◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「おまえの、鼻でもにおわんか」って?

2016-06-26 09:35:06 | 言葉についてあれこれ
                                何か気配が?

 「鬼平犯科帳」で「そうか、おまえの、鼻でもにおわんか」と言ったのは香川照之ですが、1990年放送の「流星」での話、ということは、デビューした翌年だからしかたないかな。盗賊の行方を追う中で、何も引っ掛かってこないかと“密偵の粂八”に尋ねているわけです。つまり、「おまえの鼻でも」と続けて言わないといけないのですよ。すごく不自然でも、そこでカメラを止めるって、できないの?
 刑事ドラマで「ただ証拠を消して、回ってるってこと?」と言ったのは羽田美智子ですが、セリフの意味を理解しないでしゃべっているのでしょうか。「消して回ってる」と「消して、回ってる」とではイントネーションも違います。セリフをどうにかこうにか思い出しながら言っている下手な役者もこうなりますが・・・、ちょっと詰まったけれどそこでカメラを止めないで続けちゃったのが悪いのでしょうか。
 「相棒」season12#18「待ちぼうけ」で「こういうことになって、おまえの大切さに気づくなんて本当に馬鹿だと思う」と言ったのは伊沢康明役の新田純一。妻の異変に気づき、自分から離れていくかもしれないと思ったときに初めて大切さに気づく、よくあるパターンですが、それなら「こういうことになっておまえの大切さに気づくなんて、本当に馬鹿だと思う」でしょ、それができないのなら「こういうことになって初めておまえの大切さに気づくなんて、おれは本当に馬鹿だと思う」と言えば?
 ダメージヘアを補修する製品のコマーシャルで「まるであの頃の髪みたい」と言ったのは綾瀬はるか。あの頃(若いとき)の髪は傷んでいなかった、あれこれケアしなくてもきれいな髪だった、でも、そういう「あの頃の髪」と聞こえないのですよ、残念ですが、やはり力不足? 「かわいいから卒業する」もそうでしたが、意図どおりに聞こえるように言えるまで撮り直しって、できない?
 CMで「バレエ最高峰ともいわれるボリショイバレエで、踊ることを許された一人の日本人がいる」と言った船越英一郎、この人は俳優ですか? 本当に? 私なら「バレエ最高峰ともいわれるボリショイバレエで踊ることを許された、一人の日本人がいる」と言いますよ。ボリショイで踊る、それがすごいのですからね、そういうふうに言えない俳優ってどうなの? 息が続かない? 録音は一発勝負?
 「THE世界遺産」で「コパンは異国の王が起こした、国だったのです」と言った深津絵里、今は藤原竜也がナレーターですからだいぶ前の話ですが。コパンは、マヤ文明を代表する王国、ですが、この番組で言いたかったのは「異国の王が起こした」という点です。初代の王はよそから来た、ということは、「コパンは、異国の王が起こした国だったのです」であり、「起こした」と「国」の間で切ってはいけません。
 「事故現場の近くを通る、ルートを選択しました」と言ったのは「東北発☆未来塾」のナレーターである吉本実憂ですが、なぜ「通る」で切るのですかね? 「事故現場の近くを通るルートを選択しました」と言わないといけない場面ですから、それができないのは力不足です。こういう人が増えていますよね・・・┐( ̄д ̄)г。
 今朝の「ヨーコさんの“言葉”」第35話「ラブ・イズ・ザ・ベスト」、画面の文字が「他のものはあっても」で改行して「邪魔なものばかりよ」で、何となく違和感を覚えたのですが、上村典子ナレーターは、「ほかのものは」で区切って「あっても邪魔なものばかりよ」と言いました。いやぁ、ほっとしました(⌒・⌒)。これこそ『ちゃんとしゃべれ!』の神様降臨m(_ _)m ですよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「豆腐に味が吸い込んで」って?

