あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

「THE  ART OF  SERGE KOUSSEVITZKY」全40枚CDを聴いて

2021-09-15 10:52:11 | Weblog
音楽千夜一夜第484回&蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第408回


セルゲイ・クーセヴィツキー(1874-1951)はアメリカで活躍したロシア系ユダヤ人指揮者で、1908年にベルリンで指揮者としてデビュー。ロシア革命から逃れて渡米してからは、1924年から1949年まで四半世紀にわたってボストン交響楽団のシェフを務めた。

彼の前のボストンのシェフは、ピエール・モントゥーであり、彼の跡を継いだのがシャルル・ミュンシュ、その後がエーリッヒ・ラインスドルフ、ウイリアム・スタインバーグ、そしてその後が小澤征爾の長い長い治世になる訳であるが、ボストンの音楽の基礎は、他ならぬクーセヴィツキー選手によって築かれたというても過言ではないだろう。

その証拠に、その大半が手兵ボストンを振ったこのCD集で聴けるベートーヴェン、ブラームス、ハイドン、バッハ、シューベルト、ワーグナー、チャイコフスキーなどは、欧米古典再現芸術の王道を行きつつ、随所でこの時代の新感覚を発散させるていのもので面白い。

こころみにモザールの交響曲40番を聴いてみると、第1楽章の主題を再現するたびにテンポを落としたり、かと思うと早くしたりして、ライヴでありつつ試行錯誤しているのが極めてユニークな演奏。そこで今改めて調べてみたら珍しやボストンではなく1934年にロンドンフィルを振ったライヴ演奏なので、お互い少しく、とち狂ったのかも知れないなあ。

  「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」法隆寺には柿が生っていた 蝶人
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西暦2021年長月蝶人映画劇場

2021-09-14 11:41:58 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2647~56

1)ジョシュア・ローガン監督の「ピクニック」
流れ者のウイリアム・ホールデンとお嬢様のキム・ノヴァクによる1955年のラブストーリー。夜のピクニックで2人が踊るシーンが奇跡的な美しさである。ラストで飛び出したふたりに幸あれ!

2)リチャード・クワイン監督の「媚薬」
生真面目な初老の紳士ジェームズ・スチュアートと可愛い魔女キム・ノヴァクによる1958年のラブストーリー。1933年生まれのキムはまだ生きているんだね。

3)篠原哲雄「深呼吸の必要」
沖縄のサトウキビばたけで働く都会から来た男女の2004年の青春もの。題名は長田弘の詩集に拠るというが読んだことなし。

4)石川慶監督の「蜜蜂と遠雷」
技巧より真心という音楽世界のありようをテーマに、恩田陸の原作を2019年に映画化。松岡茉優、松坂桃季などの役者も好演。

5)杉山泰一監督の「の・ようなもののようなもの」
今は亡き森田芳光原案による2016年の落語映画。松山ケンイチが力演しているがそれより尾藤イサオのうまさに注目したい。

6)ウィリアム・ワイラー監督の「西部の男」
ゲイリー・クーパーとウォルター・ブレナンが競演する1940年の西部劇。牧場と農家の対立を担う両者が対決しながらも理解し合っている関係が面白い。

7)ウィリアム・ワイラー監督の「黄昏」
ローレンス・オリヴィエとジェニファー・ジョーンズの1952年のラブストーリ。最後に高額紙幣には目もくれず小銭だけを持って街に消えていく老残のローレンス・オリヴィエが格好いいずら。

8)ウィリアム・ワイラー監督の「コレクター」
街で見かけた美少女を誘拐してコレクションした蝶のように我がものにしようたって、人間は蝶じゃないからうまくいくはずはない。好きになれれば別であるが。それにしてもワイラーほど立派な監督はいないんじゃないかな。1965年の傑作をテレンス・スタンプとサマンサ・エッガーが好演。

9)SABU監督の「うさぎドロップ」
宇仁田ゆみ原作の漫画を2011年に松山ケンイチ、芦田愛菜主演で映画化。祖父が産んだ子を孫が自分の子のようい育てる話だが、それほど面白くはない。

10)黒沢清監督の「スパイの妻」
久しぶりに「コソモポリタン」という言葉を聞いた。一番新しいのは集英社の雑誌の名前。だったからもうエスペラントと同様死語に近いのだろう。2020年の製作ずら。

 ワイラーの前にワイラーはおらんけどワイラーの後にはわいらあがおる 蝶人
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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.82」

2021-09-13 11:51:51 | Weblog
蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第399回

○市議会議員当選を祝う会での夫の謝辞
*1京須虹子の夫でございます。このたびは玉川市議会議員選挙にて絶大なるご支援ご協力を賜り厚くお礼申しあげます。*2

実は前回の選挙得票がたったの123票。あまりにも悲惨なものでしたから「また負けたら恥ずかしいから止めろ」と妻に言ったのですが、会の事務局長の潮田さんと選挙対策の波多野静子さんが「止めろというのは負けろってこと?」とねじ込んで来られましてね。「じゃあ今度はなにもしないから勝手にしなさい」と宣言しまして、ほんとに私は今回の選挙運動は何も手伝わなかったのです。

そしたら意外も意外、なんと虹子がトップ当選と言われてびっくり。実はいまなお家内が市会議員なんて嘘じゃないか、夢を見てるんじゃないかと思っておる次第です。*3

しかし家内はいっけんチャランポランに見えても私なぞよりよっぽど肝が据わっております。きっと皆さまのため、玉川市のために頑張ってくれると思います。陰ながら私も家内を内助いたす所存ですので、どうか皆さまのご指導ご鞭撻をお願いします。

○アドバイス
*1前段に引き続き新人議員の夫君が登壇し、照れながら支持者にお礼をいうシーンである。
*2選挙戦の内幕を暴露しながら候補者の夫という微妙な立場をユーモラスに語るなかなかの人物である。
3笑いにまぎらせながらもしっかり細君への応援を呼びかけているあたりはさすがである。

