◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「必ずこのホテルで滞在をする」って?

2015-07-26 10:18:54 | 言葉についてあれこれ
                                  快適なハウスで暮らす

 「停電をいたしております」「カンボジアを旅行をした」「信頼をしています」「入社をしていただくのは」「興奮をした」「実現をしていきたい」「充実をさせる」「雨雲が発達をする見込みです」「74年前に記録をした」のように、複合動詞に不要な「を」が入る、こういう例が増えていますよね、よく見たり聞いたりします。
 NHK「きょうの料理」で一柳亜矢子アナが「これで火を止めて盛り付けして」と言ったのですが、アナウンサーでも「盛り付けて」とは言わないのですね。「取り扱っています」なのに「取り扱いしています」、「チケットを扱っています」なのに「チケットの扱いをしています」、「引き換える」なのに「引き換えする」、「取り付けられていない」なのに「取り付けされていない」、「気負わずに」なのに「気負いせずに」って、なぜ?
 「必ずこのホテルで滞在をする」と言ったのは山中真アナ(MBS)です。ある番組にリポーターとして出ていて、誰かと思って調べたら、なんと、アナウンサーだったのですよ。“何でも名詞化”については何度か書いていますが、敬語の一部とか、政治家が好む表現とか、もはやそういう域を超えています。
 そもそも「このホテルで」からおかしいですね、「で」ではなく「に」でしょ、「必ずこのホテルに」です。そして、「滞在する」と続けて「必ずこのホテルに滞在する」ですよ。そういえば、だいぶ前に「日本で滞在をしながら」と言った人がいましたが、「日本に滞在しながら」ですよ。「過度に制限をすると」と聞いてどう感じますか? 本来は「過度に制限すると」か「過度な制限をすると」か、どちらかですよね。
 ネタりかの記事でも「ウェイター最初にイスを引いた席が上座です」、gooいまトピの記事でも「いつかは観られる可能性高いのは確かですが」、このようにほいほい助詞が抜け落ちます。「大腸黒皮症のお写真こちらです」のようにいつも「お写真」と言う田中みな実アナは、「大腸黒皮症の写真がこちらです」の「が」を言う代わりに「お写真」と言っているわけで、「お写真」という言葉の本来の働きが死んでしまっています。
 刑事ドラマで、息子について聞かれた母親が「今はお仕事お休みさせてます」と言う場面があったのですが、身勝手な犯行を重ねる息子、その息子をかばうために犯行現場で後始末をする母親、そういう異常な親子という設定でこのセリフは合っています。でも、普通の親なら「今は仕事を休ませています」と言うものですよ。普通の親が「お仕事お休みさせてます」なんて言ったら気持ち悪いから!
 全く不要な「を」をやたら入れる、かと思えば「を」を言わない、「を」に限らず、必要な助詞をちゃんと言えなくなっている、正しい形なんか無視して「ご(お)○○」と言いさえすればいいと思っている・・・、根底に自分を品よく見せたいという気持ちがあるからこうなってしまうのではないかと感じますが、結果的に、品よくどころか( ̄д ̄)ダラケ! にしか見えません。
 三雲孝江は割ときちんと話している人ですが、「おはなししてくださっていて」と言ったのにはがっかり( ̄д ̄)! 「ご(お)~くださる」なら「おはなしくださる」で、「お話しくださっていて」です。「~してくださっていて」と続けるなら「話をしてくださっていて」です。下手に「おはなし」なんて言って「を」を省くから変なことになるのですよ。「お話」でも、「話」と「話し」の区別がちゃんとできていれば「お話をしてくださっていて」になるはずですけどね、結局、基本を忘れているということです。
 「ダウンタウンなう」で、元銀行員の女性が「お仕事をさせていただいて」と言ったけれど、あ~ぁと思うだけでメモはしませんでした。次に「左遷させられたり」と言ったけれど、池上彰のせいかぁ~と思うだけでメモはしませんでした。そして、次に「(横領を)すごく巧妙にされているかたもいますね」と言ったので、やはりメモすることにしました。いいかげんにしてぇ~( ̄д ̄)!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由に振る舞う人々。

