◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「身長がどれくらいなのかを目安にする」って?

2016-10-30 11:06:20 | 言葉についてあれこれ
                                やっぱり小さい

 「ルーズベルトゲーム」というドラマで「その二人を、青島時代、補欠としか使わなかったのはどなたでしたっけ」と言ったのは平井理央(フリーアナ、元フジ)です。これはセリフですから、書いたのは脚本家でしょうけれど、本業はアナウンサーという人がこんなセリフをよくまぁ平気で言えますね。
 野球の試合をするというとき、「補欠」は欠けた人員を補うために控えている、つまり、レギュラーの選手がずっと試合に出ていれば使わないわけです。「補欠にしかしなかった」「補欠としてしか扱わなかった」「レギュラーとして使わなかった」「レギュラーにしなかった」など、言い方はいろいろありますよ。
 「選手をたたきあげる」は「あさチャン!」で聞いたナレーションですが、これは「選手を鍛え上げる」でしょう。「何度か話を持つ機会があったが」は、「団塊スタイル」で画面に映ったアンケート回答文にあった記述ですが、「話を持つ」はおかしいですね、何か抜けています。「何度か話し合いの場を持つ機会があったが」か、あるいは「何度か話し合う機会があったが」ですね。
 「トラック野郎が休憩のために立ち止まる」というナレーション、かなり前なので何で聞いたか忘れましたが、このトラック野郎は散歩でもしていたのでしょうか。いいえ、ちゃんとトラックを運転していますよ。食事休憩で、実際に止まるのはトラックですから、やはり「トラック野郎が休憩のために立ち寄る」です。
 「白熱ライブ ビビット」の「日刊ビビット」にて、タコノキ(植物)の写真を示して「小笠原諸島にしかいない貴重な固有種」と言ったのは井上貴博アナウンサー(TBS)ですが、タコではなくタコノキですからね、「小笠原諸島にしかない貴重な固有種」でしょ、他人が書いた原稿を読んでいるわけでもないのに・・・( ̄д ̄)!
 「ドイツにおける移民の割合は約1530万人で、総人口の19.2%にものぼります」(msnニュース TABIZINE)という記述、書いたのは日本人のようですが・・・。「ドイツに住む移民の数は約1530万人で、総人口の19.2%にも上ります」もしくは「ドイツにおける移民の割合は総人口の19.2%で、約1530万人にも上ります」でしょ。
 「車線変更に失敗で大回転する車に衝撃」はmsnマイニュースフィードにあった動画の見出しですが、誰が書いたんだ? クリックしたら「衝撃!車線変更に失敗した車が大回転」と書いてありました。「車線変更に失敗して大回転する車に衝撃」ですね、でも、道幅がやたら広く、車はぐるっと回転しただけでどこに衝突したわけでもない、それは衝撃でも何でもありませんから「車線変更に失敗して回転する車」です。
 「悪いものをはねよけられると考えていたんだ」は、「世界・ふしぎ発見!」でVTRに登場した仮面職人の和訳セリフです。ペスト患者を診る医師が着けていた“フィルターを兼ねた仮面”について説明する場面ですが、これは「はねのける」でしょ。「一家の生き延びを懸け」という「世界ナゼそこに?日本人」のナレーション、これは「一家の生き残りを懸け」ですよね!?
 緑のgooのコラムで「意外な豆知識!銀行に観葉植物がおいてあるのには理由がある」(2016年10月26日)という見出しを見付け、どういう理由なのか思い付かなかったので本文を読んでみたのですが、なんでも、観葉植物の高さは170センチメートルに統一されているのだそうで。
 「なぜ170センチメートルなのかというと、銀行強盗が来た時や不審な人が来た時に、身長がどれくらいなのかを目安にするためです」と書いてあってもやもや。言いたいことは分かりますが、「身長がどれくらいなのかを目安にする」ではなく、「身長がどれくらいなのかを測る(見る、推定する)目安にする」であって、単純に「測る」が抜けただけなのか、正しい表現を知らないのか、どっちでしょうね?
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「頭痛になったら」って?

2016-10-23 09:37:33 | 気になる言葉、具体例
                                筋肉痛にならない?

