◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「実行力のある対策を」って?

2009-08-30 10:06:48 | 気になる言葉、具体例
                          けど、癒やす力は大きい
 芸能界の薬物汚染は今に始まったことではありませんが、このところ、薬物に絡んで死者まで出るという重大事件を起こしたり、あまりにもそのイメージにそぐわない人物が逮捕されたり、・・・ひどすぎますね。でも、これは当然の結果であり、やはり来るところまで来たという感じです。反省のないところに改善などないのですから。
 ニュースを見ていたら、芸能界の薬物対策うんぬんということを言っていて、ある団体が出した文書が画面に映し出されたのですが、「猛省とともに実行力のある対策を」と書いてありました。ん~~~な~んか変じゃないですかぁ~~~? 個人ではなく団体の意思表明なのでそれなりに練って書いたもののはずですが・・・やはり芸能界らしさが出ていますね。
 「実行」とは、実際に行うこと、「実行力」とは、実際に行う力、「実行力のある対策」ですか・・・、気持ちは分からなくもないのですが、やはりここは「実効のある対策」をきちんと立ててしっかり実行してほしいものです。「実効」とは、実際の効力、実際の「実」と効力の「効」で「実効」ですから、「実効力」ではなく「実効」です。「実行力」は、「実行」する「力」ですから「実行力」ですね。
 ここで「あ、○○力だ!」と思ったかた、そうです、そのとおり! メディアが大好きな「○○力」ですよ。大好きだからついつい「じっこうりょく」としてしまったのではないでしょうか。そして、もちろん手書きではなくワープロ文書ですから、「実行力」ですよ。この文書を表に出すまでに何人の関係者がかかわったのか知りませんが、だれも気づかなかったのでしょうか?
 これまで「実行力のある対策」すら考えなかったというのが実態なら、だれも何もしてこなかったのと同じです。やはり反省などしていませんね。「実効のある対策」を立てられなかったというのなら、一応対策は立てて実行してきたつもりだけど、それほど効力はなかった、形だけに終わってしまったということになります。
 一部の芸能人は万引きすら笑い話にしますからね、万引きが減らないのはこういうところにも原因があるような気がしてしょうがないのですが、芸能人(いや、全員とは言いませんよ、周囲の人たちの飯の種になる芸能人、と言うべきかなぁ)は「反省」とは無縁のようですから、「猛省」と書いてあるのを目にしてもピンと来ませんが、はてさて、どんな対策を立てるのやら┐( ̄д ̄)┌
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芸能人でも「○○△△さん」ですか。

2009-08-26 21:19:15 | 気になる言葉、具体例
                               ハムやんさん
 朝の情報番組で、話し手が「モノ作りを挑戦してほしい」と言い、テロップもそのまま「モノ作りを挑戦してほしい」でした。もちろん、正しくは「モノ作りに挑戦してほしい」です。このように、話し手の変な日本語を、ほとんどの場合、テロップはそのまんま書いています。たまにちゃんと直して書いてあるのを見掛けることはありますが、本当~に、たま~に、です。
 また、話し手の人品をテロップ入力作業者が勝手に下げていることもありますね。実際は「相当パニックになってる」と言っているのに「相当パニックしてるよな」なんて書いてあったりするのですよ。「僕が思うのは」と言っているのに「一番ムカつくのは」などと書いてある、そんなありえないようなことさえあるのです。これでは話し手がお気の毒、本当にひどいですね( ̄ ̄)ムムウ。
 それで、こういうことを考えている最中に見たのが「○○△△さんも(再発)したからね」です。○○△△というのはある芸能人の名前ですが、実は、話し手は「再発ということもあるから・・・○○△△もしたからね」と言ったのです。この話し手は一般の人ですが、我々一般人は、会話の中で芸能人をわざわざ「○○△△さん」なんて言うことはありませんよね。
 芸能人、リポーター、アナウンサー、こういった人たちは「○○△△さん」と言いますが、やはり同じ業界にいるから呼び捨てというわけにはいかない。それは分かりますが、テロップですよ、いつもいつも話し手の変な日本語をそのまま書いているテロップですよ、話し手の人品を下げこそすれ、上げることはないテロップですよ、そのテロップが「○○△△さん」とわざわざ書くというのは違和感があります。
 「モノ作りを挑戦してほしい」を見た直後で、同じ番組内ですから作業者も多分同じ、なのに、さっきは変な日本語そのまんま、今度はしっかり「さん」を挿入、な~んか腹立つわぁ~。このごろ、芸能人って一体何様なん? と言いたくなるような事件が続いていますから、余計そんなふうに感じるのかもしれませんが( ̄д ̄)。
 同じ業界の人だからというわけではない、そんなこととは無関係に、書くときはとにかくちゃんと「さん」を入れるんだ、話し手の言ったとおり書けばいいというものではない、というのなら、「モノ作りに挑戦してほしい」とちゃんと書け! 「相当パニックになってる」と言っているのに「相当パニックしてるよな」なんて書くな! 話し手の人品を勝手に下げるな! と言いたいわけですよ。この気持ち、分かっていただけますか?
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進入禁止、出口専用。

2009-08-23 09:33:32 | いろいろあれこれ
                               困ってますね
 金沢市内のあるショッピングセンターがいつの間にか大手激安ショップに変わっていました。私はそのことを知らずに行ったので、屋上の駐車場に車を止め、いつもの入り口へ行き、あるマークを目にしてはたと足が止まりました。赤色の○の中に白い-、進入禁止のマークです。ん? 進入禁止? ここから入っちゃいけないの?
 中をのぞくと、以前は下りのエスカレーターだったのに、上りになっています。ありぃ~、ここは入り口でなくなったのかぁ、というわけで、これまで出口だった方へ向かいました。すると、以前そこにあったはずの進入禁止マークはなく、エスカレーターも下りになっています。どうやらこっちが入り口です。それで、あることを思い出しました。
 ずーっと以前、その自動ドアには何の印もありませんでした。店内で買い物を済ませ、エスカレーターを上って屋上の駐車場へ出る、それはいいのですが、店に入るとき、そこから入ると当然エスカレーターは逆向き、つまり、店に入る向きにはなっていないわけです。通路がすぐ横にあればそこを歩いていって店に入る下りエスカレーターの方へ回り込めばいいのですが、そこにあるのは変な階段ですから、「ここ、出口やわぁ~」とつぶやきながら引き返します。
 ある日、買い物を済ませてエスカレーターを上ると、出口の自動ドアに進入禁止のマークが。ばっちり目の高さに、赤い○の直径が20センチぐらいでしょうか、はたと足が止まりました。車を運転する人なら分かりますよね、そこから先には進めないって。ここ、出口だよね、でも、このマーク・・・、どこから出ろっていうの? あ、○の下に何か書いてある、「出口専用」ですって。
 出口専用・・・出口専用・・・、ここは出口・・・だと思う。進入禁止マークだけど、思い切ってドアの前に進みました。すると、自動ドアが開いたので、そこから外に出ました。出て、振り返ると、外側にも同じマークが貼ってあります。進入禁止、出口専用、あ~~~なるほど~~~そういうことかぁ。
 お分かりになりました? 外側のマークはそれでいいのですが、内側のマークは本来そこにあってはいけないのです。だれが貼ったのか知りませんが、なんともはや・・・おバカです。それからだいぶたって内側のマークはなくなりましたけどね( ̄_ ̄)イヤハヤ、気づくの、遅すぎ~( ̄д ̄)。
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「手をふれる」は自動詞か他動詞か。

