八十路徒然なるままに

春暮れてのち夏になり、夏果てて秋の来るにはあらず、春はやがて夏の気をもよほしーーー。徒然草より

ある話

2023年04月08日 14時36分54秒 | Weblog

画像は、福島民報からです。秋刀魚そのものの事ではありません。落語の「目黒のサンマ」的な、女性から聞いた話。とあるJRの無人駅近くに住んでいる女性が、そろそろ孫たちが、学校から帰るころだなぁと、玄関先から、帰り道を見ていた。こども等のはしゃぐ声が聞こえ無いなぁと、振り返ると、近所に、一人住む高齢の男性が、買い物袋を両手に、近かずいてきた。「あらっ、買い物ですかぁ」と。見ると片方の買い物袋から、サンマの尾が、はみ出していた。「魚屋さんで、さばいて、貰らわなかつたのぉ」と、聞くと、「自分でやる」と、強がったという。女性が「さばいてあげる」と。男性は、遠慮がちに「お願いします」と。玄関に招き入れ、「一尾、焼いて食べてみるげぇ」というと、男性は、「お願いします」。「ちょっと、あがって、こたつに足をいれて」と「茶をどうぞ」と、差し出しだした。まず一尾を、手早くさばき、租塩をふり、ガスコンロの直火で、焼き始めた。換気扇を回しても、焼き煙りと、臭いは、部屋に流れてきた。大根をすりおろして、小器に入れ、醤油と割りばしを、卓上に置き、「すぐに焼けるよぉ」と。家事が手慣れているので、一尾のさばきは早い。――続くーー


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