  長電話の途中で「フィガロの結婚」のアリアを歌う学友カド君 蝶人

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正岡子規著「墨汁一滴」を読んで

2021-09-12 12:52:11 | Weblog

照る日曇る日第1631回

子規の晩年、明治34年の1月13日から7月2日まで「日本」紙上に連載された随筆集である。
子規は俳句において、なにが「月並み調」なのかを、何度か取り上げているが、結局それを感じ取ることはできても、理屈で定義できずに終わっているところなどはなかなか面白い。
また自費で西航する中村不折への激励文をはじめ、日本画、西洋画に対する子規の感想文が殊に面白いのは、この芸術家の本領が、よく世間でいわれる俳句や短歌よりも、むしろ絵画にあったことを推察せしめて、まことに興味深い。故郷松山の子規記念博物館の作品展示がそれを証している。
「4月24日」の項では、死期間近で煩悶する動物たちに手を当てて安楽死させる兎が出てくるが、「夢が覚めて後いつまでもこの兎のことが忘れられない」と書く子規の心情が、胸に迫る。
江戸時代に不毛を極めた短歌(和歌)では、万葉調に徹した平賀元義を高く評価し、その生涯と作品の紹介に力を入れているが、それが大いなる周回遅れであることは別にして、彼の歌の出来具合が、元祖の万葉歌人に遠く及ばないのは皮肉である。
子規自身の俳句や短歌もかなり載せてあるが、有名な「藤」の歌を除くと、それほどのものとは思えず、むしろ墨汁一滴で書き下ろした短文に物凄いものがある。
 試みに我枕もとに若干の毒薬を置け。而して余が之を飲むか飲まぬかを見よ。(5月11日)
 刺客は無くなるものであらうか無くならないものであらうか。(6月23日)


人相の善からぬ男女が我こそは次期総裁なりとテレビに出まくる 蝶人
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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.81」

2021-09-11 11:10:51 | Weblog

蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第398回


○勲五等瑞宝章受賞祝賀会受賞者のあいさつ

本日はかくも盛大な祝賀会を開いて頂きまして、いたく恐縮致しております。またこのたびははからずも叙勲の栄に浴しまして、たいへん晴れがましく思っておる次第です。*1

これも家内はじめご指導くださった諸先輩、ご協力頂いたスタッフやここにお集まり頂いた皆々さまのご支援の賜と深く感謝致しております。*2

今日、いわゆる世界のグローバル化によって英語への1極集中現象が惹起しておりますが、世界には5千から6千以上の言語が存在するといわれております。その中にはカマス語、ゲール語をはじめ既に絶滅したか絶滅寸前の言語が数多く含まれておりますが、言語こそ文化の原点と信じる私は、ひとつでも多くの言語をこの世に遺そうと痩身に鞭打ってまいりました。

35年の歳月を投じてようやく完成しました「世界絶滅言語大全全15巻」は、私の持てるすべての時間と体力と情熱を注ぎこんだ著作であります。*3

いわば“後世への遺言”である本書に対して頂戴致しましたこのたびの叙勲に対し、心よりお礼申し上げます。

○アドバイス

*1 受勲は自分だけの手柄ではないと、周囲の人々の協力に感謝している。
*2 ここからが受賞の対象となった仕事についてのコメント。言語学者である受賞者は、その畢生の大事業である辞書制作が評価された。
*3 長期間に渡る孤独な作業を世間が認知してくれたことに対する感謝の念が自然にほとばしり出る。

     「OKてふ言葉の原義をご存知か知らねば教えてしんぜよう」とか 蝶人

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「夢は第二の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」第89回 

2021-09-10 20:16:14 | Weblog

西暦2020年弥生蝶人酔生夢死幾百夜


山頂に辿りつくと、そこはマイカーで登ってきた大勢の60年代の若夫婦で渋滞して、身動きできないほどである。よく見ると、そこには一本の桜の大樹があって、幹にとりついた2匹のセミが、誰かがカメラを向けるとポーズするのである。3/1
私は先輩方の要請に几帳面に応えながら、少しづつ自分の役得を増やしつづけていたが、その地道な積み重ねが、立身出世につながると確信していたのであった。3/2
大学の正門前に大勢の学生が、一団の黒い影となって佇んでいたので、私は、自分の広告作品が掲載されている小冊子を、自転車で通り過ぎながら、バサリバサリと投げ入れた。3/3
脳障害を持つ息子は、マシラのように機関車に飛び乗って、スロットルを握りながら、速度や方向を自在に調整している。これはヤバイと思った私は、笑いながら見物している機関長に頼んで、やめさせてしまったが、障害児の楽しみを奪ったのではないかと、苦に病んだ。3/4
友人たちは、もうとっくの昔に出発してしまったので、焦りまくって電車に飛び乗ったが、切符を家に置き忘れていまったので、行き先が分からない。確か西湖なんとかに宿泊するはずだ、と思いだして、西湖なんとか駅を見逃さないように、必死に目を凝らしている。3/5
「そうだ。ケータイで家に連絡すればいいのだ」と思いついて、番号をプッシュし始めたら、押された数字が、ボロボロと下に崩れ落ちてしまうので、ものの役に立たないのだ。3/6
「いいかい、何の特徴も無いボリュウム商品を貸し出したって、ブランドイメージは上がるどころか、下がってしまうから、その辺はよーく気を付けようね」と、私はプレスルームのサッチャンに注意を与えた。3/7
アランドロンの遺作のその映画のラストシーンでは、ハイテクを駆使したヘアメイクが登場する。最新技術が生み出したその薬品を、お腹の中に注入すると、毒キノコのような小さな粒粒が誕生して、主人公の顔貌を一変させるのだ。3/8
逗子で横須賀線に乗って、鎌倉に着いたところに、「ブルータス」のバイトの学生が乗り込んできて、「これ、大至急校正してください」というのだが、なんで私が分かったのだろう。3/9
全集にどの作品を入れるか迷いに迷っていると、起きているのか、眠っているのか、夢を見ているのか、醒めているのか、さっぱり分からなくなってくる。3/10
北鎌倉の名刹の住職の話では、パタンナーのワタヌキさんが、商品企画室で悪質ないじめに遭っているというので、「義を見てせざるは勇なきなり」と、勇躍私は救助に赴くことにした。3/11
町内の銭湯を10日間ほど借り切って、身内に秘蔵映像やアート作品を見せたり、うまい料理を食べさせたり、熱いお湯に入れたりしたので、みんな新型コロナウイルスのことなど忘れて、普通の暮らしを楽しんでいた。3/13
私がバカダ大学の国文科の学生だった頃、卒論は西村健次の「ここでともかく手掴み踊」を題材にした「作品はタイトルで決まり」という趣旨の駄文だったが、担当教官の前で「手掴み踊」を披露したら、さすがバカダ大学でなんと「優」だった。3/14
三鷹から中央線に乗ったら、どの車両も「不思議少女アリスの部屋」とか「ピンクハウスの部屋」とか「アンゴラウサギの部屋」などの、様々な意匠を凝らした特別装飾が施されており、私はそれらのどれにも乗るのを躊躇したほどだった。3/15
地球人の外でとくしてのマスオ、エヒランスという音入れてゐた。3/16
フィリピンの大学で、現地人の学生が、日本からの留学生の身代わりを演じているのに、総長も、学長も、教授も、事務長も、それを知りながら、口を噤んで、大学の国際的なアルバイトに協力していた。3/17
彼女が、私の全身にヒシとしがみ付いて、身動き一つしないで、息を凝らしているのは、隣の部屋の様子を窺っているからなのだろうが、私は、そこで雁首を揃えている物凄いメンツのことを、彼女に伝える訳にはいかなかった。3/18
社長の私が身体検査を受けていると、「商品AとBではどちらがいいか答えなさい」という問題が突然出てきた。「誰が発案したか」と第Ⅰ秘書に電話すると、営業部長だというので、私はすぐに首にした。同じ質問を第2秘書にしたら、商品部長だというので、また首にし、第3秘書に聞いたら、社長ですというので私は私を首にした。3/19
さらさらと流れゆく水の上に、上からポツンと真っ赤な椿の花が落ちたけれど、私は、別に何も悟らなかった。3/20
ともかく、困った時には、遠くの空の上の方に、真っ黒な「第8の十字架」が姿を現して、いつも私を見守ってくれるのだ。3/21
その伊太利人の家主が、どうでもいいことにイチャモンをつけるので、頭に来た我々は、一同団結して店子組合を作って、家賃不払いストライキに突入した。3/22
宮廷の旧弊を大改革する話を聞いているうちに、酷く疲れてきた私は、またウトウトしてしまった。この節は、意欲的な人が積極的に前向きの話をしていると、その泡立つ口角を見ているだけで、急に何もかもが嫌になるのである。3/23
春休みの小学生新聞のトップ記事は、町内随一のラブラブ夫婦の夫の浮気を知った若妻が、その仕返しに、夫の情人を刺殺したという、現場血塗れカラー写真付きの特ダネだった。3/24
私は、村の金持ちのこの娘を、若い衆みんなが狙っていることを知っていたので、この部屋から出してはなるまいと眦を決して、しかし、そのためにはどうすればよいかも分からず、ただ右往左往していたのよ。3/25
私が道楽で始めた連続講演会の開始時間が迫っていたので、私は、例のL字型の抜け道を駆け下りて、会場に向かおうとしたのだが、なんといつもは無人のその道に、無数の黒人が犇めいており、中には昼寝している奴までいる。さあて如何したものか。3/26
私は超難病を治す特効薬を発明したのだが、それを他人に知られるとヤバイので、懸命にひた隠しにした。3/28
八難よ起こりうる世の中地震のお前ではないと互いに乗った出なう。3/29
真正ではなくガセウイルスに過ぎなかったのだが、それでも60人中3人が昇天してしまった。3/30
最近成田空港づくりに反対の人が減ってきたので、心配だ。3/31


   病院で生年月日を西暦で答える患者は我一人のみ 蝶人
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山川菊栄著「覚書幕末の水戸藩」を読んで

2021-09-09 13:50:22 | Weblog


照る日曇る日第1630回

水戸藩の学者の子孫に生まれた山川菊栄による懇切丁寧な覚書である。

祖父の青山延寿やその一族の延光が、藩主の斉昭に仕えた儒者なので、これを読むと、尊王攘夷の親玉と見做されている水戸藩の烈列やその取り巻きの人々の言動や人となりが、よく分かる。

例えば烈公こと斉昭は、この時代の諸藩の君主と違って庶民的で、お城を飛び出して城下町の民草の台所にまで勝手に入り込んでかたらっていたとかいうくだりは、まるで映画の登場人物のように浮き上がってくる。

しかし烈公と水戸藩が、会沢安の「新論」をバイブル、藤田幽谷、東湖父子などを知恵袋として尊王攘夷のイデオロギーを先導し、幕府と朝廷に大きな刺激と影響を与えていた時間は比較的短かった。

「安政の大獄」と「戊午の密勅」事件を経て、斉昭の後を継いだ阿呆莫迦息子の慶篤の時代には、藩内の「檄派」と「鎮派」の、喰うか食われるか、殺すか殺されるかの血みどろの内ゲバが、水戸藩の善きものすべてを押し流し、ようやくご一新が大号令と共に開始された時には、「これと思う人物はただ一人も残っていなかった」という惨状だったのである。

「檄派」と「鎮派」いずれが正にしていずれが邪か、という問題は、いち水戸藩だけの争闘にとどまらず、いつの時代、どこの国でも繰り返し持ち上がってくる普遍不滅の地獄煉獄の2択問題で、近くは本邦の新左翼内テロルがそれだった。

先祖の青山一族はどちらかというと天狗党などの檄派に親近を感じる人物だったらしいが、著者の両派に向けられた視線はいっぽうに偏することなく、まことに厳正中立で清々しいので、おおいに救われる。

また山川均の妻にして我が国の女性問題の草分けである著者が、水戸藩(のみならず全国)の女性蔑視に対して向ける、さりげないが鋭い批判も忘れるわけにはいかない。

  最新のニュースを載せた新聞もあっという間に便所紙1巻 蝶人
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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.80」

2021-09-08 16:37:13 | Weblog

蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第397回


○バイオリンコンクール入賞祝いの恩師のスピーチ

漆畑キリコさん、このたびの「パガニーニ国際バイオリンコンテスト」第2位入賞おめでとうございます。*1
キリコちゃんを手塩にかけて育て上げられましたお父様、お母様のお喜びもさぞやとお察し申し上げます。*2
今回漆畑さんが受賞された「パガニーニ国際バイオリンコンテスト」は、5年に1回イタリアで開催されるのですが、世界中でもっとも評価が高く、権威ある世界最高のバイオリンコンテストとされています。*3
キリコちゃんはとってもおとなしい女の子で、「私はまだ8歳だからとてもこんなコンテストなんか無理です」とおっしゃっていたのですが、私は「あなたの実力は先生だけが知っている。その先生が太鼓判を押しているのだから絶対だいじょうぶ」と何度も励ましました。その結果、1位なしの2位という素晴らしい賞を頂戴することができまして本当に良かったと思います。*4
キリコちゃん、どうか今回の成果におごることなく自分の力を信じて精進してください。そうすれば世界の桧舞台はあなたのものです。

