hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

天草西港(熊本県)

2014-06-01 05:00:22 | 日記
『日本の風景再発見』シリーズ その4。『三角』と書いてミスミと読む。熊本駅から特急『A列車で行こう』に乗ってわずか40分足らず行くことができる。小生が三角駅を前に訪れたのは30年以上前で、盲腸線の終着駅であったものが変わっているのは当然だが、その代わり様に驚く。さすが観光に力を入れているJR九州である。ちなみに『A列車』のAは天草のAtoアダルトのAをかけたものらしい。

駅から降りるとすぐ前がフェリー乗り場で対岸の島原外港まで行くことができるが、これが三角東港。そして今回注目するのは三角西港(みすみにしこう)である。この港は明治三大築港であり、明治政府の国内統一、殖産振興に基づいて建設されたもので設計は御用技師のオランダ人ムンドルによる。西港が建設されたのは明治17年から20年にかけてであるから、かなり古く、しかもその姿はそのまま残っている。というのは始めの頃は西港が繁栄し、裁判所や商船学校、水産試験場、海上保安庁などの役所、港沿いには多くの倉庫なども作られた。しかし、西港には背後に山が迫り、敷地の拡張が難しかったことから次第に東港が整備されるようになり、それを決定的にしたのは明治32年に開通した九州鉄道(後に国鉄)三角線の存在である。その後はフェリーターミナルなども東港に作られたため西港は忘れ去られた存在となった。

しかし、早くから東港に機能が移ったため、西港は石積みの埠頭や水路、箸など当時の施設が原型のまま残されている数少ない港湾史跡として近年になり、注目されており、最近ではNHKドラマの『坂の上の雲』の舞台として撮影に使われた。平成14年には国の重要文化財にも指定されている。


写真にある浦島屋や物産館となっているムンドルハウス、九州海技学院(旧宇土郡役所)、旧簡易裁判所などの建物も整備され当時を偲ばせている。ただやはり素晴らしいのは人の手で積んだ石積のみなとであり、向いに天草五橋の一の橋が見えその風景は素晴らしい。夏の午後ゆっくりコーヒーを飲みながら海を眺めるのも旅の1ページとしては思い出になる。天草に行かれる折にはぜひ訪ねていただきたいスポットである。


この港に佇むと明治の香りを思い出せるような気がする。ちなみに最近はスナメリも近くで観察できることがあるらしい。