再生エネ世界の挑戦~ハワイ編~① 島内の電力 4割まかなう
米本土から遠く離れたハワイ州はこれまでエネルギー源のほとんどを州外からの化石燃料に頼ってきました。昨年、石油依存から脱却し、2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなうとする法律が成立しました。エネルギー転換に踏み出した同州からリポートします。(ハワイ州カウアイ島=島田峰隆 写真も)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/59/fc5dad4d85b54ea540bc4db1a3dffb3c.jpg)
【カウアイ島】
米ハワイ州にある主要8島のうち最北端の島。米政府によると、2014年の人口は約7万人、面積は約1430平方キロ(東京都の約65%)。
ハワイ州北部カウアイ島では、2014年、15年と相次いで大型の太陽光発電施設が始動しました。南部のコロア発電所と東部のアナホラ発電所です。それぞれ1万2千キロワットを発電します。両施設には数百頭の羊が放牧され、雑草が伸びるのを防いでいます。
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カウアイ島電気事業協同組(KIUC)のジム・ケリー氏
住民が引き継ぐ
「小さな島ですが、再生可能エネルギーの活用や温室効果ガスの削減への貢献では、大規模な電気事業体に見劣りしませんよ」
同島の電気供給を担う「カウアイ島電気事業協同組合」(KIUC)の広報責任者、ジム・ケリー氏が力を込めました。KIUCは02年、それまで米本土の企業が行っていた電気事業を住民が引き継ぐ形で発足しました。
島の中心都市リフエにある本部はクリーム色の2階建ての建物。電気代の支払いを受け付けたり、コールセンターで利用者の相談にのったりと職員が忙しそうに働きます。
ケリー氏は「われわれの強みは、利用者が運営方針を決める民主主義にあります」と語ります。州政府が08年に再生可能エネルギーの活用方針を示した際、KIUCは総会で島の将来を議論。石油依存では環境面で持続可能ではないと結論付け、島の状況に適した形で太陽光や水力など再生可能エネルギーの活用を強める方向を確認しました。
その結果、15年末には島内の電力の約4割を再生可能エネルギーでまかなえています。14年時と10年時を比べると、発電時の石油利用量と温室効果ガスの排出量はそれぞれ約9%減りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/1c/9021a51c21474da3bde3bc58194aa697.jpg)
カウアイ島電気事業協同組合(KIUC)の本部で、利用者からの電話に応対する職員ら=2015年12月、ハワイ州カウアイ島リフエ
23年までに50%
米メディアも昨年11月初め、「小さな島が再生可能エネルギー活用へ巨大な取り組み」「ハワイ州全体の野心的な目標へ大きく貢献」と注目しました。
KIUCの当面の目標は、23年までに島内の電力の少なくとも50%を再生可能エネルギーでまかなうことです。13年に利用者の合意で決めた戦略計画に盛り込みました。
希少種の鳥を保護するため風力発電を行えないことや、水力発電施設の設置と環境保護の両立など課題も少なくありません。
ケリー氏は「確かに困難は多くあります。しかし地球温暖化を防ぐためにも石油依存からの脱却は避けられない課題。他の人の行動を待つのではなく、私たち自身が開拓したい。私たちはその姿勢をとても誇りに思います」と強調しました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月3日付掲載
野心的目標って言うのはこういうことを言うんですね。米国・ハワイ州が「2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなう」法律を決めた。
それも、地元住民の合意のもとに着実に進めている。
米本土から遠く離れたハワイ州はこれまでエネルギー源のほとんどを州外からの化石燃料に頼ってきました。昨年、石油依存から脱却し、2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなうとする法律が成立しました。エネルギー転換に踏み出した同州からリポートします。(ハワイ州カウアイ島=島田峰隆 写真も)
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【カウアイ島】
米ハワイ州にある主要8島のうち最北端の島。米政府によると、2014年の人口は約7万人、面積は約1430平方キロ(東京都の約65%)。
ハワイ州北部カウアイ島では、2014年、15年と相次いで大型の太陽光発電施設が始動しました。南部のコロア発電所と東部のアナホラ発電所です。それぞれ1万2千キロワットを発電します。両施設には数百頭の羊が放牧され、雑草が伸びるのを防いでいます。
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カウアイ島電気事業協同組(KIUC)のジム・ケリー氏
住民が引き継ぐ
「小さな島ですが、再生可能エネルギーの活用や温室効果ガスの削減への貢献では、大規模な電気事業体に見劣りしませんよ」
同島の電気供給を担う「カウアイ島電気事業協同組合」(KIUC)の広報責任者、ジム・ケリー氏が力を込めました。KIUCは02年、それまで米本土の企業が行っていた電気事業を住民が引き継ぐ形で発足しました。
島の中心都市リフエにある本部はクリーム色の2階建ての建物。電気代の支払いを受け付けたり、コールセンターで利用者の相談にのったりと職員が忙しそうに働きます。
ケリー氏は「われわれの強みは、利用者が運営方針を決める民主主義にあります」と語ります。州政府が08年に再生可能エネルギーの活用方針を示した際、KIUCは総会で島の将来を議論。石油依存では環境面で持続可能ではないと結論付け、島の状況に適した形で太陽光や水力など再生可能エネルギーの活用を強める方向を確認しました。
その結果、15年末には島内の電力の約4割を再生可能エネルギーでまかなえています。14年時と10年時を比べると、発電時の石油利用量と温室効果ガスの排出量はそれぞれ約9%減りました。
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カウアイ島電気事業協同組合(KIUC)の本部で、利用者からの電話に応対する職員ら=2015年12月、ハワイ州カウアイ島リフエ
23年までに50%
米メディアも昨年11月初め、「小さな島が再生可能エネルギー活用へ巨大な取り組み」「ハワイ州全体の野心的な目標へ大きく貢献」と注目しました。
KIUCの当面の目標は、23年までに島内の電力の少なくとも50%を再生可能エネルギーでまかなうことです。13年に利用者の合意で決めた戦略計画に盛り込みました。
希少種の鳥を保護するため風力発電を行えないことや、水力発電施設の設置と環境保護の両立など課題も少なくありません。
ケリー氏は「確かに困難は多くあります。しかし地球温暖化を防ぐためにも石油依存からの脱却は避けられない課題。他の人の行動を待つのではなく、私たち自身が開拓したい。私たちはその姿勢をとても誇りに思います」と強調しました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月3日付掲載
野心的目標って言うのはこういうことを言うんですね。米国・ハワイ州が「2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなう」法律を決めた。
それも、地元住民の合意のもとに着実に進めている。