○アドバイス

*1娘に一流の音楽教育を身に付けさせるためには両親の物質的・精神的支援が欠かせない。
*2あまり音楽に詳しくない一般客のために、コンテストにかんする説明を行っている。
*3当事者である恩師ならではのエピソードが披露された。
*4愛弟子に対する激励である。
  朝晩にぬらりタヌキが顔を出しもっともらしく総裁選を語る 蝶人
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久し振りに家族4人で神奈川県立葉山美術館へ行く

2021-09-07 10:46:36 | Weblog


西暦2021年長月蝶人物見遊山記&蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第396回


日曜の朝、車に乗って出かけましたら夏の海水浴の定番柴崎の駐車場が閉鎖されていました。コロナのせいかな?
まだ美術館が開いていなかったので、外側の散策路を辿って海岸に降りると、海亀の産卵のための穴掘りの実演講座をやっていて、その中に赤いワンピースを纏った美女がいました。偶に美人を見るのもいいものです。

あ、そうだ。
美術館を取り巻くその散策路を歩いていたら、いぜん鎌近の別館の池に立っていたアントニー・ゴームリの鋼製の人型が、後ろの正面の壁の前に立っているので驚きました。
いったい誰があれを見るものか。イサム・ノグチのこけしの代わりに表玄関の右側に置くべきではないでしょうか? 検討ありたし。

さてようやく入場。
館内では2つの展覧をやっていて、一つは「コレクション展 若林奮新収蔵作品」でした。神近はこの人がお好きなようですが、私はどうにも苦手です。

彼は彫刻は振動が大事だと唱え、その考え方自体は魅力的ですが、実際に製作した作品にそのバイブレーションをまったく感じることができない。いくら振動器なんかをこさてもそんな外面的なアプローチではダメなのです。買い込んだ数多くの作品が並んでいたけれど、結局おらっちが欲しいと思ったのは、40種類の年賀状だけでした。

お次は「空間の中のフォルム」という展示です。
副題通りに「アルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで」の多士済々、多種多彩な作品が並んでいたけれど、おらっちが感動したのは最上壽之(1936-2018)という彫刻家の「トントンビョウシ ノ アシビョウシ」という巨大なクモが巨大な壁ごと運んでいるような、そして今にも動きそうな躍動感が漲っている巨大な木工建築物でした。

これこそが若林選手が求めてついに手にすることのなかった「振動建築」そのものではないでしょうか?
というわけで、せっかく葉山まで出かけたのにあまり収穫なし。今月18日から始まる「香月泰男展」に期待しませう。

    カス退陣の謎解き明かすてふ「クローズアップ現代」勇んでみたらスカスカなりき 蝶人

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李琴峰著「彼岸花が咲く島」を読んで

2021-09-06 11:22:27 | Weblog

照る日曇る日第1629回


砂浜に漂着し、そこで「ノロ」になったヒロインの秘密と共に、ニッポン、タイワンそして「彼岸花が咲く南の島」の歴史が、次第に明らかになっていく。
それはまた、3つの島の言葉を巡る物語でもあり、性と戦争を巡る物語、そして作者の過去、現在、未来を透視するビルダングスロマンでもある。
この節の芥川賞受賞作というと、頭からはしにも棒にもかからぬ辛気臭い観念小説が多くて閉口するが、これはとても読みやすくて、読み応えのある興味津津の南洋浪漫小説ずら。


  権力の亡者どもが次々に我こそ首領と名乗りを上げる 蝶人
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「夢は第2の人世である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第85回 

