精神的に日本を救い出さなくてはならない。ただ時局に対応するだけに終わってはならない。立ち返るべき日本とは何か。その問いかけなしに、私たち日本人は一歩も先に進むことはできないのである。帝国主義的中共になぜ抵抗するのか。それは欧米流の覇道を中共が選択したからだ。言うまでもなく情勢論としては、日本はアメリカとの同盟を維持強化しなくてはならない。しかし、そこにとどまることなく、アメリカに対しては、日本が育んできた道義を説かなくてはならないのである。それは日本浪漫派の保田與重郎が、若い頃を回顧して私たちに残した言葉である。「私はアメリカもソヴェートも一挙に砕破消却するやうな態度を考へることに唯一の文学的立場を思つた。それは近代の政治制度を破壊しつくし、近代の欲望的目的意識を一挙に放下することである。アメリカとソヴェートとは、その目的とする繁栄の欲望の点では何らの本質上のちがひもないのである。たゞ権力所在の方法としてとつている政治制度だけがちがつてゐて、多少アメリカの制度が、くらしやすく自由で陽気で、ソヴェートの方が貧困で自由がなく陰気だといふちがひがあつたが、ソヴェートの言ひ分では、これは過度的だといひ、歴史の必然性は云々と、きまりきつた理屈がそれにつくのが、もはや無意味を越してゐた」(『日本浪漫派の時代』)。日本人で孫文と共に辛亥革命に決起した者たちは、王道を実現せんとした。そして、支那人の多くが逃げた後でも、最後まで踏みとどまって、多くの日本人が支那大陸の土となったのである。王道の精神を裏切った中共はもはや孫文とは無縁である。そして、権力闘争に明け暮れるアメリカなどの国々に対して、いかなる孤立を強いられようとも、日本は道義を説き続けなくてはならないのである。
↑
応援のクリックをお願いします
↑
応援のクリックをお願いします