◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「頂かしていただきたいと思います」って?

2007-10-31 19:13:32 | めちゃくちゃな敬語
                        頂きます
 このごろ、若い人が「頂かしていただきたいと思います」と言うのをちょくちょく聞きます。やたら「~させていただきたいと思います」と言うのは前からで、まるでそういうふうに言わなければいけないというルールでもあるかのように「~させていただきたいと思います」と言いますね。「頂く」+「いただく」なんてくどい! 音も重なってくどい! ということなのですが、最近、これにちょっと変化が見られるのです。「頂かせて」が「頂かして」に、これはわりと最近の言い方だと思います。中年以上のかたで「~さして」と言う人はたまにいますし、方言にも「~さして」という言い方はあって、別に新しいことではないのですが、若い人が標準語で「頂かして」と言うのでとても目立ちます。
 では、なぜ「頂かしていただきたいと思います」となるのか。まず、「頂かせていただきたいと思います」と言ってみてください。次に「頂かしていただきたいと思います」と言ってみてください。どうですか、「頂かしていただきたいと思います」のほうがはるかに言いやすいでしょう? 昔、お年寄りが「ちょっこし座らいてたいま」と言うのをよく聞きました。こちらの方言で、「ちょっと座らせてちょうだい」という意味です。発音が「せ」→「し」→「い」と移っていくのはむしろ自然なことですが、その前に、「頂かせていただきたいと思います」という変な言い方をやめてほしいと思うのです。
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二重敬語について、補足説明。

2007-10-30 19:09:54 | めちゃくちゃな敬語
                安心して散歩にいらっしゃって
 10月27日に、「経営されていらっしゃいます」や「そういうふうに座られてらっしゃると」について、二重敬語だからよくないということを書いたのですが、「二重敬語」の意味を厳密にいうと「一つの動詞を二重に尊敬語化すること」で、その意味からいくと、例文を「二重敬語」とするのは正確さを欠きました。「経営している」は、「経営する」+「いる」で、「経営する」は本動詞、文法的に動詞本来の働きを持つ動詞、「いる」は、「~ている」の形で、動作・作用が進行中であることを表す補助動詞です。つまり、例文は、一つの動詞を二重に尊敬語化しているのではなく、本動詞と補助動詞の両方を尊敬語化しているというわけです。
 それだけなら、「召し上がっていらっしゃる」がおかしくないように、別におかしくはないのですが、「経営されて」「座られて」という「れる・られる」を付けた形の尊敬語と「いらっしゃる」という尊敬語はなじまない、くっつけるな、という意味で、「合わないのに無理やりくっつけて二重になっちゃったような、くどくて変な敬語」とでも言うべきだったのです。私は、このごろの話し方がとにかく「くどい」ということが気になっています。たびたび書いている重複表現もそうで、「いちばん最初」「第1回目」などはすっかり定着し、「シェアは、約20%ぐらいのシェアを占めています」なんていう言い方を10人中9人がしているという印象です。そんなこんなで、頭の中で「二重」と「くどい」がイコールになってしまいました。 m(_ _)m。
 敬語は、いかにも聞きかじりの付け焼き刃、そこだけ取って付けたようにくどいですよね。「経営なさっていらっしゃる」という言い方の似合う人が少ない、ほかの部分とバランスがとれない、私がふだん主張している「シンプル」「スマート」から遠い、よって、本動詞と補助動詞の両方を尊敬語化するより、片方、「経営なさっている」もしくは「経営していらっしゃる」がよいのではないか、私自身も含め、そういうレベルなのではないかと思うのです。ちなみに、私は、話す訓練をしたことは一切ないうえに、人と話す機会さえほとんどないという環境で、下手すると話し相手はハムやんだけ、「ちゅりぃちゃーん、ご飯でちゅよぉ」ですから(^^;)ゞ、自分がすらすら素晴らしい敬語を話せるかどうかというと、全く自信なし!← 威張るな!
 それから、「安心して旅行に行かれていただいて」について、「これは尊敬語と謙譲語の合体した形ですね、めちゃくちゃです」と書いたのも全く説明不足でした。「ごらんいただく」や「召し上がっていただく」のように、「尊敬語と謙譲語の合体した形」自体はおかしくありませんが、「行かれて」と「いただく」がなじまない、「れる・られる」を付けた形の尊敬語と謙譲語の合体した形がおかしい、ということになります。もちろん、「れる・られる」を付けた形の尊敬語が適切である場合も多いのですが、何でもかんでも「れる・られる」、それ一辺倒になってしまうという傾向があり、そういうところが好ましくないのです。ほかの尊敬語の形を忘れているから、合わない「いただく」をくっつけて変な言い方になってしまうのではないでしょうか。
 また、「いただいて」も非常に多用される言い方ですが、どうしても「いただいて」と言いたいのなら、「安心して旅行に行っていただいて」と言えばいいのです。「行く」の尊敬語は「いらっしゃる」ですから、「安心して旅行にいらっしゃっていただいて」となりますが、どうですか、こんなふうに言えますか? こんなふうに言おうと思いますか? 私は、正直いって抵抗(照れ)があります。やはり「安心して旅行に行っていただいて」ですね。シンプルに、スマートに、です(^‐^)v。
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設定だの手続きだので疲れ果てる。

