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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (157) 長尾家 70

2024年08月02日 05時19分44秒 | 甲越軍記
 総攻めが始まり、大手、搦め手共に鬨を挙げて無二無三に柵をめがけて攻め寄せる
これにこたえて城将も弓鉄砲で応戦する
先陣を進む新発田、本庄、加地、搦め手を行く古志、新津、平賀らは「大将の御前であるぞ、一歩も引かずにうち潰せ」と郎党、士卒勇に勇んで手負い数知れずと言えども、味方の背を乗り越えて進み、鉄砲を城兵に撃ちかける
されど城兵もこれに負けず勇んで鉄砲を撃ちかける間に、長尾山城、長尾新七二百余騎、どっと喚言て駆け出れば、新発田勢はこの勢いに押されて、どっと崩れ散々になって逃げだす
三条勢勢いに乗って逃げる敵を追うところへ、本庄勢が馬印を押し立てて、一文字に切ってかかる
両勢互いに真っ向からぶつかり合い、火花を散らして戦うところ、ついに本庄勢は崩れて旗指物も折れて逃げ出せば、三条勢はますます勢いを挙げて、本庄勢を追いまくる
この勢いに恐れをなして加地勢は戦わずに南へ逃げ出した
三条勢は「卑怯者、返せ返せ」と口々に罵りあとを追う
と、その時、三条勢の耳元に一斉に鉄砲の音鳴り響き弾丸が飛びゆき、同時に左右から埋伏せていた杉原勢が三条勢のまっただ中を切り崩した
三条勢は大いに驚き、東西に別れ組んで逃げ出す
脱出の道を探って戦い逃げ出すが、辺りはみな府内勢で満ちている
早くも五十余騎が討死
長尾山城、同新七は敵を薙ぎ払いながら北に逃れたが、そこに北條丹後勢がまたしても道の左右に舞い伏せて、長尾らがさしかかった瞬間起き上がり、たちまち取り囲んだ
三条勢はまたも罠にかかり右往左往するうちに討たれるもの多し、長尾新七は兵を励まし「われらいつまで生きながらえようか、ここに踏みとどまって敵を叩き、討ち死にせよ」と自ら長槍を振り回して戦う

北條の郎党、菊池半三郎が新七と渡り合い秘術を尽くして渡り合う、しかし新七郎はついに力尽きて半三郎に討たれる
三条勢はここで六十余騎討死、落ち失せる者五十余騎、長尾山城は僅か四十余騎となり敵を破りながら駆け抜ける
されども府内勢の策は二重、三重となっており、三条勢の行く道々に仕掛けられていた、此度も逃げ道の左右に竹俣三河勢が舞い伏せて、やって来た長尾勢に大波の如く攻めかかった
ついに疲れ切った三条勢はここにあそこに切り死にして一騎のこらず果てる
長尾山城守は血に染まった長槍を振り回して四方八方に当たり、近寄る敵は一人残らず胸板を貫いて殺しまくる
竹俣勢は是を恐れて、誰も近寄らず遠巻きにこれを見るばかりであった
疲れた長尾山城は小高きところに行き、ひとまず休息をとる
竹俣勢は、丘を取り囲みそろりそろりと槍を揃えて迫っていく、これを見て長尾山城は元気を吹き返して丘をかけて竹俣勢に再び切りかかり、そのたびに犠牲を出して竹俣勢は逃げる
四方八方を駆け巡って山城は敵を追いまくったが、その中から、竹俣の勇士、仲河久左衛門が一騎にて踏みとどまり、長尾山城に立ち向かった
その姿は虎が吠える如く、露ばかりの隙も無い、長尾山城は苛立ち、一槍にて決着せんと馬を走らせ中川の胸板めがけて穂先を突けば、仲河もまた正面から馬を走らせて突いて出る
先に長尾の槍が仲河の胸をめがけて繰り出せば、僅かに反れて逆に仲河は確かな手ごたえを感じた
仲河の槍は長尾山城の胸のまん真ん中に当たり、鉄壁も通れと満身の力で槍を繰り出せば山城の胸板を通り抜け首の骨を貫いた
長尾山城、一槍に貫かれてたまらず馬からどっと落ちて討ち死にとなる。

景虎は敵の大将を討ち取った仲河、菊池に太刀一振りずつを賜りける。




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