kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

中国合宿最終日~力を出し切る~

2011-03-29 | 陸上競技
月曜日、合宿最終日でした。色々と思うことがあって日曜日はほとんど眠ることができませんでした。合宿中だというのはもちろん分かっています。私は人と人とのつながりを大切にしたいとずっと思っています。他者を傷つけたりするのは嫌です。私が他者から批難されたり、否定されたりするのは私が我慢すれば済むことです。私の「想い」は書きません。

練習は短時間でしかできません。そのため細かい技術練習は避けました。本当はしっかりとやる方が良いのかもしれませんが、これだけ意欲的な選手が集まっているので互いにライバル心むき出しの練習をさせたいと思いました。その前に全体を集めて話をしました。
私が思ったこと、感じたことを素直に伝えました。かなり嫌な事があった。上手くは言えないが本当にテンションが下がった。しかし、この合宿では本当に全員が一生懸命にやってくれる。強くなりたいという「想い」が伝わってくる。みんなのお陰で「指導をしたい」と思える。本当にありがたい。以前、中国合宿を指導させてもらった事があるが中には手を抜いてしまう選手がたくさんいた。これだけ意識の高いメンバーが集まって練習ができて本当に嬉しい。素直にそう思いました。
だからこそ最後の練習は自分の持っている力を全て出し切る練習にしてもらいたい。力を出し切ることが必ず次のステップにつながると感じたので。メニューは250m+150m+120m。最近の短長メニューです。これは最初の250mを後先考えずに全力で走れないと意味がありません。最後に力を残すような走りは見たくありませんから。女子は基本的に守りに入ります。全ての力を使い果たしてしまうのを本能的に避けてしまうからです。そこを乗り越えるのは本人の「強くなりたい」という「想い」です。「想い」が肉体を越えることができれば怖がらずに力を使い果たすことができます。そこからの150mと120mに大きな意味があるのです。このメンバーなら必ず出来ると思いました。技術的な部分は前半2日間で伝えてきました。後半の2日間は今持っている「想い」を更に強くしてもらいたいと。本当に良い表情で話を聞いていました。これなら最初から走れるという確信を獲ることができました。

スタート前にもう一度、ライバル達の存在を意識させました。6月にはこの山口でインターハイを賭けた勝負をします。その時に「この人には勝てない」と思わせることができるかどうかが。勝てなくても離れずに付いていって粘ることで相手に嫌な印象を持たせることができる。それができる最後のチャンスです。絶対に勝つんだという気持ちで走ってもらいたいと伝えました。
実際の練習は本当に良く走ってくれました。誰一人として怖がることなく、スピードをゆるめることなく全力で最初から走りました。疲労もあったでしょう。それでも先の事を考えずに一生懸命に走りました。見ていて心動かされる走りでしたね。1セット終わった後に全員が倒れ込んでいました。倒れたから良い練習だとは思いません。周りの雰囲気で倒れ込む女子選手はかなりいますから。しかし、今回は最後までスピードをゆるめずに走った結果倒れ込んでいました。力を使い果たす練習ができていると感じました。
そこで止めずにもう1セット。スピードレベルが近い者を集めました。これにより更に競争意識が高まりました。本当に強いなと感じさせる走りをしていました。女子でここまで力を使えるのであれば絶対に強くなります。本当に面白いですね。

疲れ果てているというのは分かっていましたが最後に補強をしました。今度は全体で出来るような補強を。ライバルの存在と支え合いながらやっていくことで次につながる練習の終わり方が出来ると思ったので。キツくても大きな声を出し、明るい雰囲気で練習をする事で最後まで手を抜かず取り組める。雰囲気作りができれば必ず良い練習ができます。他のパートから注目を浴びるくらいの声を出して終わろうと話しましたが、本当に大きな声を出して取り組んでいました。

