kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

県総体~念願の優勝と残る課題~

2014-06-03 | 陸上競技
この大会の最大の目標、それは4継での優勝。うちの選手の強い望みでした。もちろん私も。そのためには全員が万全の状態で迎える必要がある。しかし、ここに到達するまでにそれは果たせませんでした。一人足の痛みを訴えていて走れるかどうかわからない状態。それでもキャプテンの強い希望で走順もメンバーも変更せず。賭けです。ひょっとしたら上手くいかないかもしれない。それでもメンバーを変えたくない。一年前からメンバーも走順も変えずにこの日のためにやって来ました。ここに賭けることにしました。

予選、小さなエースの走りが抜群です。アップの時から「走れている」と言っていました。一走もまずまずの走りをしましたがそれでも小さなエースの走りには追いつけません。これによりバトンが流れる。危うく失格してしまうところでした。さらに3走が全く走れていません。大きなエースにつなぐのが精一杯。普通のタイミングで出ても追いつけない。こちらも本当にギリギリの所でのバトンでした。48秒66のチームベスト。とはいえ本当に失格してしまうのではないかという感じがありました。周りからは「予選から攻めるね」と言われましたがそんなつもりは全くありません。両エースが抜群に走れているのに反比例して2年生が走れていないのです。そのことがバトンのギリギリ感につながっています。

準決勝、アップは最小限にしたのですがバトンはそれぞれ足長を詰めました。渡らないというのは絶対に避けないといけませんから。いつもですが4継では準決勝でかなり記録が出ます。48秒前半を狙っていました。選手に話をするとキャプテンは「え?私達47秒台を狙っているですけど(笑)」とあっさり言われてしまいました。周りから見ると危険なバトンなのですが本人達は修正できるという感覚が強くあったのだと思います。もちろん最新の注意を払いながら。

レースでは一走が全く走りません。前を行くチームを詰めることができない。小さなエースにつながるのもギリギリ。かなり後ろの方でした。ここから劇的なスピードで走ってくれてなんとか挽回。が、またも3走があまり走れていません。なんとか間に合っただけの最低限の走り。覚悟はしていましたが走れていません。アンカーに渡るのはギリギリ。本当に危うかったですが48秒78でフィニッシュ。記録を上げるどころか危うさを残すレースと鳴りました。

二日目のアップ。バトンの調整に関してはかなり詰めました。絶対に渡さなければいけない。更に勝ちたい。この二つの中での葛藤がありました。朝のアップの最後に一本刺激を入れました。大きなエース、一年生と一緒に走りました。これは大きなエースの指示でやりました。それも120mで10m近くハンデをつけてです。実は事前に大きなエースには話をしていました。「アンカーまでは確実に遅れてくる。最後、何とかして欲しい」と。そのことが頭にあったのでそこを想定して前を全力で追うという練習を設定したのです。

決勝。昨年のことがあるので本人達もピリピリしていたと思います。が、キャプテンは一走と別れる時に「頑張ろう」ではなくて明るく「また後でねー」と笑顔で言っていました。本当にすごい成長だと思います。この緊迫した状態で笑顔で楽しんでいる。このリレーにかける気持ちは誰よりも強いのにこの笑顔。キャプテンの存在がチームを支えている。この子のおかげてチームが強くなっていると感じました。これはいける!という手応えも感じました。

実際のレースは内側からライバル校に追われる形。これは分かり切っていました。一走でかなり詰められましたが小さなエースが素晴らしい走りで詰められた差を広げる。本当に素晴らしい走りでした。それでも少しライバル校に遅れています。3走は我慢の走りをするしかない状態。一気に差をつけられました。ここは覚悟していました。アンカーに渡った時には10m近く離されていたのではないかと思います。そこから大きなエースが全力で追う。まさに朝のアップでやった練習と同じ。イメージ通りの展開です。大きな差でしたが最後にかわして48秒61のチームベストで初優勝。かなり興奮しました。バトンは詰めているので大きな問題なく渡ったと思います。もちろんタイム的には全く満足できません。それでも「勝つ」ことができた。そこが今のチームにとっては本当に大きなことだと思います。

メンバーが集まった時、キャプテンが涙を流していました。先ほどの笑顔とは真反対です。嬉し泣きなのか安堵の涙なのか分かりませんでした。ここは私から聞く必要はないと判断。選手同士でこの感覚を共感できれば良いと。この日、れーが終わって新聞社の取材を受けていました。翌日この記事を読んで涙の意味を推測しました。これは私が感じた事なので全く違うかもしれません。

この記事の中に「二年連続決勝での失敗を乗り越えての悲願達成」と書かれています。この事を誰が話したのか?わざわざ新聞記者が調べているはずはありません。この事を伝えたのは小さなエースだと思います。1年生の時には3-4走の所でバトンが流れて大幅減速。0.02秒差で負けてしまい、リレーでの中国大会連続出場が途切れてしまいました。更に昨年は1-2走の所での雨でバトンが滑って渡らずフィニッシュできませんでした。実はこの2つに関わっているのは小さなエースでした。この子の中で「県総体の4継」はチーム内の誰よりも私よりももっともっと大きな意味のあるものだったのではないかと思います。我々が思う以上に自分自身を責めていた部分があったのではないかと思います。この記事を読んで前日の涙の事を思い出して私は涙が止まりませんでした。この子は笑顔の裏にものすごい想いを背負っていたんだと思います。普段は出しませんが実はすごいプレッシャーと戦っていた。私達がもっとサポートしてあげられなければいけなかったのだと思います。キャプテンとしてその想いをおもてに出せず抱えていた。本当に辛かったと思います。わたしはその涙のを「安堵の涙」だと感じました。勝手な推測かもしれませんが。

他の誰よりもリレーな対する想いが強い。2年生が不安に包まれている時、「私が何とかするから普通に走って来て」と言っていました。それを実行する。本当に頼もしい存在です。大きなエースもこの子の存在があったからこそ自分の走りを取り戻せたと思います。小さなエースもアンカーに任せたら何とかしてくれるという信頼があったと思います。「心」がつながったリレーでした。この子達と一秒でも長く上を目指して競技をしたいと強く感じました。

逆に課題も。昨年のベストは48秒84です。今年は48秒61。たった0.2秒しか短縮できていません。理由は簡単。2年生の走りが物足りないのです。厳しい言い方かもしれませんが2年生がタイムを上げれていないのが伸びていない最大の理由です。ここ最近の走りができれば最低でもあと0.6秒は短縮できます。3走は本当に最低限の走りしかできていません。この子だけで0.5秒は短縮出来るのではないかと思っています。このグランドに立てるかどうかの状態でスタートラインに立たなければいけなかったというのは大きな問題です。責めるつもりはありません。大きな期待をしているのです。インターハイへの鍵は2年生が握っているのです。

総体の一週間前に22キロの山道遠足はこちらが思っている以上に選手にダメージとなったと思います。一走は無駄に走ったりしていましたからかなり疲労しているはずです。3走も歩くのも辛そうな状態でした。そこから何もしないでいるからやはり足へのダメージとなって現れる。ここの部分は「甘さ」があったと思います。万全ではない状態で総体を迎えることになったというのは本当に残念です。とにかく疲れを抜いて最大限のことをやっていかなければいけないと思います。遠足が原因の一つであることは間違いないですが、そこに対する対策の甘さが本人達の中にあったのが最大の原因だと思います。

勝負の中国大会まで何ができるか?ここができれば県記録に近づけると思っています。収穫も課題もあります。しかし、この中で勝ってくれた選手を誇らしく思います。この子達と出会えて一緒に練習ができることを本当に幸せだと思います。一秒でも長くこの時間が続けばと思っています。出来ることは全てやる。それがこれから先の競技に結びついていくと考えています。この子達との出会いを心から感謝したいと思います。

また書きます。本当にありがとう!!
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県総体終了

2014-06-03 | 陸上競技
やっとblogが書けます(笑)。県総体、終了しました。とりあえず「通過」できたことを喜びたいと思います。

金曜日に「笑って書けたら」と書いています。県総体の振り返りをする前にそこの部分については触れておきたいと思います。

実は火曜日、練習で120mと60mを刺激として行いました。いつも通りの刺激。が、120mで3走の子が全くついていけません。さらに60mでは1年生にも負ける始末。どうなのか?と聞くと「ハムが張って走れません」「痛くて動けない」とのこと。いや、この期に及んでなんということ言っているのか?あれだけ「身体のケア」についてはしつこく言い続けてきました。確認すると「マッサージはやっていた」とのことですが筋肉は全く緩んでいません。触れただけで痛いと言います。歩いても痛い。この状況で県総体を迎えるというのはどう考えてもありません。

その日はすぐに連れて帰って筋肉を緩める作業をしました。が、マッサージジェルを使う段階になりません。指が当たっただけで痛いというのです。上半身と腰を緩めてから少しずつマッサージをしました。レッグカールをしても全く力が発揮できません。指一本で支えられるレベル。柔軟性チェックをしようとしても足が上がらないのでどうにもなりません。肉離れではありません。筋断裂している内出血は見られない。とにかく筋肉が硬くなっているというのが主な原因。時間的に20時前後になったのでこの日はこれで終わり。お風呂でのケアの仕方を教え緩めるように指示。

