照る日曇る日第1142回
タカハシ源チャンによる「日本文学盛衰史」の2巻目である「戦後文学篇」が発売されています。
前回は明治の作家たちと文学がテーマでしたが、今回は戦後文学へと一気に時間が飛んで、井上光晴、野間宏、サルトル、武田泰淳、山田風太郎、石坂洋次郎などですが、彼の「文学盛衰史」はギボンや高見順のそれとは根本的に規範が異なるので、別に時系列で有名作家の作家論を並べるつもりなどさらさらありはしない。言葉のもっとも広い意味でのブンガク、もっとも非文学的なブンガク、彼らブンガクシャの言葉が、私たちの現代とどのような地点でどのように関わって生き死にしているのかだけが、著者の問題意識なのですから。
ゆえにとりわけ本書の後半は、東日本大震災に遭遇して言葉を失った非文学的体験との対話がページの多くを占めていて、その破天荒な逸脱ぶりがいっそ心地よいのです。
震災以降、「非常時」が日常的な光景となって、例えば息子の卒園式に出た源チャンが「レッツゴーいいことあるさ」という歌を聞かされて感じた「めまい」、国歌斉唱になってそっと席を外した気持ちと行動などは、他人事ならず身に沁みました。
また著者の指摘で「改めてこれぞ文学!」と感動したのは、内田祐也選手の都知事選立候補の際の歌と5分57秒のロックンロール・スピーチで、「今夜はひとりぼっちかい?」という題名は彼がその時アカペラで歌ったプレスリーのバラードに基づいているのです。
https://www.youtube.com/watch?v=3BLp1IUEkik
明るさは滅びの姿か安倍蚤糞たった一人ぐわぁ元気溌剌 蝶人