◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「結婚式を挙げられずに・・・」って?

2013-01-30 18:39:29 | 気になる言葉、具体例
                                後で少しあげるよ

 今回は前の記事の続きなので、まず、前回の例を整理します。
 【1】「雇用保険に入れずに失業等給付をもらえない」は明らかな誤り。
 【2】「入れずに」なら「いまだに雇用保険に入れずにいる」「雇用保険に入れずに終わってしまった」という言い方になる。「失業等給付をもらえない」は、「だから」「その結果」「そういうわけで」と言ってから続けるか、あるいは、「いまだに雇用保険に入れずにいて、このまま退職したら失業等給付をもらえない」もしくは「雇用保険に入れずに終わってしまったので失業等給付をもらえない」となる。
 【3】「雇用保険に入れない、だから、失業等給付をもらえない」と言いたいのなら「雇用保険に入れなくて失業等給付をもらえない」もしくは「雇用保険に入れず、失業等給付をもらえない」が正しい言い方。
 何でもかんでも「~ずに」の小倉智昭が「折り合いがつかずに・・・・・」と言うのを聞いたことがありますが、本来、「~ずに」の後は「~する」「~した」あるいは「いる」「いた」「終わった」という言葉が必ず直後に続くものなので、これがないのが何とも気持ち悪い~( ̄д ̄)グエ~!
 「手紙を読まずに」なら「捨てた」、「寝ずに」なら「頑張った」と続けられますが、「折り合いがつかない」という状況なら、「折り合いがつかずに」の後は「いる」もしくは「終わった」と続けるしかありません。もし、すでに状況が変わっているのなら「つかずに」とは言えませんよ。
 折り合いがつかなかった、だからこうしたということを言うには「折り合いがつかず」でないといけないわけで、それなら「後日また話し合いをすることになったようです」と話を続けることができます。あるいは、そのまま終わったのだとしても、「折り合いがつかず、とても残念に思います」と感想を述べることができますし、「折り合いがつかず・・・・・」でもいいのですよ。
 「結婚式を挙げられずに・・・」は「FNNスーパーニュースWEEKEND」で見たテロップです。このカップルは結婚後だいぶたってから式を挙げたので、結婚後しばらくは「結婚式を挙げられずにいた」ということなのですが、「結婚式を挙げられずに・・・」というテロップを見た瞬間、式も挙げないうちに別れちゃったのかと思いましたよ(ーー;)。
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「雇用保険に入れずに失業保険をもらえない」って?

