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米最高裁、伊フィアット率いるグループへのクライスラー売却を承認

2009-06-10 11:20:11 | Weblog
米最高裁、伊フィアット率いるグループへのクライスラー売却を承認 2009年06月10日
ロイター http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK839709820090610
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090610AT3K1000810062009.html
 米最高裁判所は9日、経営破たんしたクライスラーをイタリアのフィアット率いるグループに売却する計画を承認した。
 インディアナ州の年金基金などクライスラー売却に反対する勢力は売却の延期を求めていたが、最高裁はそれを却下。クライスラーやオバマ政権側の勝利となった。クライスラーの再建は、同じように早期再建を目指すGMの前哨戦とみなされている。
 最高裁は、売却の延期を求めている当事者は、売却延期が正当化されることを示す責任を果たしていないと指摘。さらに、決定はこの訴訟での法的問題に基づいたものではなく、訴訟の記録と手続きに基づいているとした。
 今回のクライスラーの案件は、政府の景気対策関係で最高裁に持ち込まれた最初のケースとなる。
 インディアナ州の年金基金は、クライスラー売却で、無担保債務の債権者が有担保債務の債権者よりも優遇されているとして、再編計画は違法と訴えた。さらに、米財務省は権力を乱用し、金融機関支援のための資金がクライスラー救済に使われたと指摘した。
 一方、クライスラーと政府は、長期にわたり売却が延期されれば、最終的に案件がまとまらなくなる可能性があり、その結果クライスラーは清算され、3万8000人以上が職を失うと訴えた。また、同社の財務状況は悪化しており、1日1億ドルの損失を出していることにも言及した。




 この問題は、米自動車大手クライスラーの資産をイタリアのフィアットが率いるグループへ売却する計画の差し止めをクライスラーの一部債権者が求めていたことで、同裁判所がアメリカ時間の8日に『今後何らかの判断が出るまで売却を保留する』ことを認め、フィアットとの提携合意が打ち切られるのではないかという心配が株式市場にも走っていたのですが、当のフィアットは当面の提携継続を即座に発表。
 そして翌9日にはその最高裁判所が『一部債権者が求めていた新会社への資産譲渡差し止めを却下』したことで、これで再建に向けて前進する可能性が高まりました。

 この問題は決してクライスラーだけの問題ではなく、より債権者の数が多いGMの再建策を練る時にも少なからぬ影響を受けるでしょうし、それだけにもし交渉が難航するようだと、ひいてはアメリカ経済の早期再建にも影響を及ぼすのではないかと危惧されていたのですが、これで株式の悪材料は一つ消滅。昔からの債権者や大口債権者には気の毒かもしれませんが、経済全体のことを考えるとベターな答えが出たのではないかと思います。

「給付金で払わせて!」 未納し尿処理費 7割が応じる 北海道

2009-06-10 10:20:41 | Weblog
「給付金で払わせて!」 未納し尿処理費 7割が応じる 北海道 2009年6月9日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090609/trd0906091825010-n1.htm
 北海道赤平市が、し尿処理手数料の未納者に定額給付金を使っての自主納付を呼び掛けたところ、対象となった76世帯の約7割が納付に応じたり、支払いを約束する誓約書を提出するなどしたことが9日、分かった。
 市によると、懸念していた未納者からの苦情はなく、「滞納しながら給付金を受け取るのは申し訳ない」などといった声が多く寄せられたという。
 市は同手数料が未納だった約300世帯のうち未納額が1万円を超える76世帯(計250万円分)に対し、給付金支給に合わせて4月中旬、催告書を発送。その結果、22世帯が計48万円を納付したほか、29世帯(計127万円分)も分納などにより今後支払うことを約束したという。
 市の担当者は「財政が厳しい中、多くの市民の理解が得られた」と話している。



 う~ん…(滝汗 赤平市は、「財政が厳しい中、多くの市民の理解が得られた」などと言い訳していますし、当の滞納者も「滞納しながら給付金を受け取るのは申し訳ない」などと言っているようですが、元々定額給付金というのは生活補填目的で行なわれたものですし、消費者金融など他の小口債権者も『本当は付きまとってでも取り立てたかったけど、お上がうるさいから自粛したのに、税金だけ許すなんて不公平じゃないか』と不満を抱えているのではないかと思いますが、今回例外?を許したことで、今後同様の事態となったときに、民間の債権者が強引な取り立てに入る可能性が高くなるのではないかな…という危惧を、この報道を読んでいて感じてしまいました。

 確かに、赤平市の場合は、最盛期に5万9000人以上いた人口が炭鉱業の衰退により、平成21年6月現在13200人を割り込み、「市立赤平総合病院」の不良債務と国民健康保険事業による累積赤字により連結実質赤字比率が75.7%(2006年度決算分)となり、2008年度決算から適用される地方自治体財政健全化法の財政再生団体に該当する見通しだったため、2008年2月に北海道が緊急的な措置として同市の病院会計の不良債権分に当たる約28億円を融資の上限とし、低利(年0.5%)で融資する方針を打ち出して急場をしのいだといった特殊事情もあるようですし、この融資の条件として平成19年現在平均15%カットしている職員給与を平成20年度から夕張市同様30%カットするなど、自治体の財政そのものが非常事態だというのも理解できなくもなく、そういった事情を知り尽くした市民だからこそ、いささか無茶な要求も受け入れたのだと思いますが、『赤平市でも認められた』からというだけの理由で、(別にばらまきを歓迎するわけではありませんが)今後同様のばらまき給付が行われた時に、他の財政が苦しい自治体が安易に同様のことを行えば、民間だって今度は遠慮しないでしょうし、財政再建団体転落の危機という特殊事情を抱えていたとはいえ、やはり悪しき前例を作り出してしまった気がしてなりませんね…。