2015-07-19 09:58:08 | いろいろあれこれ
                                  遠くに行かないでよ

 スーパーマーケットで買い物を終え、車を運転して駐車場の出入り口に向かっていたとき、前方の車Aは左折で道路に出ようと右側の安全確認をしていました。そこへ右側から車Bが来て、駐車場に入るつもりだというのはすぐ分かりました。その出入り口はやや狭く、今まさに出ようとしている車がいれば、ちょっと待って、その車が出てから入る、通常、そうしますよね、エレベーターとか、電車とかも。
 車Bを運転しているのは高齢者で、嫌な予感がしたので、私はAの後方にかなりスペースを取って停止しました。案の定、BはAの位置を気にすることもなく駐車場に入ろうとしましたからね、当然、BはAの行く手を完全にふさぐ形になり、どちらも前進できません。あぁ~やっぱり! Aの運転者も、Bがバックすることはないと即座に判断したようで、すぐにバックしてきました。
 Aが出てからBが入る、どう見てもそのほうがスムーズなのですが、Bは、入りたいから入る、それだけです。自由です。AがバックしてBの前方が空き、Bは、当然といった顔ですぐに入ってきました。もう何度も、あっちこっちで、私自身がAのような目に遭ったりそういう場面を見たりして、しかも、高齢者だけではなく、若い人にもBのような感覚の人が多いのです。
 つい先日、用事があって◇◇市に行ったのですが、私が駐車場から左へ出ようとしたとき、右側から子どもが自転車に乗って近づいてきて出られなくなり、その子が通過するのを待ってから出ました。左には、駐車場に入りたい車がいて、私と同じように子どもの動きを見ていたのですが、十分なスペースを空けて停止してくれていたので、すれ違うときに会釈したら向こうも同じように会釈してくれてうれしくなりました。やっぱりこうでないとねぇ(⌒・⌒)。
 昨年、◇◇市から△△市へ引っ越したのですが、ひどい田舎に引っ越してきちゃったなぁ~とへこんでいます。まぁね、△△市だけではないかもしれませんが・・・、そうそう、県議会議員補欠選挙のときに△△市役所でえらい目に遭ったと書いたことがありましたね。あの無表情笑顔・・・、ちょいちょいああいう感じの人に出くわすのですよ。
 少し前に町内の害虫防除作業を手伝ったのですが、三人がかりでワーワー言いながら薬液を散布しているとき、10歳ぐらいの子ども2人が近くにいるのが見え、作業を中断して「そこにいると薬がかかるから離れて」と言ったのに、てんで無反応、3回ぐらい言ってようやく離れた、ということがありました。しかも、そのしばらく後、別の場所で、別の子たちで、また同じことがありましたからね、何かがおかしい( ̄~ ̄)。
 先日、町内の全戸対象の工事で、隣人が「早いほうがいいから、うちは9時に来てもらうことにした」と言っていたのに8時半にどこかへ出掛け、9時半に帰ってきたのですよ。後日、なぜ予定時刻に外出したのかと尋ねたら、「朝のうちに市役所に行きたかったから」ですって。しかも、その目的を聞いてみれば、別にそのタイミングでなくてもいいわけで、なのに、なぜ? いつの間にか違う世界の生き物ばかりに囲まれてしまったような、変な気分になりましたよ。
 パソコンも、そんな必要はないはずなのに「リカバリーメディアを作成します」というメッセージがちょいちょい出て、VAIOの相談窓口に電話してあれこれやってみたのですが結果は変わらず・・・。カーソルを移動するために矢印キーを押しているだけなのに「:」が入ったり、文字入力中に勝手に違う行に飛んだり、それも相変わらずで、どうにもなりません。ネット上で同じ現象が起きているような文章をたまに見掛けますから、うちのキーボードだけではないのかなぁ。
 あ、パソコン画面の右下に見慣れないマークが出てる、なになに? 「Windows10を入手する」ですってぇ~、何ですか? 8.1であんなに苦労したんだから、もぉずぇーったいに嫌だ! いつの間にか、生き物のようで生き物でないものにすっかり囲まれてしまうのではないか、なんてね、随分心細い、妙な気分ですよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「藁をもすがる思いで」って?