2021-09-05 12:49:00 | Weblog

西暦2019年霜月蝶人酔生夢死幾百夜
最高権力に逆らった罰として、私は荒れ狂うゴリラの入った檻に入れられたまま、血に飢えたサメどもがうようよ泳いでいる海の中に放り込まれた。11/1
バッハについての講演会があるというので、指定された会場に定時に到着したのだが、誰一人いなかった。11/2
母国の崩壊の報に接し、恐怖を覚えた私は、これまで書き続けてきた敵国呪詛の過激な日記を焼却して、隣国に亡命した。11/3
「洋服と人世についてスピーチせよ」と命じられたが、ふぁっちょん業界からずいぶん遠ざかっているので、「そんなの無理だぜ」と思いながら、懸命にショップ探訪しているわたし。11/3
こないだ女の処へ忍んで行った時に、衿足にしてくれた接吻の快感が忘れられないので、昨夜また「してくれえ」と頼んだが、「え、もう賞味期限が切れたの」と笑うばかりで、冷たくあしらわれた。11/4
現政権の政策に対して反対し続けてきたボクだったが、金策に困じ果てて某大使から50万円借りてしまったために、友人たちからは裏切り者と指弾され、大使からは返済を求められて、ついに万事休してしまった。11/5
するとそれに見かねたヨリシゲが、ボクに100万円相当のぶんぶく茶釜を譲ってくれたので、これでなんとかしようと、地元に「なんでも鑑定団」がやってくるのを待っている次第だ。11/5
ジャーネー事務所の管理体制の強烈な締め付けに逆らって、私は個人的クーデタを企図していたのだが、私の担当マネージャーの女子が、それによって蒙るであろう致命的な被害と虐待を思うと、なかなかそれを決行できないでいた。11/6
皆が役場に集まると、村長が52枚のトランプを並べて、「皆の衆、お好きなカードを選びなはれ。取ったその数字が、今年の年貢の数じゃ」と言うたが、誰一人手を出さなんだ。11/7
私は夜中の12時半に出発する京急バスを待っていたが、流れ者に交じって諸国一見の放浪の旅に出てしまえば、可愛い女房子供はどうなるのだろう?という一抹の不安が、胸中から消え去ることはなかった。11/8
大きな蝶が飛んでいたので、ジャンプ一番捕まえたが、ふと上空を見上げると、アパートの窓から、2つの首つり死体が風にぶらぶうらと揺られており、そのひとつは、なんと私だった。11/9
妻に近寄って下手な冗談をいう男がいたので、私はいきなり殴り倒し、起き上がってくるところに膝蹴りをして、やっつけたつもりでいたが、そいつは、明らかに私よりも強そうなので、これからどのように決着をつけようかと戸惑っていた。11/9
大学のゼミにおける私のテーマは、何もしないで戸外をぶらぶら歩きする「東京散歩」という脱力系なのかなぜか人気があって、毎年大勢の学生が希望するので、うれしい悲鳴を上げている。11/10
大きな沼に不気味な生き物が棲んでいるというので、20名の部下を潜水させ、沼に垂らした20本の糸を一手に握りしめているのだが、いきなり水中に部下もろとも吸い込まれてしまう危険があるので、おさおさ警戒を怠らないようにしているのだ。11/11
散髪屋で髪を切ってもらい、頭を洗ってもらい、髭を剃ってもらったところで、財布を持っていないことに気づいて、えらく焦っているわたし。11/11
大晦日なのに新作CMの制作打ち合わせが入ったので、取り合えず会社を飛び出してTYOのキムラ氏の事務所へ急いだが、町は「ええじゃないか、ええじゃないか」の阿呆莫迦踊りの群衆に満ち溢れていて、一歩も進めない。11/12
私らは大望を胸に懐いて決起したものの、丹波地方を治める波多野氏の強力な武装兵に阻まれて、京への進撃の道を突破することができないでいた。11/13
敵は我が軍勢を一撃の元にほふったが、なぜか私の小隊だけは殲滅しないので、部下の「青くん」、「赤くん」を偵察に出したら、私らを鮎の友釣りの見せ鮎にして、友軍を引きずり出す餌に使おうとしていると分かった。11/13
工場で時間ぎりぎりまで働いていた私は、社食で食べ放題のスイカが殆ど残っていないので頭にきて、「お前たちはろくろく働かないのに、俺の大好物のスイカを全部喰うてしまった。絶対に許さないぞ!」と見栄をきったが、誰も聞いてはいなかった。11/14
利害を異にする3社が、共同で立ち上げる新規ブランドのネーミング会議がもたれたが、3名の代理人が、他社の案を1対2で否決して潰しまくったので、結局何も決められずに散会したのよ。11/15
数か月の籠城虚しく、遂に明日は落城と決まった日も、城の牢番の私は、そこに新たに幽閉される人々のための大掃除を、せっせとやっていた。11/16
わいらあルンペンなんやけど、この展示会場でゴロゴロしとると、たまにデザイナーに呼ばれて、「流れ者風のモデルになってくれへんか」と頼まれることがあるさかい、ここいらでゴロゴロしとるんや。11/17
南海を疾走する私のヨットの帆には、実際に航海中に艇内に飛び込んできた飛び魚を貼付することによって表示された、巨大な飛び魚の絵が描かれていた。11/18
PCで袋と打つと袋が出てくる仕組みだが、レジに客が殺到してくるので、袋が出てくるのを待ちきれない連中が、自分で勝手に乱打しはじめた。袋、袋、袋。11/19
見た目そっくりの可愛らしい双子の男の子が、笑いながら私の顔を覗き込んでいるので、目を覚ますと、そこは今年の2月に亡くなったいうタツミ君の家だった。11/20
ギルガメッシュハイム語の原稿は、あまりにも膨大すぎて、私が家にあるプリンターとダンボール2箱分のB5用紙で印刷しても、まだまだ刷り残っていた。11/21
クレーンに乗って愛の唄を歌う、という私の短歌に感動したというて、その2人はクレーンの上でセックスしたりして、どうにもこうにも引き離せない2人になってしまった。11/22
昆虫採集などしたこともないその貴賓が、「絶滅する前に我が国の蝶を収集したい」というので、私は仕方なく私は志賀昆虫店に絹製の補虫網を買いにった。11/23
冬休みで無人の大学に毎日通ってくる学生がいるので、「あんさんなにしてはるんや」と訊ねると、「たくさん単位を落としているので、その穴埋めに自習して、その証拠をこのカセットに録音しておいて、新学期に先生に渡すんです」と答えた。やれやれ。11/24
私はカナガワ氏からパリ駐在員を命じられ、「語学も出来ない老人なのに困ったことだ、どうしよう」と迷っていたのだが、かてて加えてダブル勤務の学校からもEU駐在員に任命されたので、もうこうなったら彼の地で骨を埋めようと悲壮な決意をした。11/25
私はクライアントの指名により、コオタロウと組んでCMの企画とコピーをいやいや担当したのだが、営業が見積書を持っていくと、私らのギャラのあまりの高さに驚いて、「やはりコオタロウは止めにしてくれ」と頼んできた。11/26
世界一高く、遠くまで飛ばせるロケットの開発を目指していた私だったが、「そんなに闇雲に頑張らなくとも、テキトウなとこまで飛べば、そこからもう一度ジャンプさせるほうが安全だと」といわれて、すっかりやる気をそがれてしまった。11/27
私は歌壇の大家にメール添付で大量の短歌を送りつけたが、大家からは何の反応もなかった。感じ悪うう。11/28
人物を撮らせたらナンバーワンという噂のカメラマンが当地にやって来たのだが、あいにく人っ子ひとりいないので、一度もシャッターを押すことなく帰ってしまった。11/29
町内の青年が議員に当選したというので、彼の同級生である長男もその祝いの席に仲間たちと一緒に並んでいたのだが、彼の脳髄では選挙も当選もまったく意味がわからないので所在無げに佇んでいるところを、私が手を引いて「さあ家に帰ろう」と言うとコックリ頷いた。11/29
101歳で大往生した中曽根元首相の業績を、マスコミは大ぎょうに称えているが、あにはあらんや、国労をぶっ潰して本邦の労働運動の息の根を止めたのがこの人物であった。11/30


  安倍蚤糞の継承を自負した二代目が安倍の真似して万事を投げだす 蝶人
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「夢は第2の人世である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」 第84回

