きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

偽装「回復」宣伝① 実際は連続マイナス成長

2015-11-12 20:05:06 | 経済・産業・中小企業対策など
偽装「回復」宣伝① 実際は連続マイナス成長

安倍晋三政権は、日本の景気の現状について、「回復基調が続いている」と繰り返しています。果たして、政府の宣伝どおり景気は「回復」しているのでしょうか。

安倍首相は、通常国会閉幕にあたっての記者会見(9月25日)で、次のように発言しました。
「景気の現状は、今のところ一部に鈍い動きも見られますが、緩やかな回復基調が続いています」

所得への不安も
ところがどうでしょう。政府の宣伝とは裏腹に、日銀が10月1日発表した短観では、大企業製造業の業況判断が悪化しました。3カ月後の見通しにいたっては、企業規模や製造業・非製造業を問わず、現状比で悪化しました。
同月2日の「生活意識に関するアンケート調査」(日銀)では、暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と回答した人は46・6%にのぼりました。前回6月調査よりも0・4ポイント増えました。さらに、1年後の景況感が現在と比べ、「良くなる」と答えた割合から「悪くなる」を差し引いた指数はマイナス17・8でした。前回調査に比べ3・9ポイント悪化。1年後の収入が現在と比べ「増える」との回答が減少しており、所得への不安が強まっていることが背景になっています。
同月6、7日に開かれた日銀の政策委員会の金融政策決定会合の議事録によると、ある委員から「今後の消費が必ずしも順調に増加しない可能性」があるとの指摘が出されました。別の委員からは「所得の伸びが緩やかにとどまる中で、物価上昇が、家計の消費行動や消費マインドに影響しないか」との懸念が表明されました。
この間、「アベノミクス」によって大企業の決算は最高益を更新しています。しかし、そのもうけが設備投資や賃金に回らず、企業内部にため込まれていることが日本経済低迷の大きな要因です。
同月14日に発表された10月の月例経済報告は、「緩やかな回復基調が続いている」との判断は変えませんでしたが、生産分野の判断を9月までの「横ばい」から「弱含んでいる」に3カ月ぶりに下方修正しました。
日銀の金融政策決定会合では財務省の出席者すらも「最近の雇用・所得環境の改善傾向が消費の改善や設備投資に期待していたほどのスピードでは結びついていない」と指摘するほどです。



記者会見に臨む黒田日銀総裁=10月7日、日銀本店(ロイター)

設備投資少ない
同月16日に開かれた経済財政諮問会議では、「活用されていない内部留保」が議論の対象になりました。経団連の榊原定征(さかきばら・さだゆき)会長は「国内の設備投資は少ないというのは間違いない」(10月16日の経済財政諮問会議)と認めざるを得ませんでした。
民間シンクタンク10社が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)予測によると、物価変動の影響を除いた実質(平均)で、前期比0・0%減、年率換算で0・2%減でした。4~6月期に続き2期連続のマイナス成長となる見通しを示しました。
シンクタンクは、「企業は国内での新規設備投資の積み増しには慎重な姿勢を維持」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)、「企業収益は好調な推移が続き、設備投資計画も非常に強いのだが、景気の先行き不透明感の強さから企業が投資を先送りしている模様であり、計画がなかなか実際の設備投資につながってこない」(第一生命経済研究所)などと述べています。
景気停滞の背景に史上最高の利益を計上しているものの、その利益をため込み続けている大企業行動があることは、今やだれの目にも明らかです。(つづく)(4回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年11月11日付掲載


大企業の収益は最高水準になっている。そこだけ見れば「回復」していることに間違いない。
一方、財界の中では「活用されていない内部留保」が議論の対象になるほど内部留保が増えている。
雇用や下請け代金にすこしでも回せば、景気が良くなるのにね。