最後に感謝の言葉を伝えました。一生懸命取り組んでくれる姿を見て私自身、もっとしっかりと指導をしないといけないなと感じさせてもらいました。今から3ヶ月後には中国大会があります。あっという間です。与えられた時間は限られています。その時間をどう使うかは本人達の意識次第。技術的なモノを修正しなければいけないと感じたら必死に意識して取り組むしかありません。やるのは全て自分自身です。身体作りも一緒。自分がやっていけば必ず強くなる。3ヶ月後、どんな自分になっているかです。
今回のメンバーの中から間違いなくインターハイ選手が出ます。ランキング1番はこの合宿には来ていません。限られた枠を争うのです。練習をしていて苦しくなったら「あの人はもっとやっているかもしれない」と思って努力してもらいたい。それができるライバルがいます。負けたくないならやるしかありません。この子達の表情を見ているときっと強くなるんだろうなと感じました。全員がこの山口に来て最高の走りをしてもらいたいと最後に伝えました。

合宿でここまでの踏み入った話をするのが相応しいかどうかは分かりません。避難を受ける部分があるかもしれません。しかし、この合宿がきっかけで「心」が更に成長して強くなる可能性があると思いました。それだけ高い意識で練習が出来たからです。技術的な部分もある程度は指導できましたが、もうワンランク上の取り組みにするきっかけを与えることが出来たのではないかと思います。これから3ヶ月、指導してくださる先生の指導を信じて一生懸命に取り組んでもらいたいと最後に伝えて終わりました。

私自身、かなり刺激を受けました。こういう気持ちにさせてくれた合宿参加選手に感謝したいと思います。ありがとう。テンションが上がらない部分は残りますが自分にできることを精一杯、全力でやっていきたいと思います。感謝。
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中国合宿3日目~分割走と150mリレー~

2011-03-29 | 陸上競技
日曜日、中国合宿3日目。かなり暖かくなりました。この日はメイン競技場での練習でした。担当している女子400mHの練習は前日までの流れを実際のレース展開の中で身に付ける内容にしました。トライアル形式でやることには意味がないと感じています。タイムが云々ではなく流れをつかむための練習が必要になります。

400mHのための分割走をしました。これは1人でやるよりも複数で走る方が良いと思っています。自分のペースではなく他の選手と一緒に走る事で近くにいる選手の呼吸を感じながら走ることに意味があります。実際の走りの中でつかむものがあります。他のパートのコーチと打ち合わせをして真ん中の3つのレーンを使わせてもらえることになりました。アウト3レーンを希望していたのですが100mHと被ってしまうので真ん中のレーンにしました。午後からは他のパートに譲るという約束で。真ん中のレーンを走れる機会というのは滅多にありません。それも中国大会の実施されるメイン競技場です。貴重な経験だと思います。

技術的な指導というよりは実際に走って戦術的な練習にしました。400mを3つに分けてそれぞれの区間でどのような走りを意識するかを考えさせました。この形でやると実力に差があっても最後まで競り合うことが出来ます。競り合いの中で歩数の切り替えを意識する事ができます。単独練習とは異なり他の者のリズムに影響されてしまいます。特に疲れてきてからのリズムは焦りのため大きく変わってきます。それを経験させることは大きいですね。

スタートは他の人に出してもらって大切なポイントに立って指示を出しました。実際に走っている場面で何かを言っても伝わらないと思ったので、分割して次の区間で意識する事を細かく指示しました。走りのリズムが変わるところで自分でリズムを変えてやることが必要です。スタートを出したり、タイムを計ることよりも実際に役立つアドバイスをする方が良いかなと。実際の走りを見ることが出来ますし。

前日に5~6台目の区間をかなり練習をしています。前半からの動きの切り替えをどう持っていくかです。歩数の増加を自分の意識で行うことが実際のレースに生きてきます。4台目まででかなりの力を使っていますから少し休息を置くことで意識しやすくなります。また、ラストの3つの区間の前にレストを置くことで最後のピッチの維持を意識できます。実際に400mHを何度も走るのは難しいですがこの形であれば可能になります。

