家を出ようというところで降りだした雨はとても冷たく、色づきを失いつつある山をしっとりと濡らしはじめていた。
午前中いっぱいで止むということだが、晴れるのは晩になってからで、明日からは真冬の寒さがやってくるという。
今年は寒いといわれていたと思うが、つい先日にはそうでもないというような予報もあったようでよくわからない。
寒いなら寒いなりへの気構えが必要なのだが、こういうことに一喜一憂しているうちに気が萎える。
年末需要を当て込んでのことか、高級ジュエリーとか高級時計といった高級品が掲載された美しいカタログが先日、送りつけられてきた。
目の保養にと、暇つぶしがてら開いてみたら、そんじょそこらにあるような高級品ではなく、超のつくようなものばかりで、パッとみると0が多すぎてそれぞれの値段がよくわからない。
いちじゅうひゃくせんまんと数えてみると、1億円のネックレスだの時計があってびっくりした。
値段通りの美しさだし、精巧さだし、ダイヤの数も多く、これはこれで無理な値段設定でないのはわかるが、それにしてもどうみても購買能力などない私のところなどになぜこういったものを送ってくるのだろうとも思う。
カタログの表紙には、資産価値がアピールされていて、そのための購入を勧めている。
2023年度税制改正で、所得が30億円を超えるような超富裕層への課税強化案が与党内に出ているということだから、そういった超富裕層という人たちは実際存在して、実際に資産として購入するのかもしれない。
その次の富裕層という人たちも、数千万円の超高級品をみていいなと思い、これなら手に入るだろうと数百万程度のものを買うのかもしれない。
現金を持っているより、腐らないモノにしてしまった方がよほどいいということはそんなものを一つも持ち合わせていない私にもわかる。
そんなことを考えながら、私が愛用しているアップルウォッチを眺める。
息子が社会人1年めに私たち夫婦に健康管理のためにプレゼントしてくれたもので、心電図のみならず、最近では睡眠管理もやってくれるようになって重宝している。
時計など、片腕に一本していたら十分なので、何本も持っていない。
アップルウォッチ以外にいまあるのは、新婚旅行で買ったオメガと、父の形見で、これらは故障しないようにと時々はめて動かすだけになってしまっている。
宝飾品にしても時計にしても、超高級品などというものは実用の点から見たら全く不要で、無駄以外のなにものでもないように思ってしまうのが貧乏人の考えで、私なんぞ資産形成からはつくづく縁遠いものだと感じる。
資産形成などする余裕などなく、日々あくせく働いてきた身からすると全く別世界の話だが、どこそこの美術館、などもたいていは時の資産家、権力者が集めたコレクションであって、それがいまや文化遺産となっているわけで、ある意味富のトリクルダウンと言えるのかもしれない。
金は天下の・・・
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