この日の夜、全くと言っていいほど寝れませんでした。気が小さいというのではなく「みんなの想い」をここで途切れさせたくないという気持ちからです。3走が走れなければリレーは成立しません。ここの部分の理解がどれだけできているのか?「絶対に治します」と言っていましたがここに来るまでの取り組みの中で間違いなく甘い部分がったのです。それがこういう一番大事な時に出てくる。他の3人のこと、これまでバックアップしてくれた多くの人のことを考えると悔しくてなりませんでした。「万全の状態で県総体へ」という部分から「ベストメンバーで4継が組めるのか」というレベルに落ちています。間違いなく他の者にも影響します。戦う前から負けるという状況になるのは絶対に避けなければいけません。ほとんど眠れない中でうたたねしていると夢の中に「ストレッチポール」が出てきました。そういえば、筋肉を緩めるのにこれを使っていた。記憶のどこかにあったのだと思います。朝イチでメールをして早めに登校するように指示。ストレッチポールで緩め続けました。

他に何かできることはないかと思い、お世話になっているショップへ。マッサージクリームを購入して色々と話をしていると「治療器」を貸してくださるとのこと。通常であればリース料金が発生するのですが今回は「お試し」として無料で1週間レンタルできるとのこと。毎回のことですが本当にありがたい。すぐに戻って3走のMに渡しました。教科担当の先生にお願いして授業中に治療器を当てさせてもらうことに。音は全くしません。迷惑をおかけする部分はないと言えばないのですがそれでも「授業」のことですからお願いをしました。全ての先生が快くOKを出してくださいました。「特例」と言えば特例。この子たちの取り組みを認めてもらえている。本当に感謝しなければいけません。できることは全てやる。これだけです。

放課後はすぐに鍼治療へ。前日、「怖いから行きたいくない」と言っていました。ほぼ激怒(笑)。今更何を言っているのか?怖いとか痛いとかではなくできることをすべてやらないといけない段階に来ているのです。キャプテンがかなり勧めてくれました。私の指示よりもキャプテンの指示の方が通る(笑)。鍼治療を1時間程度やってもらって学校に戻りさらに治療。借りてきた治療器を当てながらもストレッチポールで緩める。片足だけでなく両足の痛みがあるのでとにかく時間がかかります。マッサージジェルを使ってマッサージ、PNF、ストレッチポールの3本柱でやっていきました。これでも10の痛みが7になった程度。軽くはなっています。夜は全く寝れません(笑)。

木曜日も朝から治療。前日と同様に3本柱でやっていきながら授業中も治療器を充てる。この段階で本人に聞くと「全力では走れません」と言っていました。最悪の事態も考えなければいけません。他のメンバーには大きなエースを3走に配置して4走に一年生を置く可能性もあると話をしておきました。最悪、「中国に進む」だけです。進むことができれば3週間あるので回復はできると思います。レースで肉離れをする危険性があるのであれば走らせるほうが怖い。全力で走れない選手を使うというのは通常であればありえないことですから。それなら1年生のほうが走れる。

が、それでもキャプテンが「3走はMちゃんが良い」と。これまでのバトンのこともあります。いきなりメンバーを代えて対応できるほど余裕はないと思います。1年前からメンバー固定でやってきました。バトンがつなげなくなるというのは「致命的」です。48秒台で走るのはそれほど難しくないと思っていました。当然ですが。1秒落ちでも49秒台。これなら中国には進めます。キャプテンは「勝ちたい」のです。「通過するだけ」の総体にしたくない。だから3走は代えたくない。このことを感じ取らなければいけないと思います。とにかくぎりぎりまで治療をしました。木曜日は全く体を動かさず治療。ストレッチポールをやり続けているのでその日1キロ痩せたとのこと。もともと細いのに1キロ痩せるほどエネルギー消費をしています。身体に残るダメージは大きいと思いますが「走るため」です。背に腹は代えられません

金曜日、午後から競技場へ。この日もぎりぎりまで治療。「何とか走れる」状態にまで回復。全力かと言えば分かりません。スピードレベルは上がらない。それでもバトンという部分を考えるとメンバー変更は厳しい。バトンは詰め気味にして3走は変えずにやることにしました。それで金曜日の投稿になります。「なんとかこの日を迎えることができた」という感じですね・・・。

県総体前にこのようなことがあると精神的にも肉体的にもしんどい。もちろん、本人だけではなく周囲の人間もです。チームとして取り組んでいることを忘れてはいけない。大切なことは何か?そんなことを思いながら当日を迎えました。blog更新できなかったのは「更新する時間がるなら選手の治療の時間にする」ためです。更新が滞り本当に申し訳ありませんでした。

ということで少し(?)総体を振り返りたいと思います。長くなるので記事を変えます。
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