きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

偽装「回復」宣伝③ 労働法制改悪で雇用劣化

2015-11-14 08:43:19 | 経済・産業・中小企業対策など
偽装「回復」宣伝③ 労働法制改悪で雇用劣化

「仕事が国内へと戻り始め、雇用は100万人以上増えました。正社員に限った有効求人倍率も2004年の統計開始以来、最高の水準になっています。足元では1年前と比べて、正規雇用は21万人増加しています」
6日、読売国際経済懇話会でのスピーチで安倍晋三首相はこう強調しました。
しかし、労働者派遣法など労働法制の相次ぐ改悪によって、賃金水準が低い非正規雇用が拡大し、雇用全体の劣化が進んでいます。
安倍首相が言う雇用増の中身を見ると、増えたのは圧倒的に非正規です。4日、厚生労働省が発表した14年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」では非正規比率が初めて40%に達しました。厚労省「2014年賃金構造基本統計調査」によると、非正規の賃金は正社員の63%と大きな格差があります。
正社員の有効求人倍率にしても直近の9月で0・77倍。求人数が求職者数に満たない状況が続いています。




製造業落ち込み
雇用の中身を業種別に見ると、基幹産業である製造業で落ち込みが激しくなっています。製造業の就業者数は1990年代半ば、1500万人以上でしたが、その後減り続け、15年9月には992万人。大企業が生産拠点を海外に移転し、それに伴って中小企業も海外進出したため国内で労働者が減っています。
就業者数は2000年代に入って卸小売業が製造業を上回り、いまや最大の産業です。医療・福祉の就業者も、02年1月の462万人から15年9月には786万人に急増しています。
問題は、これらの産業の賃金水準が低いことです。厚労省の毎月勤労統計調査(14年平均)によると、月間給与総額は、製造業の38万2193円に対し、医療・福祉は29万3517円、卸小売業は27万4627円。製造業より2~3割低くなっています。安倍政権は介護報酬を引き下げ、ただでさえ劣悪な介護関係の労働条件をさらに悪化させています。
製造業が減ることによる影響は賃金だけではありません。政府の2014年度版「ものづくり白書」によると、他産業への波及効果が大きい産業は製造業です。1単位(国産品)の最終需要が発生した場合の波及効果は、サービス業の1・62倍に対し、製造業は2・13倍。日本の製造業が衰退し、日本経済も落ち込んでいます。
実質賃金指数は7~9月、3カ月続けて前年同月比で微増になったものの、2013年5月から2年間にわたって前年割れが続きました。大企業が史上最高の収益をあげる一方、賃上げがいっこうに進まないことは、政府の経済財政諮問会議でも取り上げられました。



朝、職場に向かう労働者=東京都内

残業代ゼロ導入
雇用の劣化は、歴代自民党政権のもとで進められた労働法制改悪がもたらした結果です。にもかかわらず、安倍政権は大企業・財界の要求に応じて、労働者保護の根幹を掘り崩しつつあります。
先の通常国会では、労働者派遣法改悪を強行し、企業が恒常的に派遣労働者を使い続けられるようにしました。さらに、安倍政権は、通常国会で審議入りできず継続審議になった労働基準法改悪を狙います。「高度プロフェッショナル」労働者には残業代を払わず、何時間でも働かせることのできる制度の導入です。安倍政権は雇用の質を今以上に悪化させようとしています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年11月13日付掲載


医療・福祉産業の労働者が増えているのは、高齢化社会の中で当然の事です。
しかし、製造業と違ってマンパワーが要求される業種だけに、その分野に国や地方自治体の予算を注ぐ必要があります。
社会福祉予算が削られる中で、劣悪な労働条件が余儀なくされています。ここを改めないといけません。