2016-06-19 09:17:51 | 言葉についてあれこれ
                                手で食べる

 いろいろな番組でおいしそうなものを食べている人たち、これがまぁ、箸をちゃんと使えていない人ばかり。同様に、日本人なのに助詞がめちゃくちゃ、「豆腐に味が吸い込んで」なんて料理講師が言うのですから。助詞のことだけを考えると「豆腐が味を吸い込んで」ですが、高野豆腐ならまだしも、「吸い込む」はちょっと・・・、「豆腐に味が入って」「豆腐に味がしみ込んで」と言えば?
 ちゃんと助詞を使える人のほうが少ないと感じるこのごろですが、ネット上で「連絡を途絶えた」という記述を見たとき、何も考えなくてもすらっと出てきそうな「連絡が途絶えた」という表現すらできないのかと驚きました。「連絡を」なら「連絡を絶った」ですが、そんな区別もできなくなっているようです。
 前回、「彼の元にはさまざまな○が依頼されるようになりました」という例を挙げましたが、「~の元には」なんてかっこつけてこれですよ。「彼の元にはさまざまな○の依頼が舞い込むようになりました」と書けないなら、単純に「彼はさまざまな○を依頼されるようになりました」と書けば? 「○が」ではなく「○を」ですよ。
 助詞が使えない、使えないから書かない、助詞を書かないぐらい別にどうということはない、そういう感覚の人が多いですよね、そして、書かないから使えない、悪循環です。「『~~~』と言った」ではなく「『~~~』言った」、「意見を言う」ではなく「意見言う」など、日常の会話ではどうということはなくても、文章でこれはおかしいですよ。「飲み行く」って、こういうのを見ると気持ち悪くなります。
 msnニュースで見たサーチナの記事に「中国では子どもが登下校時に親や祖父母が子どものカバンを持つのが一般的だ」というのがありました。「子どもが登下校時に」ではなく「子どもの登下校時に」で、「中国では、子どもの登下校時に親や祖父母が子どものカバンを持つのが一般的だ」ですが、へぇぇ、そうなんですかぁ。
 「そのドラマのヒロインとしてオファーした女優がことごとく断られ、なかなか相手役が決まらないんだとか」は「芸能スクープ今旬ナビ!!」の記事ですが、キムタクとの共演は何かと面倒なのだそうで、オファーした女優がみんな断っちゃう、記事は受身表現の「断られ」ですから「オファーした女優にことごとく断られ」です。ふぅん、やっぱりそうなんだぁ<( ̄・ ̄)>。
 「観光客が村に訪れるようになりました」と言ったのはNHKの石澤アナ、「会場に訪れた関係者も」は「報道STATION SUNDAY」で聞いたナレーション、「姉の元に訪れた妹は」は「100分de名著 アラビアンナイト」で聞いたナレーションですが、「~に訪れる」ではなく「~を訪れる」ですよ。
 「視察に訪れた」と「現地を訪れた」の違いが分かりますか? 「視察に訪れた」は、省略せずに言うと「視察のために現地を訪れた」となるわけで、「視察に」はそこを訪れた目的、「現地を」は訪れた場所を示します。例えば、「研究所を多くの人が見学に訪れています」は「研究所を訪れています」ですね、「見学に」は目的を示します。そこをごっちゃにしないでくださいね。
 以前、「スキーへ連れていけ」というCM(ローカルです、多分)があったのですが、「スキーへ」はおかしいですね。「スキー場へ連れていけ」ならまだいいのですが、普通は「スキーに連れていけ」です。でも、最新版は「スキーに連れていけ、親孝行しとけよ」でしたから、誤りに気づいたのか?
 ところで、「人という字は、人と人が支え合っている・・・」とかいうCM、見るたびにもやもやするのですが、皆さんはどうですか? だって、どう見ても、小さい人が大きい人を支えていて、大きい人は小さい人をつっかい棒にしているのですからね。人という字は、手元の漢和辞典によれば、立って屈伸できる人体を横から見た形。だとすると、教訓として何か言うなら「人は立ち上がれる」ですかね~( ̄・ ̄)ゞ。
 それから、マイニュースフィード(提供:MSN)の「大地震の発生確立、太平洋側で上昇」という見出しを見ましたか? 一瞬ドキッとした後、( ̄д ̄)ダラケッ! とあきれたわけですが、とうとうこんなところにまで登場するようになったのですね。何って、「確立」ですよ、「確率」なのに「確立」ですよ、しょっちゅう目にするでしょ? ほかにも「墓穴をほった」とか「ペール大統領選」とか、一体どうなってんの?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「日の目を浴びることを許されない」って?

2016-06-12 09:23:47 | 言葉についてあれこれ
                                  夜行性だから

 いわゆるニューハーフのタレントが「日の目を浴びることを許されない」と言ったとき、その割にテレビにいっぱい映ってるよなぁ~と思ったのですが・・・(・ω・)? 日の目を見ることはない、というより、もっと単純に、日向に堂々と出られないと言いたかったようで・・・、だいぶ前のことです。
 「遡るのは50年!」は「報道STATION SUNDAY」で聞いたナレーションですが、「遡ること50年!」と言うのが普通ですよ。「メガネをはめた○○容疑者」は「報道ステーション」のナレーションですが、メガネは掛けるものでしょ、「はめる」は、ひょっとしてどこかの方言? 「洗濯物を取り入れたり」と言ったのは「世界・ふしぎ発見!」のリポーターですが、洗濯物は取り込んで。
 「復帰が長引きそうだということです」は、ずっと前に「とくダネ!」で菊川怜が言ったのですが、療養やリハビリなど、復帰の準備にかかる時間が予想より長くなる、つまり、復帰が予定より遅れるというわけで、「復帰」が長引くのではありません。ですから、「復帰が遅れそうだということです」でしょ。
 「甚大な被害がここを襲いました」と言ったのはアナウンサーですよ、どこの局か忘れましたが。例えば、竜巻や洪水がここを襲い、その結果が甚大な被害、でしょ。「どんな影響が起きるのか」というのも聞きましたが、「影響」が「起きる」なんておかしいですね、「どんな影響があるのか」と言えばいいのです。
 「歴史秘話ヒストリア」で「長政の元を次々と祟りが襲います」と言ったのは関真由美アナ(フリー)。その人の所、そば、という意味の「許(もと)」は常用漢字表外の音訓なので、表記辞典では「元」です。ですが、この場合、「元」は不要で、祟りは長政を襲うのです。「お願い!ランキングGOLD」では「男性の元に悲劇が襲いかかる」というナレーションを聞きましたが、これも、男性に悲劇が襲いかかるのです。
 森結有花アナ(石川テレビ)が「笠原、鬼教官堂上らの元に、図書館法規要覧が展示される芸術の祭典の警備指令が下る」と言ったことがありますが、これも「元」は不要です。「彼の元にはさまざまな○が依頼されるようになりました」という一般の人の記述を見たこともありますから、勘違いしている人は多いようです。「~の元を(に)」って、ちょっとそれらしく言いたかった?
 「元」といえば、「とくダネ!」のテロップで「ベルルスコーニ下伊首相」というのを見たことがありますが、これは「元」ですね。同じ「もと」でも「下」と「元」がありますが、しっかり使い分けていますか? 「とうだいもとくらし」は「灯台下暗し」です。msnの番組表で「あの絶世の美女は・・・今元宝塚女優が」というのを見たこともありますが、「あの絶世の美女は今・・・元宝塚女優が」ですかね。
 「ビートたけしのTVタックル」で聞いた「アドバイスにのってもらえる」というナレーション( ̄д ̄)! 何ですかねぇ、「相談に乗ってもらえる」と「アドバイスをもらえる」がごっちゃになったのでしょうか。「これだけの手間ひまと丈夫さを兼ね備えた傘」なんていうのも聞いたことがありますけど、支離滅裂ですね、やっつけで仕事をするとこうなるのでしょうか。
 世の中、変な日本語だらけ。「無言の帰宅を果たした」「一層窮地に立たせた」「次第に○は幕府と距離を持つようになりました」「朝の家事の片手間の間にできて」「~は記憶に強いですね」「濃度が増える」「財政破綻の危機に立たされることになった」「さらに人気を伸ばしています」など、みんな本当におかしなことを言っていますね。
 「生還を果たす」ならいいのですが、「無言の帰宅」は、残念ながら「生還」とは正反対、それを「果たす」とは言いません。「一層窮地に追い込んだ」「次第に○は幕府と距離を置くようになりました」「朝の家事の合間にできて」「~は記憶に新しいですね」「濃度が上がる」「財政破綻の危機に直面することになった」「さらに人気を高めています」と言ってよね、日本人なら。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「働いていようと働いていないようと」って?

2016-06-05 09:26:03 | 言葉についてあれこれ
                                  ベーシックインカム

 「クローズアップ現代」でベーシックインカム(働いていようといまいと一定の収入がある)の話をしているとき、国谷裕子が「働いていようと、働いていないようと」と言いました。え、今のは何? という不思議な感じがしたのですが、「働いていないようと」って・・・、国谷さん、どうしたの?
 でも、一般の人の「参加しようが参加しないが影響ない」という記述を見たこともありますし、正しい言い方を知らない人は案外多いのです。これは「参加しようがしまいが影響はない」ですよ。「お酒、飲もうが飲まないが」と言ったのは、以前、酔ってタクシー運転手に暴力を振るった元サッカー日本代表の前園真聖。それを言うなら「お酒を飲もうが飲むまいが」ですよ。
 「3時間待ったが入れず 家に帰った」と書いてあるのに「3時間待ったが入れずに家に帰った」と読んだ「ひるおび!」の江藤アナ。「~ずに」がまん延し、アナウンサーも「~ずに」と言わないと物足りないのか? 「~ずに」と「~ず」は意味が違うから区別しないといけないのに、そういうことは考えたこともない? その後、また「乗客の皆さん、情報が入らずに困ったようで」と言いましたから、もう完全に「~ず」なんて忘れてしまっていますね、それでもアナウンサーなのか・・・。
 「毎日新聞(オンライン)」の記事は「LED型は(中略)発熱量が少ないため、大雪の際には雪が溶けずに付着して信号が見えにくくなる問題が生じている」で、これは問題なし、ですが、写真のキャプションは「レンズについた雪が溶けずに見えにくくなったLED型信号機」で、これはだめです。「レンズについた雪が溶けず、見えにくくなったLED型信号機」でないといけません。
 「FNS北陸3局共同制作番組 キャイ~ンの北陸に住みたイ~ン」で石川県内の「白峰」という地名を(しらみね _ ̄ ̄ ̄)と発音した福井テレビの井上愛梨アナ、なまり丸出し! 北陸三県といっても、言葉は、富山、石川、福井、それぞれ少し違います。それでもアナウンサーは標準語、ですよね、それに、地名の発音は決まっていますから、ちゃんと確認しないとだめですよぉ、白峰(しらみね _ ̄__)ですよ。
 バラエティ番組で「ご用意していただきました」だの「二泊されておりまして」だの、おかしな敬語もどきを連発する人がいたので調べてみたら、元フジテレビアナウンサー、今はフリーの本田朋子。用意された原稿を読んだのではなく、自分の言葉でそう言っていたのですから、敬語を全く分かっていないということですね、アナウンサーなのに・・・、いや、アナウンサーの例に漏れず、ですかね。
 「役割を分担して担っていくことで」と、原稿を読んだのではなく、自分の言葉で言った伊東敏恵アナ、発音がおかしいだけではないようです。「雪が積もり上がっているんですね」と言ったのはテレ朝系ローカルのアナウンサー。「すてきにハンドメイド」で「わーっと煮詰まってしまったかた」と言った中山エミリ、そのすぐ後に吉井歌奈子(フリーアナウンサー)も同じことを言いました( ̄д ̄)!
 日本人なのに箸をちゃんと持てない人が大勢いますよね。そんな人がグルメリポート・・・、スモークサーモンと野菜を箸でぐちゃぐちゃぐねぐねかき回し、どうにかこうにか持ち上げて食べる、そんなものを見せられて気持ちいいわけないでしょ、みっともないo(`д´)o! あれと同じです!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする