kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

明らかな差

2019-05-21 | 陸上競技
 
 
思うことを。
 
 
今、1時間かけてうちに通ってくれている選手がいる。なかなか大変だと思う。真面目というか本当に丁寧に物事をやる。これまでうちにはいなかったタイプ。たぶん自分では真面目だとは思っていない。先日「真面目過ぎて疲れたりしないか?」と聞くと「私真面目ですか?」との返答。たぶん、自分の中で今の行動が当たり前なので違和感が全くないのだと思う。
 
 
中学から高校になって全く思うように走れなかった。12秒9を持っていたが3月の記録会では14秒かかっていた。なかなかそんな話はないと思う。13秒5で走ってくれたら十分かなと感じていたがかなり遠いから話だった。本人が一番しんどいだろうと思う。
 
 
間違いなく手を抜かない。やるべきことは必ずやる。性格的なものもあると思うが。器用ではないので何かをやるのに時間がかかる。その姿を見て「不器用の利点」という文章を渡しました。この子にぴったりの内容だと思ったからです。
 
 
そう思って調べてみると2016年にこの文章の内容を利用して記事を書いていました。本当は前任校で関わっていた選手の話です。ここは私の指導のベースになる部分ではないかと思っています。女子の円盤投でインターハイに進んだ選手。インターハイを目指すまでの苦しさと葛藤。目の前にいる天才型の選手と比べてしまう。その中での話でした。一応リンクは貼っておきます。
 
 
 
 
なんでも直ぐにできる選手には分からない感覚。だからこそ丁寧にきちんとやっていかなければいけない。何をやらせてもできる選手というのはほとんどいませんでした。ほぼ皆無といって良いくらい。それでもコツコツ努力できる選手と出会えて進んできました。これだけでも大きな意味を持つと思っています。
 
 
月曜日は「練習休み」と伝えていました。しかし、この子は来ていました。学校がある時は朝練はあるものだと思っていたのだと思います。こちらの説明不足でした。tnk先生が見かけたというのでそんなはずはないはずだと思ってグランドに行ったらいました。頭が下がります。
 
 
いないはずだと思った理由が「休み」だからだけではありません。普段電車で来るので学校に来るのは7時40分くらい。7時20分くらいに見かけたと言われたので。そんなに早く来ていないですよ、と。早いなと思ったのでやはり確認をしてみたいなと。
 
 
何故こんなに早いのか?と聞いてみると「今日は風紀委員の挨拶運動があるので始発で来て先に身体を動かそうと思っていた」とのこと。この件に関しては私は一言も話をしていません。自分で考えて行動に移しているのです。そんなことは出来て当たり前だと言われるかもしれません。全ては自分のために行動している。私に認められたいとかという次元の話ではない。ここをどう捉えるかです。
 
 
この手の話に関してはこれまで何度もしてきました。午後から病院に行くというのであれば朝早く来て補っておくなければいけないのではないか。私の感覚からすればそれは「当たり前」です。自分自身が練習しなければ強くはならないからです。何年か前には「歯医者に行くから休む」「風邪を引いたから帰る」「整体に行くから帰る」というのが毎日のようにありました。「休むのは勝手だがそれでは強くなることはない」と全体に話をすると「休むのは勝手だと言われたから練習行くのやめよう」という流れになって崩壊。指導することの無意味さを痛感していました。
 
 
何度言っても出来ない者もいる。しかし、Hoは言われなくてもやる。特別なことではないのですがこれまでとの違いに心打たれました。こういう環境の中で陸上競技をしたい。強くそう思いました。「やりたい」と思っている選手に対してどうサポートするか。とりあえずやっているという部分ではない。
 
 
午後雨でした。基本的に休みと伝えています。休むのも練習だと思っているので。しかし、女子は「少しだけ練習したい」という申し出がありました。雨が酷いのでそんなにできることはないのですが。軒下で感覚作りだけしたいというので付き合いました。7時間授業なので終わるのも遅い。それでもこの子達がやるというのであれば私が付き添わないわけにはいかない。感覚的な部分の確認をしながら。
 
 
ハードルの壁抜きと台ドロップをひたすら繰り返していました。何とかしたいと思って来ているのでやはり前向きな雰囲気になります。何一つ強制はしていない。それでも黙々と自分の身体と向き合う。こういう時間は本当に貴重な時間です。
 
 
 
 
本当に狭いスペースでした。1時間くらいはやったでしょうか。激しい運動はしていません。本当に確認だけです。うちには天才型の選手はいません。だからこそこうやってコツコツと積み上げていくしかない。そのためには時間がかかります。やっていたら勝手に強くなるという話ではない。感覚を確かめながらやる。全てのことに対して「言われたからやる」というのではなく主体的に取り組む。これは私が言ってできるものではないのかもしれません。最後は本人の意識次第。
 
 
来ていた女子にはkanaが県総体の後に書いた日誌のコピーを渡しました。どれだけの想いを持ってインターハイを目指していたのか。それを分かってもらいたい。この子達であれば分かるのではないかと感じていたからです。
 
 
物事の取り組む。ここには明らかに差がつきます。本当に一生懸命にやっている者は「まだ足りない」と思う。そうでない者は「自分は頑張っている」と思い込む。私は「頑張る」という言葉が嫌いです。自分の中で「やっている」という感覚になるからです。だからblogにも極力「頑張る」という言葉を使わないようにしています。
 
 
全くやっていないのが0だとする。10段階で1やっても10やっても「頑張っている」のです。全くやらないのであれば0ですが人はそれなりにやっています。本来であれば10できることを1やっていたらそれは「頑張っている」ということになる。中学時代に1しかやっていなかった者が2やるようになったらそれは「頑張っている」ことになる。これまでの倍ですから。しかし、本当は10やれる。もっとできるのに「自分はこんなに頑張っているんだ」と思うことで成長は確実に止まります。本当に一生懸命やっている者は「自分は頑張っている」と思わない。
 
 
Hoに「真面目だね」と投げかけた時の返答。「私は真面目ですか?」と返ってくる。ここに物事の根底があると思います。やるのが当たり前になっている選手はやらないのが普通ではない。練習に一生懸命取り組んでいる者は自分が一生懸命だとは思っていない。この感覚の差は歴然としています。
 
 
何を求めてやるのか。そこを考えてやりたいと思います。
コメント
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