蝶人物見遊山記 第255回

毎年のように開催されている鶴岡八幡宮古神宝展であるが、毎年思うのはこれらの弓とか矢と太刀がなんで国宝なのか、ということ。まあ鎌倉時代の現物はほとんどないからなのかしら。
「源頼朝像」は大英博物館にある本物ではないが、これが本当に頼朝の顔かというとその確度が著しく揺らいできた今日この頃である。
また毎度のことながらせっかく北条政子が御白河法皇からもらったのにパリ万博に海を渡っている途中で海没した螺鈿蒔絵硯箱が口惜しい。そもそも鎌倉は京に比べたら超田舎なので、平安時代の名品なんてほとんど存在しないのである。
頼朝が上京した折におそらく奈良のお寺からもらってきた舞楽面も素晴らしい出来栄えで、これがどうして重文に甘んじているのかと訝しく思われる。
そうそう、あと毎回眼を皿のようにして見つめるのは巨福呂坂町内会が所有している「歓喜天立像」。象の頭を持つ怪人が下半身をぴたりとくっつけて向き合っている奇怪な像である。
なお本展は来る10月15日まで同館にて開催ちうだよーーん。
無患子の梢に止まったクマゼミが大阪弁で突如鳴き出す 蝶人