あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

西暦2021年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2021-09-01 10:44:14 | Weblog
ある晴れた日に 第656回


打つときはいともたやすく柵を越ゆ滅多に出ないホームランは

3匹のメダカが次々死んでゆき我らの身代わりになってくれたり

なにゆえに猛暑の後で梅雨になる地球が我らに仕返ししている

この国が滅びていくのを薄眼開け時々見ながらまた眠りゆく

世の中が崩れてゆくのを笑いながら見物出来る勇気が欲しい

故郷のお墓に誰が入るのか議論百出死ぬに死ねない 

歌あればわれらは生きて行けるだろう卒寿、白寿、百寿を超えて

三方から巨大台風がやって来てコロナ五輪の打ち上げ祝う

コロナ禍に不要不急の「世界総合国別対抗競技大会」

「観光客は来ないで下さい」と市民にいう改選間近の鎌倉市長

auのお知らせしか入らないこのガラケーは無用の長物

もうそろそろ出てきなさいよ電話帳姿を消して2カ月近い

1本の八重のドクダミが咲いている君だけが私を分かってくれる

「ぶっ殺す!」と叫んで家を飛び出たがその犬どこにも姿を見せぬ

安全で安心な指揮者なら秋山和慶尾高忠明

自動車で撥ねられた時の塩梅はガっツーンだったかゴっツーンだったか

撥ねられて落ちし地点の×印3月も経つも白く残れり

顔貌が変われば人が変わるのか変わったような変わらぬような

福笑いは大笑いする遊びなりそを張り付けし顔になるとは

我ながら見知らぬ顔になったので悪いことでもしでかそうか

傲岸はわが家の悲しき性なるか息子のそれをじっと見つめる

予報士も我らも愉快な気分なり朝から晩まで晴天の日

右翼的な放送局に就職し立身出世する政権の狗

リサイタルも不要不急の催し多く一世一代は200にひとつ

瀬戸内の海が綺麗になり過ぎて魚が育たなくなったとか

カミキリの上にカミキリが乗っかってゆるりくりりと交尾するなり

見も知らぬ男がタオルを持ってきて明日から臨家の工事をするとか

凄まじき騒音に耐え家に居る我が家からも音は出す故

「ゴハン!と言えばすぐに食事が出てくるの」力こぶ入れ夢語る妻

桜木の根方を覆うアスファルト ニイニイ、アブラ、ミンミンを殺す

道の辺に栗の実ひとつ転がりて葉月晦日がさよならという

億兆の民が辿りゆくその道を我も一人で辿りつつあり

この国の破綻を見捨てるごとく葉月逝く


  見も知らぬ男がタオルを持ってきて明日から隣家の工事をするとか 蝶人

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする