偽装「回復」宣伝② 食・日用品は値上がり
日銀は10月30日、2%程度とする物価上昇目標の達成時期を「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」に先送りしました。先送りは、4月に続き2回目になります。
同時に日銀は、物価変動の影響を除いた実質GDP(国内総生産)の15年度伸び率の見通し(中央値)を1・7%増から1・2%増.に下方修正しました。消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しも0・7%から0・1%に引き下げました。
日銀が2年間で2%程度の物価上昇目標を掲げて「異次元の金融緩和」に踏み切ったのは13年4月のことでした。それから2年半。国債を大量に買い込み、資金を市場に流しこんだのに、実体経済を活性化させるにはいたりませんでした。日銀の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)は、「企業収益が過去最高水準にあり、失業率が3%台前半まで低下していることとの対比でみると、賃金の改善の程度はやや鈍い」と指摘せざるをえませんでした。
2%目標は先へ
9月の全国消費者物価指数(2010年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103・4となり、前年同月比0・1%下落しました。日銀が「異次元の金融緩和」を導入した13年4月以降では初めて2カ月連続のマイナスとなりました。
日銀がもくろむ2%の物価上昇目標は、逃げ水のように先に遠ざかっています。その主な原因は、エネルギー価格の低下です。その一方、食料品や日用品の物価は上昇しています。
9月はチョコレート17・8%、インスタントコーヒー12・9%、ビスケット10・5%、落花生6・7%、コロッケ4・7%と、それぞれ上昇しました。ポリ袋は9・5%、トイレット・ペーパーも4・5%上昇しました。
内閣府の景気ウオッチャー調査(10月)には、次のような声が寄せられています。
「値上げの影響もあり単価は上昇しているものの全体的な物量は増えておらず、必要最低限の買い物で済ませているように感じる」(南関東のスーパー店長)
「全体的には、国内の個人消費のべースとなる給与所得の伸びが目立っていない」(近畿の百貨店マネージャー)

商店街で買い物をする人たち=三重県桑名市
増税も家計直撃
「アベノミクス」の狙いは消費税増税が可能となるような経済環境をつくることにありました。つまり、「アベノミクス」と消費税率8%への増税とは一体不可分のもの。一方、「アベノミクス」の掛け声のもと日銀によって進められている「異次元の金融緩和」は、円安を加速させ輸入物価を上昇させました。
南関東の住宅販売会社の経営者は、景気ウオッチャー調査に「昨年4月の消費税増税以降はまったく販売量が伸びない」と答えています。中国地方の小売店経営者も「消費税率引き上げの影響で物価が上がっているのに客の収入が上がっていない」と指摘しています。
日本経済の低迷が続いているのは、消費税増税と円安による物価高が家計を直撃しているため。安倍政権が進めてきた経済政策そのものが問題なのです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年11月12日付掲載
2%の物価上昇目標は難しいといっても、エネルギーや家電などが値下がりしているから。
庶民の日々の生活にかかわる物価は2%を超えて値上がりしている。
そこへ、全体として2%の物価上昇されると、たまったもんじゃない。
日銀は10月30日、2%程度とする物価上昇目標の達成時期を「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」に先送りしました。先送りは、4月に続き2回目になります。
同時に日銀は、物価変動の影響を除いた実質GDP(国内総生産)の15年度伸び率の見通し(中央値)を1・7%増から1・2%増.に下方修正しました。消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しも0・7%から0・1%に引き下げました。
日銀が2年間で2%程度の物価上昇目標を掲げて「異次元の金融緩和」に踏み切ったのは13年4月のことでした。それから2年半。国債を大量に買い込み、資金を市場に流しこんだのに、実体経済を活性化させるにはいたりませんでした。日銀の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)は、「企業収益が過去最高水準にあり、失業率が3%台前半まで低下していることとの対比でみると、賃金の改善の程度はやや鈍い」と指摘せざるをえませんでした。
2%目標は先へ
9月の全国消費者物価指数(2010年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103・4となり、前年同月比0・1%下落しました。日銀が「異次元の金融緩和」を導入した13年4月以降では初めて2カ月連続のマイナスとなりました。
日銀がもくろむ2%の物価上昇目標は、逃げ水のように先に遠ざかっています。その主な原因は、エネルギー価格の低下です。その一方、食料品や日用品の物価は上昇しています。
9月はチョコレート17・8%、インスタントコーヒー12・9%、ビスケット10・5%、落花生6・7%、コロッケ4・7%と、それぞれ上昇しました。ポリ袋は9・5%、トイレット・ペーパーも4・5%上昇しました。
内閣府の景気ウオッチャー調査(10月)には、次のような声が寄せられています。
「値上げの影響もあり単価は上昇しているものの全体的な物量は増えておらず、必要最低限の買い物で済ませているように感じる」(南関東のスーパー店長)
「全体的には、国内の個人消費のべースとなる給与所得の伸びが目立っていない」(近畿の百貨店マネージャー)

商店街で買い物をする人たち=三重県桑名市
増税も家計直撃
「アベノミクス」の狙いは消費税増税が可能となるような経済環境をつくることにありました。つまり、「アベノミクス」と消費税率8%への増税とは一体不可分のもの。一方、「アベノミクス」の掛け声のもと日銀によって進められている「異次元の金融緩和」は、円安を加速させ輸入物価を上昇させました。
南関東の住宅販売会社の経営者は、景気ウオッチャー調査に「昨年4月の消費税増税以降はまったく販売量が伸びない」と答えています。中国地方の小売店経営者も「消費税率引き上げの影響で物価が上がっているのに客の収入が上がっていない」と指摘しています。
日本経済の低迷が続いているのは、消費税増税と円安による物価高が家計を直撃しているため。安倍政権が進めてきた経済政策そのものが問題なのです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年11月12日付掲載
2%の物価上昇目標は難しいといっても、エネルギーや家電などが値下がりしているから。
庶民の日々の生活にかかわる物価は2%を超えて値上がりしている。
そこへ、全体として2%の物価上昇されると、たまったもんじゃない。