2015-07-12 09:20:22 | 気になる言葉、具体例
                                  尾が短い

 2012年6月に、「夢の扉+」のナレーションで聞いた「藁をもすがる思いで訪ねたのは」について書きましたが、相変わらず聞こえてきます。「警察医・秋月 桂の検死ファイル」(脚本 洞澤美恵子)では繰り返し出てきました。複数の役者のセリフがみんな「藁をもすがる思いで」でしたし、小道具の手紙にまでそう書いてありました。ということは、確実に脚本にそう書いてあったということになりますが、脚本は絶対? 間違っていても? 3人の役者、スタッフ、誰も変だと感じなかったのか?
 「リーガルハイ・スペシャル」では、原告役の女優(吉瀬美智子)が「藁をもすがる思いでした」と言いました。しかも、厳粛な法廷で、深刻な表情の原告のセリフですから、ほんっと、がっかり( ̄д ̄)! 「ザ・今夜はヒストリー」のナレーションも「時平は藁をもすがる思いで悪霊祓いを依頼」だし、なぜみんな「藁をもすがる」なんだ? 「藁をもつかむ」もしくは「藁にもすがる」なんですけど┐( ̄д ̄)г。
 「ろうを生きる 難聴を生きる」の「スランプを脱出することができました」というナレーションとテロップ、すごく変ですよ。「脱出」なら「スランプから脱出することができました」ですが、「スランプ」ですからね、ここはやはり「スランプを脱することができました」でしょ! 「ろうを生きる 難聴を生きる」なのに、「を」のこと、分かってる?
 「この後、彼に待ち受ける事件が」は「見逃せない瞬間BEST50」のナレーションですが、「彼に」は誤りで、「この後、彼を待ち受ける事件が」ですよ。「そんな○さんに病が襲った」は通販CMのセリフですが、「○さんに」は誤りで、「そんな○さんを病が襲った」ですよ。簡単なことだけど分かっていない人が意外に多い「を」です。
 「栄養のバランスを考えられたカフェごはん」は「王様のブランチ」でギャルタレントが言ったのですが、「を」なら、「栄養のバランスを考えたカフェごはん」「栄養のバランスを考えてあるカフェごはん」「栄養のバランスを考えて作られたカフェごはん」ですよ。いろいろありますが、どれにする?
 テレビに映った一般の人が「デザインに凝ったものがたくさん置いていますので」と言ったとき、テロップもそのままだったのですが、そんなことでいいのですかねぇ、いや、よくない( ̄д ̄)! 「デザインに凝ったものをたくさん置いていますので」と言ってくださいよ。
 「見えたんです、橋でみんなが死ぬところを」は映画の宣伝のセリフです。ですから、それなりに練ったものだろうと思うわけですよ、それでこんな? 考えた人、言った人、日本人? 「見えたんです」なら「橋でみんなが死ぬところが」でしょ、あるいは、「見えたんです、橋でみんなが死ぬところ・・・」でしょ。
 「スーパーJチャンネル」で、ギリシャ政府が国民の不満を和らげるためにあれこれやっているというようなナレーションが流れているとき、「アテネ市内の公共交通機関を無料など」というテロップが出たのですが、やはり日本語を書く力が足りませんね。「アテネ市内の公共交通機関を無料にするなど」でしょ、短くするなら「アテネ市内の公共交通機関無料 など」でしょ、「を」は要らないのですよ。もっとちゃんと考えましょうよ。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「冷ややかな目で見ようと」って?

