時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

35年前の香港の匂い

2022-02-06 | essay

パソコンの向こう側から
何やら視線を感じると思ったら…
このヒトだった〜。

初海外、二十歳の冬の香港。
小さなお店で目が合って連れて帰った。
セカンドハンドだったのか新しいものだったのかもよくわからない。
パカッとお腹を開けると、クッション性のある綿みたいなものが敷いてあり容器になっている。

帰国後、これを見た父に「昔のアヘン入れじゃないか?」と云われたことを憶えている。
入れてある赤い石が香港で拾ったものかどうかは憶えていない。

旅行会社に入社した友達に誘われるままに急遽ツアーに参加した初めての海外旅行。何もかもが初めてだらけの旅だった。
飛行機に乗るのもこのときが初めてのこと。

あの頃の香港はまだ英国領。文化がMIXされたフシギな街だった。
目まぐるしいツアー。
憶えているのは、バスから眺めた九龍城の黒い塊。
タイガーバームガーデンの毳々しい彩り。
船上レストランの耀くネオン。
フィンガーボールの銀色。
間違えて乗った路線バスが行き着いた灰色一色のような暗い町並み。。。

想い起こすと、香港は「色」。

初めて食するものだらけだったはずの食べ物も、唯一印象に残っているのは白い朝粥の味わい深い美味しさ。。。

香港から海を渡ってわたしに連れて来られたユニークな表情のこのこはそれ以来もう35年もあちらこちらに神出鬼没。(置き場所を決めていないだけなんだが)

物にもひとつひとつドラマがある。
こうして、ひとつの置物人形が35年も経つ今、あのときの香港の匂いを想起させてくれたりもする。
おもしろいものだ。

「断捨離」流行りの昨今だが、困ったことにわたしには手離すものがほぼないのである。




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