2013-01-27 10:02:23 | 気になる言葉、具体例
                                   もうちょい

 「モレずに安心」という商品があります。小倉智昭のせいで広まった変な「~ずに」ですが、今や、ナレーションやテロップはもちろん、アナウンサーも、影響を受けやすい一般の人も、「~ず」なのに「~ずに」と、その違いを考えることもなく言っています。「雇用保険に入れずに失業保険をもらえない」なんて訳が分からない( ̄д ̄)!
 「手紙を読まずに捨てた」「寝ずに頑張った」は、日常会話で言うように言い換えれば「手紙を読まないで捨てた」「寝ないで頑張った」です。それでいくと、「漏れずに安心」「雇用保険に入れずに失業保険をもらえない」は「漏れないで安心」「雇用保険に入れないで失業保険をもらえない」となりますが、それで意味が分かりますか? 「失業保険」も変ですね、もらうのは「失業等給付」です。
 「漏れないで」なら「まだ漏れないでいる」「漏れないで保っている」、「入れないで」なら「いまだに雇用保険に入れないでいる」「雇用保険に入れないで終わってしまった」という言い方をするもので、「漏れないで」に「安心」と続けることはできませんし、「雇用保険に入れないで」に「失業保険をもらえない」と続けることはできません。
 もちろん、「漏れずに」「雇用保険に入れずに」も、「まだ漏れずにいる」「漏れずに保っている」「いまだに雇用保険に入れずにいる」「雇用保険に入れずに終わってしまった」で、要するに、「漏れない」「雇用保険に入れない」ということしか言えないのです。「漏れない」は「漏れない」、「入れない」は「入れない」、本人が選ぶことではないのです。
 手紙を読むか読まないか、それは手紙をもらった人の自由。寝てしまうか寝ないで頑張るか、それはその人の気持ちの問題。でも、漏れないのは、製品がそういう性能を有しているからで、「漏らさない」とは違います。雇用保険に入れないのは、主に雇用主側の過失や意図といった何らかの原因があるわけで、「入らない」とは違います。
 ちなみに、「雇用保険に入らずに」だったらどのように続けますか? 「雇用保険に入らずに失業等給付をもらうということはできない」です。これなら「手紙を読まずに捨てた」「寝ずに頑張った」と同じ構造になりますから、「雇用保険に入らないで失業等給付をもらうということはできない」とすんなり言い換えることができます。
 漏れないから安心、それは「漏れなくて安心」です。雇用保険に入れない、だから、失業等給付をもらえない、それは「雇用保険に入れなくて失業等給付をもらえない」です。ということは、言い換えれば「漏れず、安心」「雇用保険に入れず、失業等給付をもらえない」であり、「~ずに」ではありません。このように、「~ず」と「~ずに」とでは意味が全く違うのです。
 明らかな誤りでも、これほど広まってしまった今、「雇用保険に入れずに・・・失業等給付をもらえない」と言ったのなら欠けている部分を補完して「雇用保険に入れずに終わってしまったから、結局、失業等給付をもらえない」と言っているのだと解釈せざるを得ないのかなぁ(ーー;)。泣き寝入りしない人なら「雇用保険に入れず、その後しかるべき機関に訴え、ようやく入ることができた」と言うかもね。
 「~ず」としか言えないところでも「~ずに」と言うアナウンサーがすでに複数(フジに限らず)いて、放送に携わる人たちが意味の全く違う「~ず」と「~ずに」を区別できない、違いを理解していないということが私にはどうにも理解できません。小倉智昭というスーパースプレッダーがいるとしても、そもそも、最初に聞いたときに変だと感じるセンスすらない人がなぜアナウンサー( ̄ ̄)?
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「伸び止まっている」って?

2013-01-23 18:42:06 | 言葉についてあれこれ
                                   飲むねぇ~

 「伸び止まっている」は「のび、とまっている」ではありませんよ、街角でインタビューに答えた一般の人なのですが、「のびどまっている」と言ったのです。最近多くなってきましたね、こういう勝手な言い方が。「伸び悩んでいる」ではありませんよ、「伸び止まっている」ですよ、こんなの自由すぎる! せめて「伸びが止まっている」とか、「伸びなくなっている」とか言って!
 「途中で薬をのみやめず、5日間なら5日間きちんとのみましょう」と丁寧に言われたらさらっと受け入れてしまいそうですが、ちょっと待ってくださいよ、「のみやめず」って何でしょうね、「のむのをやめないで」を略したら「のみやめず」ですか? それは自由すぎるでしょ( ̄д ̄)!
 「必要な量を量り売るシステム」って、初めて聞きました。私なら「必要なだけ量り売りをするシステム」と言いますけれど。「すぐに品切れるほど」も同じパターンですね、「すぐに品切れするほど」と言うのが普通です。「あちこちに枝分かれた道があって」と言ったのは「世界・ふしぎ発見!」のリポーターですが、「あちこちに枝分かれした道があって」ですよ。
 「拒否られ」は一般人の文章で見たのですが、「拒否され」という意味ですね。「拒否する」のつもりで「拒否る」というのは聞いたことがあるような気もしますが、文章に「拒否られ」と書いてあるのを見ると違和感たっぷり、ぞわぞわっと拒否反応が出ます。話すということと文章を書くということとはやはり違うわけで、こういう書き方をする人がこれ以上増えないように祈るばかりです。
 「言いあげてみよう」は小倉智昭の「どんどん進み上げて」に似ています。「進み上げて」には、進級させる、教えて引き上げる、伸ばす、引っ張り上げる、いろいろな意味が込められているようなのですが、「言いあげてみよう」は、あれこれ言ってみよう、いろいろ例を挙げてみよう、という意味で言っているのでしょうか?
 「新人に負け去るのか」は、一瞬考えてしまいましたよ、そういう言葉はあったかなぁ~と。ね、ありましたよね、何だっけ、あ、あれだ、「敗れ去る」だ。惜しいですねぇ、「敗れ去る」があるなら「負け去る」も・・・、ない、ないぞ。みんな自由すぎ(ーー;)。何でも自由に表現すればいいってもんじゃないですよ。
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「お熱いのでお気をつけください」って?

2013-01-20 10:03:36 | 言葉についてあれこれ
                           ぬるい というより ゆるい

 刑事ドラマでレストランのウエートレスが言った「お熱いのでお気をつけください」というセリフ、何が熱いかというとステーキ皿ですよ、熱々の鉄板です。幾らお客様に対してでも、鉄板が「お熱い」は変です。あほな脚本家だなぁと思ったのですが、先日、「お熱いのでお気をつけください」を生で聞いたのですよ、久しぶりに入ったスタバで店員さんがコーヒーを出すときにこう言ったのです。
 へ? コーヒーがお熱い? ひょっとして、飲食店の店員って、熱い物を出すときはみんな「お熱いので」と言っているの? 上記の脚本家は、レストランやコーヒーショップで「お熱いのでお気をつけください」といつも言われていて、自分で書いておかしいと気づかないくらい慣れてしまったのでしょうか。
 「盗難に入られたとの通報がありまして」は「遺留捜査」で聞いたセリフですが、泥棒に入られてお金や物を盗まれる災難を「盗難」と言うのですから、「盗難にあったとの通報がありまして」あるいは「泥棒に入られたとの通報がありまして」です。以前、「この車も市内で盗難されたもの」という「NEWS ZERO」のナレーションを例に挙げたことがありますし、「モナリザの盗難犯」などというすごい例もありましたね。「盗難」の「難」を何だと思っているのでしょうか?
 「はっきりおっしゃいなさい」は「謎解きはディナーのあとで」で主役の女性が言ったセリフです。書いた脚本家も脚本家ですが、言った女優も女優です。まぁ、ね、「おっしゃい」なんて言ったことないですもんね、昔のドラマだと「はっきりおっしゃい」というセリフをよく聞きますが、若い人はそんなの聞いたこともないかな?
 「○さんのクレームでレストランを首にさせられた」は「名探偵コナン」で聞いたセリフですが、これは最近よくあるパターンで、「させられた」ではなく「された」です。「する」の受身は「される」ですから「首にする」「首にされる」ですが、本来の言い方は「首になる」で、「○さんのクレームでレストランを首になった」ですよ。
 「お熱いので」「盗難に入られた」「おっしゃいなさい」「首にさせられた」、このように言う人の頭の中は一体どうなっているのかと不思議に思うのですが、それを、ドラマやアニメのセリフ、ナレーションなどで聞くと本当に情けなく思います。脚本家は、話し言葉を文字にする、書いて話を作っていく、書いて読んで練って・・・という作業をしていてなぜ誤りに気づかないのかなぁ( ̄・ ̄)?
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「熟練された技と精神が」って?

2013-01-16 18:49:56 | 気になる言葉、具体例
                               いっぱいあるのにぃ

 だいぶ前に「熟練された技術や能力が」「熟練された多くの技術者が」とアナウンサーが言うのを聞いたことがあるのですが、最近、立て続けにこの「熟練された」を耳にしました。「熟練された職人の手で」はナレーション、「熟練された職人技を要します」はドラマのセリフ、そして、「熟練された技と精神が」は、2週間ほど前に放送されたMRO開局60周年記念番組で聞いたナレーションです。
 MRO(北陸放送、TBS系列、本州の日本海側では最初の民間放送会社)ですよ、後発の他局の手本になってもいいくらいなのに、しかも、記念番組というだけあって、前田家の第18代当主まで登場して、格調高く、なかなか興味深い内容だったのに「熟練された技と精神が」ですよ、情けないったらありゃしない( ̄д ̄)ダラケッ!
 「熟練」の意味は、よく慣れていて上手なこと。「熟練する」は自動詞なので、「熟練した○○」と言うのが普通です。他動詞「~する」の受身の形は「~される」、例えば「監視する」「監視される」、「伝える」「伝えられる」、「壊す」「壊される」ですが、自動詞の場合は違います。「伝わる」は「伝わる」、「壊れる」は「壊れる」です。「熟練する」は「熟練する」で、「熟練される」なんて言いません。
 一体どういうつもりで「熟練された」と言うのか・・・、まさか、尊敬表現? んなわけない。変な日本語メモを見たら、だれが言ったのか分かりませんが、「彼の熟練された監視の目には」というのもありました。また、タレントが言った「だいぶ熟練されましたよ」というのもメモってありました。他人のことを敬語で言っているのかと思いきや、なんと、これが、自分のことなのだ~( ̄ ̄)。
 例えば、「体を鍛える」「案を練る」「技を伝承する」なら「鍛えられた体」「練られた案」「伝承された技」と言えますが、「熟練する」はあくまでも「熟練する」です。よく慣れて上手になるという意味です。「熟練した技術や能力が」「熟練した多くの技術者が」「熟練した職人の手で」「熟練した職人技を要します」「熟練した技と精神が」「彼の熟練した監視の目には」「だいぶ熟練しましたよ」ですよ。
 MROといえば、局アナである松村玲郎(まつむられお)なんか、報道特別番組のナレーションで「次々と明るみになった」「明るみになったのは28項目にも及ぶ法令違反」「違法なもたれ合いの関係が明るみとなった」などと、「明るみになった」を連発したうえに「明るみとなった」とまで言う始末。前からそうなのですから、MROにはそれは誤りだと松村アナに教えてやれる熟練したアナウンサーはいないらしい。
 「報ステ」で「明るみになると」というナレーションが流れた後、古舘さんが「ついに明るみに出たんです」と言ったことがあって、やっと直したんだなぁと思ったのですが、最近また「事実を明るみにさせるところまで」と言いましたからね、やっぱり、直すのは容易ではないようです(ーー;。
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「資格を入手しました」って?

2013-01-13 09:55:36 | 言葉についてあれこれ
                              ゲッツはいいんですよ

 前回、ナレーションについて少し書きましたが、「敬謙なキリスト教の国」「敵に裏切られ」「資格を入手しました」「資格をゲット」など、ほかにもいろいろおかしな例があります。要するに、言葉をちゃんと知らないディレクターが大勢いて、誤りをチェックすることもなく、そのまま放送されてしまうということです。きちんとした会社の印刷物にも変な日本語が堂々と並んでいるくらいですから・・・。
 「敬謙なキリスト教の国」は、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、「敬謙な」の意味を考えてみてください。なお、私は「敬虔な」のほうがピンと来るのですが、「虔」が常用漢字外なので「敬謙な」という表記になります。「敬謙」は、神や仏に誠意を持って帰依する様子、ということで、「敬謙なキリスト教徒」という表現がふさわしく、「国」なら、ましてや現代では、「敬謙なキリスト教徒が多い国」とでも言うしかありません。
 「敵に裏切られ」は笑えます。だって、裏切るもなにも、敵でしょ?! 裏切るのは味方ですよ、あるいは、味方だと信じていたけれど、その正体は敵の回し者だった、というような場合です。ひょっとして、「敵に裏切られ」と書いた人は、その敵はこちらを絶対に攻めないと信じていたのでしょうか?
 「資格を入手しました」と書いた人は「資格」を何だと思っているのかな? 一般的に「資格」というと、勉強して必要な知識を深め、経験を積み、必要な条件を備え、試験に合格する、あるいは社会的に認められる、そうしてようやく得られるものであり、「入手した」なんて言うものではありません。う~ん、ひょっとして、簡単に資格を「入手」できる巧妙な手でもあるのですかね(ーー゛?
 「資格をゲット」もちょっと違いますよね。ニュース番組の画面に映る若い女性たち、「いい福袋をゲットするぞ!」ですって。おぉ~っ、すごい争奪戦だ、買うというよりゲットするものなのですね、私は福袋を買ったことがないので売り場に突進する人たちの気持ちが分かりませんが、映像を見て納得しました。
 「入手」と「ゲット」は割と近い意味ですが、「取得」とは違いますね。資格は「取得」するものですが、いわゆるノリで「ゲット」ということもあるのかなぁ(~_~;)。でもね、万引きや窃盗まで「ゲットする」と言ってしまって罪悪感が薄れるという大変な問題がありますから、「ノリ」同様、実に厄介な言葉ですよ。
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「血で血を争う」って?