2021-09-04 13:22:02 | Weblog

西暦2019年神無月蝶人酔生夢死幾百夜


「こちらは某国の王女様であるが、今日から1ヶ月間お前たちと一緒に仕事をして下さることになったから、万事よろしう頼むぞ」といわれたのだが、それから1ヶ月間、私らはてんで仕事にならなかった。なぜなら王女様は全裸の美女だったから。10/1
チューターとしての私は、意外にも結構まともなことを喋ったとみえて、聴衆の中の1人の女性は、私の言葉にいちいち深く頷いていたので、私はゼミが終わってから彼女を隣の部屋に連れ込んで接吻したが、彼女がまったく抵抗しなかったので、性交しようとしたが、その時彼女に下半身がないことに気付いた。10/1
その頃の私は、毎朝例の無垢の人からの電話があるのを唯一の楽しみにしていた。その声を聞くと、なんとなく清らかな心持ちになるのだ。10/1
新米披露会に出席した私は、はじめは最後列に座っていたのだが、だんだん前の席に移動し、最後は最前列に躍り出て、出来たての新米を試食しみたが、とても美味だった。要するに、腹が減っていたらしい。10/2
電通がデベロッパーになって、高田馬場早稲田辺の大開発をするという話を耳にして、それではまた、地下鉄にただで乗ったり、学バス利用者を実力で阻止したり、半日で5万円のカンパを集めたりできるのか、とぬか喜んだりした。10/2
私は生まれて初めて芝居の演出をすることになって、役者にいろいろな指示を与え、「さあ行ってみよう!」と叫んだが、なにも起こらなかった。それもそのはずで、まだ脚本が出来ていなかったのだ。10/3
12時から試験だというので、学友諸君と一緒に教室で待機していたが、担当教官のヒラオカが来ないので、みなメシを食いに行った。30分遅れでやって来た彼奴は、「半からだと思っていた。みんな戻ってくれよ」と、泣きながら訴えたが、みな知らん顔していた。10/4
新曲の録音でスタジオに缶詰になっていたら、突然頭が痛くなった。他のミュージシャンもそうだというので、神主を呼んでお祓いをしてもらったが、全然効果がないので、結局別のスタジオで録音することになった。10/5
曾祖父なんか知らないけれど、祖父と祖母が死んで、父と母が死んで、伯父伯母叔父叔母みんな亡くなって、私ひとりが取り残された。10/6
私の名前が、私が作製した文書からことごとく失われたので、2台のパソコンと3個の外付けHDDの中を大捜索して、なんとか見つけ出そうとしているところだ。10/7
お昼にランチを食べようと、会社からかなり離れた定食屋に入ったら、私の課のY嬢が、営業部の男たちに交じって女一人でサンマを食べていて、「お前はどうして自分の仲間とメシを食わないでここに来るんだ」と聞かれて「ほっといてよ」とそっぽを向いていた。10/9
台風の被害に遭った私の寺は、軍の移動テントのすぐ傍にあったので、兵士たちはすぐに修復してくれた。10/10
「家族A」は「家族B」に対して、かつて天人許すべからざる残虐行為をなしたことがあったので、しばらくは慙愧の念から大人しくしていたが、しばらくすると何事も無かったかのような顔をして、傍若無人に振る舞うようになってしまった。10/11
5000行に及ぶ彼の大長編詩の冒頭は、「それから私は」という言葉だった。10/12
諸君、喝采し給え。若き天才建築家の登場だ。10/13
ボクは、毎晩世界のラグビー選手が集る居酒屋で呑み食いしていたので、段々彼らの強さの秘密について知るようになっていった。10/14
ストックホルムだか、ヘルシンキだかで、母が列車に乗っている、という情報に接したので、急いで追いかけたのだが、ついに見つからず、返す返すも残念だった。10/15
私の職場では、怒り狂った社員が、朝から晩まで滅茶苦茶に電話を掛けまくるので、煩くてたまらないが、私だけ何もしない訳にはいかないので、取り敢えず5か所に電話した。10/16
障碍者の親の会の打ち合わせに、どういう風の吹き回しか、成人後見人を名乗る男が登場し、自分がその後見依頼者ともども仏蘭西に行った折りの話をベラベラしゃべり出したので、皆の顰蹙を買った。10/17
初めて中国を訪問したら、周恩来首相が3千年の過ぎ来し行く方を懇切丁寧に解説してくれたが、その言い方では、過去から現在までの道行が絶対化されてしまうので、現政権に対する批判が出来なくなってしまう危険がある、と思った。10/18
もういいだろう、と思って外に出ると、例の男の子と女の子が、私を捕まえて、どこにも行かせてくれないので、私はエンエンと泣いた。10/19
私たち6人兄妹は、3人の伯父叔父の家に別々に引き取られて、お互いに会うことも無く育ったが、半世紀ぶりに再会したら、それぞれが能や歌舞伎や文楽の歌舞音曲にかかわる仕事をしていたので驚いた。10/20
「机の上の余分な物は全部捨ててください」と言われたが、昔の手帳だけは捨てられなかった。10/21
夜の11時から、池袋のスカラ座で試写会があるのだが、山手線が駅の手前で止まってしまい、焦りまくっている私。しかし、池袋にスカラ座なんてあるのだろうか?もしかして新宿の間違いではないのだろうか?10/22
ふと気がつけば、万人が万人に対する戦争の時代に入っていたので、及ばずながら、私も武装したのだった。10/23
インフルエンザからセキリ、エキリ、コレラ、エイズまで、何にでも効く万能予防注射が発明されたので、全国民が皇居前広場に集まって、「早く注射しろ!」と叫んでいるが、希望者があまりにも多く、長蛇の列になっている。10/24
オレが、ブッシュにからまったPCを探していると、5時から6時ごろに、不意を突いてオレをやっつけようという僚友たちのひそひそ話が、耳に入ってきた。10/25
原住民たちが、思いがけず我々に反抗したので、私は部下に対して、全員から武器を取り上げ、抵抗するようなら、即銃殺するよう命じた。10/27
昨日エイギョウから依頼があって、なんたらかんたらフェアをやるので、その製作物を、という話だったので今朝シゲハラ印刷の担当者に来てもらったのだが、それを具体的に詰めようとしても、なんたらかんたらの実態が分からないので、手のつけようもないのだった。10/28
世界の終りが迫っていた。私は妻と一緒に電子辞書だけ持って、着のみ着のまま裏山に逃げ出し、「世界名言集」を検索しながら遺言を考えていたのだが、突然辺りは真っ暗闇になり、液晶も切れた。それが世界が終った瞬間だった。10/29
バルカン半島の緩衝地帯で衝突があり、現地駐在の日本大使館が「日本資本主義」という旗印を掲げていたので、私は急遽「日本国憲法」に差し替えた。10/30
ソロス君は、自分の子飼いの部下を、破格の高給で、自分が管理運営する秘密プロジェクトのメンバーに任命して、ますます実権を積み重ねていった。10/31


 野田海部そしてカースー首相でも木から落ちればただの猿なり 蝶人
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すべての言葉は通り過ぎてゆく第95回

