闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1089&1090&1091
○溝口健二監督の「山椒大夫」をみて
淡いモノクロームと悠揚せまらぬテンポで繰り広げられる、この有名な親子別れと奇跡的な出会いの物語を見物していると、日本の昔の優れた映画はいまより100層倍も良かったんじゃないかという気がしてくる。
○マキノ正博監督の「鴛鴦歌合戦」をみて
市川歌右衛門が、志村喬が、デイック・ミネのバカ殿が唄って踊る長屋ものオペレッタ映画ずら。1939年(昭和4年)という時代にこれほど軽妙洒脱なポップなシネマが突貫工事で制作されていたことに驚く。玄人はだしの志村の歌が最高である。
○岡本喜八監督の「肉弾」をみて
戦争のすべてを1時間半のモノクロ映画に集約しようとする岡本喜八監督のポップでシュールなアバンギャルド映画。商業映画ではあるが学生が撮るインデイーズに似た実験的な作品でもある。寺田農も大谷直子もすっぽんぽんになって演じているのがよい。
ノーベル賞なんかおいらには似合わないと四畳半に閉じこもってノーベル飴をなめてるボブ・ディラン 蝶人