「係争中という状況において」と言うのが適切なのではないかと思います。
 「午前中に」「午前のうちに」「年内に」「国内で」「炎天下で」、そして「食卓がさまざまなガラス食器で彩られる」です。EテレのEって、educationですか、教育、陶冶(とうや)、教養、それで「食卓中」なんて言うんですからね。ディレクターが書いた原稿をだれかチェックしないとだめでしょ、何とかなりませんかね(ーー;)。
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