今年の忘年会も最終盤、いつものメンバーの肩の張らない会はTくんの知っているお店。場所は築地駅から7、8分隅田川に向かって歩いたところにあるが、この周辺は意外に隠れた名店がありそうなところ。
店の名前は『やまだ屋』と至って普通、外観もガラス張りのモダンな造りだが、中は純和風である。皆が揃ったところでハーフ&ハーフの生ビールで乾杯、来年も良い酒が飲めるように祈念。
注文はフランス料理店のようなプリフィックス、各自が前菜を2品、メインを1品、ご飯は全員で1品を決める。前菜は7種類あるが私が前日にせいこ蟹は食べた話をしたので5種類から8皿(参加者4人×2皿)を選ぶことになり、3種(クリームコロッケ、白子の昆布焼き、サワラスモーク)は2皿分にして皆でつつくことに。
お通しは大根のおでんに白子ソース掛け、トマト豆腐、蕪蒸しの3品。いずれも優しい味付けで入りとしてはいい。特に大根は出汁がよく効いていて染みる。
刺身を前に日本酒に進む。最初の選択は光栄菊(広島県)、柔らかい薄濁りである。刺身は3種、タイ、ブリ炙り、カワハギの肝和え。特にブリを塩で頂くが、山葵が全く効かない位に脂が乗っていて美味い。
ここで先程の前菜、さっき書いた3品以外は自家製ベーコンの炙り焼き、手もみキャベツのへしこ出汁酢掛け。色々あって楽しいが、酒の肴には特にベーコンやサワラスモークなど燻製がうってつけである。
酒は陸奥八仙(青森県)、青に漁り火のようなラベル。これは甘味が少なく、切れ味がある。さらに風の森(奈良県)の雄町純米吟醸を頂く。こちらは甘味はあるが、サラッと消える香り立つ美味い酒、誰かが『甘さも和三盆糖のような甘さ』と表現していたがその通り。
メインは私は伊予水軍鶏の柚子釜焼き、柚子の香りが肉ばかりではなく、全てをミンチにした鶏を引き立て、あっさりと仕上がっていた。隣ではブリシャブを食べていたが、これに合わせてまずは豊香(長野県)、おりがらみだが甘すぎない、豊かな香。
さらに酔右衛門(岩手県)を選んだが、酸がある切れ味豊かな味わいは肉に負けない強さを感じた。女将さんはコメ違いの酔右衛門を並べて飲ませてくれたが、これも壮観であった。
〆はせいこ蟹入り炊き込みご飯、文句なく美味い。特に内子の橙色がキラキラ、漁期から年内しか食べれない贅沢である。
私はデザートをキャンセルしてさらにツマミをオーダー。豆腐味噌漬・へしこを大根サンドにしたもので残りの酒をいただき、お開き。いや、酒も料理もうまいし、女将さんはサービス精神旺盛、楽しい宴となった。皆さんに入口まで送ってもらう。本当にご馳走さまでした。
やまだ屋
中央区築地7ー16ー3
0335444789