 「冷たいもので頭痛になったら」は情報バラエティ番組で見たテロップですが、見た瞬間、もやもやしました。頭が痛いとき、「頭痛がするぅ」とは言いますが、「頭痛になったぁ」とは言いませんよね。「頭痛」なら「冷たいもので頭痛がしたら」で、「なる」なら「冷たいもので頭が痛くなったら」と言いませんか?
 何のニュースか分かりませんが、「~が原因とする死亡」と聞こえたのには驚きました。ニュース番組でこれはないでしょ( ̄д ̄)! 「原因とする」なら「~を原因とする死亡」と言えばいいのですが、「~が」なら「~が原因となった死亡」です。助詞の使い分けができない、「する/なる」の区別もできない、そんな人がテレビに出てしゃべったりニュース原稿を書いたりしているのです( ̄¨ ̄)。
 「戦争で体を不自由にした人たちが」は非常に真面目な報道番組で聞いたナレーションです。戦争で手や足を失って体が不自由になった人たちが生活支援を求めてデモ行進をしている、そういう映像にこの「戦争で体を不自由にした人たちが」というナレーションが流れ、しばらくポカーンとしてしまいました。
 「警視庁の目の敵にはなりたくないでしょ?」「警視庁の目の敵になってます」は「Answer~警視庁検証捜査官 第9話」(脚本 池上純哉)で聞いたセリフですが、これも、もやもやしますね。「目の敵(めのかたき)」という言葉を使うとき、何と言いますか? 「AはBの目の敵だ」なんて言いませんよね、「目の敵にする」が基本ですから「AはBから目の敵にされている」と言います。よって、「警視庁から目の敵にされたくないでしょ?」「警視庁から目の敵にされてます」です。
 「しんなりとなったら出来上がり」は「団塊スタイル」で聞いたナレーションですが、「しんなりしたら出来上がり」でしょ。ほかにも、何かで「お部屋が明るくすっきりとなりますよ」というのを聞いたことがありますが、「お部屋が明るくすっきりしますよ」でしょ。「大気の状態が不安定」と同じように、「部屋が明るくすっきり」と書いてあるメモでも読んだのでしょうかね( ̄_ ̄)?
 一般の人の書いた文章でも、「反論すると、母は倍になって言い返します」とか、「冷え症で、たまに切れ痔をしたり」とか、おかしいですよ。「母から(文句が)倍になって返ってきます」ならいいのですが、「母は」なら「倍にして言い返します」ですし、「切れ痔」なら「たまに切れ痔になったり」でしょ( ̄~ ̄)。
 昨今の変な日本語には全く頭痛がしますよ、頭が痛いったらもぉ・・・、日本語の未来は・・・、くらくらする、めまいがする、動悸がする、吐き気がする、胃が・・・、胃痛、腹痛、歯痛は? 下痢は? 腰痛になる、筋肉痛になる、寒気がする、肺炎になる、咳をする、怪我する、骨折する、・・・変な日本語アレルギーが増悪(ぞうあく)しなければいいんだけど。
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「一見すると~だと分かります」って?