2009-08-19 22:25:25 | 気になる言葉、具体例
                           ふれることもできない
 5日の記事で、「手をふれる」は自動詞であると書きました。もちろん、手元の辞書には自動詞として載っています。でも、他動詞だと記載されている辞書もあるようなのでいろいろ考えてみました。ちなみに、動作や作用の及ぶ対象があれば他動詞、主語自身の動きを表すのが自動詞なのですが、日本語においてはこの区別が難しく、辞書によって、人によって意見が分かれるようです。よって、あくまでも、私はこう考えるということで、今日の記事はそういう前提で読んでください。
 脈を取る、絵を見る、問題点を挙げる、法を犯す、これらは他動詞です。これを自動詞で言い換えると、脈がふれる、絵が目にふれる、問題点にふれる、法に触れる、どうですか、ちょっと柔らかい感じがしませんか? 「脈を取る」は腕時計の秒針を見ながら脈を数える、「脈がふれる」は、数えるというより、「あぁ、生きてる」と感じる。「法を犯す」は、違法だと分かっていた、「法に触れる」は、はっきり違法だとは認識していなかったのかも。そういうイメージがありませんか?
 それから、脈を、絵を、問題点を、法を、これらは対象語(目的語)ですが、同じ「~を」という形でも、家を出る、道を歩く、図書館を訪れる、こういう「~を」は自動詞(出る、歩く、訪れる)を修飾する補語です。家を出て、道を歩いて、図書館を訪れて、そのもっと先に対象があります。あるいは、対象はないのかもしれません。図書館を訪れ、涼しい館内でいすに座ってただぼんやりしていてもいいのです。
 では、「手をふれる」の「手を」を対象語(目的語)ととらえるか、補語ととらえるか。「手をふれる」が「さわる」という意味であることを考えると、「手」は対象ではありませんね、形は「手を」ですが、さわる対象は手のもっと先にあります。ちなみに、「さわる」という行為の主体は意思を持ち、自分から近づいていって、ほとんどの場合、手でさわります。手は、そのときそのとき、脳が発した指令が筋肉に伝わって動く「主体の一部」ですから、「主体」が「さわる」、これで十分でしょう。また、さわる対象の多くは固体です。
 それに比べると、「ふれる」は、主体も対象もぐっと範囲が広がりますね。風が頬にふれる、水にふれる、枝の先が肩にふれる、温かい心にふれる、厳しさにふれる、何でもありです。「さわる」とは言いたくないけれど、ただ「ふれる」だと範囲が広すぎるので「手をふれる」となり、「手にふれる」「手がふれる」よりも主体の意思を感じる、そして、「手でふれる」ほど説明っぽくない。また、他動詞ほどの積極性はなく、対象に作用が及ぶというより、主体がそういう動作をしたということを言いたい。「手をふれる」はそんな言葉なのではないでしょうか。
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「予報が出れる」って?

2009-08-16 09:35:48 | 気になる言葉、具体例
                             はい、ただいま!
 2日の記事で、放送業界の人たちは「出す」と「出る」の区別をしていないと書きましたが、出ましたよ、「とくダネ!」のコメンテーター、P○さんの口からそれを裏付けるようなセリフが。ここのところ台風だの地震だの続きますが、災害の予報という話で、「そういう予報が出れるといいですよね」な~んて言ったのです( ̄ ̄)。
 聞いた瞬間、「出せる」だろっ! と思いました。それは、予報を出す側のコメント、そういう話の流れだったからですが、P○さんは直接そういうことを担当している人ではありませんから、そこに迷いが生じ、「出す」と「出る」が交ざって「出せる」が「出れる」になってしまったようです。放送を聞く側としては、「そういう予報が出るといいですよね」と言うのが普通で、「出せる」なんて言いませんし、「出る」は「出る」であり、わざわざ可能の形にはしません。
 つまり、これは‘れ入れ’、しかも、通常の‘れ入れ’とは違う特殊な‘れ入れ’ですね。通常の‘れ入れ’とは何か。読める、書ける、行ける、これは可能動詞ですから、さらに可能の助動詞「れる・られる」を付けるなんてことはないのですが、読めれる、書けれる、行けれる、こんなふうに言う人、あなたの周りにいませんか? これが通常の‘れ入れ’です。あ、そうそう、‘れ足す’とも言いますね。
 それから、「出れる」と聞いた瞬間、‘ら抜き’も思い浮かびますよね。え、‘ら抜き’って何だって? 上一段活用、下一段活用、カ行変格活用の動詞に付く可能の助動詞は「られる」ですが、これを「れる」にしてしまう人、例えば「出る」は下一段活用ですから「出られる」ですが、「出れる」と言っちゃう人、あなたの周りにもいるでしょう?
 では、「予報が出れる」とは何か。まず、「予報が出られる」とは言いませんから‘ら抜き’ではありませんね。そして、P○さんは芸能人ですから「出す」と「出る」の区別ができない、さらに、「出せる」のように「出れる」と言ってしまう、結果として「出る」に「れ」が入るから‘れ入れ’ですが、これは‘芸能人れ入れ’とでも言うしかないかな? それとも、「出せる」+「出る」=「出れる」ということで、新語(珍語)と言ったほうがいいかな?
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保冷剤と保冷材。

