海外危機管理―いざというときこの備え | |
クリエーター情報なし | |
税務経理協会 |
先日、中小企業基盤整備機構のセミナーに参加した。もちろん無料である。「中小企業の海外展開にと伴うビジネス展開リスクと安全管理」「海外危機管理」の2本である。特に後半の方が面白かった。講師は警察のOBの方である。海外におけるテロ、誘拐など日本人が巻き込まれた事件について詳細に解説された。
殺人事件は、人口換算すると、アメリカは日本の何と5.7倍、レイプは28.8倍、強盗事件は39.6倍である。なんと日本は安全な国か。誘拐は、世界で毎年3万人以上。7割が身代金を支払い開放されている。誘拐ビジネスになっている。そして殺されるのは10%。誘拐の日本人の被害は世界中で、毎年数件発生している。そして何人もが殺されている。
資料説明の後、シミュレーション訓練があった。ある状況が設定され、この場であなたなら、また本国の会社ではどういう行動を取ればいいか、という訓練である。フィリピンで会社社長が朝、後ろの車に追突され、車から出ると、誘拐された。この状況で誘拐を防げなかったか、検討する。
フィリピンでは、誘拐の85%は、朝の公道で起きている。対策は、経路を変えるなどして犯人グループのターゲットリストからはずれること。犯人グループは50人以上おり、ビジネスに失敗は許されないため、丹念に事前調査をしている。いつも同じ時間に同じ場所を通るのなら襲いやすい。日本人は金持ちだから格好のターゲットリストに載る。
この後、車をぶつけれらたらどういう行動をすべきだったか、誘拐の連絡を受けた家人や現地の会社では何をすべきかなど、次々と質問が来る。途中時間キレとなり終了。
このような訓練は全く初めての経験だ。海外での誘拐対応など考えたこともなかった。海外進出には日本と違う、リスク管理が必要である。