春の花は桜ばかりではない。この時期は花桃、カイドウなどピンクの花も確かに多いが、太陽の光線が強いからか、こと黄色の花に目を奪われることも多い。
春に最初に咲くのは菜の花である。正式な名前はアブラナでその種から油を絞ることからついたものである。畑に植えられることもあるが、群生して自生しており、最初の写真の仙川沿いだが、まるで黄色い絨毯を敷き詰めたようになる。
先日、皇居東御苑で見つけたのが、レンギョウ。漢字で書くと『連翹』と難しい、また、英語では『ゴールデンベル』、確かに花が下を向いてベルのように咲くためだろう。モクセイやコブシに花が似ていると思ったら、モクセイ科の植物であった。次の写真は人形町で撮ったものである。
そして少し前に人形町の路地で見つけたのが、マンサクである。マンサク(満作)とは早春他の花に先駆けて咲くことから『まず咲く』→『満作』という説があるくらいである。この写真の木は路地の鉢に植えられたものだが、大きいものだと3mくらいにもなる。
なお、マンサクには黄色ばかりではなく、白いものや鮮やかな赤の花がつくものもある。
余談だが、秋田県に『まんさくの花』(日の丸酒造)という名酒があるが、これは花というより、1981年のNHK朝の連ドラから名前を取ったと聞いている。
ヤマブキ(山吹)、この写真は今人形町の路地に植えてあるものである。普通は一重だが、八重咲きのものもある。この花は晩春に咲く花であり、これからしばらく楽しむことができる。太田道灌の故事はあまりにも有名だが、その故事からか新宿区には山吹町という地名も残されている。
そしてラストは『春の黄色い花』と言って最初に思い出されるタンポポ。英語では“danda lion”というのは有名だが、その意味はあまり知られていない。実はフランス語のdent de lionからきているのだが、dentとは歯のことで、ライオンの歯がギザギザしているのがタンポポの花びらに似ているためらしい。
私はシルエットがオスライオンの顔に似ているからと勝手に信じていたが、これは間違いである。それにしても、都会の道路標識の下にけなげに咲くその生命力には感心する。
こうして見ると早春に咲く花、晩春に咲く花と色々あるが、なんとなく黄色い花は心を元気にさせてくれるような気がする。