庭の花が少なくなって気分も滅入りそうな季節は、ボツボツと咲き始めた山茶花(椿かも?)の鮮やかな色にホッと気分が和んでくる
まずは、ご無沙汰をお詫び申します。
さて・・・母が存命中だった頃は、頻繁に、近くのスーパーへ買い出しに出かけていた。
その道すがらのお宅の庭先で、通りかかる人に手を振っているご高齢の女性の姿を、毎度、目にしていた。
少し認知症気味だったようだが、何となく我が母を見るようで(母も、妹宅の玄関脇に座って、通りかかる人と話をするのを日課としていた)、私も手を振り返したり、軽く会釈をしたりして通り過ぎた。
母が亡くなってからは、買い出しに出る回数も減って、手を振るその女性に出会う機会も少なくなり、ある時から、全く、見かけなくなったので、体調を崩して入院でもしたか、或いは,亡くなられたのかも知れないな・・・と、少し寂しく思っていた。
数日前の事、最近は、腰痛を意識してタクシーに乗る事が多くなったが、その日は時間に余裕もあったので徒歩で出かけたところ、なんとその家の前に、かの女性が立っていたのだ。
私は、小走りになって近づき、「お元気でした?またお目にかかれてヨカッタ!」と思わず声を掛けた。
「風邪を引かないよう気を付けて、お元気でね」というと彼女は、(多分、日焼けだろう)色よく焼けた顔をニコニコさせながら「ありがとうございます」と答えるのだった(理解したかどうかは不明だが・・・)。
ただこれだけの数分の遭遇であったが、私にとっては、妙な安堵感が私自身への「救いの神」のような気がするのだった。
ここ数週間、私の精神状態は最悪と言っても差し支えないくらい落ち込んでしまい、昼、夜とも、全く睡眠がとれない日々を送っていた。
そんな状況の中で、再び(三度?四度?いや、もっと多かった)巡り会えた彼女が、どういう形であれ、お元気そうであった事で、「あぁ、人間は逞しいものなのだ!」と見せ付けられたようであり、その笑顔が、幾重にも塞がった私の胸の中に、ポツンと小さな穴を開け、息苦しさから解き放たれて行くのを感じていた。
明日からは、前を向き、顔を上げて、一歩ずつ歩んで行くしかない、否、行くのみ・・・と、心を決めた。
あ、私ね・・・もう、今まで通りの日常です、立ち直り(居直りとも言うが)は得意技ですから、心配無用です。