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GWもあと僅かになり、朝日新聞の販売店から頂いたチケットで東京国立博物館平成館で開催中の『つながる美術 名作誕生』と題した、奈良時代から近代までの優れた美術品のつながりに視点を置いた美術展に足を運んだ。
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流石に上野駅公園口はごった返すほどの人、親子連れは殆どがパンダを中心とした動物園であろう。その奥噴水前ではテントを張り、児童書の販売セール、20%オフということもあり、大変盛況であった。
その奥まで行く美術展はまあまあの人出。まず、入口を入ると『祈りをつなぐ』というコーナーから。仏像が沢山置かれて興味を惹く。鑑真が唐から連れてきた仏師が彫ったとされる伝薬師如来立像と伝衆宝王菩薩立像。いずれも一木で彫られたものだが、これが、その後の仏像の手本となっているようで、薬師如来像が6つ並べてあったが、その特徴が面白い。特に元興寺のものは素晴らしい。
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次のコーナーには古来より女性も往生させてくれるとされたために貴族の女性を中心に人気があった普賢菩薩像、国宝の掛け軸とされている実物を見て感動。これは日本の記念切手・第一次国宝シリーズにある中秀作である。
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次は『巨匠とのつながり』のコーナー。雪舟、俵屋宗達、若冲と彼らが模したであろうと考えられる中国の作家の比較。特に鶴が描かれたものや山水図など素晴らしさにただ、感動。何度も見ているが、若冲の鶏はいつ見ても凄い。
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『古典文学とつながる』と題したコーナーには伊勢物語からのつながりとして、まずは屏風。そして東国に向かう在原業平の心境をアヤメと橋だけで表現した尾形光琳の『八橋蒔絵螺鈿硯箱』の実物を初めて目にする。人は全く登場しないが、物語を語ってしまう、創造力の素晴らしさ、そして美しさは表現のしようがない。これも切手に何度も登場しているのである。(500円通常切手、第三次国宝シリーズ)
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そのあと『源氏物語』『山水画』とつながるが、やはり長谷川等伯の『松林図屏風』は荒く見えながらその細かい表現、大きさなど実物を見て初めてわかる迫力を感じる。
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しかし、何より嬉しかったのは次のコーナー『人物をつなぐ』のなかにある菱川師宣作『見返り美人図』、日本の切手収集家で知らない人がいないこの名作を初めて見ることができた。思っていたよりは遥かに小さいながらその鮮やかな色調、振り向く構図などじっくり眺めた。
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また、最後のコーナーには『古今をつなぐ』と題して北斎作の『くだんうしがふち』、国芳作の『昌平坂遠景』、大正初期の岸田劉生作『道路と土手と塀、切通之写生』が並べられていた。まず、坂の好きな私としては、坂の美しさに焦点を当てられていることに感動、さらにこの劉生の作品は何と大胆で力強いのであろう、大正初期の開発されつつある代々木を上手く描いた絵であった。
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ほかにも素晴らしい作品はいくつもあったが、歴史の流れの中で『つながる』をテーマに行われた主催者の新しい目は今まであまりない美術展を創造できたのではないかと思った。