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「つつんで、ひらいて」 広瀬奈々子監督 ☓ ☆
1万5千冊の文芸書の装丁を手掛けた菊地信義を追ったドキュメンタリー映画です。
冒頭で、主人公が真面目な顔で紙をクシャクシャに丸めまた伸ばしを繰り返します。一体何をしているのかと思いますが、思わぬ効果を出します。このように菊地は装丁に使う文字の形や大きさをハサミや定規を使ってすべて自身の手作業で形作ります。次に監督が見せるのは全自動で一枚の紙から機械を一周するとなんと素晴らしい本が仕上がっているという、技術の凄さです。そして、菊地の周辺に戻り、こだわりの色を出す印刷の技術者、菊地の要求に応えようと製本を工夫する職人たちの姿が描かれます。
「お仕事映画」は好きな分野ですが、「舟を編む」で辞書に適した紙をあれこれ手配する紙の職人を演じた宇野祥平を見て彼のファンになりましたが、今作では、本物の本づくりの職人さんがいろいろ紹介され、ワクワクしてしまいました。今までは装丁に凝った本も「きれいだな」程度でしたが、この映画を見たあとは次々本を手にして装丁を楽しんでしまいました。
本屋さんめぐりが楽しいのはきっと装丁を楽しんでいるのですね。
数年前から本は借りるのではなく本を買うことにしていて、その上捨てなくて意外な楽しみ方ができよかったです。広瀬監督ありがとう!(☆)
タバコは、菊地さんに装丁をしてもらっている作家の一人がパイプを口にしました。(☓)