2013-01-09 18:23:48 | 言葉についてあれこれ
                                    ハム文字

 前に挙げた「情報7daysニュースキャスター」のおかしなナレーション、「失った代償は大きい」「ハングル文字」「血で血を争う」ですが、「代償」「ハングル」「血」の意味が分かっていません。原稿を書いた人は、テレビ放送のナレーションを書くという大切な仕事をしている割には言葉を知らなすぎます。
 「代償」とは、相手に与えた損害の代わりとして相手に差し出すお金、品物、労力など。AがBに損害を与えたのだとすると、大切なものを失ったのはBであり、AがBにその分の代償を払うわけで、「失った代償」はおかしいですね、謝罪とともに差し出すものを「失った」とは言いません。あ、もしかして、謝罪の気持ちなんかなかったら「失った」という気持ちになるのかな?
 「ハングル文字」は、ディレクターが画面に登場して「ハングル文字」と言ったことがありますから、このディレクターが書いたナレーションはすべて「ハングル文字」なのでしょう。けれど、「ハングル」は日本語の「仮名」に当たる表音文字で、平仮名や片仮名が日本の文字ならハングルは韓国の文字ですから「文字」は余計です。
 「血は争えない」という言い方がありますが、「血で血を争う」だとどういう意味になるのでしょうか。「血で血を」と言えば「洗う」と続き、暴力に暴力で対抗し、互いに傷つけ合ったり殺し合ったりすることのたとえですが、「血で血を洗う争い」は、親戚や仲間どうしの、激しい、醜い争いを意味しますからね(゜゜;コワイ~。
 「独裁政権を続けたカダフィ大佐」は「ニュースJAPAN」で聞いたナレーションですが、まず、「独裁政権」とは何か。「独裁」は、君主などが全ての権力を握って思いのままに政治をすること、「政権」は、国の政治を行う権利、ということは、思いのままに政治をする権利ということになりますが、「権利」は、「持ち続ける」「保持する」「維持する」と言うもので、「続ける」なら「独裁政治を続けた」と言うのが自然です。
 「恋愛沙汰のうわさが絶えませんでした」はNHKの番組で聞いたナレーションです。「沙汰」は、処置、知らせ、行い、仕業、うわさすること、こういう意味なのですが、「地獄の沙汰も金次第」「音沙汰がない」「裁判沙汰」「正気の沙汰ではない」「色恋沙汰」など、どちらかというとあまりよくないイメージの言い方が多く、「恋愛」に「沙汰」は合いません。それに、「沙汰」と言うのなら「うわさ」も余計です。
 「色恋沙汰が絶えませんでした」で色恋のうわさが絶えなかったという意味になりますし、そんなにどろどろした話でないのなら「恋愛のうわさが絶えませんでした」でいいですよ。よく出てくる表現は、聞いたことはある、一応知っている、だけど、意味は理解していない、というわけで、自然に聞こえる言い方はできないようです。そんなことでいいとは思わないでほしいなぁ( ̄~ ̄)!
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「お話しをしました」って?

2013-01-06 10:05:24 | 気になる言葉、具体例
                               顔を見せてください

 「お約束をしていただければ」「お会いをさせていただきたい」「国民の皆さんにお訴えをしていく」「この問題を前進をし」「お見せをさせてあげる」という政治家特有の言い回し、「会う」なら「お会いを」、「訴える」なら「お訴えを」という形に無理やりする、くどくどした、やたらと謙虚さを装った、その割に手抜きの変な言い方です。
 「お約束をしていただければ」だけ見ると別に誤りではありませんが、「お約束いただければ」「約束していただければ」と言えばいいところを「お約束をしていただければ」と言うのが政治家です。「お会いをさせていただきたい」「国民の皆さんにお訴えをしていく」は無理やりすぎますよ、「お会いしたい」「国民の皆さんに訴えていく」と言えばいいじゃないですか。
 「お会いする」と言えばいいのに「お会いをする」、同様に「お訴えする」は「お訴えをする」・・・? そもそも「訴える」が「お~する」という謙譲の形になじまない。なじまないのに、どうしても謙譲の形にしたい、そこで便利なのが「を」というわけですが、どうやったって、なじまないものはなじまないのですよ。
 「この問題を前進をし」「お見せをさせてあげる」はもはや訳が分からない。「この問題が前進する」なのか「この問題を前進させる」なのか。「前進をし」って、この問題を前進させる気があるのか、いや、ないから「前進をし」なのでしょうね。そのうちだれかが取り組み、前進するかもしれない、と思っているに違いない。「お見せをさせてあげる」は、まさか「店を持たせてやる」ではないですよねぇ、「お見せする」が何をどうしたらそうなるのかな( ̄~ ̄)?
 政治家のほとんどがこういう言い方をするので少し慣れてきました。もうしょうがないかなぁ(ーー;。それにしても、安倍さん、滑舌が悪いですね、「取り戻す」と連呼していましたが、「取り戻す」と聞こえない。それに、「~という話がまありました」というように、「ま」を意味もなくちょこちょこ挟むから余計に聞き取りにくい~(ーー゛。
 ところで、少し前に「~に即してお話しをします」という記述を見ました。文法について語れるほどしっかりした一般人の書いたものなのに「お話しします」ではなく「お話(を)します」で、しかも、「お話をします」の「お話」が「お話し」になっている、それくらい「お話」と「お話し」の区別ができなくなっているのかと思ったのですが、そこへまた「お話しをしました」というテロップを見たのですよ。
 TBSの「報道の日」で見たテロップですが、話し手はもちろん政治家です。政治家の「お話しをしました」は「お話をしました」ではなく、「お話ししました」に「を」が入る構造です。ということは、「お話しをしました」は、ある意味そのとおりであり、間違ってはいないのですが、それはあくまでも変な言い方なのであって、「お話ししました」と書くのが本当なのです。
 まさかねぇ、上記の一般人が政治家のように「~に即してお話しをします」と言っているのだとは思いたくありませんが、「お話しをしました」というテロップを見せられた視聴者はますます「お話」と「お話し」の区別をしなくなるでしょう。話し手がたとえ「を」と言っても、要らないものは要らないのですから、少しは正しい記述というものを心掛けてもらえないものでしょうか。
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「お茶の間に涙を誘った」って?