2016-10-16 10:58:44 | 言葉についてあれこれ
                                一見、まんじゅう

 なぜか、「今の現状」と言う人が多いですよね、「現状」は「現在の状態」ですから「今の」は余計なのですが、つい言ってしまう・・・というところでしょうか。「直感的に感じました」と言ったのは大学の先生ですが、これも多いですね、「直感しました」と言えるほどの自信はないということですかね。
 サイゾーの記事にあった「以降から」という記述、「以降」だけでいいのに、なぜ「から」まで書いたのでしょうか。スポーツ新聞の記事らしきものにも「笑顔も浮かべていたようだ」という記述があったのですが、笑みを浮かべている顔が「笑顔」ですよ。「あさチャン!」では、中継先の人が「銃声音」と何度も言い、テロップも「銃声音」でしたが、銃を撃つ音が「銃声」ですからね、「音」は余計です。
 「日本でも起こりうるかもしれない」と言ったのは田中みな実ですが、くどいですね、「日本でも起こりうる」か「日本でも起こるかもしれない」か、どちらかでしょ。池上彰が「プライバシーの侵害になりうることもありうる」と言ったことがありますが、可能性はうんと低いけどね~という気持ちだったのでしょうか。まぁね、そういう気持ちが読み取れれば別に何でもないわけですが、そうでもない、さらっと言った、だから引っ掛かったのですよ( ̄д ̄)!
 「情報7daysニュースキャスター」で「簡単には判明できないものがあって」と言ったのは安住紳一郎です。そして、「簡単に手に入ることができるんですか」と言った増田英彦(ますだおかだ)、「10年前だったら○という会社は成立できないじゃないですか」と言ったカンニング竹山、こういうパターンもけっこう耳にしますね。
 明らかにできない→判明しない、手に入れることができる→手に入る、存立できない→成立しない、ですからね、「判明できない」なんておかしいですよ。「簡単には判明しないものがあって」「簡単に手に入るんですか」「10年前だったら○という会社は成立しないじゃないですか」と言えばいいのです。
 「一見、平坦に見えますが」は「NHK ナビゲーションスペシャル」で聞いたのですが、これもよくありますね。「一見すると平坦ですが」「一見、平坦ですが」と言えばいいのです。あ、そうそう、「一見」といえば・・・、「相棒」で右京が「一見すると、恋人に贈った花束だと分かります。しかし、アジサイは、普通、恋人に贈る花ではないそうです」と言ったことがあるのですが、いけませんねぇ。
 分かりますか? おかしいと感じますか? 「一見すると」に続くのは「平坦ですが」で、それに続くのは「よく見ると平坦ではない」です。つまり、「一見、恋人に贈った花束ですが、アジサイは、普通、恋人に贈る花ではないそうです」が自然なセリフであり、「恋人に贈った花束だと分かります」なんて不自然です。「一見すると、恋人に贈った花束です。しかし~」ならいいのですけれどね。
 ちょっと見ただけで恋人に贈った花束だと分かる、なるほど、カードが添えられていましたからね、それで「恋人に贈った花束だと分かります」と言ったのですね。しかし、「一見」に「ちょっと見ること」という意味はあっても、「一見すると」と言えば「ちょっと見たところ」という意味になりますから、「ちょっと見たところ、恋人に贈った花束のようだ」ですよ。「ちょっと見ただけで」という意味に受け取ることはできません。
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「お宝が大発見」って?

2016-10-09 09:31:33 | 言葉についてあれこれ
                                麻の実を発見

 「お宝が大発見」「敵が一斉に恐れおののいたという兜」「古来より」は「林修の歴史お宝ミステリー」(3月放送)で聞いたナレーション、「遅れをとる」はテロップです。「お宝を大発見」「敵が皆恐れおののいたという兜」「古来」「後れを取る(とる)」でしょ! 「林先生が驚く 初耳学!」でも「土蔵が採用」というテロップを見たのですが、このパターン、どうにかなりませんかね?
 「お宝が」「土蔵が」に続くのは「発見された」「採用された」で、それを「大発見」「採用」とするのは気持ち悪いですよ。「発見した」「採用した」なら「発見」「採用」としてもいいわけで、「お宝を大発見」「土蔵を採用」と言えます。もっと言えば、「お宝を発見!」もしくは「お宝 大発見!」のほうがしっくり来ますけどね。
 「林修の今でしょ!講座」で「(オクラを)より細かく刻んであげる」「(枝豆を)蒸し煮してあげる」「(枝豆を焼くときは)火加減を調節してあげる」「(ニンニクは)切ってすぐオイルでコーティングしてあげる」と言った岸村康代。この人はずっと以前から「あげる」依存症を発症していますが、林さん、気持ち悪くないのかなぁ? 自分の冠番組なのだから、「あげる」連発はやめてくれと言えばいいのに、無理?
 これも「林修の今でしょ!講座」ですが、講師が「(榊原政岑は)越後高田という所へてんぷうさせられて」と言ったとき、作業者には「てんぷ」と聞こえたようで、テロップは「越後高田という所に転府させられて」でした。私は「させられて」が引っ掛かってメモしたのですが、はっきり「てんぷう」と聞こえたわけではなく、「転府」という文字が目に入ったので「てんぷ」と入力して変換、そうしたら、「転府」が候補にないのです。
 そもそも「転府」なんてあるのかと疑問に思い、「てんぷう」だったような気もして、録画してあったのでもう一度見たら「てんぷう」と言っていました。それで、「てんぷう」で変換したら「天風 てんぷう テンプウ」しかないのです。「てんぷう」って何? ひょっとして「てんぽう」かと思い、しばし「転封」でネット検索。その結果、「転封」は「てんぽう」ですが、「てんぷう」もちらほら。ちなみに、「転府」は問題外のようで。
 さて、その「転封」ですが、幕府の命令で大名が別の領地へ移ること、幕府は榊原政岑に姫路から越後高田へ移るよう命じた、それって左遷ですかね。そうそう、「左遷」で思い出したのですが、実は、この講師、磯田道史(歴史学者)、「左遷させられた」を広めたのはこの人ではないかと私は考えています。「左遷する」「左遷される」と同様、「転封する」は他動詞ですから「越後高田という所へ転封させられて」は誤りで、「転封されて」が正しいわけです。
 「国語の先生の今でしょ!講座」なのですから、ナレーションやテロップがいいかげんというのは困ります。「水耕栽培させたブロッコリーの新芽」というナレーションが聞こえたとき、テロップも同じでしたが、「水耕栽培したブロッコリーの新芽」でしょ! ゲスト講師に駄目出しをできないのなら、せめてそこはきちんとしてほしいと思うのですが、それも無理( ̄д ̄)?
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「いわゆる効能ってのが書いている」って?

