こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから (文春文庫) | |
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文藝春秋 |
フェイスブックにこの本を読んで方がいて、私もamazonで取り寄せて読んでみた。産業医さんの書かれた本である。過労現場の例、部下を追い詰める上司たち、部下がつまずく要素、世代間にわたるズレ、倒れそうな部下をどう救う?過労はいかにして体を蝕むかなど。最後の方は産業医さんの医学的な話になる。
私は、最初の過労現場の例が気にかかる。4名ほど実例が書かれており、1名が職位の高い幹部職だが、残りの3名は比較的若い従業員である。うち2名が過労死している。自殺ではない、過労死だ。
一例目は、入社2か月目の中古車情報誌の編集アルバイト。教育もサポートもない。猛烈に忙しく、わからないだらけだが、ちゃんとやれという。上司は、一言も告げずに新婚旅行へ行ってしまった。虚血性心疾患で死亡。
二つ目は、製造業の深夜勤務の食事を出す調理師。同僚の親の死目に交代があっただけで、あとは休めない。休養が取れないで、急性肺炎死。ミーティングで同僚が勤務交代のことで、苦情を言うと、職長は、「お前、誰に向かってモノ言ってる?」これで同僚は職場を去った。
三つ目は、発注・配達・配送の事務処理業務の女性。係長の発注ミスを本人に押し付けられる。そのクレーム対応も入ってくる。何の教育もなく、失敗の責任だけを押し付けてくる。うつ病になり、休職。彼女だけは死んでいない。転職で助かった。
このような実例を読んでつくづく思う。上司はなぜ、「教育」という最低のことやらないのか、部下の「サポート」もしないのか。自分の失敗を簡単に部下に押し付けてしまう。上司の責任なのだが、全く本人は感じていない。機械のように部下を使い、できなれれば、部下のせいにする。実際このような上司が世の中にゴマンといるだろう。
世の経営者さんよ、「部下への教育とサポート」は、上司の責任なんだよ。わかってるか!!ということで、企業管理者研修で、これをしっかり教育するのが私の仕事である。