hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

吹屋地区(岡山県高梁市)

2014-06-09 05:00:00 | 日記
『日本の風景再発見』シリーズ その5。『吹屋』や『ベンガラ』と言ってもご存知の方は少ないであろう。吹屋は岡山県高梁市成羽町にある地区で石州瓦とベンガラ漆喰で有名な歴史的な町並みを残す。元は川上郡吹屋町(昭和30年まで)といい、江戸時代の頃より吹屋銅山として発展してきた鉱山町であった。その後、明治になり、産物は銅とともにベンガラ(弁柄、酸化第二鉄)の日本唯一の鉱山として繁栄を極めた。ベンガラは赤い色を発色し、陶器の絵付けや漆器、神社仏閣の外壁などにつかわれ、最盛期には1200人が働いていた。そしてこの町の商家にも石州瓦とベンガラの赤褐色の街並みが今も残っている。

この街を訪ねたのは2年前の夏、島根県から峠を越えて行こうにも途中の道が災害で寸断され、大回りしてようやく2時過ぎにたどり着く。最初に伺ったのはその翌年3月で廃校になった当時日本最古の現役木造校舎。とても1899年に竣工したものとは思えない立派なもの。吹屋小学校を地域の人がいかに大切にしたのかがよくわかる。

ついで行ったのは片山家住宅、江戸時代後期の商家である。その広さにはびっくり、母屋と附属家5棟が重要文化財である。

さらに西江邸、幕府代官御用所として、また、ベンガラ産業の中心的役割をはたし、地域のランドマークである。少し高台にあって、その存在は堂々としたもの。郷藏、白洲跡、駅馬舎、手習い場などが現存し、一般に公開されている。
その他、笹畝坑道やベンガラ館(明治のベンガラ交情なども公開されていて、なかなか車なしでは回れない広さである。映画の『釣りバカ日誌』や『八つ墓村』などの撮影にも利用され、それなりに露出しているが、夏休みといってもほとんど観光客や見学者がいない。かつての栄光がそのまま残っているこうした産業遺産はぜひひとりでも多くの人に見てもらいたいものである。


こうした人気のない街でも夕暮れになり、昔たくさんの人が歩いていたのを感じるのが旅の醍醐味である。