8月になりました。まもなくお盆をむかえます。
母の従妹にあたるキンちゃんは
84才になり、ことしは年女
名前は ”絹子”さん
わたしの母は、 いつも ”キンちゃん” と
呼んでいたから、わたしもそのまま
”キンちゃん”で親しんでいる。
じいやは、”キンちゃん”を連発する私に
こう言ったものだ。
「”キンちゃん”って、男の人じゃろ?」
「ちがうよ~ れっきとした女性です!」
おなじみの爆笑コンビだった
かっての ”コント55号” 萩本欽一さんから
連想していたらしい。
思わず吹き出してしまった。
こどものころから、仲良くて一緒に成長したようなものだったので
キンちゃんは、わたしにとっては姉のような存在であった。
年の差9才でも・・・
去る7月18日のお昼過ぎ、その夫であるAさんの訃報の知らせがあった。
お通夜と、もちろん葬儀に参列した。
斎場でのキンちゃんは、見まちがえたかと思うほどにやつれはて、涙があふれた。
杖を片手に、硬い椅子に腰をおろしたキンちゃんは
おとずれた通夜の客に深く頭をさげていた。
ひとり娘夫婦に脇を支えられた姿・・・
さらに涙をさそった。
一礼して、きんちゃんのまえに膝をつき、そっと手をにぎりしめた。
「ゆみさんたち(長女夫婦)がいるから、だいじょうぶよ」
「うん、うん」と小さな声でうなづくキンちゃんの姿・・・
初七日がすぎたころ、キンちゃんの家に行ってみた。
チャイムをおしてしばらく待ったころに、杖にすがったキンちゃんの姿がみえた。
「あ、杏子ちゃん・・・ネ」少しだけ笑った。
仏間には、真新しい祭壇に笑顔の夫、Aさんの写真があった。
「ひとりはさみしかよ・・・」
キンちゃんの声が背に聞こえた。