実際にハードルを跳びながらの練習ですから絶対にスピードをゆるめることができません。負荷は自然に高くなります。練習の最初に「6月にはこの競技場でインターハイを賭けて勝負になる。一緒に走る相手はライバルで負けたらインターハイは無い」と話をしました。仲良くなってきたのは良いですが数少ないインターハイの出場枠を賭けて戦わないといけないのです。競り合いの中で「絶対に勝つ」という気持ちを持って練習に臨んでもらいたかったので、技術的な部分に合わせてメンタル的な話をしました。

この話を感じてくれたのか全員がきちんとした練習をしてくれました。通常この手の練習をすると走るだけになってしまう選手がいます。キツいですから。今までやってきた合宿の指導で最も意識が高いメンバーが揃っていると感じました。特にラストの3台は手を抜こうと思えば出来る区間です。自分で強くなろうと思わなければハードルを跳び終わってからスピードをゆるめることが出来ますから。しかし、誰一人として手を抜きませんでした。だからこそこちらも伝えられる事は全て伝えたいという気持ちになりました。ここ最近は無かった事です。指導をしている私自身が本気になれる。面白くてたまりません(笑)。

トラック状況から判断して歩数の切り替えをしていかなければいけません。特に山口のメイン競技場はバックストレートが向かっていました。無理をして走ると後半大変なことになります。その辺りも途中途中で話をしましたし、余裕を持っての切り替えを意識することで勝負できるという指示もできました。戦術的な話です。良い練習ができたと思います。

午後からは走らせるかどうか悩んでいました。かなり走っていますからダメージが大きいのではないかと。通常の合宿練習であれば何となく楽をしている選手がいるのでしっかりと走らせたい所ですが、今回は絶対に負荷が上がっています。その中で走ると怖いなと感じていました。走れないかもしれないと思って広島県の選手に聞いてみると「走れます!」という返事が。いやー本当に強くなりたいんだなと感じました。そこで150mを使って高いスピードでのリレーをしました。エンドレスリレーは嫌いです。選手にも言いましたが「ゆっくり走る」だけではなくしっかりと走る事が大切だと思います。リズムが変わってしまうから実際の走りには生きてきません。150mでは高いスピードを維持できますし、リレーをすることで絶対に手を抜くことが出来なくなります。
疲れはあると思いますが全員が高いスピードを出して走ることが出来ました。本数は少し抑えましたが走り終わったあと「ケツ割れした~」と言ってましたから、高いスピードで乳酸をためることが出来たのが分かります。こういう練習をすると本当に選手の意識レベルが分かります。良い選手達です。話を聞くときの表情と眼が良いですね。

最後は補強をやりましたが、本当に真面目に取り組みます。強くなりたいというのがこちら側に伝わってきます。何とかしてあげたいなという気持ちになります。これまでの合宿では少なからず適当にやる選手がいました。見えないところで手を抜くタイプがいます。しかし、今回は全員一生懸命に取り組みます。こういう環境で取り組めるというのは指導者として幸せです。キツい事でも元気を出して、声を出してしっかりと取り組んでくれました。自分のチームがここまでの水準でできたらなと感じました。本当に良い練習が出来たと思います。メニュー云々ではなく、選手が強くなりたいというのが伝わってくる練習でした。

その後本当に考えさせられる事が重なりました。一気にテンションが下がる感じでした。「恩」と「感謝」を大切にしてきたつもりです。これに関しては書きません。数年前に感じた最悪の気分が思い出されました。本当に残念です。合宿メンバーとのギャップ…。やるしかありません。
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中国合宿2日目~ハードル練習と250m~

2011-03-29 | 陸上競技
土曜日、合宿2日目。朝から雨でした。風も強く3月末とは思えないくらい寒かったですね。この日はサブトラックでの練習でしたから雨避けが全くありません。かなり強い雨だったので間違いなく濡れてしまいます。一日練習をしたいので服や靴が濡れないようにしなければいけません。寒さもあったので体調を崩してしまう危険性があります。まだ2日目ですからかなり気を使いました。