2021-09-03 15:25:36 | Weblog

西暦2021年葉月蝶人狂言綺語テル&バガテル―そんな私のここだけの話第395回

パンデミック狂乱に対して必要最低限のワクチンすら確保できず、「五輪命」と縋りつき、「緊急事態宣言」てふ千社札を張りつけることしか出来ない無為無策最低政権を、あんたはまだ支持し続けるんだ。8/1
根本的な対策が出来ないために、コロナ感染者が果てしなく増加していくというのに、百害あって一利すらない大運動会を、なおも頑なにやり続ける政府って、ほんとうに狂ってるよね。8/2
コロナ禍の猛暑の中で雨漏り改修工事までやらかしているわけだが、大工が問題。昨日は午前中でどこか別の現場に勝手に遁走するし、その際用材やサイディングボードにシートを掛けなかったものだから、不意の俄か雨でずぶ濡れだ。8/3
医療の非常事態に一切備えをしない癖に、民草を生命の危険に晒す運動会に大金を投じて溝に捨てていた無為無策のカス自公政権が、みずから招いた医療崩壊を、「方針を転換して自宅診療に切り替える」だって。笑わせてくれるよ。8/4
学術会議、東京五輪、黒い雨、横浜市長選、そして自宅診療。カスという男は時々頑なにおのれの主張を突きだすが、それが自分の拠って立つ政治的信念?と固く思い込んでいるのだろう。8/5
一日も早く終わってほしいもの。コロナと五輪とカス内閣。8/6
ろくでなし共が、このろくでもない国を、ますますろくでもないものにしていくよ。8/7
やっとこさっとこキャンキャン煩い五輪は去ったが、代わりに台風がやって来て、変異型コロナはこれからますます猛威を揮うのだろう。それにしてなんとまあガースーの頼りないことよ。8/8
五輪をやらなかったら関係者の感染はゼロだったろうし、外国からの変異型ウイルスの侵入も皆無だったろう。そいつがやっと閉会したというのに、またぞろ大義なきパラリンピックを始める料簡が分からねえ。8/9
最近モネという名前が流行っているようだ。「おかえりモネ」という朝ドラまであって偶に斜に見ているのだが、あのモネちゃんは故郷で充実した仕事をしていながら、なんでまた気象予報士を目指すのだろうか?予報士なんかもう世の中に腐るほどいるずら。8/10
民草の命をルーレットに晒して不要不急の五輪を強行し、案の定第5波の感染拡大をもたらした政治責任は、ひとえにカス首相と緑のタヌキ女にある。ただちに引責自辞職せよ!8/11
テレビに出る顔でコロナと対決しようとする意欲を感じるのは大野埼玉県知事だけ。緑のキツネ女は戦意喪失して民草同様の被害者意識に埋もれ、黒岩神奈川県知事と吉村大阪府知事は、コメンター同然の解説をするだけ。政治的リーダーシップを執る気配は微塵もない。8/12
雁首揃えて「おまんた宣言」と「おまんた音頭」で踊り狂っている間に、日本全国を吹き荒れる大感染爆発。第1波から第5波まで、時間も金もいっぱいあったというのに、突如「感染ノーコンで医療崩壊」とは何事だ。8/13
カースーの行政不備からもたらした医療崩壊がもはやどうしようもなくなったので、「軽中度患者は基本的に「自宅療養」に切り替える政策転換を行う」などとカッコ付けてるようだが、なんのことはないお前の大チョンボのお陰で、毎日どんどん死人が出てるじゃないか。一体どうしてくれるんだ?8/14
おめえさんが、イスラエル並みとはいわないまでも、せめて先進国の平均値くらいの政治力を発揮して、五輪前に全国民分のワクチンを手に入れ、2回分の接種を終えてさえいたら、こんな目も当てられない大惨事は起こらなかったのよ。8/15
いくらコロナが感染爆発しても、国民が入院できずに自宅で死んでも、時ならぬ大水で自宅が流されても、「自分の身は自分で守って下さい」としかいわないカスカス政権。8/15
とうぶんは「自分が死んでしまったら、その瞬間に全世界も消滅してしまう」という超楽観主義でいくことにした。ハハ呑気だね。8/16
アフガニスタンをタリバンが奪取。南ヴェトナムから米軍が撤退した日のサイゴンを思い出す。またしても「新しい地獄」が始まるのだろうか?8/17
数においては勝るといえど、まともな指導者と戦意と独立心がなければ、最新兵器があっても、思想統一された武装ゲリラに大敗を喫するということか。いやアフガンの話。8/18
70年代の初めにD社のフルカワ選手が、「ササキさん、ゲバコピーは駄目ですよ」としたり顔で警告してくれたが、あにはからんや、ちょうどその頃から、イトイやナハカタのゲバゲバコピー全盛時代が始まっていたのだ。8/19
わが私淑する詩人、鈴木志郎康さんがお元気な頃、毎朝4時に起きて詩を書かれると聞いて、おおいに力づけられたものだ。あさ、窓から太陽がかっと照りつける。よーし詩でも書いてやるかと机に向かう。じつは、その気持ちが、既にして「詩」なのだ。よおし、久しぶりにひとつ書いてみるか。8/20
気でも狂ったか?緑のタヌキ。 いやもとから狂っていたのか?8/21
半年いやもっと長い間その成長ぶりを楽しませてくれたメダカが3匹とも立て続けに死んでしまった。われら家族3人の身代わりになってくれたような気がするのはなぜだろうか。8/22
この感染爆発と医療崩壊を尻目に、7千人の医療関係者を医療崩壊の現場から引き抜き、パラリンピックを強行開催しようとする緑のタヌキ。「この非常事態を他人事と思わないで下さい」なんてお前に言われる筋合はない。他人事はお前自身じゃないか。8/23
本日、カスが横浜で推薦する候補者を峻拒すれば、彼の権力基盤はスカスカになるだろう。8/22
これでカスは名実ともにスカスカになった。弱くて諸井野党候補でも、きちんと政策を提起して共闘すれば、ガタガタ与党に勝てるということだね。8/23
今度の総選挙でカス首相が地盤とする神奈川2区(横浜市西区、南区、港南区)で、まともな野党共闘議員が立ったら、やっこさんを落選させられるに違いない。8/24
五輪見物より、感染大爆発で入院すら出来ず自宅で死んでいく都民の姿を子供に見せれば、政治の貧困がいかに民草の生命を危険に晒すかを実地検分できるという真の「教育的効果」があると思う。8/25
どうも国家とか国歌なんつーもんは苦手で、それらを旗印にする五輪も殆ど見ていないが、例えば金銀銅メダルを授与する表彰式で3つの国歌を同時にオンエアしたらいかが。やってみると分かるが、3つとも融合しながらそれぞれチャント聴こえるから不思議だよ。8/26
横浜市長選の惨敗以来自民党の核分裂が始まったようで慶賀に堪えない。そもそもが百害あって一利なき不急不要の反市民政党なので、この際思いっきり感染爆発大解体して呉れるとうれぴいのだが。8/27
アフガンまで自衛隊機を飛ばしてたった1名を確保したり、感染爆発と医療崩壊に知らんぷりして総裁選に夢中になったり、ワクチン接種のチョンボを繰り返したり、猛暑の中の五輪で障害者の命を窮地に追いやったり、この政権は最悪の災害だ。8/28
朝も早から連日の猛暑の中を、若者を無駄に並ばせる。カス内閣の面々が、いつまで経ってもコロナワクチンの絶対必要数を確保できていないから、到るところでこういう「人災」が発生するのだ。8/29
障害者をその障害ゆえに差別するのは論外だが、五輪に出る障害者が、自分の障害を、分かったような分からぬ基準で事細かに区分されるのも、桁糞悪いだろうね。8/30
なーんもしなかった、できなかった8月とはいえ、かねて市に陳情していた朝夷奈峠侵入禁止の立て看板が完成したのは、ちょっとした出来事でした。8/31

