照る日曇る日第1637回
1998年に筑摩書房から出版された洒落た詩集です。
男と女、男児と女児、あかちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまでの家族、すべての人間になりかわって、文字通り「はだか」の原初的形態が、全篇ひらかなで赤裸々に開示されていて、目と心が洗われる。
個人的にもっとも感動的のは「おとうさん」で、最後の「おとうさんずうっといきていて」までくると、思わず涙が出た。
そういえば、この詩集のいくつかに武満徹が曲をつけた「系図」が、今はどこかに消えてしまった遠野凪子の語りで放送されたときも、思わず涙が出たなあ。
コマーシャル用にじゃんじゃん書き飛ばす谷川選手は全然好きになれないが、ここ一番で本気を出すと、やっぱり凄い詩人だと思わされる1冊なり。
夕刊が2時半に来るとは早すぎる明日の朝刊と同じ記事なり 蝶人