武道場が押さえてあるということだったのでしばらくその中で身体を動かすことにしました。身体をコントロールするような練習を多くやりました。なぜそのような事をするかを説明しながらです。ハードルを跳ぶという行為をどう捉えるか。見た目の動きだけでなくどう走りにつなげていくかが重要になります。基本的な事が終わってもまだ雨が止みません。仕方ないので室内でパイプ椅子を使ってハードルドリルをしました。前日にやった動きと同じことを繰り返し。工夫すればどこでも練習が出来るということを改めて感じました。さすがに真ん中を跳ぶのは怖かったのでやめておきましたが。

その辺りで雨が小雨になったので外でやることにしました。場所があまりなかったので一歩ハードルからコーナーで実施。400mHの特徴であるカーブのハードリングについて説明しました。私は専門は400mHだと思っています。これに関しては誰からも指導を受けていません。ほぼ我流です。カーブのハードルで重要なことはハードルアプローチとアームの使い方です。遠心力に負けないようにしないと外に振られてしまいます。普通に走るのとは違って空中に浮いている時間が長くなりますから外側に振られてバランスを崩す。この部分だけでも変わってきます。考えたら見えてくる部分です。

カーブのハードリングをしばらくやってから今度は1台目の入り。ここがレースの流れを決める大きな部分となります。ほとんどの選手がここが上手くいきません。調整方法を教えてから何度か繰り返させました。実際のレースの前にきちんと修正できないと戦うことはできませんから。400mHは技術的な部分もありますが、戦略・戦術的な部分が大きく影響します。対処方法を知っているだけで全く違ってきます。当たり前の事ですが以外と知られていない部分があります。
最初は1人で確認をしました。1人でやると上手くできます。他の者と一緒に走らせるとリズムが狂います。相手を意識するからです。自分の走りが出来ないのが実際のレーンでは出てきます。ここをどうしていくかは話しましたがなかなか体験できないので良い機会ですね。そのままの流れで3台目までいきました。調整が難しいですが意識すると出来るようになります。結構走りました。

午後は歩数の切り替えの練習。400mHの特徴の1つにインターバルの歩数の変化があります。ショートハードルでは3歩と決められた歩数で走りますが400mHは疲労と共に歩数が増えていきます。高い身体能力や調整力があれば何も意識しなくてもスムーズに脚を切り替えられます。が普通の選手は上手くできません。ここの対処方法を知っていると減速が最小限に抑えられます。400mHの減速が一番大きいのは5台目から6台目だと思っています。理由は明確です。この部分を改善するためには色々と方法があります。ストライドの調整をするために身体で覚えさせる必要があります。逆足が使えずに一気に2歩増える選手がいますがこのようなパターンは一気に動きを変えなければいけないので大変です。午後はここにほとんどの時間を使いました。スティックを使いそのままの流れで実際のハードルを跳ぶ。4台目から入って6台目までをかなりの本数走りました。距離として100m近く走っていますし、スピードをゆるめると歩数が難しくなってきます。基本的にはレースと同じスピードが必要になりますからきついと思いますね。本数を重ねるうちになんとかリズムを覚える
ことができました。直前で歩数を合わせるような走りでは困ります。ハードルから目を切らないことで距離感をつかみやすくなりますからその辺りもしつこく話しました。4~7台目までも数本やって終了。
ハードルが終わってから60mを数本走りました。もう一度リズムアップして高いスピードを出させるためです。これで終わりでも良かったのですが、翌日にレースイメージの練習をしようと考えていたので最後に250m+100mを行いました。実際の県総体や中国大会では400mHだけをフレッシュな状態で走るのは難しい。だからこそ前の日にしっかりと走って負荷をかけておく必要があります。自分が持っている力を使い果たすようなハイスピードの練習をすることが強くなるために大切です。この辺りの事を話してしっかりと走らせました。4人1組で走らせて競争意識を持たせました。中国大会までのランク付けです。こういう練習で「勝てないかもしれない」と思わせれば実際のレースも有利に運びます。そこも意識させましたが、全員が力を使い果たすまでしっかりと走ってくれました。怖がらずに。良い選手達だなと強く感じました。

本人達の気持ちに応えていける指導をしたいと強く思いました。良い1日でした。
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