この大会の最大の目標、それは4継での優勝。うちの選手の強い望みでした。もちろん私も。そのためには全員が万全の状態で迎える必要がある。しかし、ここに到達するまでにそれは果たせませんでした。一人足の痛みを訴えていて走れるかどうかわからない状態。それでもキャプテンの強い希望で走順もメンバーも変更せず。賭けです。ひょっとしたら上手くいかないかもしれない。それでもメンバーを変えたくない。一年前からメンバーも走順も変えずにこの日のためにやって来ました。ここに賭けることにしました。
予選、小さなエースの走りが抜群です。アップの時から「走れている」と言っていました。一走もまずまずの走りをしましたがそれでも小さなエースの走りには追いつけません。これによりバトンが流れる。危うく失格してしまうところでした。さらに3走が全く走れていません。大きなエースにつなぐのが精一杯。普通のタイミングで出ても追いつけない。こちらも本当にギリギリの所でのバトンでした。48秒66のチームベスト。とはいえ本当に失格してしまうのではないかという感じがありました。周りからは「予選から攻めるね」と言われましたがそんなつもりは全くありません。両エースが抜群に走れているのに反比例して2年生が走れていないのです。そのことがバトンのギリギリ感につながっています。
準決勝、アップは最小限にしたのですがバトンはそれぞれ足長を詰めました。渡らないというのは絶対に避けないといけませんから。いつもですが4継では準決勝でかなり記録が出ます。48秒前半を狙っていました。選手に話をするとキャプテンは「え?私達47秒台を狙っているですけど(笑)」とあっさり言われてしまいました。周りから見ると危険なバトンなのですが本人達は修正できるという感覚が強くあったのだと思います。もちろん最新の注意を払いながら。
レースでは一走が全く走りません。前を行くチームを詰めることができない。小さなエースにつながるのもギリギリ。かなり後ろの方でした。ここから劇的なスピードで走ってくれてなんとか挽回。が、またも3走があまり走れていません。なんとか間に合っただけの最低限の走り。覚悟はしていましたが走れていません。アンカーに渡るのはギリギリ。本当に危うかったですが48秒78でフィニッシュ。記録を上げるどころか危うさを残すレースと鳴りました。
二日目のアップ。バトンの調整に関してはかなり詰めました。絶対に渡さなければいけない。更に勝ちたい。この二つの中での葛藤がありました。朝のアップの最後に一本刺激を入れました。大きなエース、一年生と一緒に走りました。これは大きなエースの指示でやりました。それも120mで10m近くハンデをつけてです。実は事前に大きなエースには話をしていました。「アンカーまでは確実に遅れてくる。最後、何とかして欲しい」と。そのことが頭にあったのでそこを想定して前を全力で追うという練習を設定したのです。
決勝。昨年のことがあるので本人達もピリピリしていたと思います。が、キャプテンは一走と別れる時に「頑張ろう」ではなくて明るく「また後でねー」と笑顔で言っていました。本当にすごい成長だと思います。この緊迫した状態で笑顔で楽しんでいる。このリレーにかける気持ちは誰よりも強いのにこの笑顔。キャプテンの存在がチームを支えている。この子のおかげてチームが強くなっていると感じました。これはいける!という手応えも感じました。
実際のレースは内側からライバル校に追われる形。これは分かり切っていました。一走でかなり詰められましたが小さなエースが素晴らしい走りで詰められた差を広げる。本当に素晴らしい走りでした。それでも少しライバル校に遅れています。3走は我慢の走りをするしかない状態。一気に差をつけられました。ここは覚悟していました。アンカーに渡った時には10m近く離されていたのではないかと思います。そこから大きなエースが全力で追う。まさに朝のアップでやった練習と同じ。イメージ通りの展開です。大きな差でしたが最後にかわして48秒61のチームベストで初優勝。かなり興奮しました。バトンは詰めているので大きな問題なく渡ったと思います。もちろんタイム的には全く満足できません。それでも「勝つ」ことができた。そこが今のチームにとっては本当に大きなことだと思います。
メンバーが集まった時、キャプテンが涙を流していました。先ほどの笑顔とは真反対です。嬉し泣きなのか安堵の涙なのか分かりませんでした。ここは私から聞く必要はないと判断。選手同士でこの感覚を共感できれば良いと。この日、れーが終わって新聞社の取材を受けていました。翌日この記事を読んで涙の意味を推測しました。これは私が感じた事なので全く違うかもしれません。
この記事の中に「二年連続決勝での失敗を乗り越えての悲願達成」と書かれています。この事を誰が話したのか?わざわざ新聞記者が調べているはずはありません。この事を伝えたのは小さなエースだと思います。1年生の時には3-4走の所でバトンが流れて大幅減速。0.02秒差で負けてしまい、リレーでの中国大会連続出場が途切れてしまいました。更に昨年は1-2走の所での雨でバトンが滑って渡らずフィニッシュできませんでした。実はこの2つに関わっているのは小さなエースでした。この子の中で「県総体の4継」はチーム内の誰よりも私よりももっともっと大きな意味のあるものだったのではないかと思います。我々が思う以上に自分自身を責めていた部分があったのではないかと思います。この記事を読んで前日の涙の事を思い出して私は涙が止まりませんでした。この子は笑顔の裏にものすごい想いを背負っていたんだと思います。普段は出しませんが実はすごいプレッシャーと戦っていた。私達がもっとサポートしてあげられなければいけなかったのだと思います。キャプテンとしてその想いをおもてに出せず抱えていた。本当に辛かったと思います。わたしはその涙のを「安堵の涙」だと感じました。勝手な推測かもしれませんが。