いつまでも輪舞を続けるヒメジャノメもうそろそろ交尾しないと 蝶人
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なにゆえに第89回~西暦2021年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2021-09-02 11:27:46 | Weblog

ある晴れた日に 第657回


なにゆえに大暴動が起こらない こんな世の中はもうたくさんだ
なにゆえに詩も歌も出来なくなったそろそろ年貢の納め時か
なにゆえに着替える端から臭くなる洗濯のせいか老年臭か
なにゆえに夜の8時に仕事する大工は早寝早起きしなきゃ
なにゆえに去年の年号を唱えている悪夢を引きずるコロナ五輪
なにゆえに口笛が吹けない顔面神経麻痺になっちまった
なにゆえに泣くつもりなく涙する薬の飲み過ぎで心が壊れた
なにゆえに夏蜜柑の木は枯れてしまった車に轢かれた余の身代わりに
なにゆえに立憲民主の支持が伸びない自民のチョンボが山ほどあるのに
なにゆえにモネの名前をあちこちで聞くクロード・モネがそれほど好きか
なにゆえに余のプラゴミが突き返される燃えるゴミが混ざってたとさ
なにゆえに長田典子さんを尊敬するどんどん詩集が生まれてくるから
なにゆえにコロナ感染は「制御不能」いったい誰の責任なのか?
なにゆえにコロナ感染は「制御不能」おまんた音頭を踊ってる間に
なにゆえにカッコントウの扱いを止めたそれでもアータ薬局なのか
なにゆえに夜は眠れず吐き気がする昨夜「馬鹿野郎!」と怒鳴ったから
なにゆえに猛暑の夏が梅雨になる地球が我らに仕返ししている
なにゆえにまたタリバンがのさばるのアンミソタリバンタリリバナア
なにゆえに神奈川県で感染爆発知事お得意の神奈川方式
なにゆえにパラリンピックの客入れを論ずそもそも五輪は即止めるべし
なにゆえに自宅で寝たまま殺される政治家共から見捨てられた
なにゆえにコロナと本気で戦わないやってる振りだけ政治家のショー
なにゆえにまたもや東京で五輪なんかやる感染鎮火が先でしょうが
なにゆえに横浜でカスーが負けたあんたのすべてがNo!ってことさ
なにゆえに2人に1人が投票しないあれほどおもろい市長選でも
なにゆえに無用の用にて幼子を危険に晒す緑のタヌキ
なにゆえにまた五輪なんかやってるのだから宣言もみな無視してる
なにゆえに猛暑の後で梅雨になる地球が我らに仕返ししている 
なにゆえに猛暑の中でパラをやるそれだけとっても犯罪的だぜ
なにゆえに沖縄米軍は汚水を流す無法者はこの国から出ていけ
なにゆえに入院できずに死んでいく緑のタヌキは人殺しかも
なにゆえにもう8月が終わりなのほとんどなーんもしていないのに


ガンジーてふ印度人ゴルファーを見つけたりガンジー選手を応援しよう 蝶人
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西暦2021年葉月蝶人花鳥風月狂歌三昧

2021-09-01 10:44:14 | Weblog
ある晴れた日に 第656回


打つときはいともたやすく柵を越ゆ滅多に出ないホームランは

3匹のメダカが次々死んでゆき我らの身代わりになってくれたり

なにゆえに猛暑の後で梅雨になる地球が我らに仕返ししている

この国が滅びていくのを薄眼開け時々見ながらまた眠りゆく

世の中が崩れてゆくのを笑いながら見物出来る勇気が欲しい

故郷のお墓に誰が入るのか議論百出死ぬに死ねない 

歌あればわれらは生きて行けるだろう卒寿、白寿、百寿を超えて

三方から巨大台風がやって来てコロナ五輪の打ち上げ祝う

コロナ禍に不要不急の「世界総合国別対抗競技大会」

「観光客は来ないで下さい」と市民にいう改選間近の鎌倉市長

auのお知らせしか入らないこのガラケーは無用の長物

もうそろそろ出てきなさいよ電話帳姿を消して2カ月近い

1本の八重のドクダミが咲いている君だけが私を分かってくれる

「ぶっ殺す!」と叫んで家を飛び出たがその犬どこにも姿を見せぬ

安全で安心な指揮者なら秋山和慶尾高忠明

自動車で撥ねられた時の塩梅はガっツーンだったかゴっツーンだったか

撥ねられて落ちし地点の×印3月も経つも白く残れり

顔貌が変われば人が変わるのか変わったような変わらぬような

福笑いは大笑いする遊びなりそを張り付けし顔になるとは

我ながら見知らぬ顔になったので悪いことでもしでかそうか

傲岸はわが家の悲しき性なるか息子のそれをじっと見つめる

予報士も我らも愉快な気分なり朝から晩まで晴天の日

右翼的な放送局に就職し立身出世する政権の狗

リサイタルも不要不急の催し多く一世一代は200にひとつ

瀬戸内の海が綺麗になり過ぎて魚が育たなくなったとか

カミキリの上にカミキリが乗っかってゆるりくりりと交尾するなり

見も知らぬ男がタオルを持ってきて明日から臨家の工事をするとか

凄まじき騒音に耐え家に居る我が家からも音は出す故

「ゴハン!と言えばすぐに食事が出てくるの」力こぶ入れ夢語る妻

桜木の根方を覆うアスファルト ニイニイ、アブラ、ミンミンを殺す

道の辺に栗の実ひとつ転がりて葉月晦日がさよならという

億兆の民が辿りゆくその道を我も一人で辿りつつあり

この国の破綻を見捨てるごとく葉月逝く


  見も知らぬ男がタオルを持ってきて明日から隣家の工事をするとか 蝶人

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