闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1087&1088
○熊井啓監督の「日本の黒い夏 冤罪」
実際はオウムの殺人事件であったのに、無実の人を警察とマスコミが犯人にでっちあげてゆく冤罪事件の事の次第を追及する映画である。
こういう冤罪はその後も後を絶たず、おそらくそういう構造がいまなお生きながらえているのではないだろうか。
二木てるみ、細川直美、遠野凪子など珍しい役者が出ているが、熊井が遠野をかっていたことが分かる。
○黒木和男監督の「紙屋悦子の青春」をみて
戦争のために好きな男と一緒になれず、その男が身代わりに薦めた親友と結婚した青春なき女の青春の物語。その悲劇を戦争への怒りや抗議として対象化せず、ひたすら耐え忍ぶのはこの国の当時のならわしであったが、いまもそれを是認するような姿勢でこの映画が演出されていることに違和感を覚える。
生きていれば年金がもらえるもらえれば息子の年金がはらえる生きている 蝶人