他の誰よりもリレーな対する想いが強い。2年生が不安に包まれている時、「私が何とかするから普通に走って来て」と言っていました。それを実行する。本当に頼もしい存在です。大きなエースもこの子の存在があったからこそ自分の走りを取り戻せたと思います。小さなエースもアンカーに任せたら何とかしてくれるという信頼があったと思います。「心」がつながったリレーでした。この子達と一秒でも長く上を目指して競技をしたいと強く感じました。
逆に課題も。昨年のベストは48秒84です。今年は48秒61。たった0.2秒しか短縮できていません。理由は簡単。2年生の走りが物足りないのです。厳しい言い方かもしれませんが2年生がタイムを上げれていないのが伸びていない最大の理由です。ここ最近の走りができれば最低でもあと0.6秒は短縮できます。3走は本当に最低限の走りしかできていません。この子だけで0.5秒は短縮出来るのではないかと思っています。このグランドに立てるかどうかの状態でスタートラインに立たなければいけなかったというのは大きな問題です。責めるつもりはありません。大きな期待をしているのです。インターハイへの鍵は2年生が握っているのです。
総体の一週間前に22キロの山道遠足はこちらが思っている以上に選手にダメージとなったと思います。一走は無駄に走ったりしていましたからかなり疲労しているはずです。3走も歩くのも辛そうな状態でした。そこから何もしないでいるからやはり足へのダメージとなって現れる。ここの部分は「甘さ」があったと思います。万全ではない状態で総体を迎えることになったというのは本当に残念です。とにかく疲れを抜いて最大限のことをやっていかなければいけないと思います。遠足が原因の一つであることは間違いないですが、そこに対する対策の甘さが本人達の中にあったのが最大の原因だと思います。
勝負の中国大会まで何ができるか?ここができれば県記録に近づけると思っています。収穫も課題もあります。しかし、この中で勝ってくれた選手を誇らしく思います。この子達と出会えて一緒に練習ができることを本当に幸せだと思います。一秒でも長くこの時間が続けばと思っています。出来ることは全てやる。それがこれから先の競技に結びついていくと考えています。この子達との出会いを心から感謝したいと思います。
また書きます。本当にありがとう!!
予選、小さなエースの走りが抜群です。アップの時から「走れている」と言っていました。一走もまずまずの走りをしましたがそれでも小さなエースの走りには追いつけません。これによりバトンが流れる。危うく失格してしまうところでした。さらに3走が全く走れていません。大きなエースにつなぐのが精一杯。普通のタイミングで出ても追いつけない。こちらも本当にギリギリの所でのバトンでした。48秒66のチームベスト。とはいえ本当に失格してしまうのではないかという感じがありました。周りからは「予選から攻めるね」と言われましたがそんなつもりは全くありません。両エースが抜群に走れているのに反比例して2年生が走れていないのです。そのことがバトンのギリギリ感につながっています。
準決勝、アップは最小限にしたのですがバトンはそれぞれ足長を詰めました。渡らないというのは絶対に避けないといけませんから。いつもですが4継では準決勝でかなり記録が出ます。48秒前半を狙っていました。選手に話をするとキャプテンは「え?私達47秒台を狙っているですけど(笑)」とあっさり言われてしまいました。周りから見ると危険なバトンなのですが本人達は修正できるという感覚が強くあったのだと思います。もちろん最新の注意を払いながら。
レースでは一走が全く走りません。前を行くチームを詰めることができない。小さなエースにつながるのもギリギリ。かなり後ろの方でした。ここから劇的なスピードで走ってくれてなんとか挽回。が、またも3走があまり走れていません。なんとか間に合っただけの最低限の走り。覚悟はしていましたが走れていません。アンカーに渡るのはギリギリ。本当に危うかったですが48秒78でフィニッシュ。記録を上げるどころか危うさを残すレースと鳴りました。
二日目のアップ。バトンの調整に関してはかなり詰めました。絶対に渡さなければいけない。更に勝ちたい。この二つの中での葛藤がありました。朝のアップの最後に一本刺激を入れました。大きなエース、一年生と一緒に走りました。これは大きなエースの指示でやりました。それも120mで10m近くハンデをつけてです。実は事前に大きなエースには話をしていました。「アンカーまでは確実に遅れてくる。最後、何とかして欲しい」と。そのことが頭にあったのでそこを想定して前を全力で追うという練習を設定したのです。