2015-07-05 09:27:41 | 言葉についてあれこれ
                                  クールだ

 「冷ややかな目で見ようと思って見ていたんですけど」と言った人、冷たい人ではないのですよ、「冷静に見ようと思って」と言っているつもりなのですから。「麻酔銃で取り押さえられ、あえなく御用」って、せっかく麻酔銃を持ってきたのに接近戦になって麻酔銃で押さえ付けたのか・・・って、違うから。麻酔銃で麻酔薬を打ち込んで眠らせてから捕まえたのですから、「麻酔銃で眠らされ、あえなく御用」ですよ。
 それから、何の番組だったか忘れましたが、ある俳優が1か月間食事をしなかったという話題で、食べない→減量→ボクシング、というわけで3人のボクサーに「食べないと持続力がなくなる?」と質問しました。それに対して3人が出した答えが「×」で、コメントは「やる気が出ないですね」って、それなら答えは「○」ではないのか?
 以前、「ワイド!スクランブル」で、司会の2人とコメンテーターの2人、合わせて4人が、「喪中の人にお歳暮を贈ってはいけない?」に対して答えは「○」、コメントは「喪中でもお歳暮は贈ってもいい」だったからあきれたと書いたことがありますが、皆さん一体どうしたのでしょうかねぇ。日常の会話でも、果たしてちゃんと通じているのだろうかと心配になることがありますよ。
 「ザワつく!?TV ニュースな晩餐会」で、以前アメリカで起きた人体自然発火事件について話していました。事故調査人が「被害者は元喫煙者でした」と言った、そういう翻訳テロップが出たのですが、その後、消防士が「現場にはマッチの缶が置いてあった」と言い、「出火原因はたばこの不始末の可能性が!」というテロップが出て、「不明とされた出火原因はたばこの火の可能性があるというのだ」というナレーションが入り、訳が分かりません。禁煙してた? 禁煙できなかった?
 ネット上で、とても日本人が書いたとは思えない、さりとて外国人が書いたとも思えない、そんな文章を目にすることがよくあります。きちんと書こうと意識していないからだと思いますが、ひどすぎます。そして、きちんと書こうと意識しても、ふだんの話し方がめちゃくちゃなら、きちんと書けるわけがないと思うのですよ。
 Aが、Bの行動について書き、それを読んだCが「私からBさんの考えとは、分別がない、配慮のない考え方の人なんだなと思いました。あなたが大変なのが目に浮かびます」と書きました。それに対してAは「配慮のないBの行動をいたわってくれたCさんに感謝します」と書いたのですが、まぁ、ね、日本人なら、文章全体を2~3回読めば何となく言いたいことは分かります。分かるけどね┐( ̄д ̄)г。
 あまり大きく変えないでちゃんとした文章にするなら、「私から見れば、Bさんの考え方は、分別がなく、配慮が足りませんね。あなたの大変そうな様子が目に浮かびます」といったところでしょうか。もっと問題なのはAがCに向けて書いた「Bの行動をいたわってくれたCさんに」ですが、これは誤りです。「あなたが大変なのが~」は、Bに振り回されているAをいたわっているのですから、「Bの行動に悩む私をいたわってくれたCさんに感謝します」と書かないといけません。
 これはもう、文章としてまとまっているとか、すっきりしているとか、そういうレベルで論じるようなことではなく、日本語でちゃんと表現できない、書けない、日本人なのに日本語の文章を書けないということです。ここに挙げた例だけではありません。そこらじゅうで訳の分からない文章を目にするのです。それは、つまり、頭の中にちゃんとした日本語がないということですが・・・。
 もしもAとCが外国人だったら、日本語でこれほど書けるなんて大したものだ、ということになりますが、「Bの行動を~」は褒められませんね、もう少し勉強してほしいなぁ。でも、明らかに日本人が書いている文章なのにめちゃくちゃであきれることがよくありますから、勉強するつもりが勉強にならなくて大変でしょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする