『大衆食堂』という店を見る機会は減った。昔はどんな町にもいわゆる定食屋的な店があり、学生時代は友人とトンカツやコロッケを肴にビールを飲んだものである。だいたいにおいて口うるさい婆さんが世話を焼いてくれたが、結構その雰囲気は好きであった。
しかし、最初にファミレスの登場、つぎに大衆食堂を謳った大戸屋やめしやなどのチェーン店が増加、個人経営の店は淘汰されていった。そんな中で『大衆食堂 石川甚三郎』という店を水道橋近くで発見、早速中に入った。比較的新しい店ではあるが、ガラス窓から中が見渡せ、カウンターのみ、券売機で食券を買うシステム。
外のショーケースでまずはカツカレー(950円)が目についたが、ハンバーグとチキン南蛮(800円)に目を引かれ、今回はチキン南蛮にして見る。
カウンターに座り、食券を出すとカウンターの中にいるコックが注文を確認、奥の別のコックに『チキン南蛮』と叫ぶ。カウンター内には4人、比較的多い。1人はドミグラスソースだろうか、寸胴鍋に大きな木の杓子を入れてグルグルかき回している。店は2時すぎにもかかわらず7人ほどの先客がいる。
5分ほどでチキン南蛮が到着。チキン南蛮とご飯、味噌汁である。大きく切った5切れにたっぷりタルタルソースが掛けられ、千切りキャベツ、マヨネーズで和えたマカロニが添えられている。
ボリュームはたっぷりで肉も柔らかく、もちろん揚げたて。味付けもよくご飯が進む。これで800円はかなりおてごろである。
大衆食堂という割には味は良い。あの寸胴鍋にあるドミグラスソースを使った料理も食べて見たいところである。
大衆食堂 石川甚三郎
千代田区三崎町2ー1ー16