無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

風の波紋

2016-05-25 | 2016日本語映画評


「風の波紋」 小林茂監督 ☓☓☓

 越後妻有地方の雪深い里山に移住した何組かの人々の生活を記録しました。
 古民家を修復し、荒れていた田んぼを借りて米を作りヤギを飼い四季の移ろいを楽しみながら暮らす小暮夫妻。草木染めで布を織る松本夫妻、茅葺きは仲間たちが集まって吹き替え、地震で歪んだ古民家はやはりみんなの力を借りて修繕しなければなりません。一人では生きていけない世界です。みんなで酒を飲んで歌を歌って気ままな生活も楽しそうです。しかし、冬になると4メートルもの雪がふり雪下ろしに追われます。人間の原点とも言える生活ですが、果たして次の世代に引き継がれるのでしょうか・・・。
 名作「タイマグラばあちゃん」のような感動が全く無いのはどうしてなのでしょう。やはり厳しい自然の中で生涯を生活していた人々の蓄積された「知恵」や「哲学」が全く無いからではないでしょうか。地域への愛もほとんど感じられませんでした。都会から移住して趣味で田植えをしているような人からは何も学ぶものはありません。まあお好きにやってください。あきればきっとまた別の所に移住するのでしょう。「人生の楽園」映画版ですね。
 タバコは、木暮さんがどこでも喫煙していました。集まりで他に誰も喫煙者がいなくても、他所の家でも、自分の家の修理に来てくれたボランティアたちの前でも、ヤギのそばでも全く平気で喫煙していました。エコロジストと言うよりはエゴイストです。(☓☓☓)


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ヒロシマ、そしてフクシマ

2016-05-25 | 2016日本語映画評


「ヒロシマ、そしてフクシマ」 マーク プティジャン監督 日仏 ◯ ☆

 原爆投下時軍医だった肥田舜太郎医師がその後原爆症で苦しむ人々に寄り添います。主に内部被曝の恐ろしさとそれに負けず生きていくよう患者をはげます姿を追ったドキュメンタリーです。
 フランスで原爆の記録映画を見たことがきっかけとなり日本で肥田医師の医療活動を映像におさめているフランス人監督のフィルムの中から2005年の頃とフクシマの後、内部被曝について96歳の今も講演活動をしている映像が映し出されます。「国が安全と言っても、その安全は“原発を稼働させるための安全”の意味で国民の安全の意味ではない。」と言い切る肥田医師の言葉は1945年8月6日以来ずっと研究をしてきた知識と経験の裏付けがあり重みのある言葉です。一方、被爆者の集まりでのパーティーではお酒もたしなみ東京音頭も踊ってしまうという楽しい性格でもあります。
 タバコは、なし。無煙です。御用学者の言っていることは権力に都合のいい嘘ばかりだということは、タバコについても同じことが言えますね。


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友だちのパパが好き

2016-05-25 | 2016日本語映画評


「友だちのパパが好き」 R15+ 山内ケンジ監督 ☓

 テレビ広告だけでなく演劇の演出製作などでも活躍する監督が、毒とおかしみを混在させた独特の世界観を描いているそうです。
 高校を卒業したマヤ(安藤輪子)は親友の妙子(岸井ゆきの)のパパ恭介(吹越満)を好きになり積極的に行動します。実は妙子の両親は恭介が長いこと付き合っていた別の女がいて離婚の話が進んでいました。一方マヤには教師の愛人がいて、マヤが恭介に突き進むほどに微妙なバランスが次第に崩れていくのでした。
 この作品を見た後の感想を一言で言えば「この国は平和だ」です。ラストが悲劇になるならそれなりの意味を持つかもしれませんが完全な喜劇になってしまい、「お好きにどうぞ」といった程度です。人間関係は混沌としていますが、恭介の経済力で娘の学費や仕送りに加え、離婚後の生活費などその辺りには全く触れられず、ファンタジーにしては生々しい登場人物もいて中途半端です。
 タバコは、娘の妙子が冒頭恋人と裸になっている場面で「高いタバコ」を口にします。恋人の男性が「やめろよ。」と取り上げると、「俺も来年ヤメる。」このやりとりも何だか訳の分からない場面です。タバコの宣伝をしている一方で禁煙を口にさせる、一体どっちなの?


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最愛の子

2016-05-25 | 2016外国語映画評


「最愛の子」 ピーター チャン監督 中国香港 △

 中国で実際に起きた誘拐事件をきっかけに、年間20万人の子どもが行方不明になっている現実を描き社会に問題提起し、刑法改正を実現させました。
 深淵の街中で3歳のポンが連れ去られます。離婚していた母親は父親を責めます。父親は必死で情報を集め、詐欺にあいそうになったりと、まさに命がけで探します。二人は同じように子どもをさらわれている夫婦の集まりに参加します。そして3年後遠く離れた農村でポンを発見し連れ帰ります。しかし、ポンは両親を忘れジーガンという名で育ての親を本当の親だと信じていたのです。一方、いきなりジーガンを奪われた母親は納得できず深淵に出てきて法律事務所に相談するのでした。
 誘拐の被害者と加害者という枠を超えて「子どもを愛する親の気持ち」を問いかける作品です。個人的には感情論よりも、事件の背後にある社会通念、子どもがいないことへの不利益や男子優先の現実、などをもっと告発する脚本の方が説得力があったのではないかと思います。すばらしい演技の競演だっただけにちょっともったいない気がしました。
 タバコは。深淵での出稼ぎ労働者が何人か喫煙していました。(△)

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