「マルクス・エンゲルス」 ラウル ペック監督 仏独ベルギー合作 ☓☓☓☓☓
1840年代のヨーロッパで産業革命後に生じた社会格差の中、「科学的社会主義」を啓蒙しようとする若き日のマルクスとその理解者でともに仕事をしていたエンゲルスを描きます。
貴族出身の妻(ビッキー クリープス)と暮らすマルクスは貧しさが蔓延していく社会の変化に苛立ち過激な原稿を発表し、ドイツから追放されます。一方、イギリスで紡績工場の社長代理をしているエンゲルスは社長の父親が労働者を奴隷のように扱うことに違和感を感じていました。その後、ふたりはパリで出会います。そしてお互いの思想を深めていくのでした。
冒頭の森の中で薪拾いをする人々が、「落ちている木も所有者のものである。」という理屈で騎馬隊に追われて鞭打たれる場面が強烈です。「所有とは?」を問いかける印象的な導入です。
同様に19世紀の不平等が現在まで続いているというエンディングも強烈です。
タバコは、この時代から社会格差同様タバコの依存症が始まったようでふたりともほとんどチェーンスモーカーのように葉巻を吸っていました。「安い葉巻より高級な葉巻の方がうまい」などのタバコネタもありました。(☓☓☓☓)また、ラスト近くでは妻も紙巻タバコを吸っていました。(☓)マルクスとエンゲルスの映画がグローバル企業のタバコ会社の宣伝に使われているというのが皮肉です。