2009-08-12 20:45:16 | 気になる言葉、具体例
                             怪談要らないしぃ
 暑い・・・夏だから暑い・・・はずですが、実はそんなに暑くない、毎日雨が降っています。けれど、毛皮を着ているハムやんは暑い! でしょうね。ハウスを26度以下に保つために保冷剤を使うのですが、毎年この時期に見掛けるのが「保冷材」とか「保冷財」とか、確かに「材」はちょっと悩みますね、例えば、トロ箱に氷をたっぷり入れたら、この氷は「保冷材」かなぁって。「財」は変換ミス、形は似てますけど。
 Wikipediaにはこう書いてあります。「保冷剤は、物体を低温に保つために用いられる薬剤である。主に食品の腐敗を防ぐために使われる。蓄冷剤とも称す。一般に袋詰めされて使用・市販されている保冷剤には約99%の水と高吸水性樹脂(ポリアクリル酸ナトリウム)、防腐剤、形状安定剤が含まれている」、ということは、やはり「保冷剤」ですね。
 もっとも、うちはペットボトルに水を入れて凍らせて使ってるのよ、だから「保冷材」なのよ、と言われればそうかもしれません。水だけなら「薬剤」とは言えませんからね。実際、私も、そうしていたときは「保冷材」と書いていました。今は市販の保冷剤だけでやっていますから「保冷剤」と書きます。
 この「剤」で思い出すのが「洗剤」です。若いころ、もちろん何でも手書きの時代ですよ、ワープロなんかありませんでしたからね、「洗済」と書いて「それじゃぁ洗い済みでしょ」と先輩に注意されたことがあります。なるほど、洗い済みなら洗剤は要らないわね(^^;ヘヘヘ。
 石川県人はアイスクリームが大好き! アイスクリーム、コーヒー、和菓子、いずれも日本一好きな石川県人。金箔製造がシェア99%なもんだから、オペラやザッハには必ず金箔がのっかっていますが、外食でデザートにアイスクリームがついていたりすると金箔を散らしてあることがたまにあります。抹茶のアイスに金箔は美しいですよ。あ~、今年もうちの小さな冷凍室は保冷剤でいっぱい、フル稼働、アイスクリームなんか入らないわん ┐(^-^)┌。ちなみに、私はチョコミントがいちばん好きです。
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「家に被害が大きくならないように」って?

2009-08-09 09:45:41 | 気になる言葉、具体例
                         あったねぇ、洪水が・・・
 「偽物が出ないため、DNAを登録」から、「偽物が出ないようにするため」「危機を繰り返さないために」「土砂崩れを防ぐために」と来て、今度は、洪水が発生した現場からリポートする若い記者が「近所住民の皆さんが、これ以上家に被害が大きくならないように、こうして土嚢を積んだり」と言うのを聞いたのですが、どうですか?
 まず、「近所住民」ですが、普通、「近所住民」とは言いませんよね、「近所の住民の皆さん」ならいいですけど。それに、「近所の住民」は ̄_ ̄ ̄ですよね、でも、「近所住民」 ̄ ̄ ̄_と繰り返すのですよ、これは変だわぁ~。 ̄ ̄ ̄_なら、「近所住民」ではなく「近隣住民」じゃないの? 「近隣」が出てこなくて「近所」になったのかな?
 「これ以上家に被害が大きくならないように」は助詞が違いますね、「これ以上家の被害が大きくならないように」です。ほかにも、「これ以上家に被害が及ばないように」とか、「これ以上家に及ぶ被害が大きくならないように」とか、もっと簡単に「これ以上被害が大きくならないように」とか、言い方がありますよ。
 なんて考えていたら、こんなニュースも流れましたね。Aさんの元交際相手がAさんの母親を殺害し、Aさんを拉致して逃走、その後、犯人は逃走先の沖縄で逮捕され、Aさんは保護されました。それをリポートする若い記者が「極度の精神状態に追い詰められていて」と言いましたよ。逆らったら何をされるか分からない、助けを求めることもできないほどの精神状態ということなのですが・・・。
 「極度の寒さ」なら、これ以上ないほど寒い、すっごく寒いという意味ですよね。では、「極度の精神状態」とは、これ以上ないほど精神状態、すっごく精神状態・・・何か抜けています。そういう精神状態を何と表現するのか、その辺に詳しい人でなければぱっと浮かんできませんね、この記者も適当な単語を知らないのでしょう、だったら、「極度に追い詰められた精神状態になっていて」とでも言えば?
 若い記者だからまだまだ修業が足りない、というところなのでしょうが、放送後、果たしてだれかから指摘、指導、されるのでしょうか? 指導できる人はいるのでしょうか? そういう指導をする機会はあるのでしょうか? メディアの現状から考えるとほったらかしなのではないでしょうかね( ̄ ̄)。
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「ふれる」と「さわる」。