決勝。昨年のことがあるので本人達もピリピリしていたと思います。が、キャプテンは一走と別れる時に「頑張ろう」ではなくて明るく「また後でねー」と笑顔で言っていました。本当にすごい成長だと思います。この緊迫した状態で笑顔で楽しんでいる。このリレーにかける気持ちは誰よりも強いのにこの笑顔。キャプテンの存在がチームを支えている。この子のおかげてチームが強くなっていると感じました。これはいける!という手応えも感じました。
実際のレースは内側からライバル校に追われる形。これは分かり切っていました。一走でかなり詰められましたが小さなエースが素晴らしい走りで詰められた差を広げる。本当に素晴らしい走りでした。それでも少しライバル校に遅れています。3走は我慢の走りをするしかない状態。一気に差をつけられました。ここは覚悟していました。アンカーに渡った時には10m近く離されていたのではないかと思います。そこから大きなエースが全力で追う。まさに朝のアップでやった練習と同じ。イメージ通りの展開です。大きな差でしたが最後にかわして48秒61のチームベストで初優勝。かなり興奮しました。バトンは詰めているので大きな問題なく渡ったと思います。もちろんタイム的には全く満足できません。それでも「勝つ」ことができた。そこが今のチームにとっては本当に大きなことだと思います。
メンバーが集まった時、キャプテンが涙を流していました。先ほどの笑顔とは真反対です。嬉し泣きなのか安堵の涙なのか分かりませんでした。ここは私から聞く必要はないと判断。選手同士でこの感覚を共感できれば良いと。この日、れーが終わって新聞社の取材を受けていました。翌日この記事を読んで涙の意味を推測しました。これは私が感じた事なので全く違うかもしれません。
この記事の中に「二年連続決勝での失敗を乗り越えての悲願達成」と書かれています。この事を誰が話したのか?わざわざ新聞記者が調べているはずはありません。この事を伝えたのは小さなエースだと思います。1年生の時には3-4走の所でバトンが流れて大幅減速。0.02秒差で負けてしまい、リレーでの中国大会連続出場が途切れてしまいました。更に昨年は1-2走の所での雨でバトンが滑って渡らずフィニッシュできませんでした。実はこの2つに関わっているのは小さなエースでした。この子の中で「県総体の4継」はチーム内の誰よりも私よりももっともっと大きな意味のあるものだったのではないかと思います。我々が思う以上に自分自身を責めていた部分があったのではないかと思います。この記事を読んで前日の涙の事を思い出して私は涙が止まりませんでした。この子は笑顔の裏にものすごい想いを背負っていたんだと思います。普段は出しませんが実はすごいプレッシャーと戦っていた。私達がもっとサポートしてあげられなければいけなかったのだと思います。キャプテンとしてその想いをおもてに出せず抱えていた。本当に辛かったと思います。わたしはその涙のを「安堵の涙」だと感じました。勝手な推測かもしれませんが。
他の誰よりもリレーな対する想いが強い。2年生が不安に包まれている時、「私が何とかするから普通に走って来て」と言っていました。それを実行する。本当に頼もしい存在です。大きなエースもこの子の存在があったからこそ自分の走りを取り戻せたと思います。小さなエースもアンカーに任せたら何とかしてくれるという信頼があったと思います。「心」がつながったリレーでした。この子達と一秒でも長く上を目指して競技をしたいと強く感じました。
逆に課題も。昨年のベストは48秒84です。今年は48秒61。たった0.2秒しか短縮できていません。理由は簡単。2年生の走りが物足りないのです。厳しい言い方かもしれませんが2年生がタイムを上げれていないのが伸びていない最大の理由です。ここ最近の走りができれば最低でもあと0.6秒は短縮できます。3走は本当に最低限の走りしかできていません。この子だけで0.5秒は短縮出来るのではないかと思っています。このグランドに立てるかどうかの状態でスタートラインに立たなければいけなかったというのは大きな問題です。責めるつもりはありません。大きな期待をしているのです。インターハイへの鍵は2年生が握っているのです。
総体の一週間前に22キロの山道遠足はこちらが思っている以上に選手にダメージとなったと思います。一走は無駄に走ったりしていましたからかなり疲労しているはずです。3走も歩くのも辛そうな状態でした。そこから何もしないでいるからやはり足へのダメージとなって現れる。ここの部分は「甘さ」があったと思います。万全ではない状態で総体を迎えることになったというのは本当に残念です。とにかく疲れを抜いて最大限のことをやっていかなければいけないと思います。遠足が原因の一つであることは間違いないですが、そこに対する対策の甘さが本人達の中にあったのが最大の原因だと思います。
勝負の中国大会まで何ができるか?ここができれば県記録に近づけると思っています。収穫も課題もあります。しかし、この中で勝ってくれた選手を誇らしく思います。この子達と出会えて一緒に練習ができることを本当に幸せだと思います。一秒でも長くこの時間が続けばと思っています。出来ることは全てやる。それがこれから先の競技に結びついていくと考えています。この子達との出会いを心から感謝したいと思います。
また書きます。本当にありがとう!!