あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

池澤夏樹編河出版「日本文学全集30」を読んで

2016-10-03 16:22:26 | Weblog


照る日曇る日第899回



「日本語のために」という総合タイトルのもとに古代の祝詞から始まって道真や漱石の漢詩と漢文、伊藤比呂美訳の「般若心経」「白骨」、「どちりな・きりしたん」やマタイ福音書の様々な翻訳、琉球の「おもろさうし」とアイヌの「神韻集」、福田恒存の「私の國語教室」、各種の辞書の比較、逍遥から松岡和子に至る「ハムレット」の各種翻訳、新旧憲法、終戦詔書など、日本語についての言語的・歴史的・社会思想的等多種多様な角度からの考察を万華鏡のように繰り広げたミニ百科セレクションである。

これまでも文学全集はいろいろあったけれど、日本語をテーマにしてその過去現在未来を展望するような1冊はなかった。個人編集者池澤夏樹の本来の面目が発揮された好企画といえよう。

私は丸谷才一の「文章論的憲法論」、福田恒存の「私の國語教室」、大野晋の「文法なんか嫌い」、とりわけ永川玲二の「意味とひびき」が面白かった。


 お父さんが死ぬ時君も一緒に死にますかと問えばいやですおと言下に答えたり 蝶人

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