2009-08-05 21:43:09 | 気になる言葉、具体例
                          さわりにくい位置キープ
 「福井県民の生活にふれる」「地域の人とふれ合う」で「ふれる」という単語が登場しましたが、ふだんの会話では「さわる」しか出てきませんよね、「ふれる」はちょっと改まった感じがします。でも、雰囲気だけではなく、明白な違いもあります。手で何かにさわることを「手をふれる」と言いますが、その意味で「手をさわる」とは言いません。
 「怒りに触れる」「法に触れる」などはこれで決まった形ですから「さわる」とは言いませんが、これもふだんの会話ではあまり出てきませんね。ちなみに、私は、「ふれる」「ふれ合う」、「怒りに触れる」「法に触れる」というように表記を区別しています。「触れる」と書くと「怒りに触れる」「法に触れる」がすぐに思い浮かぶので、怒りも法も関係ないときは「ふれる」と書きます。個人的な好みでそうしているというだけですけれど。
 さて、「触れる」は自動詞か他動詞か。動作や作用の及ぶ対象があれば他動詞、なければ自動詞なのですが、あれこれ考えだすととても難しいですね。辞書には、自動詞として、接触する、交流する、感じる、取り上げて言う、反応する、体験する、他動詞として、多くの人に知らせる、というのが載っています。ふぅむ、ほとんど自動詞ですね。「手がふれる」「手にふれる」「手をふれる」「手でふれる」、さまざまな言い方がありますが、結局みんな同じことです。
 「さわる」も自動詞で、会話ではけっこう「~をさわる」と言いますが、本来は「~にさわる」ですから、ちょっと違和感があります。でも、もはや、それは誤りだと言えないところまで来ているように思います。それに、「~をさわる」には「さわる」以上の意味があるように思いますから、そういう意味で言うときは別にかまわないと思いますが・・・例えば、「図面のこの部分をさわると面倒なことになるなぁ」とかね。
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「偽物が出ないため、DNAを登録」って?

2009-08-02 10:04:33 | 気になる言葉、具体例
                            あ、マウスの偽物!
 7月19日の記事で挙げた変な日本語、「偽物が出ないため、DNAを登録」ですが、たまたまとても分かりやすい例を幾つかニュースで聞いたので、改めて説明します。その前に、「偽物が出ないため、DNAを登録」について、19日の記事をお読みになっていないかたのために説明しておきましょう。
 ブランド牛の話題で「偽物が出ないため、DNAを登録」というテロップが出たのですが、これだと、偽物が出ないのにDNAの登録なんかする必要があるのかという矛盾を感じますよね。有名ブランドに偽物は付き物ですから、本物と偽物の区別がつくようにしておかないと大変です。ある有名なブランド牛の産地では、牛を一頭ずつすべてDNA登録して厳重に管理しているということで、それなら、「偽物が出ないようにするため」もしくは「偽物と区別するため」と書かなければなりません。
 もっと言えば、DNA登録が抑止力となって偽物は出にくくなるかもしれませんが、完全に出ないようにするのは難しいでしょうから、「偽物と区別するため」のほうがより現実的です。また、簡潔に書く必要があるテロップということで考えてもやはりこれですね。
 さて、ニュースで聞いたのは「危機を繰り返さないために」と「土砂崩れを防ぐために」ですが、聞いた瞬間、これだよ! と思いました。「繰り返す」「防ぐ」は他動詞ですから、「危機を繰り返さない」「土砂崩れを防ぐ」という決意、そして、そのために○○する、というふうに続くわけですから、自然な流れですね。
 これに対して、「偽物が出ないため、DNAを登録」のほうは、「出る」が自動詞ですから、「偽物が出ない」は、ただ単にそういう状況であるという意味になります。決意なら「偽物を出さない」ですね。よって、「~ため」と続けても、偽物が出ないのですから、「特に何もしていない」と続くのなら分かりますが、DNA登録という対策を講じるなんて矛盾します。
 こんなこと、本来、説明なんか不要ですよね。でも、現に、テレビにはこんなのが出てくるのですから情けない。そういえば、テレビに出ている人たちは「出る」と「出す」を区別していませんね。「△△(テレビ番組や映画)に出させて(ださせて)いただいて」と言うでしょう、何を出すのでしょうか、顔? 手? △△に出るのだから「でさせて」じゃないですか? あるいは「△△に出していただいて」じゃないですか? ついには「偽物が出ない」と「偽物を出さない」の区別もつかなくなった?
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