恵方巻の今年の方角は『東北東』というのを正月明け以降、コンビニに行くとポスターやPOPでよく見かける。これを見ると『バレンタインデー』『恵方巻き』=『キャンペーンがその効果を発揮した例』を思い出す。
というのは、小生も関西出身だが、ここ20年東京で、『関西では節分になると巻き寿司を丸かぶりする習慣があるらしいが、それは昔からあるものか』とよく聞かれる。しかし、少なくとも京都にはそんな習慣はない。
気になって大阪の寿司屋で聞いたのが、『昔、大阪の花街で沢庵巻きを節分の頃、その年の恵方を向いて食べるといい事がある』というあまり有名でない習慣。これを広めたのはそもそも昭和初期の大阪の寿司屋組合らしい。当時、2月は店がガラガラで窮余の一策として、あまり確かでもない習慣をクローズアップしたもの。
さらにこれも一旦すたれたが、1973年に今度は海苔屋の組合が寿司屋の組合と共同で『幸運巻き寿司キャンペーン』を復活。1977年には道頓堀で女子大生を集めて『巻き寿司早食いコンテスト』を開催、マスコミに取り上げられるようになり、大阪ローカルでは少し知られるようになった。
そしてこれを全国規模にしたのはセブンイレブン、1990年台に広島地区で始め、1998年に今の『恵方巻』という名前を付けて全国発売をした。それが、じわじわ広がり、他のコンビニやスーパーなども行うようになったもの。
つまり、元々起源が不確かな風習を『大阪の寿司屋組合』→『大阪の海苔屋組合』→『セブンイレブン』と引き継いでこれだけの市場規模にしたの。これは欧米のバレンタインデーを菓子屋のキャンペーンで今の市場にしたのと同様、これぞ広告の力だなあと感じている。
因みに持ち帰り寿司の業界は市場の厳しい中でこれからの季節の『節分』『ひな祭り』『卒業式』の3つのイベントでようやく息を付くのである。