2016-10-02 08:56:19 | 気になる言葉、具体例
                                あ、かいてる

 23歳のタレントが「ちが・・・くて」と、続ける言葉を迷っている場面を見たのですが、私なら「違っていて」と言いますよ。若い人は「違う」の言い方のあれこれを見失ってしまい、「全くちがく見えるんですけど」「全然ちがうくって」「ちがかったりすると」などとおかしな言い方をしています。
 本来、「ちがくて」「ちがうくって」は「違って」もしくは「違っていて」で、「全くちがく見えるんですけど」は「全く違って見えるんですけど」もしくは「全く違っているように見えるんですけど」、「ちがかったりすると」は「違ったりすると」もしくは「違っていたりすると」ですよね。こうして見ると、「ちがくて」と言う人たちは、「違う」と「違っている」を区別していないようです。
 そして、「あ、書いてる!」と言った32歳の俳優、ここは「書いてある」と言うべき場面だったのですが、若い人は「書いている」も「書いてある」も「書いてる」なのでしょうか。物事を的確に表現しようという意識が薄れてあいまいな言い方になってきていますが、どう受け取るかは聞き手に任せればいいと思っているのでしょうか。書くときは区別しているのでしょうか。
 「ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」の「ベストセラーの医療本を書いた日本の名医が大集合!医者ぶっちゃけスペシャル」で「薬の箱に、いわゆる効能ってのが、書いていると思うんですよ」と言った薬剤師、テロップも「薬の箱にいわゆる効能っていうのが書いていると思いますが」でした( ̄д ̄)!
 何ですかねぇ、こんな言い方しかできないなんて・・・、しかも、それを文字にした人も、変な日本語そのまんまって何なの? 薬剤師が「薬の箱に、いわゆる効能というのが書いてあると思うんですよ」と言い、「薬の箱にいわゆる効能が書いてある」というテロップが出る、これなら何も文句はないのですが。
 「ここに書かれてあることが」は「土曜ワイド劇場『事件17』」(脚本 田子明弘)で聞いたセリフ、言ったのは松本莉緒。「いる」と「ある」の混同は、もうそんなに珍しいことではないのでしょうか。「書かれて」なら「いる」と続け、「~ある」と続けるなら「書いてある」が正しい日本語ですけど。
 「科捜研の女」第13シリーズ#12(脚本 真部千晶)で「大豆が保管されてある、あの物置に」と言った日野和正役の斉藤暁。「大豆が保管されている、あの物置に」でしょ! 「これがリビングに仕掛けられてあったんですが」も何かのドラマで聞いたセリフですが、「仕掛けられていたんですが」もしくは「仕掛けてあったんですが」でしょ! 日本人なら何も考えなくてもこれぐらい区別できるはずですよ。
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