2007-10-29 19:20:17 | いろいろあれこれ
                       腹立つわぁ
 コンピューターやインターネットのことにうとい私は、2週間ほど前から憂鬱な日々。事業統合により、プロバイダーがA社からB社に移行ということになり、説明を聞いて申し込んで、あちこち電話して問い合わせて、B社のサイトでアカウントを取り、パソコンの中を整理してあれこれバックアップをとって、あれこれ設定をするとか、あっちこっちに申請書類を出すとか、お知らせメールを送るとか、電話で知らせるとか、煩わしいったらありゃしない。自分のPHSの番号登録も取扱説明書を読みながらでないとできないくらいなのに。事業者の都合であっても、結局あれこれやるのはユーザー自身なんですよね。しかも、ここまでたどり着くのにも一苦労、すったもんだあったのですから。
 まず、自分が、送られてきた説明文書に書いてある複雑なプロセスのどこにいる状態なのかが分からない。だから、何からやらなければいけないのか分からない。グレードアップを勧めたオペレーターも、サポートのオペレーターも、だれも教えてくれなかったので、何も進まない。不安になって移行先のB社に聞くと、「A社から聞いていないのですか」と言う。A社に電話して聞くと、「それはB社が」と言う。「そうやって互いになすりつけ合ってるのね」と言ってやったら、「私たちも分からない中でやっています」と言う。じゃぁ、一体だれが分かっているんだ? 大事なことはみーんな後から分かってくるんだから腹が立つ。
 設定のやり方も、手順そのものはそんなに複雑ではないのですが、用語がばらばらだから分からないのです。なぜ用語ぐらい統一できないのでしょうかね。手元にある紙の説明文書と実際の画面の用語が一致しないから、○○を入力しろと言われても、紙にたくさん並んでいるアルファベット、数字、その中の一体どれが○○なのかが分からないわけです。また電話して「どれが○○なの?」と聞いてようやく入力できる、そんなこんなで疲れ果てます。ものすごく困ることがあって、文句を言ったら初めて「△□○サービスがありますから申し込んでください」と言う。そんなこと、もっと早く言ってよ、きーっ( ̄皿 ̄)。
 とはいえ、こんなことにも、本当はもっともっと慣れていかないといけないんですよね、それは分かっています、はい。頭から面倒だと思っているから余計にしんどくなるんだということも、理屈では分かっているつもりなんですけどね。手続きはまだまだ残っています、どうしよぉ・・・、ふぁいとぉ! と、つぶやいてみるけど・・・( ̄・ ̄;)。
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「経営されていらっしゃいます」って?