2013-01-02 18:39:26 | 言葉についてあれこれ
                                   どちら様?

 「情報7daysニュースキャスター」はたまにしか見ませんが、安住アナの日本語はそんなにおかしくないという印象でした。ナレーションやテロップは他の報道番組と同様ですよ。でも、先日、「満面の笑顔を浮かべ」と安住アナが言うのを聞いてしまいました。ニュース原稿をちゃちゃっと読んだという感じで安住アナ自身の言葉ではなかったようですが、そのまま読むのも情けない。
 「満面の笑顔」は、ナレーションでは聞いたことがありましたから、原稿を書いている人が「満面の笑み」を知らないということですが、安住アナは、メインキャスターなのにその誤りを指摘しなかったばかりか、自分も「満面の笑顔」と言うなんて、しかも「を浮かべ」と続けたのですよ、がっかり~~~( ̄д ̄)! まさか、誤りだとは気づいていない? まさかねぇ~。
 さて、テロップにもいろいろ変な例があるのですが、今回はナレーションについて書きます。例えば「失った代償は大きい」「ハングル文字」「血で血を争う」のように、言葉そのものを知らないんだなぁ~と思うこともあるのですが、特に助詞がおかしいと思う例が多く出てきます。
 「都内の中学校にサプライズ出演」「○さんと結婚をして」「無計画で配れば足りなくなってしまう」「○駅で降りたことが確認」「温泉が安く入れるサービス券を作った」「お茶の間に涙を誘ったこんな演技も」「明らかとなった」など、ガキっぽいですね。報道がメインでも、おふざけも相当なものだからやっぱりこんなものかな。
 「都内の中学校でサプライズ出演」「○さんと結婚して」「無計画に配れば足りなくなってしまう」「○駅で降りたことを確認」「温泉に安く入れるサービス券を作った」「お茶の間の涙を誘ったこんな演技も」「明らかになった」が正しいのですが、レベルが低すぎて、書いていてばからしくなってきます。
 レベルが低いといえば、あるCMで柳葉敏郎が「古来より」と言っていますが、「古来」は「古(いにしえ)より」で、「昔から」という意味ですから、そこへまた「より」を付けるのは誤りです。たとえ他人が書いたセリフでも、こんな簡単な誤りに気づかないなんて情けない! 役者なら言葉を大切にしてほしい。柳葉さんが何度も繰り返して言えば完全に定着してしまうじゃないですかっ( ̄д ̄)!
 ところで、ちらっと見た旅番組で、幼稚園児(男の子)が大人を指差して「こいつ誰?」と言う場面を見たのですが、自分が5~6歳のときはどうでした? 女子と男子という違いはあるかもしれませんが、子どもが大人を「こいつ」なんて言う? それくらい普通? うむぅ~(ーー;)と考え込んでしまいました。
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