2007-10-27 19:48:47 | めちゃくちゃな敬語
                       だるくね?
 若いアナウンサーが、決してぶっつけ本番ではない、アドリブでもない、いかにも練習したぞという感じの話し方で「喫茶店を経営されていらっしゃいます○○さんです」と言ったのですが、ということは、やはり、だぁれもそれは二重敬語だと教えてやらなかったのですね。周りの人も、気づかないのか、どうでもいいのか、変だろうが何だろうが自分には関係ねーと思っているのか・・・? 頼むから、だれか教えてやってよぉぉぉ。
 若いタレントが無理して敬語を使って墓穴を掘る場面も非常によく見ますね。「そういうふうに座られてらっしゃると」だなんて、うーん、惜しいけれど、「いらっしゃる」を使ったのはいいけれど、これも二重敬語です。「~される」を使いすぎて、これだけでは敬意を込めた感じがしないとでも思っているのでしょうか。正しい表現は、「経営していらっしゃいます」「そういうふうに座っていらっしゃると」ですね。
 また、敬語にしなくてもいいところで無理やり「~される」という形にするので話が分かりにくくなるということがあります。何でもかんでも「~される」で、ある人の記者会見について語っている人が「質問される側」と言ったのですが、それがインタビュアーのことなのかインタビュイーのことなのか分かりませんでした。「質問する側、答える側」のように、変なところに敬語を入れないで、簡潔に分かりやすく言っていただきたいと思います。
 こんなのもありますよ。中年の、いわゆる文化人が、一般人に向かって「安心して旅行に行かれていただいて」と言いました。これは尊敬語と謙譲語の合体した形ですね、めちゃくちゃです。「安心して旅行に行かれたらいいですよ」とか、「安心してご旅行なさってください」とか、日本語も文化人らしくお願いします。
 明日、28日(日)は更新を休みます。
 30日に補足の記事を載せますので、続けてお読みください。
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「頂かれたんですね」って?

2007-10-26 19:09:47 | めちゃくちゃな敬語
                       これ下さい
 とても地位の高いAさんがBさんにある品物を与えました。Cさんが、Bさんに、「Aさんから品物を頂かれたんですね」と言いました。Bさんは、Cさんにとってはお客様です。Aさんは、Cさんから見ても、地位の高い、偉い人です。
 こういう場合、確かにちょっと困りますね。Aさんに対する謙譲の「頂く」とBさんに対する尊敬の「れる」が合体して「頂かれたんですね」となる、その気持ちは分かるのですが、やはり変です。さて、どうしましょうか。ここはやはり「Aさんが下さったのですね」と言えばいいのではないでしょうか。このごろめったに聞かれない「下さる」ですが、これを使えばすっきりした表現になるのでとてもいいですよ。
 グルメ番組でよく聞く「頂かせていただきたいと思います」の「頂かせて」、「頂く」は「食べる」の謙譲語で、それをさらに「~させていただく」という形にしたもので、二重敬語ですね。本当は「頂きたいと思います」で十分なのですが、あまりにも「頂く」を使いすぎて謙譲の意味が薄れたのでしょうか? 「では、皆さん、頂いてください」というのもタレントの間ではほぼ定着していますから、もはや「頂く」には謙譲の意味などなくなってしまったようで、ただの「食べる」です。
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変なアクセントの人がどんどん増えている。

2007-10-25 19:41:49 | 言葉についてあれこれ
                    デーモンどんどん増殖中
 付近(ふきん)の「ふ」を高く発音する人、製品(せーひん)の「せー」を高く発音する人が増えてきました。やはり、1人出てくると、じわじわと増えるものなのですね。「付近」はいつも「き」を高く発音するものです。「工業製品」なら「せー」が高くなりますが、単に「製品」と言うときは「せー」と「ひん」は同じ高さです。逆のパターンもありますよ。山火事(やまかじ)の「か」を高く発音するのを聞きました。普通、「山火事」は、「や」が低く、「ま」「か」「じ」が同じ高さですよね、そして、単に「火事」というときは「か」を高く発音します。
 日曜日の昼少し前、NHKの20分ほどの番組で放送の言葉についていろいろ話をしていたのですが、正しいアクセントで話すということを話している男性アナウンサーのアクセントがどうもおかしくて気になりました。「辞典」という単語を何度も言ったのですが、「じてん」の「じ」を高く発音するのです。「○○辞典」というときはそれでいいのですが、単に「辞典」と言うときは「て」が高くなります。また、女性(この人もアナウンサーかな?)が、「4階」の「よ」を高く発音していましたから、「4回」と言っているように聞こえました。
 では、「護衛艦(ごえいかん)」はどこを高く発音すると思いますか? 私もこれは知らなかったのですが、アクセント辞典では「え」なのだそうです。でも、「えー」と「かん」を同じ高さで平板に発音するのが一般に定着しているので辞典のほうを訂正すべきではないか・・・とか何とか言っていました。一般人が「護衛艦」なんて死ぬまでに何度言うかな~、「辞典」なら50~100回ぐらいは言ったり聞いたりするかな~、それでもNHKのアナウンサーの「辞典」のアクセントがおかしいというのは一体どういうことでしょうか? 本当に世の中スーパースプレッダーだらけです。
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変な日本語、その21、「並び替え」。

2007-10-24 19:09:50 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                    しまった、耳からだった
 「順番を並び替える」、正しくは「順番を並べ替える」ですね。以前、テレビで「並び替え」を連発する面白いシーンを見たのでご紹介します。AさんとBさんがファイルの順番について話していて、まず、Aさんが「日付で並べ替える」と言い、続けてBさんが「こうやって並び替えると」と言いました。すると、Aさん、今度は「次はファイル名で並び替えて」と言ったのです。あ~、なんてこった、間違いに引っ張られてしまったぞ! でも、この先が面白い。その後、Aさんは、「このように並○(びに近い、びとべの中間の発音)替えて」と言い、次は「こうして並○(べに近い、びとべの中間)替えると」になり、最後に「並べ替えて」に戻ったのです。「並び替え」は、言っていてやはり違和感があったのでしょう。
 このように、間違いはうつりやすいものなのです。間違っている人は、間違っているとは夢にも思っていないから自信がある、自信たっぷりに言い切っているからうつりやすいというわけです。さらに残念なのは、Aさん、せっかく最後に「並べ替え」に戻ったのに、やはり自信がないのでしょうね、つい先日、中高年のためのパソコン講座(Aさんが講師)を見ていたら、「メールの並び替え」と画面に大きく書いてありました。NHK教育なのにぃ~、なぁ~ぜぇ~???
 いろいろなサイトのページでも「並び替え」を目にしますね。しかも、同じページに「並べ替え」と混在しているというめちゃくちゃぶりです。「ごち」の司会をやっている人も、さっき「並べ替え」と言ったのに次は「並び替え」ですからね。ま、「黒豆醤油」を「くろどうふあぶら」と読んだくらいだから、彼の日本語力は推して知るべし、アナウンサーだけど。
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「福田氏優勢が伝わる中」って?

2007-10-23 19:54:56 | 気になる言葉、具体例
                       受け流す~
 「福田氏優勢が伝わる中」と聞いておかしいと感じますか? なーんか変だけど、どこが変? 本当はどのように言わなければいけない? 「福田氏優勢という情報が伝わる中」「福田氏優勢という声が伝わる中」「福田氏優勢という話が伝わる中」「福田氏優勢と伝わる中」「福田氏優勢と伝えられる中」、どれでもいいのですが、「福田氏優勢が伝わる中」はおかしいでしょう?
 「これを怪獣と見間違ったのではないか」は? 「これを怪獣と見間違えたのではないか」。「まだ開発段階中なので」は? 「まだ開発段階なので」もしくは「まだ開発中なので」。「説明しているものかと思われます」は? 「説明しているものと思われます」。「殿! ご乱心を?」は? 「殿! ご乱心召されたか?!」。「プライベートを脅かす」は? 「プライバシーを脅かす」。「皆さん思い思いにいろいろな秋を感じていらっしゃるのですね」は? 「皆さんそれぞれにいろいろな秋を感じていらっしゃるのですね」です。
 世の中には、このような「なーんか変な日本語」があふれているのですが、皆さんはどうですか、ちゃんと引っ掛かりますか? それとも、何の抵抗もなくこっちの耳からあっちの耳にスルーですか? ま・・・私も、できればするっと受け流したいと思っているんですけれどね( ̄‐ ̄)ゞポリポリ。
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スーパースプレッダー。

2007-10-22 19:03:15 | 言葉についてあれこれ
                      2か月は無理ぃ
 先日、テレビで、パンデミックがどうのこうの、新型インフルエンザがどうのこうのという話をしていたのですが、「パンデミック」なんて初めて聞くなぁと思ってその後の話も聞いていたら、実際にパンデミックが起こったら2か月間ぐらいは外出しないほうがいいとか、恐ろしい話をしていましたよ。2か月間も家にこもるとしたら、その間の食料を備蓄しておかないといけませんから、大変なことです。地震に備えて1週間分どころの話ではありません。
 「パンデミック(Pandemic)」というのは、地理的に広い範囲の世界的流行および非常に多くの感染者や患者を発生させる流行という意味で、「インフルエンザ・パンデミック」は、新型インフルエンザウイルスが広範かつ急速にヒトからヒトへと感染して広がり、世界的に大流行している状態を指すようです。そういえば、以前、アウトブレイクという映画がありましたね。未知のウイルスが突然変異を起こして強い毒性と感染力を持つようになった、そのウイルスのモデルがエボラウイルスで、あのとき、現実にエボラ出血熱がザイールではやったものだから、ぞーっとしましたよ。
 これまた聞き慣れない言葉ですが、「スーパースプレッダー」というのは「強力に感染者を増やす患者」という意味で、日ごろ、アナウンサー、キャスター、タレントといった、テレビに出て話すことが職業の人たちが変な日本語を連発するのを見ていますから、パンデミックと聞いてスーパースプレッダーという言葉がふと浮かんだのです。アウトブレイクでも、感染したことに気づいていない感染者が普通に生活してあちこちで大勢の人にウイルスを広げていったわけで、変な日本語を話していることに気づいていない人たちが電波を通じてどんどん変な日本語を広げている、まさしくスーパースプレッダーではないでしょうか。
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変な日本語、その20、「マッチしていなさそうな」。

2007-10-21 19:41:42 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                    飲みにくそうなポーズ
 一昨日の夕方、「さ入れ」について考えていたとき、例の日本語ど下手コンビの女性司会者が「○○さんは巣鴨にマッチしているような、マッチしていなさそうな」と言うのを聞き、今のもさ入れだぁと思い、書き留めました。でも、これがさ入れだと気づく人は少ないでしょうね。とはいえ、数日前にたまたま耳に入ったドラマのセリフはちゃーんと「できなそうだ」になっていて、100%さ入れというわけでもないのです。
 「そういうふうに見える」ということを表す様態の助動詞「そうだ」は、活用語の連用形と、形容詞・形容動詞・助動詞「たい」「ない」の語幹に付きます。例えば、「食べる」の連用形「食べ」+「そうだ」で「食べそうだ」となります。
 では、これが「食べない」だったらどうなるか。まず、「食べる」の未然形「食べ」+打ち消しの助動詞「ない」で「食べない」。「ない」の活用は「なかろ(未然)、なく、なかっ(連用)、ない(終止)、ない(連体)、なけれ(仮定)」だから、変化しない部分(語幹)の「な」に「そうだ」が付いて「食べなそうだ」となります。これと同じことで、「できない」に「そうだ」が付くと「できなそうだ」です。「マッチしていない」に「そうだ」が付くと「マッチしていなそうだ」です。
 ちなみに、「おいしくない」の「ない」は形容詞です。「ない」と「よい(良い)」は形容詞だから、語幹+「そうだ」で「なそうだ」「よそうだ」となるはずですが、語幹が1文字と短いので「さ」が入って「なさそうだ」「よさそうだ」となり、それがそのまま「おいしくなさそうだ」「心地よさそうだ」というふうになったのです。
 助動詞の「ない」「~な・そうだ」と、形容詞の「ない」「な・さ・そうだ」とを混同し、「できなそうだ」「マッチしていなそうだ」に「さ」を入れてしまう、これは、こういうことを分かっていないとついやってしまいそうな間違いですが、話す職業の人がきちんとしていないというのは残念です。
 私が「何か引っ掛かる」という場合、まず「言いにくい」と感じます。「マッチしていなさそうな」と言ってみてください。言いにくいでしょう? 「マッチしていなそうな」なら言いやすいでしょう? 文法では誤っていても、言いやすいという理由で定着するものはあります。それはそれでいいのですが、実際、正しいものは言いやすい、誤っていると言いにくいということがほとんどですから、言いにくい言葉は、何だか変? 間違ってるんじゃないかなと、ちょっと疑ってみてください。
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使役表現がうまくできず、さ入れ言葉に。

2007-10-20 19:35:27 | 言葉についてあれこれ
                       これはトイレ
 ローカルのCMで毎日のように聞こえてくる「眠らさせたらもったいない」、貴金属を引き出しの奥にしまいっぱなしにしたらもったいないですよということを言っているのですが、ひょっとして「眠らせてたらもったいない」かなと思い、注意して何度も聞いたのですが、やはり「眠らさせたらもったいない」としか聞こえません。制作の過程で何人もの人が聞いていると思うのですが、なぜこんな程度の低い間違いがチェックされず実際に放送されてしまうのか甚だ疑問です( ̄д ̄)。これは、「眠らせたらもったいない」が正解で、いわゆる「さ入れ」です。
 使役の助動詞、「せる」が付くか「させる」が付くかは動詞の活用の種類によって決まっており、「せる」は、五段活用の動詞の未然形とサ行変格活用の動詞の未然形「さ」に付きます。「話させる」は、「させる」が付いているのではなく、未然形の「話さ」に「せる」が付いているのです。サ行変格活用の未然形は「し、せ、さ」で、「し・ない、せ・ざるをえない、さ・せる、さ・れる」と言葉が続くわけで、その「し、せ、さ」のうちの「さ」に「せる」が付くのです。
 五段活用とサ行変格活用の動詞の未然形には「せる」が付くのであって、何でもかんでも「させる」が付くのではない、ここを理解せずに何でも「させる」を付けてしまうとさ入れ言葉になるのです。「眠る」は五段活用ですから、その未然形「眠ら」に「せる」が付いて「眠らせる」となるのですが、何でもかんでも「させる」の人は「眠らさせる」と言ってしまい、見事な(?)「さ入れ」になるというわけです。「では、座らさせていただきます」などとしょっちゅう言っている人ぉぉぉ、それは「さ入れ」ですよぉぉぉ。
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使役、受身、区別できてる?

2007-10-19 19:26:40 | 言葉についてあれこれ
                       釣られた!
 7月2日の記事で、「左遷をさせられた○○さんの」という例文を挙げ、使役と受身についてご説明しました。時間のあるかたは・・・はい、はい、ないですね。では、簡単にご説明しましょう。「泣かせる」「感心させる」「読ませる」「伝えさせる」など、「~せる・~させる」は使役表現、「泣かれる」「感心される」「読まれる」「伝えられる」など、「~れる・~られる」は受身表現です。使役というのは、「指導させる」、AさんがBさんに「指導して」と命じ、Bさんが指導するということです。受身というのは、「指導される」、AさんがBさんを指導するというとき、BさんはAさんに指導される、ということです。このくらいは日本人ならだれでも理解していることだと思いますが・・・( ̄‐ ̄)うーむ。
 「左遷をさせられた○○さんの」や、昨日の「○○さんは納屋に監禁させられるなどして」は、「させる」と「される」の合体した形ですね。事情を全く知らずに聞くと、社長が部長に命じて課長を左遷させた、○○さんというのは部長である、というふうに理解します。ところが、本当は、左遷された課長が○○さんなのですから、「左遷された○○さんの」と言わなければいけなかったのです。次の例も、○○さんは無理やり悪人の仲間にされたのではなく、監禁されて死亡したのですから、「○○さんは納屋に監禁されるなどして」です。
 では、「乾燥させられた状態で外国から入ってきます」というのはどうですか。日もちしない食品を乾物にして輸入するということを言いたいわけで、「乾燥させた状態で」でも「乾燥した状態で」でもいいのですが、「乾燥させられた状態で」は間違いですね。
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変な日本語、その19、「監禁させられる」。

2007-10-18 19:39:21 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                   どこの記者だ?!
 出た! 「ちゃんとしゃべれ!」にも書いたのですが、また聞きましたよ、「監禁させられる」。夕方のニュースで中継先の記者が「○○さんは納屋に監禁させられるなどして死亡しました」と言ったのですが、皆さんはお分かりですよね、正しくは「監禁されるなどして」です。「監禁させられる」だと、悪人の片棒を担がされたことになり、被害者のはずが加害者になってしまいます。その挙げ句に「死亡しました」なんてお気の毒すぎます。
 本当にいるのですよ、こういう人が何人も。あまりにもばかばかしい間違いなので、「断っておくが、例文はすべてだれかが実際に話したものであって、私の創作は一つもない。話し手が特定されないよう、必要に応じて一部を変えてあるが、あくまでも耳に入ってきたものだ。こんな日本語を毎日聞かされていれば変な日本語アレルギーになるのも無理からぬこととご納得いただけるだろう」と書いたくらいです。中継先でリポートする記者さんというのは、「記者」というからには、いろいろ取材して文章を書くのが仕事なのだと思いますが、ちゃんとした日本語をしゃべっている記者さんは非常に少ないですね。皆さん若いから?
 使役と受身に関しては、「眠らさせたらもったいない」だとか、「乾燥させられた状態で外国から入ってきます」だとか、ごっちゃになってしまってちゃんと表現できない人がけっこういますから、うつらないように注意しましょうね。ぼーっとしているとインフルエンザみたいにうつりますよぉぉぉ。変な日本語はうつるんですよ、これ、本当!
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言いたいことをちゃんと表現できない。

2007-10-17 19:33:48 | 言葉についてあれこれ
                   1時間かけて掃除? あ、そ
 テレビを見ていて、「功績があったので、かなり取り立てて、一族は、おられました」というのが聞こえてきて、あきれました。「功績があったので一族はかなり取り立てられていました」と言いたかったらしいのですが、「一族は」が抜けていることに気づいて慌てて入れたところ、「取り立てられていました」が変なところで切れて、「取り立てて、おられました」という、主語が分からない言い方になってしまったというわけです。
 このような例はたくさんあって、言いたいことをちゃんと表現できない、言いたいことが正確に伝わるような言葉の並べ方ができないのです。日本で生まれ育ち、赤ん坊のときからずっと日本語で会話している日本人ならどうにかこうにか言いたいことを推測することはできますが、変な日本語ばかり聞かされて育つ次の世代はそれさえできなくなるのではないでしょうか。
 「10年かけて修復作業を始めようということで」って、修復作業を始めるのに10年もかかるのでしょうか? 「○○に決断が迫られていました」って、なーんか変! 「日本のモノ作り技術の集結がこの○○です」、○○というのは、技術者集団? 工業団地? 見本市? いいえ、ある製品のことです。「体温が上昇による作業効率の低下が」って、これでなぜテレビに出て話すことを職業にしていられるのか疑問です!
 「10年かけて行う修復作業を始めようということで」か、「10年かかる修復作業を始めようということで」ですかね。次は、助詞を変えて、「○○は決断を迫られていました」です。「日本のモノ作り技術の集結がこの○○です」は、やはり「結晶」でしょうか。集結・・・惜しかったですね。最後は「体温が上昇することによる作業効率の低下が」ですが、「すること」を削ったみたいですね。でも、削るのなら「が」も削って、「体温上昇による作業効率の低下が」にしないとねぇ( ̄‐ ̄)。
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あると思って探せばあるけど。

2007-10-16 19:39:29 | いろいろあれこれ
                      ココナッツミルク
 探し物は、あると思って探せばあるけど、ないだろうなぁと思って探すと見付からないものなのですね。ココナッツミルクを近所のスーパーで探したのですが、多分ないだろうなぁと思っていました。しかも、写真で見たことのある缶は赤色で、その店では見付かりませんでした。次に、大型店で探したのですが、やはり見付からず、また別の機会に別の大型店で探しました。それでも見付からなかったので、そのときたまたま近くにいた店員に聞いてみました。すると、私が立っていた場所のすぐそばにそれはあったのですが、なんと、青い缶でした。
 あ~、青だよ、青い缶だよ、どうりで見付からないわけだ。それで、近所のスーパーで、今度は青い缶を探してみたところ、ありました、ありました。うむぅ、赤い缶をイメージして、しかも、多分ないだろうなと思って探したから見付からなかったのですね。探し物というのは、探すのをやめたとき見付かることもよくある話、らしいですが、この場合、探すのをやめたら、おいしいタイ風カレーにはありつけなかったのです。
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